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築50年以上の古い家を相続した時から売却までの流れを解説します

築50年以上の古い家を相続した時から売却までの流れを解説します

「築50年も経った家なんて売れないのでは?」と思っていませんか?
実は近年、古家付き土地古民家再生投資目的の需要などにより、築年数の古い住宅にも一定のニーズがあります。

さらに、相続した不動産であれば、「空き家の3000万円特別控除」など、税制優遇を活用することで手取り額を最大化することも可能です。

こちらのブログでは、築50年の家を高く売るための具体的なポイントと、相続後に売却するまでの一連の流れを、専門的かつわかりやすく解説します。

築50年の家を売る前に知っておきたい「建物の状況」

築50年の住宅を相続した、あるいは所有している方にとって、最大の悩みは「この家、売れるの?」ということではないでしょうか。

築古物件には「帳簿上の価値はゼロ」「耐震性に不安」「解体費用がかかる」といったネガティブな印象がつきまといます。

しかし、実はそれだけで判断するのは早計です。

この章では、売却の前に押さえておきたい「建物の実情」について、法的な視点と市場価値の観点から詳しく解説します。

建物の法的な寿命と評価

不動産売却では、建物の「帳簿上の価値」と「市場における実需価値」は、必ずしも一致しません。

▷ 木造住宅の耐用年数は「22年」
税法上、木造住宅の法定耐用年数は22年と定められています。築50年の家であれば、減価償却上の価値はすでに「ゼロ」と見なされます。

しかし、それはあくまで税務処理上の話。実際には、以下のような要素で再評価されるケースがあります。

・建築構造:在来工法や伝統的な柱組構造(通し柱など)は、解体せず再利用可能なケース

・リノベーションの可能性:フルリノベーションを前提に購入を検討する層も存在

・投資用・古民家利用:民泊やカフェ等への転用を視野に入れる買主が増加傾向

🔍チェックポイント

・耐震基準の確認
昭和56年6月1日以降に建築された建物は「新耐震基準」に適合している可能性があります。
逆に、それ以前の建物は「旧耐震基準」であり、耐震性に不安が残ります。

・未登記部分に注意
増改築の履歴によって、登記簿と実際の建物に食い違いが生じていることも。
買主が住宅ローンを利用する際、未登記部分が問題となる可能性があるため、事前の確認と整備が重要です。

建物付きで売る?更地にする?の比較検討

築50年以上の家を売却する際は、「建物を残して売るか」「更地にして売るか」の判断が重要です。

建物付きで売却すれば、住宅用地の特例により固定資産税が最大1/6に軽減され、解体費用もかかりません。

古民家を活用したい投資家や愛好家など特定の層からの購入が見込めますが、販売期間は長期化する傾向があります。

一方、更地にして売る場合は解体費用(木造で100~150万円程度)が発生し、固定資産税も高くなりますが、建替え希望者や建売業者にとっては購入しやすく、比較的早期の売却が期待できます。

それぞれの特性を踏まえた戦略的な選択が求められます。

相続した空き家を売却する時の注意点

相続した空き家の売却は、思った以上に手続きや税金の問題が複雑です。

まずは相続登記の義務化に注意し、名義変更が完了していないと売却ができません。

また、空き家の状態や耐震基準、解体費用の負担、さらには税制の特例(3,000万円控除)を活用できるかどうかも重要なポイントです。

購入者のニーズに合わせた販売戦略を立てることも、高値売却につながります。

これらを踏まえ、専門家と早めに相談しながら準備を進めることが成功のカギです。

相続登記は義務化!やらないと売れない

相続した不動産を売却するには、まず**「名義を自分のものにする」=相続登記が必要です。

これは単なる手続きではなく、2024年4月から法的に義務化されており、正当な理由なく怠った場合には過料(罰金)の対象にもなります。

▷ 登記名義人が「故人」のままでは売却不可

たとえ買い手が見つかっても、登記上の所有者が亡くなった方のままでは、売買契約も引き渡しも一切できません。
つまり、相続登記は売却の「前提条件」となります。

▷ 相続人が複数いる場合の基本ルート

・遺産分割協議(誰が何を相続するかを決める)

・相続登記(法務局で名義変更)

・売却手続き(媒介契約→売買契約→引渡し)

この一連の流れを把握しておくことが、スムーズな売却への第一歩です。

実務のコツ:登記前に売却戦略を立てる

相続登記を急ぐ気持ちは理解できますが、一度名義を変えてしまうと、後から分筆や共有解除が必要な場合に手間がかかることがあります。

たとえば:

・相続した土地が広すぎる → 売却しやすいサイズに分筆登記が必要

・複数の相続人で共有している → 共有持分の整理や調整が必要

このようなケースでは、売却戦略を立てたうえで相続登記を行うのが得策です。不動産仲介業者や司法書士、専門のコンサルタントに早めに相談することで、トラブルや手戻りを防ぐことができます。

ポイント

2024年4月から相続登記は義務化され、違反すると罰則の可能性あり

登記名義人が故人のままでは売却できない

分筆や共有解除の必要性がある場合は、登記前に売却方針を確認するのがポイント

次章では、相続不動産の売却において発生しやすい「価格の落とし穴」や「感情面のトラブル」についても深掘りしていきます。

譲渡所得と3,000万円特別控除の活用法

築古住宅を相続し、いざ売却となったとき、多くの方が見落としがちなのが譲渡所得課税の問題です。

しかし、一定の条件を満たせば、最大3,000万円の特別控除(空き家の特例)を受けられる可能性があります。

これは、売却益に対してかかる税負担を大きく軽減できる制度です。

譲渡所得と3000万円特別控除の活用法

この「空き家の3,000万円特別控除」は、増加する空き家問題への対策として導入された制度で、相続した実家を売却する際の所得税・住民税を軽減できる特例です。

対象となるのは、被相続人(亡くなった方)が1人暮らしだった住宅で、いくつかの条件を満たす必要があります。

主な適用要件は以下のとおりです:

