BLOG ブログ

2025年の上半期、企業倒産5,000件超!倒産増加の原因と中小企業への影響

2025年の上半期、企業倒産5,000件超!倒産増加の原因と中小企業への影響

はじめに:じわじわ広がる“静かな倒産ラッシュ”

2025年の上半期は、企業倒産件数が12年ぶりに5,000件を突破しました。
特に深刻なのは、建設・土木業を中心とした中小企業の倒産増加です。

この増加は一時的な景気変動ではなく、以下の構造的要因とマクロ経済の影響が重なった結果です。

  • 慢性的な人手不足
  • 賃上げ・原材料費の高騰
  • 公共工事の減少
  • 金利上昇による資金繰り悪化

さらに、倒産は一企業の問題にとどまらず、地域の雇用・生活・インフラに連鎖的な影響を及ぼしています。

こちらのブログでは、2025年上半期の企業倒産の現状と背景、そして中小企業経営者が今取るべき実務的対策まで徹底解説します。

倒産件数の推移と経済背景

2025年上半期の企業倒産件数は前年同期比で約20%増となり、8四半期連続の増加はリーマンショック後以来の長期トレンドです。
総倒産件数は5,000件を超え、特に建設業が約25%を占めており、中小企業への影響が顕著です。

さらに詳細を見ると、

・資本金5,000万円以下の中小企業が全体の約8割

・平均負債総額は1社あたり約2億円

・地域別では地方都市の中小建設・製造業に倒産集中

といった傾向があります。資本金の小さい企業ほど、資金繰りの余裕が少なく、小さな受注減や資材高騰でも倒産リスクが高まる構造です。

マクロ経済の背景

企業倒産増加の背景には、単なる景気後退ではなく、構造的・マクロ要因が複合的に作用しています。

1. 金利上昇による借入負担増
・2025年以降、短期・長期ともに企業向け融資金利が上昇。借入残高が多い中小建設会社では返済負担が急増し、運転資金の確保が困難に。

2. 資材・燃料価格の長期高騰
・鉄鋼・セメント・建材など、建設業で不可欠な資材価格が高止まり。見積もりに反映できない案件が増え、利益率悪化。

3. 公共投資抑制と大手ゼネコンへの集中発注
・地方自治体の公共工事は予算縮小傾向。受注機会は大手ゼネコンに集中し、中小下請け企業は仕事の取り合いが激化。

4. 人件費上昇と技能者不足
・慢性的な建設技能者不足に加え、最低賃金上昇や労働環境改善の影響で人件費が上昇。受注があっても人材不足で工期遅延・受注断念に追い込まれるケースが増加。

企業が直面する現実

・受注があっても人も資金も足りず、継続が困難

・小口融資や取引先信用枠では対応できず、資金ショート

・連鎖倒産のリスクが高まり、地域経済への影響も顕著に

建設業や製造業の中小企業は、外部環境の変化に耐えうる資金計画・人材戦略・取引条件の見直しが急務となっています。

倒産のタイプと典型的なシナリオ

企業倒産にはいくつかの法的整理・事業撤退の形態があります。中小企業経営者が知っておくべき代表的なタイプは以下の通りです。

よくある倒産の典型シナリオ

1. 元請からの支払い遅延

・建設業・製造業では、下請けが元請の支払い遅延で運転資金が不足。短期融資でも対応しきれず倒産に直結することがあります。

2. 外注費・材料費の高騰で資金ショート

・受注はあるものの、資材価格や外注コストの急騰で現金不足に陥るパターン。

3. 銀行返済の滞納

・運転資金や設備投資ローンの返済が滞り、担保設定された資産が差押え対象になる場合も。

4. 仮差押え → 資産売却 → 連鎖倒産

・債権者による仮差押えで事業資金が凍結され、資産売却や事業縮小を余儀なくされる。これが下請けや関連企業への連鎖倒産につながるケースも多く見られます。

特に増加している「黒字倒産」

近年、帳簿上は利益が出ていても資金繰りが追いつかず倒産するケースが増加しています。

・利益はあるが、売掛金回収遅延や突発的支出で現金が不足

・融資枠やリスケジュールで一時的に対応できても、資金ショートで事業継続が困難

経営者にとって、損益計算だけでなくキャッシュフロー管理が倒産回避の鍵となります。

建設・土木業界に特有の“3つのリスク”

いま、日本の建設・土木業界は、かつてない構造的なリスクに直面しています。
工事需要はあるにもかかわらず、現場では「人がいない」「資金が回らない」「仕事が取れない」という声が日増しに強まっています。

2025年に入り、中小の建設業者を中心とした倒産の増加が顕著になりました。
この背景には一時的な景気変動ではなく、人手不足・原価高騰・公共工事の減少と発注偏重という「3つの構造的リスク」があります。

