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倒産発生率、10年ぶりの最悪水準へ

倒産発生率、10年ぶりの最悪水準へ

2025年、日本の中小企業を取り巻く経営環境はかつてないほど厳しさを増しています。
コロナ禍での特例支援やゼロゼロ融資によって延命されてきた企業も、返済期を迎え現実に直面。さらに、人手不足や人件費の高騰、原材料費やエネルギーコストの上昇といった構造的な問題がのしかかり、倒産発生率は10年ぶりの最悪水準に達しています。

とりわけ大きな影響を受けているのが、旅館・ホテル業製造業です。観光需要が戻っても「満室でも赤字」の旅館や、受注があっても資金繰りに行き詰まる「黒字倒産予備軍」の製造業が後を絶ちません。

こちらのブログでは、

  • 倒産急増の背景
  • 旅館・ホテル業と製造業の実態と課題
  • 廃業や不動産整理を含めた「生き残り戦略」

について整理し、経営者が今とるべきアクションをわかりやすく解説します。

「守りの経営」と「撤退戦略」を準備することは、決して後ろ向きではありません。
未来の選択肢を広げるための大切な一歩です。

2025年の倒産増加の主な要因

コロナ禍を乗り越えたと思った矢先、いま多くの企業が新たな難題に直面しています。

ゼロゼロ融資の返済開始、人手不足や人件費高騰、電気代や原材料の値上がり…。

経営者の皆さまの中には「売上は回復したのに利益が残らない」「返済が始まってから資金繰りが急に厳しくなった」と感じている方も少なくないのではないでしょうか。

さらに、国内需要の縮小や後継者不在といった構造的な課題、円安や地政学リスクなど外部環境の変化も重なり、まさに“七重苦”ともいえる状況です。

1. コロナ支援終了とゼロゼロ融資返済の現実

新型コロナ禍の最中、多くの企業を延命させた「ゼロゼロ融資」。

しかし、その実態は「収益改善の時間稼ぎ」に過ぎず、構造的な赤字を抱えていた企業ほど返済が始まって資金繰りに行き詰まっています。

特に旅館・ホテル・飲食業といったサービス業は、インバウンド需要や人流制限の影響を大きく受け、売上回復が不十分なまま返済開始に直面。

金融機関も不良債権化を恐れて追加融資に慎重となり、リスケ(返済猶予)を希望する企業が相次いでいます。

2. 人手不足と人件費高騰の悪循環

建設業や製造業では技能人材の高齢化が進み、若手不足が深刻化となっています。

サービス業は外国人労働者に依存していますが、円安の影響で海外の方が稼ぎやすく、日本から流出する動きも見られます。

人手が足りなければ売上機会を逃し、人件費は上昇して利益を圧迫。「人手不足=売上減」「人件費増=利益圧迫」という悪循環に陥る企業が増えています。

3. コスト増と価格転嫁の限界

電気代の高騰は宿泊業や製造業の固定費を直撃。

さらに、食材・資材の値上がりで「利益ゼロの受注」を続けざるを得ない企業も少なくありません。

値上げをしても、顧客がネットで簡単に比較できる時代。競合に流れるリスクを恐れて十分な価格転嫁ができず、体力を削られていく状況が続いています。

4. 金利上昇が追い打ち

長期にわたり続いたゼロ金利政策が転換し、今後は金利上昇局面も想定されます。

低金利で借入を続けていた企業にとっては、返済額の増加が資金繰りをさらに圧迫。運転資金の借り換え時にも条件が厳しくなり、「資金調達ができない=倒産リスク」に直結しかねません。

