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空き家・空き地を放置する相続人の心理とは?放置のリスクと対策もわかりやすく解説します

~相続人の心理と直面する現実、そして深刻なリスクまで徹底解説~

相続をきっかけに手に入れた空き家や空き地。にもかかわらず、何年も手つかずのまま放置される不動産が全国で増加しています。

「使う予定がないのに、なぜ売却もせず、管理もされずに放置されるのか?」――そこには、相続人の心の葛藤と、意外と知られていない現実的な課題が存在しています。

こちらのブログでは、空き家や空き地を放置してしまう原因を、心理的側面と実務的な障壁の両面から解説し、放置によって起こり得る深刻なリスク、そしてそれらを回避するための現実的な対処法まで、専門的な視点から詳しくご紹介します。

なぜ人は空き家・空き地を放置してしまうのか?~相続人の心理的な背景~

空き家・空き地問題が年々深刻化しています。国や自治体は対策を講じているものの、放置される不動産は後を絶ちません。

なぜ、相続人はその不動産を手放さず、放置してしまうのでしょうか?本記事では、相続人の心理的な背景に焦点を当てて解説します。

思い出が詰まった「家」に手をつけられない

空き家になった実家には、親や祖父母との数えきれない思い出が詰まっています。

写真、家具、庭木の一本一本にまで、懐かしい記憶や感情が宿っているものです。

そのため、「家を手放すこと=大切な人を忘れること」のように感じてしまい、処分に踏み切れない相続人も少なくありません。

こうした“心のブレーキ”が、空き家問題の解決を先延ばしにする大きな原因となっています。

「いつか使うかもしれない」という漠然とした希望

「いつか自分の子どもが住むかもしれない」「老後はゆっくり田舎暮らしをしたい」といった、はっきりとは決まっていない“いつか”の希望。

そうした未来への期待が、空き家をどう活用するかの判断を曖昧にしてしまうことがあります。

けれど、時間が経つにつれてその可能性は少しずつ低くなり、気がつけば「何となく放置してしまっていた」というケースも少なくありません。

知識不足と手続きへの不安

相続登記、税金の申告、不動産の売却手続き……。

相続後の不動産には、複雑で専門的な手続きが数多くあります。「何から始めればいいのか分からない」「間違えて損をしたらどうしよう」という不安があると、つい後回しにしてしまうのは自然なことです。

