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実例「自宅が競売寸前…1億円の代表者保証から脱出した」|任意売却で多額の生活再建費用を確保したお話です

実例「自宅が競売寸前…1億円の代表者保証から脱出した」|任意売却で多額の生活再建費用を確保したお話です

「会社の借入にサインしたのは仕方なかった。でも、まさか自宅まで失うことになるなんて…」
これは、弊社に相談してくださったある経営者の言葉です。

中小企業の経営者であれば、一度は直面する「代表者保証」。

法人の借入に代表者個人が保証人となるこの制度は、万が一会社の経営が悪化した場合、社長個人の財産—ときには家族と暮らす自宅まで—差押のリスクにさらされます

こちらのブログでは、実際に1億円の代表者保証を背負い、自宅が競売寸前となった方が、任意売却によって借金から解放され、さらに多額の引越費用・生活再建費用も確保できた実例を紹介します。

「会社も守れず、自宅も失ってしまうのか…」と不安を抱えている経営者の方へ、希望を取り戻すヒントになればという想いで綴っています。

経営者が直面する“代表者保証”の現実とは?

中小企業の経営者にとって、法人融資に伴う代表者保証(個人保証)は、ほぼ避けられない現実です。

「会社のためだから」と覚悟を決めて署名したはずの保証契約。

しかし、業績が悪化すれば、その責任は会社ではなく代表者個人に重くのしかかります。

借入金が5,000万円、7,000万円、気づけば1億円を超えるような規模に膨れあがったとき、自宅や家族の生活までが差押の危機にさらされることも珍しくありません。

それでも、「破産はしたくない」「家族に迷惑をかけたくない」「なんとか再起したい」と望む経営者は多いのです。

そんな状況に陥ったある経営者が、破産ではなく“現実的に再スタートできる道”として任意売却を選び、自宅の売却・債務整理・引越し費用の確保までを実現した実例をご紹介します。

