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実家じまい完全ガイド|相続不動産・空き家・家財処分・登記・固定資産税まで徹底解説します

実家じまい完全ガイド|相続不動産・空き家・家財処分・登記・固定資産税まで徹底解説します



日本は世界でも類を見ないスピードで高齢化が進み、「実家じまい」が避けて通れないテーマになっています。
親が高齢になり、住み慣れた家を維持することが難しくなると、相続・空き家・家財の整理・固定資産税・名義変更など、さまざまな課題が一度に押し寄せます。

「何から手を付ければいいのかわからない」
「相続が発生してから慌てたくない」
「遠方に住んでいて実家の管理ができない」

こうした悩みは、今や全国の多くの家庭で共通するものとなりました。

特に高齢化が進む地方では、空き家の増加、老朽化によるリスク、資産価値の低下といった問題が深刻化しています。

さらに、実家を残すことが家族の負担になるケースも少なくありません。
固定資産税、庭木の管理、雨漏りや倒壊のリスク、近隣トラブル—。
「親の家をこのままにしておく」ことが、将来のリスクにつながる時代になったのです。

こちらのブログでは、実家じまいに必要な次のプロセスを、専門的かつわかりやすく解説します

1. 実家じまいとは?まず何から始めるべきか

実家じまいとは、親が住まなくなった家や相続した家を整理・売却・処分する一連の作業のことです。単に家を売るだけでなく、以下のような作業が含まれます。

・家財道具の整理・処分

・相続登記や名義変更などの法的手続き

・固定資産税や住宅ローンの整理

・空き家管理(防犯・火災・雑草対策など)

実家じまいが必要になる主なタイミング

1. 親が施設に入居した場合
長期間住まなくなるため、維持管理の負担を減らす必要があります。

2. 親が亡くなり相続が発生した場合
遺産整理の一環として実家の処分が必要になるケースです。

3. 空き家になって数年経過している場合
放置すると倒壊や雑草問題、近隣トラブルのリスクが増えます。

特に注意したいのは、空き家が「特定空家」に指定されるケースです。指定されると行政から改善命令が出たり、補助金や税制優遇が受けられなくなったりするため、早めの対応が望ましいです。

まず何から始めるべきか

・家の現状を把握する
建物の状態、敷地の広さ、家財の量を確認します。

・関係者と話し合う
相続人や親族と、今後の方針(売却・賃貸・解体)を共有します。

・専門家に相談する
不動産業者、遺品整理業者、司法書士、税理士などに早めに相談するとスムーズです。

2. 実家じまいの時の家財道具の片付けと処分方法

実家じまいで最初に向き合うのが 家財道具の整理 です。
思い出が詰まっているため時間がかかりやすく、また処分方法を誤ると「余計な費用が発生する」「売却が大幅に遅れる」というトラブルにつながります。

遺品整理と不用品回収の違い

遺品整理:写真・手紙・貴重品など“思い出・財産として残すべきもの”と、“処分するもの”を丁寧に仕分けする作業。専門業者は供養や形見分けにも対応。

不用品回収:家具・家電・雑貨など処分が前提の物をまとめて引き取るサービス。スピード重視だが仕分けは行わない。

目的が異なるため、遺品整理の途中に不用品回収を入れるなど、組み合わせて進めると効率的です。

実家じまいの時の家財処分のポイント(ムダなく進めるコツ)

① リサイクル可能な家具・家電

・リサイクル店の出張買取

・メルカリ・ラクマなどのフリマアプリ

・リサイクルショップへの持ち込み

特に冷蔵庫や洗濯機は製造年数によって買取可否が大きく変わるため、まずは査定して価値を確認しましょう。

② 大型家具・家電

・不用品回収業者に依頼

・悪質業者も多いため「料金の事前提示」「追加料金なし」「自治体許可の有無」を確認することが重要。

一括回収は便利ですが、買取できる物まで処分すると損になるので要注意です。

③ 衣類・日用品

・まだ使えるものは寄付団体へ

・古着回収ボックス

・自治体の可燃・不燃回収

大量にある場合は「衣類・雑貨だけまとめて回収」するプランを使うと費用を抑えられます。

実家じまいの時に効率的に片付ける順番

家全体にいきなり手をつけると混乱するため、「判断しやすい場所」からスタートするのがポイントです。

・キッチン(賞味期限や使用頻度で判断しやすい)

・押し入れ・納戸(不要品が多く、仕分け効果が大きい)

・大型家具(スペースが生まれ作業効率アップ)