結果として、何も手をつけられないまま時間だけが過ぎてしまうのです。

心理だけではない!空き家を放置する現実的な問題

空き家問題と聞くと、「思い出があって手放せない」「親に悪い気がして壊せない」など、相続人の心理的な背景が注目されがちです。

しかし、実際には心理的な要因に加えて“現実的な問題”が山積していることが多いのです。

共有名義の調整が難しい

相続人が複数いる場合、実家の不動産は“共有名義”になることがほとんどです。

売却や賃貸といった活用には、原則として全員の同意が必要であり、一人でも反対者がいれば話が前に進みません。

「意見が合わずに話し合いが長引くのが嫌」「親族間で揉めたくない」といった理由から、面倒ごとを避けてそのまま放置されてしまうケースがよくあります。

売却・活用にかかる初期費用への懸念

空き家を売却または有効活用するには、様々な初期費用がかかることがあります。

建物の解体費用、土地の測量・境界確定費用、室内の残置物撤去や簡易リフォーム費用などが代表的です。

「売れるかどうかもわからないのに、そこまでお金をかけるのは…」と、費用対効果に不安を感じる相続人も少なくありません。

また、不動産会社への仲介手数料など、目に見えにくい費用も心理的なハードルとなります。

税金と維持管理の負担

空き家や空き地を所有している限り、毎年の固定資産税は避けられません。

それに加えて、雑草の除去、建物の換気や清掃、防犯対策など、維持管理にも時間と労力が必要です。

遠方に住んでいる方や高齢の相続人にとって、こうした管理を続けるのは簡単なことではありません。

「いずれ何とかしなきゃ」と思いつつも、現実的な負担が重くのしかかり、結果として放置されてしまうのです。

所在地・立地による需要の差

不動産の価値や需要は、その所在地や立地によって大きく左右されます。

最寄駅から遠い、買い物が不便、人口減少が進むエリアといった条件では、買い手も借り手もなかなか現れません。

「こんな場所じゃ売れないだろう」「需要がないなら放っておくしかない」と判断され、活用を諦めてしまう相続人も少なくありません。

特に地方部では、そもそも市場に出しても反応が薄く、手間だけが増えてしまうと感じることもあるでしょう。

空き家を放置することの本当のリスク

「空き家のままでも特に困っていないから…」
「親の家だし、そのうちどうにかするつもり…」
そう考えて、空き家を長年放置している方は少なくありません。

しかし、“放置しているだけ”で、実は思わぬリスクや損害が積み重なっているのです。

老朽化による倒壊や近隣トラブルの危険性

管理されていない空き家は、雨漏り、シロアリや害獣の侵入、カビの発生などにより急速に劣化していきます。

放置が長引けば、屋根や外壁の崩落、建物の倒壊といった深刻な事態につながることもあります。

もし瓦や外壁材が落下して通行人や隣家に被害を与えれば、所有者には損害賠償責任が発生するおそれも。

見た目の荒廃が進めば、地域の景観悪化や防犯上の不安材料にもなり、近隣住民とのトラブルを引き起こす要因になります。

「特定空き家」に指定されるリスク

一定以上に管理が行き届いていない空き家は、市町村から「特定空き家」に指定される可能性があります。

これに指定されると、行政から改善のための指導・勧告・命令が出され、最終的には行政代執行(強制的な解体)に至ることもあります。

しかも、その解体費用は所有者が全額負担するのが原則です。

さらに、「住宅用地特例(固定資産税の1/6軽減)」が解除され、固定資産税が大幅に増額されるという経済的なペナルティも課せられます。

資産価値の下落と売却困難

空き家を長年放置すれば、建物の資産価値は限りなくゼロに近づきます。

建物が劣化していれば、土地の評価も下がる傾向があり、「管理されていない家」として市場から敬遠されることになります。

結果として、売却活動が長期化して、買い手がつかない、値下げ交渉をされるといった事態に発展することも。

空き家の状態があまりに悪ければ、売却前に解体せざるを得ず、「売っても赤字」という本末転倒なケースも珍しくありません。

老朽化による倒壊や近隣トラブルの危険性

管理不全が続いた空き家は、市町村から「特定空き家」に指定される可能性があります。

この指定を受けると、行政から改善のための指導・勧告・命令が出され、対応を怠れば行政代執行(強制的な解体)が行われることもあります。

その際の解体費用は原則として所有者が負担しなければならず、大きな経済的ダメージとなります。

さらに、「住宅用地特例(固定資産税の1/6軽減措置)」も解除され、翌年以降の税額が6倍に跳ね上がる場合があります。

こうした制度上のペナルティに加え、「行政に問題視されている物件」として地域に認知されることは、資産価値や売却交渉にも悪影響を及ぼします。

放置を防ぐために、今できる現実的なアクション

「空き家を放置するとまずいのは分かったけど、今は忙しくて動けない…」

「売るにも貸すにも、何から始めたらいいのか分からない…」

そんな方に向けて、大がかりな手続きなしで、今すぐ始められる現実的なアクションを5つご紹介します。

手遅れになる前に、“小さな一歩”を踏み出してみましょう。

相続後は早期に「方針」を決める

相続が発生したら、まずは気持ちの整理をしながら、家族や関係者と「この家をどうするか」をできるだけ早く話し合うことが大切です。

感情的に手放しづらい場合でも、「時間が経てば経つほどリスクが増す」という現実を認識し、行動のきっかけにしましょう。

空き家を放置するほど状況は悪化し、選択肢も限られていきます。

専門家に相談して「道筋」を明確にする

不動産や相続には、登記・税金・契約など複雑な手続きがつきものです。

「何から始めればいいかわからない」と感じたら、司法書士、不動産会社、税理士など、各分野の専門家に早めに相談することをお勧めします。

「どんな選択肢があるのか」「どれくらい費用がかかるのか」など、今の状況に応じた具体的な道筋が見えることで、不安が和らぎ、前向きな一歩が踏み出しやすくなります。

売却・賃貸・管理など柔軟な選択肢を検討する

不動産の活用方法は、「売る」「住む」だけではありません。相続人のライフスタイルや資金状況に合わせて、さまざまな方法があります。

・賃貸に出して収益化する

・親族や知人に貸す

・空き家管理サービスを利用して維持する

・老朽化が進んでいれば解体して更地として売却

・古家付き土地としてそのままの状態で売却

このように、活用・処分の方法には幅があります。自分たちにとって無理のない現実的な方法を選ぶことで、時間的・経済的な負担を抑えつつ、リスク回避につなげることが可能です。