これらのリスクは単独ではなく、

・人手不足 → 工期遅延 → 資金ショート

・原価高騰 → 利益率悪化 → 倒産リスク上昇

・公共工事減少 → 受注競争激化 → 地元業者淘汰

というように、連鎖的に企業体力を奪っていくのが特徴です。

この章では、建設・土木業界に特有の3つのリスクを実務目線で深堀りし、現場経営者が直面している「静かな危機」の実態を明らかにします。

人手不足が限界を超えた

建設業界では長年の課題とされてきた技能労働者の高齢化と若手不足が、いよいよ構造崩壊レベルに達しています。

◆技能者の高齢化

・現場の熟練職人の多くが50〜60代。引退が進む一方で、若年層の参入は少なく、現場力が年々低下。

・人員減少は1人当たりの負担増と工期の長期化を招いています。

◆若手の採用難

・労働環境の厳しさや休日の少なさから若手人材の確保が困難。地方では求人を出しても応募ゼロというケースも珍しくありません。

◆工期遅延による資金ショート

・人手不足により工程が遅れ、支払いサイト(入金)と支出のタイミングがズレることで、資金繰りが一気に悪化。

・とくに中小業者は少しの遅延でも倒産リスクが高まる構造になっています。

👉「人がいないから仕事が進まない」という単純な問題が、最終的に倒産を引き起こす「資金ショート」に直結しているのが最大の特徴です。

原価高騰と価格転嫁できない構造

近年、建設資材や燃料などの価格高騰が長期化しており、業界全体の利益率を圧迫しています。

◆資材・燃料価格の高騰

・鋼材・セメント・アスファルト・燃料など、主要コストが2〜3年で20〜40%上昇。

・一方で価格変動リスクを受注側が負担する契約形態が主流。

◆価格転嫁できない下請け構造

・元請企業や公共工事では契約単価が固定価格契約であることが多く、コスト上昇分を請求に反映できない。

・その結果、下請け中小業者の利益率が1〜2%以下に低下するケースも。

◆利益率が急減 → キャッシュフロー悪化

・利益が出にくい構造の中で材料費が上がると、キャッシュフローが急激に悪化。

・これが連鎖的に倒産・撤退を誘発しています。

👉「仕事がある=儲かる」ではなく、「受注すればするほど赤字になる」企業も増えているのが深刻な現実です。

公共工事の減少と発注の偏り

建設業を支えてきた公共工事にも、構造的な変化が起きています。

◆公共事業予算の抑制

・国・自治体の財政負担増により、インフラ整備や公共事業の予算が縮小傾向。

・地方では公共工事が仕事の柱であるため、受注機会が減ると事業継続そのものが困難に。

◆発注の偏りと大手集中

・限られた予算は大手ゼネコンに集中し、地元中小業者は下請け・孫請けのポジションから抜け出せない。

・受注額は減少し、利益率も低下。競争が激化して価格の叩き合いも発生。

◆地域インフラの停滞と業者淘汰

・工事が進まず、地域インフラ整備が停滞。地元業者が次々と市場から退出する「淘汰の波」が進行中。

👉 「仕事の奪い合い」ではなく「仕事そのものが減っている」ことが、過去との最大の違いです。

3つのリスクは連鎖する

1つ1つのリスクは単独でも致命的ですが、現場では

・人手不足 → 工期遅延 → 資金ショート

・原価高騰 → 利益率低下 → 融資依存増

・公共工事減 → 受注減少 → 事業縮小

といったように、複数の要因が連鎖し、倒産リスクを加速させています。

地域別・業種別の倒産傾向

2025年に入り、倒産の波は全国的に広がっていますが、その発生構造は地域や業種によって異なる特徴を示しています。
特に「地方の建設・土木系中小企業」が倒産件数の大半を占めており、地域経済全体への影響も深刻です。

特徴的な動き

◆都市部では「薄利多売型」倒産が目立つ
→ 工事件数は確保できても利益が残らない。多受注・多現場による資金ショートが発生。

◆地方では「仕事減少型」倒産が進行
→ 公共工事・民間工事とも減少し、固定費が重荷に。後継者不在による廃業型倒産も増加中。

◆建築土木系では「連鎖倒産」が深刻化
→ 元請・下請・孫請のいずれかが支払い不能になると、一気に複数業者が連鎖的に経営破綻。

地方の中小業者を直撃する「三重苦」

地方では、

・公共投資減少による仕事不足

・若手不足・技能者流出

・金融機関による融資姿勢の厳格化

この“トリプルリスク”が重なり、地元業者が連鎖的に倒れる構図が強まっています。
一社の倒産が地域インフラ維持や雇用基盤を揺るがすため、地域経済全体の縮小スパイラルを招いているのが現状です。