同じような悩みを抱えている方にとって、少しでも未来への選択肢となる情報になれば幸いです。

会社が破綻状態。自宅も差押に。経営者の方からのご相談

ご相談いただいたのは、70代の男性経営者の方。

長年営んできた精密機械の製造会社が、近年の業績不振により資金繰りが悪化。

最終的には支払いが立ち行かなくなり、やむを得ず事業停止の決断をされました。

問題はそこからです。

法人の借入に対して連帯保証人となっていたため、事業停止後も個人として1億円もの債務を背負うことに。

債権者は、メインバンクA社から代位弁済された保証協会と債権回収会社の2社。

会社名義の資産はすでに処分済みで、債権回収の物件として目をつけられたのがご相談者本人の自宅でした。

この自宅は築35年の戸建て住宅で、相談者名義・住宅ローンはすでに完済済みでした。

配偶者と長女夫婦と一緒に、長年暮らしてきた大切な住まいです。

しかし、債務の返済が困難であることが明らかになると、自宅に差押登記が入り、まもなく「競売開始決定通知」が届く事態となりました。

このままでは、思い出の詰まった家を失うだけでなく、家族の生活の場までも奪われることになります。

「破産しか道はないのか?」「家族とともに住む場所だけでも確保したい」

そんな想いから相談先を探していました。

法律事務所・地元の不動産会社に断られ続ける

ご相談者は、会社の顧問弁護士に相談しましたが「破産しかない」と言われ、不動産会社にも債務額と売却価格に傀儡があるため「売却できない」と断られました。

大手不動産会社に相談したところ、債務額とはかけ離れた金額の買取会社の購入申込をFAXで送ってきた程度でした。

正確な理解が、適切な判断を導く

代表者保証、差押、任意売却――。

経営者が資金調達と向き合う過程で避けて通れないこれらの法的制度は、制度の本質を正しく理解することが、将来の選択肢を広げる第一歩となります。

ここでは、特に債務整理や資産処分に関連する重要な3つの概念について、専門的な視点から簡潔に整理します。

代表者保証とは

代表者保証とは、法人が締結する融資契約に付随して、法人の代表者が債務の履行について連帯して責任を負う保証契約のことです(民法第446条以下参照)。

通常、法人の信用力だけでは資金調達が困難な場合に、金融機関は代表者に連帯保証人としての個人保証契約を求めることが一般的です。

この保証契約により、法人が債務不履行に陥った場合でも、保証人である代表者に対し直接・全額の履行請求が可能となります。

差押とは

差押とは、債権者が債権回収のため、民事執行法に基づいて裁判所を通じて債務者の財産に対し処分禁止の効力を及ぼす強制執行の一環です(民事執行法第45条以下)。

差押えが行われた不動産には差押登記がなされ、第三者への譲渡・売却等の処分行為が法的に制限されます。

債権者にとっては、競売等の回収手段に向けた担保確保の初動措置として機能します。

任意売却とは

任意売却とは、担保不動産に差押や競売開始決定がなされた後であっても、債権者の同意を得ることで、市場価格に近い金額での売買契約により物件を処分できるスキームです。

裁判所による競売と異なり、売却価格は市場評価に近づきやすく、売主にとっては売却後の残債務圧縮や生活再建のための資金確保が期待できる合理的な選択肢となります。

このスキームは、金融機関・不動産業者・法務専門家等との適切な調整と合意形成を要する点で高度な実務対応が求められるのが特徴です。

任意売却という選択肢──競売を避け、再起への第一歩に

競売開始決定通知が届いた時点で、残された時間は限られています。

しかし、弊社は「任意売却」という手段が残されていることをお伝えしました。

任意売却は、競売にかけられる前に、債権者(銀行等)の同意を得たうえで、市場価格に近い金額で不動産を売却できる方法です。

競売よりも高く売却できる可能性があり、残債の減額や、引越費用の確保も交渉次第で可能になるという大きなメリットがあります。

相談者の方にとっても、「家族と共に出直すための資金が少しでも残せるなら」と、この方法を選ぶ決意をされました。

債権者との調整と、任意売却の成立

任意売却を進めるには、債権者との粘り強い交渉が必要です。

本件は債権者2社が相手だったため、それぞれの銀行に対して以下の点を丁寧に説明し、同意を得る必要がありました:

・任意売却のほうが競売よりも回収額が多く見込めること

・売却代金の配分案(債権者への返済と、最低限の引越費用)

・今後の生活再建のため、破産せずとも再起を目指していること

担当者はやや厳しい姿勢を見せていましたが、債権者の立場としても回収率の高い方法を選ぶメリットがあるため、最終的には任意売却に合意が得られました。

結果:引越費用・生活再建費用の確保と精神的な解放

築35年の戸建住宅は、市場価格に近い金額で買主が見つかり、無事に任意売却が成立。

債権者への返済に加え、引越費用・生活再建費用も確保することができました。

競売ではこのような費用は原則として出ません。

また、落札者との交渉もできず、強制退去やトラブルのリスクも避けられなかったでしょう。

「家を手放すことには未練もありましたが、今はホッとしています。家族と一緒に新しい生活を始められるだけで感謝です」
ご相談者の方は、晴れやかな表情でそう話してくれました。

【提案】任意売却専門業者による債権者交渉と販売戦略

本件では、任意売却に精通した不動産業者が主体となり、債権者との協議から販売戦略の立案・実行までを一貫してサポートしました。

以下にその具体的なプロセスをご紹介します。

債権者2社との任意売却協議

まずは、債権者2社に任意売却を希望する旨を正式に申し入れました。

差押解除の条件交渉では決済条件を確認した上で、「売買代金の全額入金と同時に差押登記を抹消する」という形で合意を取得。

これにより、買主側も安心して取引に臨めるスキームが整いました。

不動産価値を正しく見せる販売資料の整備

売却成功の鍵は「価格」だけでなく、「情報の見せ方」にもあります。

・土地・建物の現況調査を徹底し、越境の有無・道路付け・建築基準法上の制限なども事前に整理。

・物件の築年数や家屋の状態に加え、周辺の生活環境や教育・交通利便性といったポジティブ要素を効果的に盛り込んだ販売資料を作成。

売却価格の戦略設定と買主ターゲットの明確化

価格設定は、債権者との回収見込みのバランスを考慮しつつ、販売期間内での成約を見込めるラインで設定しました。

・価格は4,980万円に設定。引越費用などの追加交渉も見据え、若干の価格交渉余地を確保。

・買主ターゲットは、地元の開発業者や不動産買取会社に絞り早期売却に向けて、紹介活動を重点的に実施しました。

引越費用・残債減免の交渉

本件のように「家族と暮らす自宅」の任意売却では、引越費用・生活再建の費用
の確保が非常に重要です。

・債権者と協議を重ね、売買代金の中からを「引越費用」として控除することに合意。売主家族が無理のない形で新生活へ移行できる環境を整えました。

・売却後に残った債務については、債権者の了解を得た上で一部を減免、残額については分割での長期返済計画を提示し、合意に至りました。

代表者保証からの解放に向けて──残債務との向き合い方

任意売却が成立し、住まいの問題にはひとまず区切りがついたとはいえ、5,000万円近い債務がすべて消えるわけではありません。
任意売却後も、保証人である以上は残債務の支払い義務は残ります。