5. 国内需要の低迷と消費者行動の変化

少子高齢化と人口減少で市場規模は縮小傾向。
加えて消費者は節約志向を強め、モノを所有するよりもサブスクやシェアリングサービスを利用する流れが定着しています。

リアル店舗型の事業モデルは厳しく、ECやDXへの対応を怠った企業は顧客離れを止められない状況に置かれています。

6. 事業承継問題と廃業リスク

中小企業では経営者の高齢化が進む一方で、後継者不在が大きな課題となっています。

ゼロゼロ融資返済が重荷となる中、承継ができずに「借金を残すより廃業を選ぶ」という経営者も増えています。

その結果、地域の技術や雇用の喪失につながり、地方経済の疲弊を加速させています。

7. 海外要因による不確実性

円安は輸出企業には追い風となる一方、輸入依存度が高い企業にはコスト増の直撃。

また、ウクライナ戦争や中東の不安定化、中国経済の減速など、グローバル要因が経営環境を揺さぶっています。

特に中国市場に依存していた製造業や観光業は、需要減退の影響を強く受けているのが現実です。

今後の生き残り戦略に向けて

これらの課題は、いわば「七重苦」ともいえる複合的な危機です。
一つの要因だけでなく、複数の問題が同時多発的に企業を追い込んでいるのが現在の日本経済の実態です。

しかし、生き残りの道がないわけではありません。

・収益改善に直結する業態転換・DX投資

・人材確保に向けた外国人雇用・シニア活用・待遇改善

・早期の金融機関交渉による返済条件の見直し

・M&Aや第三者承継による事業存続の模索

・海外依存リスクを分散する取引先戦略

経営者に求められるのは、「延命ではなく再生」「現状維持ではなく変革」の視点です。

今の環境を冷静に受け止め、専門家や金融機関との対話を通じて、早めの手を打つことが将来を左右するカギになるでしょう。

延命ではなく、撤退戦略を前向きに考えるタイミングが来ている

1. 延命策の限界が見えてきた現状
 ・ゼロゼロ融資・助成金で一時的に持ちこたえた企業も、返済開始や人件費増で資金繰りが悪化。
 ・延命策は「時間稼ぎ」にはなるが、抜本的な改善には至らないケースが多い。

2. 撤退戦略を選ぶことのメリット
 ・不採算事業から撤退することで、資金流出を止められる。
 ・廃業を早めに選べば、借金や保証人の負担を最小限にできる。
 ・経営者や従業員の「生活の再建」に集中できる。

3. 実際に検討すべき撤退の選択肢
 ・廃業・精算手続き
 ・任意売却やセール&リースバックによる不動産整理
 ・不採算部門の切り離し、事業譲渡
 ・ 個人保証や連帯保証への対応策

4. 撤退は“終わり”ではなく“再出発”
 ・撤退=失敗ではなく、次に繋げるための決断。
 ・再挑戦や第二のキャリアに進む経営者の事例も多い。
 ・未来志向の「ソフトランディング戦略」として捉えることが大切。