雇用と生活への波及

建設・土木業界の倒産は、単なる「企業の経営破綻」にとどまりません。

地域の職人・施工管理者が次々と転職・離職を余儀なくされ、熟練人材の流出が加速しています。インフラ整備の停滞によって公共事業も遅れ、結果的に地域経済全体に悪影響が及びます。

一方で、雇用保険や再就職支援制度の整備が追いつかず、「仕事はあるのに人がいない」「会社が続かない」という矛盾が各地で発生しています。

つまり、倒産は企業単位の問題ではなく、地域社会全体の課題なのです。
地域の雇用や生活を守るためにも、今こそ建設業の再構築と支援体制の見直しが求められています。

経営者が直面している“3つの壁”

経営者が今まさに直面しているのは、「人材・資金・承継」という3つの大きな壁です。

まず“人材の壁”では、若手の採用難と技能者の高齢化が進み、現場が回らないという深刻な課題があります。熟練の技術やノウハウがあっても、それを受け継ぐ人がいなければ、事業は徐々に縮小していきます。

次に“資金の壁”では、金利上昇と資材高騰が経営を直撃し、資金繰りが厳しくなる企業が増えています。キャッシュが持たないことで、新たな投資どころか、日々の運転資金の確保に追われる経営者も少なくありません。

そして最後に“承継の壁”では、後継者の不在が廃業・清算リスクを高めています。利益が出ている会社であっても、バトンを渡す相手がいなければ未来は描けません。

これら3つの壁はそれぞれが独立した課題ではなく、相互に影響し合い、企業経営の根幹を揺るがす要因となっています。つまり、人材がいなければ資金を活かせず、資金がなければ承継の準備も進まず、承継ができなければ企業の存続そのものが危うくなる――今、経営者に求められているのは、この3つの壁を「一つずつ」ではなく「全体として」どう乗り越えるかという戦略的な視点なのです。

人材の壁:若手不足と技能者高齢化

◆現状
建設業の熟練職人は50〜60代が中心で、退職や引退が進む一方、若手の採用は難航しています。特に地方では求人を出しても応募が少なく、慢性的な人手不足が深刻です。

◆影響
現場が回らず工期が遅れることで、契約通りに工事を完了できない事態が頻発。工期遅延は下請けの資金繰り悪化や元請とのトラブルにつながり、資金ショートの直接要因にもなります。

◆実務的ポイント

・若手育成プログラムや技能継承の仕組みを作る

・外注や協力会社の活用で人手不足を補う

・工期・受注量を現実的に管理し、無理な受注を避ける

資金の壁:金利上昇と資材高騰

◆現状
・2025年以降の金利上昇に加え、鋼材・セメント・燃料費など建設資材の高騰が続いています。元請価格は据え置きのケースが多く、コスト増を価格に転嫁できない構造です。

◆影響
・受注はあるにもかかわらず、キャッシュフローが圧迫され、支払いと入金のタイミングのズレで短期間に資金ショートする企業が増加しています。黒字倒産の典型例もここに該当します。

◆実務的ポイント

・受注契約時に原価変動条項を組み込む

・金融機関とのリスケジュールや融資枠の事前確保

・在庫・資材調達の計画的管理で無駄なコストを削減

承継の壁:後継者不在

◆現状
・特に地方の中小建設業では、後継者不在による廃業が増えています。経営者が高齢化する一方で、子息や親族が事業を引き継ぐ意向がないケースが多く見られます。

◆影響
・事業を続けられず、廃業や特別清算に追い込まれるリスクが高まります。承継問題は単に経営者の意向だけでなく、社員雇用や地域インフラ維持にも直結する社会課題です。

実務的ポイント

後継者不在の場合はM&Aや事業譲渡を早期に検討

廃業・清算を前提とした計画的な資産整理

社員・取引先への影響を最小化する手順を事前に策定

経営者のための実務的な対策

経営者が「人材・資金・承継」の3つの壁に直面した際に、実務的かつ現実的に取り組むための対策を具体的に深堀りした内容です。

単なる理想論ではなく、「今できること」に焦点を当てています。

資金繰り・金融支援

資金繰りが苦しくなったときに、最初に考えるべきは“金融機関との信頼関係”を壊さずに「時間を稼ぐ」ことです。

● リスケジュール(返済猶予)交渉

金融機関への返済猶予(リスケジュール)交渉は、倒産を回避するための非常に有効な手段です。売上が落ち込んだタイミングや資材高騰によってキャッシュが逼迫している状況では、無理に返済を続けるよりも、一時的に返済を軽くし、その間に立て直しの戦略を練ることが重要です。
大切なのは「正直に現状を伝えること」。資金繰り表・事業計画書・改善見込みなどを準備し、金融機関に「時間をください」という姿勢で臨むことで、前向きな交渉が可能になります。