・庭や物置(最後にまとめて対応)

“最初の成功体験”を作ると、一気にスムーズに進むようになります。

実家じまいの時に心理的負担を軽減するために

・「これは残す」「処分する」の基準を家族で先に決めておく

・親や兄弟と写真を共有しながら確認する方法も有効

・無理に一人で抱え込まず、必要に応じてプロを活用する

思い出の詰まった家だからこそ、感情に寄り添いながら無理なく進めることが大切です。

3. 実家じまいの時に相続登記義務化と名義変更の重要性

2024年4月から 相続登記が義務化 され、「不動産を相続で取得したことを知った日から3年以内」に登記申請が必要になりました。
これにより「とりあえず放置」が通用しなくなり、実家じまいを進める上でも最優先で対応すべき事項のひとつです。

実家じまいの時に名義変更を放置するリスク

① 不動産が売却ができない
名義が亡くなった親のままだと、買主がつかず、売却契約も締結できません。
特に共有名義の場合、全員の同意と署名捺印が必要なため1人でも連絡が取れないと売却が止まります。

② 相続放棄をしても「管理責任だけ残る」ケース
相続放棄をしても、倒壊・雑草・火災・近隣への損害などの管理責任は残る可能性があります。

これを避けるためにも、早期の名義整理と相続人確定が不可欠です。

③ 親族間トラブルの火種になる
名義が変わらないまま時間が経つと、

・誰が管理するのか

・誰が固定資産税を払うのか

・将来解体するのか売るのか
といった問題が表面化し、兄弟間での争いになりやすいのが実情です。

また、相続人が複数代に渡って増えると「相続人が20人以上」というケースも珍しくなく、名義変更がほぼ不可能な状態になります。

実家じまいの時にスムーズに名義変更するための具体策

① 司法書士に依頼して代理申請
最も確実で早い方法です。戸籍収集から相続関係説明図の作成、登記申請まで一括対応してくれます。
専門家を入れることで、兄弟間の話し合いもスムーズに進むことが多いです。

② 自分で戸籍を集めて相続人を確定する
・被相続人の出生〜死亡までの戸籍
・相続人の現在戸籍
・除籍・改製原戸籍

などを市区町村役場で収集し、相続関係を確定させます。
ただし、戸籍が複数の市区町村にまたがる場合は時間がかかるため、早めの着手が必要です。

実家じまいの時のポイント

相続登記を後回しにすると、売却も管理もできない“負の資産”に変わっていきます。

実家じまいの最初のステップとして、名義変更は最優先で取り組むべき作業です。

4. 実家じまい前に空き家状態の実家が抱えるリスク

実家が空き家になると、時間が経つほど劣化・税金・近隣トラブルなどのリスクが増大します。

実家じまいをしないで放置すればするほど「修繕費」「行政対応」「家族トラブル」など、負担は確実に膨らんでいきます。

空き家の主な問題① 特定空家指定による行政指導

自治体が「放置すると危険・不衛生」と判断した場合、空き家は“特定空家”に指定されます。
指定されると以下のような措置が取られる可能性があります。

・行政からの指導・勧告

・解体・修繕命令

・最終的には行政代執行(費用は所有者負担)

つまり、「放っておいたら自治体が勝手に解体してくれる」という話ではなく、解体費用は全額請求される点が大きな落とし穴です。

空き家の主な問題② 固定資産税の優遇措置が解除される

本来、住宅が建っている土地には「住宅用地の特例(最大1/6)」の固定資産税軽減が適用されます。
しかし、特定空家になるとこの優遇が外れ、固定資産税が最大6倍になる可能性があります。