旅館・ホテル業の実態 ―「満室でも赤字」の現実

1. インバウンド回復でも利益が出ない理由

・稼働率は回復傾向でも、収益は伸びない。

・OTA手数料・食材費・電気代の高騰で「満室でも赤字」が常態化。

2. 人手不足と人件費増のダブルパンチ

・清掃・調理・フロントといった基幹スタッフが集まらない。

・派遣や外国人雇用に頼ると人件費がさらに上昇。

・結果として「稼働できる客室数」自体が制限される。

3. ゼロゼロ融資返済が重荷に

・コロナ禍で数千万円規模を借り入れた旅館が多い。

・返済開始が集中し、黒字化の目途が立たず資金ショートの懸念。

・金融機関も追加支援に慎重なため「出口戦略」が必要。

4. 施設老朽化と口コミ低下の悪循環

・修繕やリニューアルに投資できない。

・施設が古いとネット口コミが落ち、客単価が下がる。

・稼働率を上げても「低価格競争」に巻き込まれる。

5. 実例:長野県の温泉旅館

・稼働率は7割に戻ったが、返済負担と人件費増で利益ゼロ。
・後継者もおらず、廃業と不動産売却を検討中。

6. 今後の選択肢 ― 延命ではなく戦略的撤退も視野に

・早期の不動産売却やM&Aによる事業承継。

・セール&リースバックで運営を続けつつ資金調達。

・廃業によるソフトランディングも「次の人生への投資」と捉える。

製造業の実態 ―「黒字倒産予備軍」が続出

1. 受注はあるのに利益が残らない現実

・コロナ後の需要回復で受注自体は戻ってきている。

・しかし「売上があっても赤字」という“黒字倒産予備軍”が急増中。

2. コスト高騰と価格転嫁の壁

・原材料費・電力代が大幅上昇。

・大手取引先との力関係から値上げ要請を断り切れず、「赤字受注」 が常態化。

・結果として、売れば売るほど資金繰りが苦しくなる。

3. 技術承継と人材不足の二重苦

・ベテラン職人が引退し、若手が育たない。

・外国人技能実習生に頼るケースもあるが、長期的な戦力化は難しい。

・技術が途切れ、競争力低下に拍車。

4. 設備投資の壁と老朽化リスク

・老朽化した機械の修繕・更新に資金を投じられない。

・競争力を維持するための新規投資もできず、受注機会を逃す。

・倒産リスクが積み重なる「見えない負債」状態。

5. 実例:埼玉県の精密加工業

・「受注はあるが利益が出ない。
・ゼロゼロ融資で設備投資したものの返済が重く、資金ショート寸前。」

6. 黒字倒産を避けるための打開策

・不採算取引の見直し・撤退

・M&Aによる技術承継・人材確保

・不動産・遊休資産の売却による資金繰り改善

受注はあるのに利益が残らない現実

コロナ後の需要回復により、製造業の受注件数は回復傾向にあります。
一見すると「仕事が戻ってきた=経営改善」と思われがちですが、実際にはそう単純ではありません。

原材料費や電力コストの高騰、大手取引先への価格転嫁の難しさから、「売上はあるのに利益が出ない」 状況が広がっています。
この結果、資金繰りが悪化し、黒字倒産予備軍 と呼ばれる企業が急増しているのです。

コスト高騰と価格転嫁の壁

原材料費や電力代はコロナ後も下がらず、むしろ円安や国際的な需給バランスによって高止まりしています。

しかし、中小の製造業は大手取引先との力関係が強く、価格転嫁を十分に行えません。

「取引を切られるくらいなら…」という事情から、実質的に赤字受注を続けざるを得ないケースも多く見られます。

その結果、受注件数が増えるほどコスト負担が膨らみ、売れば売るほど資金繰りが苦しくなるという矛盾した構造に陥っているのです。

技術承継と人材不足の二重苦

製造業を支えてきたベテラン職人の引退が進み、現場では深刻な技術承継の問題が顕在化しています。

一方で、若手の採用は思うように進まず、たとえ採用できても定着率が低いため、技能を磨く前に離職してしまうケースも少なくありません。

その穴を埋めるために外国人技能実習生に頼る企業も増えていますが、言語や制度上の制約から、長期的に戦力化するのは難しいのが現実です。

結果として、長年培われた熟練の技術が途切れ、企業の競争力低下に拍車をかけています。

設備投資の壁と老朽化リスク

製造業にとって、機械設備は競争力そのものです。

しかし、多くの中小企業では老朽化した機械の修繕や更新に資金を投じる余力がなく、故障リスクを抱えたまま稼働を続けています。

さらに、最新技術への新規投資ができなければ、生産性や品質で大手との差が広がり、受注機会を逃してしまいます。

こうした「投資できない状態」が長引くことで、企業の体力は徐々に削られ、やがて倒産リスクが積み重なる――いわば見えない負債を抱えているのと同じ状況に陥るのです。

黒字倒産を避けるための打開策

厳しい経営環境の中でも、打開の余地はあります。まず、不採算取引を見直し、赤字受注から撤退する勇気が必要です。

さらに、M&Aを活用すれば、技術承継や人材確保を実現し、企業の強みを次世代へ繋ぐことができます。

また、不動産や遊休資産を売却して資金繰りを改善する方法も有効です。リースバックを活用すれば、返済負担を軽減しつつ事業継続の選択肢を残すことも可能です。

黒字倒産は「防げない運命」ではなく、早期に手を打つことで回避できるケースが少なくありません。重要なのは、兆候が見えた段階で専門家と連携し、最適な出口戦略を選ぶことです。

倒産・廃業の兆候と早期対応の必要性

企業が倒産や廃業に直面する前には、必ずいくつかの兆候が現れます。

例えば、資金繰りが厳しく毎月のようにリスケ(返済猶予)の相談をしている場合は、早めに半年先までの資金繰り表を作成し、状況を「見える化」することが必要です。

また、不動産の担保余力が減少していると、新たな融資を受けることが難しくなるため、早期に不動産査定を行い、任意売却などの選択肢を検討することが重要です。

さらに、ゼロゼロ融資の返済が始まる企業では、返済負担が資金繰りを直撃する可能性が高いため、金融機関との再交渉や借換えの相談を怠ってはいけません。

そして、経営者が60代を迎えても後継者が不在の場合、事業継続の可能性は大きく下がります。こうしたケースでは、廃業やM&A、清算などの出口戦略を早めに検討することが、経営者自身と従業員、さらには取引先を守るための最善策となります。

「本当に危ない会社」の共通点

長年、数多くの倒産・廃業の現場に立ち会ってきましたが、実際に行き詰まる会社には驚くほど似通った共通点があります。
これらは「突然の倒産」ではなく、経営者が少しずつ積み重ねてしまった“自滅の兆候”といえます。