● 信用保証協会の活用

資金調達の際に民間銀行が融資に慎重になる局面では、信用保証協会の保証付き融資が強い味方になります。保証協会が保証人になることで、銀行側のリスクが軽減され、融資が実行されやすくなります。
特に中小企業にとっては、資金繰りの命綱となるケースも多く、既存借入の借り換えや追加融資も可能な場合があります。

● 補助金・助成金の検討

資金繰りの改善には融資だけでなく、返済不要の補助金・助成金も有効です。特に、中小企業庁が管轄する事業再構築補助金やIT導入補助金、雇用調整助成金などは、事業の転換期や再起を図る企業にとって活用価値が高い制度です。
ただし、申請には一定の時間と手続きが必要になるため、専門家(税理士・認定支援機関など)と連携して準備を進めるとスムーズです。

事業承継・M&A

承継問題は“時間との戦い”でもあります。「後継者がいない=即廃業」ではなく、選択肢を広げることで事業を次につなげる可能性が生まれます。

● 後継者不在ならM&Aによる事業継続

後継者がいない場合、M&A(会社譲渡)は有力な選択肢です。最近では、中小企業基盤整備機構などの公的機関も中小企業のM&A支援を行っており、大企業だけの話ではなくなっています。
M&Aによって、従業員の雇用や取引先との関係を保ったまま、経営権を次世代に移すことが可能です。さらに、オーナー自身も売却益を得て第二の人生設計を描けるケースもあります。

● 小規模M&Aや地域連携によるスケール確保

中小企業同士が連携する小規模M&Aや業務提携も増えています。例えば、同業他社と連携して共同仕入れや設備の共有を行えば、コスト削減や競争力強化が図れます。
特に地域密着型ビジネスでは、地元企業同士の連携によって「小さな企業でも生き残れる」戦略が成り立ちます。承継問題をM&Aだけでなく「地域連携の一手」として捉える視点が重要です。

任意売却・撤退戦略

再建を目指すのが難しいと判断した場合、“守るべきものを守るための撤退”という選択肢も現実的に考えるべきです。

● 保有不動産・資産を任意売却で整理

経営者の多くは事業用不動産や個人名義の不動産を保有しています。これらを市場で通常売却することが難しい状況でも、任意売却という手法を使えば、債権者(銀行など)の同意のもとで売却が可能になります。
競売にかけられる前に任意売却で資産を整理すれば、売却価格をコントロールできる可能性が高まり、債務の圧縮・残債の交渉にもつながります。破産を避け、信用情報への影響も最小限に抑えることができます。

● 破産を回避し、従業員・家族への影響を最小限に

撤退は決して“負け”ではありません。会社を守れなくても、家族・従業員・個人資産を守るための戦略的な判断です。
たとえば、不採算事業を切り離し、必要な資産だけを残すことで再スタートを切る企業もあります。廃業・清算・任意売却を組み合わせれば、従業員の雇用継続や取引先への影響も軽減できます。

ポイント

経営者にとって「資金」「人材」「承継」の壁は避けて通れない現実です。

しかし、これらを“早い段階で”認識し、実務的な対策を講じることで、再建も撤退も「選べる未来」に変えることができます。

融資や補助金を活用して時間を稼ぎ、M&Aで事業をつなぎ、必要であれば任意売却で傷を最小限に抑える——この3本柱を戦略的に組み合わせることが、これからの経営者に求められる判断力です。

倒産・廃業=「失敗」ではありません

倒産・廃業は「失敗」ではないですし、多くの経営者が同じような悩みを抱えていて、

黒字倒産は“力不足”ではなく、社会や市場の構造問題で早めの判断や撤退は“逃げ”ではなく、戦略的な選択です。

事業を守る道は、地域や従業員の雇用を守る道でもあります。

経営者は自分を責めすぎず、冷静に「攻める・守る・引く」の判断を行うことが、未来を変える第一歩です。

まとめ

2025年、建設・土木業界やその他の業界で倒産が急増しているのは、「努力不足」や「力の問題」ではなく、業界構造の変化による必然の結果です。

だからこそ、撤退も立派な戦略ですし、再起も十分に可能です。地域を支える経営者の決断が、未来を大きく左右します。

いま必要なのは、ただ「がんばる」ことではなく、「選択する」こと。経営者一人ひとりの冷静な判断が、地域経済の明暗を分けるのです。

悩んでいる時間も戦略に変える

倒産・廃業の不安、資金繰りや承継の悩み、どれも一人で抱え込む必要はありません。

早めの判断と戦略的な選択で、再起も可能です。まずは無料相談で現状を整理しましょう。

弊社は事業再生専門の法律事務所を協力して経営者のサポートをお約束します

CONTACT
お問い合わせ

当社へのご相談・ご依頼は、お気軽に以下のフォームからお問い合わせください。