売るつもりがなくても、固定資産税だけで毎年数十万円の負担になるケースもあります。

空き家の主な問題③ 倒壊・雑草・害虫などの防犯・衛生問題

空き家を放置すると、

・建物の老朽化による倒壊リスク

・雑草が伸び放題で景観悪化

・ネズミ・ハクビシンなどの害獣侵入

・不法投棄・放火などの犯罪リスク

といった問題が発生しやすくなります。
近隣住民からの苦情が続出し、地域トラブルに発展することも珍しくありません。

空き家管理サービスという選択肢

空き家になった実家を管理しないで放置しないために、空き家管理サービスを利用する方法もあります。
内容は、

・月1回の見回り

・通風・換気

・雑草チェック

・郵便物の確認

・写真付きレポート提出

などで、月額数千円〜数万円が一般的です。

しかし、あくまで「最低限の維持」。
根本的な問題(売却・解体・活用)を先延ばしにするだけになる場合もあるため、長期的にはコスト負担が増えることがあります。

空き家になった実家を放置すると家族間トラブルの原因に

空き家は、誰が管理するか・誰が税金を払うかで揉めるケースが非常に多いです。

・「兄が住んでいないのに我が家だけ固定資産税を負担している」

・「草刈りを妹が一度もしてくれない」

・「解体したいが他の相続人が反対する」

など、実家じまいの場面で最も争いが多いのがこの部分です。

実家じまいをする前の空き家を放置した場合のポイント

空き家は、“時間が味方してくれない資産”です。

何もしないと、支出だけが増えて価値だけが下がるのが現実です。
だからこそ、早めに方針(売却・管理・解体)を決めることが、家族にとって最善の選択になります。

6. 実家の売却で注意すべきポイント

相続した実家を売却する場合、家財整理 → 名義変更(相続登記) → 査定 → 売却活動という順序を守ることが成功への近道です。

ここでは特に注意すべきポイントを分かりやすく整理します。

① 築40〜50年以上の古家は「建物ありのまま売るか」か「解体して土地として売るか」を検討

築古物件は耐震基準・建築基準法の変更などがあり、建物の価値がほぼゼロになるケースが多いです。

判断のポイントは次のとおりです。

■ 建物ありのまま売る方が良いケース

・今は空き家だが“建物があることで再建築可能”になっている場合

・解体費が150〜300万円かかり、売却益を圧迫する場合

・固定資産税の住宅用地特例が使えるため、解体すると税金が6倍に増える地域

→ 市街化調整区域では特に慎重に判断が必要
再建築不可になってしまう可能性があるため、勝手に解体は絶対NGです。

■ 解体した方が良いケース

・倒壊リスクがある(特定空家に近い状態)

・建物が著しく傷んでおり、買い手がつきにくい

・敷地にゆとりがあり、土地としての需要が高いエリア

→ 解体前に必ず地元の不動産会社に“解体後の価格”を査定させることが重要。

② 実家の買取と仲介の選び方

不動産は売却方法で結果が大きく変わります。

■ 買取(不動産会社が直接購入)

・早く売れる(最短数日〜1週間)

・家財や残置物があってもそのままOK

・周囲に知られにくい

・ただし仲介より 10〜20%安くなる のが一般的

→ 時間優先・現金化を急ぐ場合に向いている

■ 仲介(一般的な売り方)