月次決算を見ない(現金残高が頭の中だけ)

「今月は大丈夫だろう」と感覚で経営しているケースは非常に危険です。
経営者の頭の中には「おおよその売上」「おおよその残高」は残っていても、実際の入出金は日に日に変動します。

特に注意すべきは、帳簿や月次決算を確認せず、現預金残高を“頭の中だけ”で把握している状態です。

この状態では、売上入金が少し遅れたり、仕入や人件費の支払が重なっただけで、あっという間に資金ショートに陥ります。

実際に倒産に至った企業の多くは、最後の瞬間までこう言います。

「残高はまだあると思っていた」
「翌月の入金で回るはずだった」

しかし現実には、支払と入金のタイミングのズレが命取りになります。
資金ショートは突然ではなく、帳簿を見ない習慣の積み重ねによって“必然的に”起きているのです。

👉 「感覚経営」から「数字で経営」への転換こそ、倒産回避の第一歩になります。

資金繰り表が作成されていない

資金繰表とは、「入ってくるお金」と「出ていくお金」を未来に向けて見える化する表のことです。

これを作っていない企業は、例えるなら「燃料計のない車で高速道路を走っている」ようなものです。

いつ止まるか分からないリスクを抱えながら経営をしている状態です。

特に注意すべきなのは、半年先の資金繰りを見えていない会社です。

借入返済や仕入れ代金の支払は定期的にやってきます。繁忙期・閑散期の波もあるなかで、数か月先の資金需要を把握していなければ、突然「来月の支払いができない」という事態に陥ります。

実際、廃業に至った企業の多くは、口をそろえてこう言います。

「資金繰り表を作る時間がなかった」
「今の売上で何とかなると思っていた」

しかし、資金繰り表を作る時間は「後回しにするもの」ではなく、経営の生命線。
資金繰り表を一度でも作れば、入出金の山谷や返済負担がはっきり見え、事前に金融機関への相談や資産整理といった手を打つことが可能になります。

👉 資金繰り表を持っていない企業は、危険度が非常に高いといえるのです。

金融機関との交渉を「面倒だから」と放置

借入返済の条件変更や追加融資の相談を「面倒だから」「まだ大丈夫だろう」と後回しにしている会社は要注意です。
時間が経てば経つほど、銀行の心証は悪化し、支援してもらえる可能性が低くなります。

銀行にとって、企業は大きく2種類に分かれます。

「早めに相談してくれる会社」=支援対象

「ギリギリで駆け込んでくる会社」=回収対象

つまり同じ業績でも、相談のタイミングひとつで銀行の姿勢は180度変わるのです。

実際に、返済猶予やリスケジュールを早めに相談した企業は延命できたのに、数か月遅れて相談した企業は「貸倒懸念先」と判断され、追加融資も受けられず倒産に至ったケースは少なくありません。

👉 銀行交渉を放置することは、借金が重くなること以上に「再建のチャンスを失う」という致命的リスクにつながります。

赤字続きでも「次の受注で何とかなる」と思い込む

赤字が続いているにもかかわらず、経営者の口からよく出る言葉があります。
それは――

「来月は大口の受注があるから大丈夫」
「繁忙期に入れば持ち直すはずだ」

確かに売上の増加は一時的な資金繰り改善につながります。
しかし、構造的に赤字体質になっている会社では、売上が増えても同時に仕入れ・人件費・外注費などの支出も膨らみ、結局キャッシュは残りません。

この「楽観的な見通し」を続けるとどうなるか。
借入で当座を凌ぎ、さらに次の受注を待つ…という繰り返しで、負債は雪だるま式に膨らみます。
そして、ある時点で銀行から追加融資が止まり、返済不能=倒産に直結するのです。

実際に廃業に至った企業の多くが、こう語ります。

「あの時、赤字を“たまたま”だと思い込まなければ…」

👉 未来の売上に期待するのではなく、現状の収益構造を数字で直視することこそ、経営再建の第一歩です。

不動産や設備など資産の“見える整理”がされていない

多くの企業では、遊休資産や老朽化設備をそのまま抱えた状態で経営改善を試みています。

現金は生まれず、経営が立ち行かなくなるのは当然の結果です。

・ポイントは、「売れる資産はない」と思い込んでいる経営者が多い」こと。

・古くて使い道がわからない機械

・利用していない土地や建物

・棚卸資産や在庫の山

一見価値がないと思えるものでも、専門家に査定してもらうと意外に現金化できるケースがあります。

例えば旅館・ホテル業であれば使われていない別館や駐車場用地、製造業であれば稼働率の低い設備や工場の一部を売却することで、数か月分の運転資金を確保できることもあります。