・被相続人が1人暮らしで、死亡直前までその住宅に居住していたこと(施設への入所は条件緩和あり)

・建物が旧耐震基準である場合は、耐震改修または耐震基準適合証明書の取得が必要(※建物ごと売却する場合)

・解体後に土地として売却する場合は、耐震条件は不要

・売却金額が1億円以下であること(これを超えると特例の対象外)

・相続登記が完了していることが前提であり、名義変更が済んでいないと特例は適用されません

これらの要件を満たせば、最大3,000万円までの譲渡所得を控除でき、大きな節税効果が期待できます。

ただし、条件を満たしていても確定申告が必要であり、解体や売買のタイミングを間違えると適用されなくなるため、実際の活用には注意と事前準備が不可欠です。

築古物件を高く売るためのマーケティング戦略

築年数が経過した住宅は、どうしても「価値がない」と思われがちです。しかし、マーケティング戦略次第では、思わぬ高値での売却も可能になります。

特に築50年以上の物件では、「誰に・どう売るか」というターゲティングと売り方の工夫が結果を大きく左右します。

ターゲット設定と販売方法の選定

築古物件の売却で最も重要なのは、「どんな買主層にアピールするか」という視点です。
同じ物件でも、ターゲットによって価格も訴求ポイントも大きく変わるため、的確な分類と販売戦略が不可欠です。

主な買主層と、その特徴・販売戦略は次の通りです。

まず、建売業者は土地の仕入れ目的で購入するため、建物の価値は基本的に評価されません。その分、価格は相場よりやや低めになりがちですが、スピード重視で早期売却を狙う場合には有効な選択肢となります。

次に、個人購入者(建替え前提)は、物件の立地や周辺の生活環境、学区や交通利便性などに敏感です。この層に対しては、周辺環境やインフラ、ハザードマップ等の丁寧な情報開示が信頼を得るカギとなり、成約率の向上に直結します。

そして、古民家活用希望者やDIY志向の買主は、建物そのものに価値を見出します。特に、「梁のある天井」「無垢材の床」など、築古特有の素材感や雰囲気が魅力とされ、リノベーションを前提に物件を探す傾向があります。こうした層には、“味のある空間”としての魅力を訴求することが効果的です。

このように、築古物件には、「壊して建て直す」「建物を活かして再生する」「土地だけ活用する」といった多様なニーズが存在します。それぞれのニーズに応じた戦略と打ち出し方を考えることで、相場以上の価値での売却も十分に狙えるのです。

【よくある相談】築古住宅売却に関するQ&A

築古住宅を売却する際、多くの方が同じような悩みや疑問を抱えています。

この章では、現場でよく寄せられる代表的な3つの相談内容について、実務の視点からわかりやすく解説します。

Q1. 解体してから売った方が買い手は付きやすい?

A. 土地としての需要が高いエリアなら有効です。ただし、固定資産税が大幅に上がる点に注意が必要です。

更地にすると、建物のない状態になるため建替え目的の買主にとっては魅力的です。特に都市部や駅近エリアでは、建売業者からの反応も早く、売却がスムーズに進む傾向があります。

一方で注意点もあります。住宅用地の特例が適用されなくなり、固定資産税が最大で6倍程度に跳ね上がることがあるため、解体後の売却が長期化するとコスト負担が重くなります。

「建物付きで売り出してみて、反応が薄ければ更地に切り替える」という段階的な戦略も検討しましょう。

Q2. 売る前にリフォームした方が高く売れますか?

A. 原則として不要です。むしろ、コストを回収できないリスクの方が高くなります。

「リフォームしてきれいにしてから売った方が良いのでは?」という相談は非常に多いのですが、築年数が古い住宅では、買主が自分好みにリノベーションする前提で購入するケースが一般的です。

特に高額な水回りのリフォームなどは、売却価格に十分上乗せできない可能性が高く、費用倒れになるリスクも。

それよりも、最低限の掃除や不要物の撤去、印象の良い写真撮影を行う方が、費用対効果の高い売却活動につながります。

Q3. 共有名義のままでも売却できますか?

A. 可能ですが、全員の同意と署名・捺印が必要です。

相続不動産などでよくあるのが、兄弟姉妹など複数人による共有名義のケースです。
この場合、1人の判断だけで売却することはできず、共有者全員の同意と売買契約への署名・実印が必須となります。

もし意見が分かれて話が進まない場合は、**家庭裁判所での「遺産分割調停」**に発展する可能性もあり、時間と手間がかかります。

円満に売却を進めるためには、早期に関係者全員と話し合いを持つことが重要です。

まとめ:築50年でも売れる時代!鍵は“情報整理と戦略”

「築50年=売れない」と思い込んでいませんか?
確かに築古物件は難しさもありますが、築年数だけで価値を判断する時代はもう終わりました。

今、問われているのは「どれだけ情報を整理し、戦略的に動けるか」です。

・法務面(相続登記・共有名義など)の整理

・土地としての活用価値の見極め

・ターゲットとなる買主のニーズ分析

・税制特例や制度活用の検討(例:3,000万円控除)

・信頼できる専門家との連携

これらのポイントを押さえて売却に臨めば、築古物件でも「想定以上の価格」で売却できる可能性は十分にあります。

築年数に惑わされず、適切な準備と柔軟な発想を持って、ぜひ前向きに資産価値の最大化を目指してみてください。

築古でも、情報整理とプロの視点で“想定以上”の売却へ。

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