・市場価格で売れるため高値売却が期待できる

・内覧対応や掃除の負担はある

・来客や広告で近所に知られる可能性あり

→ 少し時間がかかっても高く売りたい場合は仲介がおすすめ

③ 実家が共有名義の場合は“全員の同意”が絶対条件

相続不動産は兄弟で共有名義になっていることが多く、その共有名義の不動産を売却する場合には下記の項目を注意しましょう

・売買契約書の署名捺印

・手付金・残代金の受け取り

など、すべての相続人の同意と参加が必要です。

1人でも反対すると売れず、「共有者の絶縁」「放置による特定空家化」などのリスクが一気に高まります。

→ 早めに 家族会議・LINEグループ・代表者の決定 などで体制を整えることが重要です。

④ 遠方・市街化調整区域の物件は査定と戦略が重要

■ 遠方の実家

・地元で売却実績の多い不動産会社に依頼

・オンライン相談・鍵預けサービスを活用

・遠隔で売却する場合は“残置物ありのまま売却”も検討

■ 市街化調整区域

・他の地域とは別物として扱うべき種別の物件

・建築可否の確認が最優先

・都市計画法34条の立地基準を満たすか確認

・買主が限定されやすいため査定価格に幅が出る

→ 市街化調整区域の知識が弱い不動産会社に任せると、売却期間が長期化する可能性が高いです。

ポイント

相続した実家の売却は、「順序を守る」「状態に合わせて売り方を選ぶ」「専門家を選択する」ことで大きく結果が変わります。

築古・市街化調整区域・共有名義など、ひとつでも課題がある場合は慎重に進めるのが正解です。

7. 実家じまいでよくあるトラブル事例

実家じまいは、家・家族・相続が絡むため、トラブルが起きやすい作業です。

多くの場合、早めに専門家へ相談すれば未然に防げる問題ばかりです。

① 兄弟間で話がまとまらず売却できない

相続不動産は共有名義になっていることが多く、ひとりでも反対すると売却ができないため、

「兄は売りたいが妹は残したい」

「遠方の長男が話し合いに参加しない」

「固定資産税の負担割合で揉める」

などのケースが起こりやすいです。

実家を空き家にして放置すると特定空家化や税負担の増加、建物の劣化で価格が大きく下がるといった負の連鎖に陥ります。

早めに親族会議を設けて代表者を1名決め、必要に応じて不動産会社や司法書士など第三者の同席を得て話し合うことで円滑に意思統一を図ることが重要です。

② 家財道具が大量に残っていて処分費が膨らむ

実家には、長年の暮らしの証としてタンス・食器・布団・写真・契約書類など、多くの家財がそのまま残っているケースがほとんどです。
しかし、これが実家じまいを進めるうえで大きな負担になることもあります。

具体的には、

・遺品整理費用が 数十万円〜100万円以上 に膨らむことがある

・片付け作業に時間がかかり、 売却開始が数ヶ月遅れてしまう

・ゴミ屋敷のような状態だと 査定価格が下がる 可能性が高い

といった問題につながりやすいのが実情です。

■ 対策:片付けは“やみくもにやらない”のがポイント

時間とお金を無駄にしないためには、以下のステップがおすすめです。

① 早い段階で不用品をざっくり仕分け

思い出の品を最後に回し、まずは「明らかに捨てられる物」から処理するとスムーズに進みます。
途中で感情的になって作業が止まるリスクを避けられます。

② リサイクル業者・買取業者を併用してコスト削減

家電・家具・骨董品・古いオーディオ・工具など、“捨てると思っていたものが意外と売れる” ことも多いです。
複数の業者に査定を取ることで、処分費を大幅に抑えられます。

③ “残置物ありのまま売却”も一つの選択肢

近年は、不動産会社が「片付け不要。家財はそのままでOK」という条件で買い取るケースも増えています。
高く売るより“早く片付けたい”場合には、とても有効な方法です。

③ 増築部分が未登記で売却時に発覚

一昔前の住宅では「増築したものの、登記をしていない」というケースが非常に多く見られます。

こうした未登記部分があると、図面と現況が一致しないために買主の住宅ローン審査が通らなかったり、契約直前に発覚して売却が延期になったり、追加の登記費用や調査費用が発生するなど、売却全体が大きく遅れる原因になります。

これを避けるためには、早めに不動産会社や司法書士へ相談し現況を確認しておくことが重要で、必要に応じて測量士による調査や未登記部分の登記手続きまで事前に整えておくことで、トラブルを未然に防ぎスムーズな売却につなげられます。

④ 隣地との境界不明で測量が必要になる

昔から境界を意識していなかった住宅では、境界が不明なまま放置されるケースが多く、これが売却できないリスクにつながることがあります。

具体的には、境界杭が見つからなかったり、ブロック塀の所有者が不明であったり、隣地との境界トラブルが発生するなどの問題が生じます。

このようなリスクを避けるためには、売却前に確定測量を行って境界を明確にしておくことが重要で、これにより買主も安心でき、売却価格の下落リスクも抑えられます。

8. 実家じまいにかかる費用目安

実家じまいにかかる費用は、家財処分や登記、売却、解体、固定資産税などを合計すると、都市部では数百万円、地方や郊外では数十万円〜100万円程度が目安です。

具体的には、家財処分は量によって 20〜50万円、相続登記は 5〜15万円、売却にかかる仲介手数料や測量・広告費が別途必要で、建物解体の場合は規模や地域によって 100〜300万円程度かかります。

また、実家やその他の不動産を売却するまでの間は固定資産税も毎年発生するため、計画的に準備することが重要です。

9. 負担を減らすための進め方のコツ

実家じまいの負担を最小化するためには、片付けに時間をかけすぎず、まずは相続登記を優先して進めることがポイントです。

また、空き家売却に慣れた不動産会社を選び、家財処分・登記・売却まで一括でサポートしてくれる専門家を活用することで、心理的負担と金銭的負担の両方を効率的に抑えることができます。

10. 実家じまいの総まとめ

実家じまいは、家財処分・相続登記・固定資産税の管理・売却といった複数の手続きを同時に進める必要があり、放置すると空き家リスクや税負担が増えるため、早めの行動が資産を守るための最大のポイントです。

まずは、着手する手順を整理し、必要に応じて不動産会社や司法書士など専門家のサポートを受けることで、心理的負担や金銭的負担を抑えつつ、スムーズに実家じまいを完了させることができます。

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