空き家を売却する際のポイント

「空き家、そろそろ売ろうかな…」と思ったとき、
「何から手をつければいいのか分からない」
「解体した方がいい?古家付きで売る?」
「家財は片づけないとダメ?」など、
初めての空き家売却には不安と疑問がつきものです。

今回は、空き家を売却する際に押さえておきたい5つの重要ポイントを解説します。
事前に準備することで、スムーズな売却・想定外の損失回避にもつながります。

売却に向けた「事前準備」を怠らない

空き家を売却する際には、まず 相続登記が完了していること が前提となります。

未登記のままでは売却手続きが進まず、買い手もつきにくいため、早めに登記の名義変更を済ませましょう。

また、家の状態や敷地の境界が不明確な場合、建物の簡易的な調査(インスペクション) や 境界確定測量 を行っておくと、買主に安心感を与え、スムーズな売却につながります。

現状のまま売る?手を入れてから売る?

売却前にリフォームや解体をすべきかどうかは、ケースバイケースです。

築年数が古く、修繕に多額の費用がかかる場合は、古家付き土地として現状で売却するほうがコストも時間も抑えられます。

一方、比較的状態の良い物件や、再販売を狙う投資家向けのニーズがある地域であれば、最低限の清掃や補修をして印象を良くすることで、売却価格が上がることもあります。

不動産会社と相談し、ターゲットとなる買主像を踏まえて戦略を立てましょう。

「立地と需要」を見極める

空き家の価値は、建物の状態よりも 「立地」や「需要」 に大きく左右されます。

たとえ築年数が古くても、交通の便が良い、生活インフラが整っている、再開発エリアに近いなどの要素があれば、買い手が付きやすくなります。

逆に、過疎地や再建築不可の土地、インフラ未整備のエリアでは、売却まで時間がかかることも。

こうした物件は、買取業者への売却 や 解体後の資材置き場としての活用など、視点を変えた売却方法を検討するのも有効です。

査定は複数社に依頼し、相場を把握する

不動産売却では、複数の会社に査定を依頼して比較することが非常に重要です。

地域密着型の不動産会社、大手仲介業者、買取専門業者など、立場の異なる事業者から査定をもらうことで、相場感や売却戦略の選択肢が広がります。

売却価格だけでなく、対応の丁寧さや提案力も見極めながら、信頼できるパートナーを選びましょう。

売却にかかる費用と税金も把握しておく

空き家を売却する際は、以下のような費用と税金が発生します:

・仲介手数料(売却価格の最大3%+6万円+消費税)

・登記費用(司法書士報酬含む)

・測量・解体費(必要な場合)

・譲渡所得税(売却益がある場合)

特に、「空き家特例(3,000万円控除)」などの優遇措置は、条件を満たせば節税に大きく寄与することもあるため、税理士に事前確認しておくと安心です。

空き家を活かす?売る?判断の分かれ目

相続などで突然手に入った空き家。

「自分では住まないけれど、せっかくの資産だから残しておこうか…」

「いつか子どもが使うかもしれないし、売るのはまだ早い?」

こんなふうに悩んで、つい空き家を「とりあえずそのまま」にしてしまう方が少なくありません。

活用か売却かは「手間」と「費用」のバランスで決める

空き家を活かすべきか、それとも売却すべきか。その判断に迷う方は少なくありません。

大切なのは、「将来的な収益」や「思い出」だけでなく、現実的な手間や費用に見合うかどうかを冷静に見極めることです。

たとえば、空き家を賃貸に出す場合、リフォーム・管理・入居者対応などの手間が継続的にかかります。

一方、売却すればその後の手間も税金も一切不要になります。「相続人の中に管理・運営に協力してくれる人がいるか」「将来、自分や家族が住む予定があるか」なども重要な判断材料です。

活用すべきケースとは?

空き家を活用する選択肢が現実的なのは、次のようなケースです:

・人気エリアや観光地にあり、賃貸や民泊ニーズが見込める

・建物の状態が良好で、リフォーム費用が比較的少なく済む

・将来的に自身や家族が住む予定がある

・遠方でなく、日常的な管理が可能な距離にある

このような条件が揃っていれば、賃貸収入や資産活用を視野に入れた運用も選択肢になります。

空き家を売却すべきケースとは?