💡 早期に資産の整理・現金化を意識することは、倒産回避・再建の第一歩です。

不動産は「最後の資金源」

旅館・ホテル業や製造業では、不動産資産を保有しているケースが多く、撤退戦略や再建計画において不動産整理は最重要ポイントになります。

・任意売却による債務軽減と資金確保
借入返済や運転資金の補填に活用可能です。金融機関との交渉と組み合わせることで、返済負担を大幅に軽減できます。

・一部売却や賃貸活用での延命策
使用していない土地や建物、遊休設備を活用してキャッシュフローを改善。延命策として有効です。

・M&Aにおける不動産譲渡の組み込み
事業譲渡の際、土地や建物を譲渡条件に組み込むことで、買い手の負担を減らしスムーズな取引を実現できます。

・廃業時の不動産処分・税務・登記サポート
売却益の税務処理や登記変更など、専門的な対応が必要。適切に整理することで、経営者や家族への負担を最小化できます。

💡 不動産をどう扱うかで、「延命できるか/破産に直行するか」が決まるといっても過言ではありません。
撤退や再建を検討する経営者にとって、不動産整理は最後の切り札であり、最優先で取り組むべき課題です。

今こそ「守りの経営」と「撤退戦略」の準備を

「まだ大丈夫」「次の受注で何とかなる」――
そう思って対応を先延ばしにした結果、資金が尽き、一気に破綻するケースは珍しくありません。

今こそ、現状を数字で把握し、選択肢を明確化することが求められます。

具体的に取り組むべきポイント

✅ 半年先までの資金繰りを可視化
未来の支払い・入金を把握し、早めに手を打つことが倒産回避の第一歩です。

✅ 不採算部門・遊休不動産の早期整理
遊休資産や利益を生まない部門を整理することで、キャッシュを生み出します。

✅ 金融機関との交渉戦略を立て直す
早期相談とリスケジュールで、銀行の支援対象となるよう準備します。

✅ 廃業・任意売却・M&Aを含む選択肢を検討
無理に延命するよりも、現実的な撤退戦略を立てることが、次のステップにつながります。

💡 廃業は「失敗」ではなく、次の挑戦に進むための経営判断です。
早めに手を打つことで、事業や資産、従業員、家族への影響を最小化しながら、将来の選択肢を広げることができます。

倒産・廃業は事業の終わりではなく、人生の転換点

倒産や廃業は、多くの経営者にとって大きなショックですが、決して「終わり」ではありません。旅館・ホテル業や製造業の現場を見ると、満室でも赤字、受注があっても黒字化できないという厳しい現実があります。

ゼロゼロ融資の返済負担、人件費高騰、原材料費の上昇、老朽化した設備や施設――こうした問題が重なると、延命策だけでは事業を維持できなくなるのです。

しかし、この状況は同時に「次の一歩を踏み出すタイミング」とも言えます。早期に撤退や資産整理、M&A、任意売却などを検討することで、借入や負債の負担を最小化し、従業員や家族の生活を守りながら、次のキャリアや新しい挑戦への準備が可能です。

廃業や事業整理はネガティブな終わりではなく、人生やビジネスの転換点として捉えることが重要です。

現状を正確に把握し、冷静に戦略的な判断を下すことで、経営者自身の再出発につながり、未来への可能性を広げる一歩となります。

まとめ ―「負けない撤退」を選ぶ勇気

現在、日本の倒産率は10年ぶりの最悪水準に達しています。

・旅館・ホテル業は、人手不足と返済負担の影響で、満室でも赤字になるケースが増加。

・製造業では、黒字にもかかわらず資金繰りの悪化で倒産に至る「黒字倒産予備軍」が急増しています。

こうした状況下で、経営再建や撤退戦略のカギを握るのは不動産整理です。
粘るだけでは状況は改善せず、早めの準備と選択肢の整理こそが最大のリスクヘッジとなります。

撤退は敗北ではなく、次の挑戦への布石。
経営者が最後に守るべきは、会社ではなく自分と家族の生活です。

💡 そのために、今日からでもできる準備を始めましょう。

・半年先までの資金繰りの見える化

・遊休資産・不採算部門の整理

・銀行との早期交渉

・廃業・任意売却・M&Aを含む現実的な選択肢の検討

この一歩が、会社と家族の未来を守る「負けない撤退」への第一歩になります。

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