しかし、ここで重要なのは「すべてを払えない=すべてが終わり」ではないということ。

任意売却後の残債務は、債権者と個別に返済条件の交渉を行うことが可能です。
収入状況に応じて、無理のない金額での分割返済や債務の減額・免除交渉が認められるケースもあります。

今回の相談者様も、債権者との交渉を通じて、将来的な収入回復を見込んだ上で、月々の少額返済と一定期間後の再協議という柔軟な対応を得ることができました。

「破産せずに済んだことが、精神的にも大きかったです」と、前向きな気持ちで今後の生活をスタートされています。

同じような悩みを抱えている経営者の方へ

会社の経営が苦しくなったとき、経営者の方は「自分の責任だ」「家族に迷惑はかけられない」と、すべてを一人で抱え込んでしまいがちです。

しかし、無理に背負い続けることで、会社も家庭も自分自身も壊れてしまうことがあります。

今回ご紹介した事例のように、破産せずに再スタートの道を模索することは可能です。

自宅の任意売却によって、生活の拠点を失うのではなく、計画的に整理し、次に進むための土台を作ることができます。

「もうダメかもしれない」と感じているときこそ、できるだけ早い段階で専門家に相談することが何よりも大切です。

時間が経てば経つほど、選択肢は限られていきます。

1億円の保証債務でも、人生はやり直せる

代表者保証という制度は、経営者にとって非常に大きな負担となります。

しかし、1億円という巨額の債務を抱えていても、適切なタイミングで適切な方法をとることで、再出発の道は開けます。

任意売却、債権者との交渉、生活再建――
それぞれの選択が、未来を切り開く一歩になります。

【ポイント解説】なぜ大手不動産会社では売れなかったのか?

本件において、相談者は当初、大手不動産仲介会社に売却を依頼していました。

しかし、結果的には任意売却の成立には至らず、競売直前という状況まで追い込まれることになります。

その背景には、「任意売却」という特殊性に対する理解と対応力の不足がありました。

一般仲介業者は「任意売却=特別な債権者交渉」ができない

任意売却は、通常の仲介取引とは異なり債権者との複雑な利害調整が必要です。

とりわけ差押が入っている物件では、売買契約や決済のスキーム、抵当権・差押登記の抹消時期などについて、債権者と事前に細かく協議し合意を形成することが不可欠です。

しかし、多くの一般仲介業者にはこの分野の交渉経験がなく、金融機関とのやり取りや法的手続きへの理解も乏しいため、実務が前に進みません。

法的リスク・差押の処理・買主の心理的懸念を理解していない

任意売却物件は、差押登記や債権者との関係、売主の経済状況といった背景により、買主側が慎重になるケースが多くなります。

大手不動産会社であっても、担当者がこれらのリスク要素を正確に説明・解消できなければ、内見時点で敬遠されたり、購入申し込みに至らない事態が発生します。

本件でも、「差押って大丈夫なんですか?」という買主の不安に対し、明確な説明ができなかったことが成約の壁となりました。

売却の“戦略”がなければ、物件価値は伝わらない

任意売却は「待っていれば誰かが買ってくれる」という性質の取引ではありません。

差押が入った時点で、物件に対する印象はマイナスに働くため、物件のポテンシャルを正しく理解し、魅力を伝える戦略的な資料と営業活動が必要です。

本件では、専門業者が法的整理・販売資料・価格設定・ターゲット選定までを一体で設計し直すことで、ようやく買主の理解と納得を得ることができました。

「誰に相談するか」で結果が変わる

任意売却は、不動産の知識だけでは不十分です。
債権者との交渉力、法律・税務の理解、そして何よりも経験が求められる領域です。

今回のように、1億円超の代表者保証と差押えという厳しい状況でも、
適切なサポートがあれば「破産せずに再スタートする道」は選べます。

私たちが大切にしているのは、
「どうすれば、あなたの負担を最小限にできるか」
「どうすれば、ご家族の生活を守れるか」
という視点から現実的な解決策を見つけることです。

どんなに厳しい状況でも、一緒に整理すれば道は見えてきます。
まずは、あなたの今の状況と希望を、率直に話してください。
“何ができるか”を、私たちが一緒に考えます。

諦める前にできることはあります

弊社は任意売却に特化した専門チームです。
金融機関との交渉、差押え解除の調整、引越し費用の確保まで――
数多くの“同じ悩みを抱えた方”と向き合ってきました。

「自宅を守れる可能性があるのか?」
「破産を避けられる道はあるのか?」

まずは状況をお聞かせください。
あなたにとって最も現実的で、負担の少ない解決策をご提案いたします。

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