一方、以下のようなケースでは、できるだけ早期に売却を検討した方がよいといえるでしょう:

・老朽化が進み、修繕費が高額になりそう

・周辺に空き家が多く、賃貸需要が低い

・将来的に誰も住む予定がない

・相続人が高齢で、管理が難しい

・共有名義で調整が困難、放置されがち

このような空き家は、早期売却で負担やトラブルを回避することが、最も合理的な選択となります。特に、特定空き家のリスクや、解体費用の増大を避けるためにも、「時間との勝負」であることを意識しましょう。

空き家を売るなら“少しでも早く”が鉄則

空き家の資産価値は、時間とともに下がるのが現実です。放置する期間が長くなるほど建物は劣化し、修繕や解体の費用も増え、売却そのものが困難になります。

逆に、築年数が同じでも「定期的に管理されている空き家」は買い手からの印象が良く、スムーズに売却できる傾向にあります。市場価値が大きく落ちる前に動き出すことが、空き家問題を解決する近道です。

空き家の売却を成功させるコツ(トラブル回避編)

空き家を売却する際、「ただ手放すだけ」と思っている方も多いかもしれませんが、実は事前の準備や確認不足によるトラブルが少なくありません。

トラブルを避け、スムーズに売却を進めるためには、いくつかの「コツ」と注意点を押さえておく必要があります。

「権利関係の整理」は最優先!

空き家を売却するうえで最も大きな障害になりがちなのが、「権利関係の複雑さ」です。

たとえば、相続登記が済んでいない、共有者の一部が行方不明、抵当権や仮登記が残っているなど、売却前に解消すべき問題が潜んでいることがあります。

まずは、登記簿謄本を取得して現状を確認し、必要であれば司法書士などの専門家に相談しましょう。

権利関係をスムーズに整理することで、購入希望者との交渉もスピーディに進められます。

売却活動を始める前に「現状把握」を

売却前には、空き家の状態や土地の状況を客観的に把握することが重要です。以下のような点を確認しましょう:

・建物の劣化具合やリフォームの必要性

・境界が未確定でないか

・接道条件は問題ないか

・残置物や家財の有無

状況によっては、解体して更地として売却するほうがスムーズな場合もあります。現地調査と合わせて、空き家バンクや地域の不動産業者の意見を聞いてみるのも良いでしょう。

不動産会社の選定がカギ

空き家の売却に慣れている不動産会社を選ぶことで、価格設定や販売戦略、手続き面でのサポートに大きな差が出ます。

特に、相続や空き家処分に強い会社であれば、権利調整や残置物処理の経験も豊富です。

複数社に相談・査定を依頼し、担当者の対応や実績を比較したうえで、「信頼できるパートナー」を見つけましょう。

近隣への配慮も忘れずに

空き家を売却する際、意外と重要なのが近隣住民との関係性です。特に、解体や整地作業が発生する場合は騒音・振動などで迷惑がかかることも。

事前に挨拶や説明をしておくと、トラブルを未然に防ぐことができます。

また、長年放置されていた物件の場合、「やっと片付けてくれるのか」と歓迎されるケースも多いため、良好な関係づくりを意識することで地域全体の印象もよくなります。

空き家放置は「静かに進行する損失」

相続した不動産を放置してしまう背景には、感情的な葛藤、家族間の調整の難しさ、手続きや法律の知識不足、そして経済的な不安など、さまざまな事情が絡み合っています。

しかし、放置を続けることで本当に失われるのは「思い出」ではなく、「資産」と「安全」です。

空き家や空き地を「どうするか」を考えることは、過去へのけじめであると同時に、未来への責任でもあります。

相続した瞬間から、所有者としての義務は始まっています。

まずは、専門家に相談すること。

そして、家族と率直に話し合うこと。そこから「売却」「活用」「管理」などの現実的な選択肢が見えてきます。

それが、あなたの大切な不動産を「負動産」にしないための第一歩です。

「思い出を、負動産にしない。」

相続した実家が空き家になっている方、活用や売却の判断に悩んでいませんか?

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私たちは、空き家に関する相続・売却・管理のご相談を多数お受けしてきた実績があります。
不動産の現状やご希望に応じて、最適な選択肢をご提案します。

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