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「この底地、売れるの?」相続後の売却方法と費用をわかりやすく解説!

底地(そこち)とは、借地権が設定された土地、つまり他人に貸している土地の所有権を指します。土地の上に建物を所有する借地人(しゃくちにん)が存在するため、所有者が自由に使うことができない「制約のある土地」とも言えます。

相続によってこの底地を取得した方の中には、「こんな土地、本当に売れるの?」「どうやって売ればいいの?」「費用や税金はどれくらいかかるの?」と疑問や不安を抱えている方も多いのではないでしょうか。

この記事では、底地の基本知識から、売却方法、かかる費用や税金、売却時の注意点まで、不動産の専門家の視点からわかりやすく解説していきます。

底地とは?その特徴を再確認

底地には以下のような特徴があります。

・所有者(地主)は土地の名義人であるものの、借地人の権利が優先されるため、自由に建物を建てたり売却後すぐに利用したりすることができません。

・地主が得られる収益は、借地人から支払われる地代(年間数千円~数万円程度が一般的)に限られることが多く、収益性はそれほど高くありません。

・底地を売却する場合、借地権付き土地としての評価となるため、更地として売るよりも価格が安くなります。

・借地人が建物を所有しており、更新や譲渡の際にも借地人の権利が強く保護されているため、権利関係が複雑になります。

地主でも自由に使えない土地、それが「底地」

底地の所有者(地主)は、たしかに土地の名義人ですが、その土地には借地権を持つ借地人がいるため、実際には自由に使うことができません。

たとえば、地主が自ら建物を建てたり、土地を更地として売却して新たな活用をしたくても、借地権が存続している限り、それはできません。

また、底地を売却したとしても、買主は借地人の権利を引き継ぐ形になるため、すぐに自由に使うことは不可能です。

このように、底地は「所有していても活用できない不動産」であり、一般的な土地とは性質が大きく異なります。

地代収入があるが収益性は低い

底地は借地人から地代(ちだい)収入を得ることができる不動産です。

とはいえ、多くの場合、その地代は相場よりも低額に設定されていることが一般的であり、大きな収益を期待するのは難しいといえます。

さらに、土地の所有者である地主は、固定資産税や都市計画税といった各種税金を負担しなければなりません。

これらのコストを差し引くと、実質的な収益性は非常に低くなるケースが多く、中には赤字となっている例も見受けられます。

底地は「借地権付き土地」として評価される

底地を売却する際は、通常の土地とは異なり、借地権が付いたままの状態で取引されます。

そのため、「借地権付き土地」として評価されることになり、実勢価格は更地と比べて低くなるのが一般的です。

買主側から見ると、すぐにその土地を自由に使えず、借地人との関係性や契約内容に縛られることになるため、リスクを考慮して価格を抑える傾向があります。

また、買主が事業者などで底地と借地権をまとめて一体化させる意図がある場合を除けば、売却に時間がかかるケースも多く、市場での流動性が低い点も注意が必要です。

借地人の権利が強く、権利関係が複雑に

底地には、借地人が建物を所有しているケースがほとんどです。

そのため、土地の所有者である地主であっても、建物の存在を無視して勝手に契約を終了させたり、立ち退きを求めたりすることはできません。

さらに、借地契約は更新されることが多く、更新拒絶や契約終了には正当事由が必要です。

加えて、借地権の譲渡や建替えの際にも、借地人の権利は法律で強く保護されており、地主の承諾が必要であるにもかかわらず、無下に断ることもできないという制約があります。

このように、底地は「所有者=自由にできる」という一般的な不動産のイメージとは異なり、借地人との権利関係が絡み合うことで非常に複雑になっているのが実情です。

相続した底地は売却できるのか?

結論から言えば、底地は売却可能です。

ただし、一般的な更地や建物付き土地と比べると、簡単に売却できるとは限りません。

特に相続で取得した底地の場合、権利関係が複雑になっていたり、契約書類が不明だったりすることもあり、以下のような理由から売却が難航するケースも少なくないのが実情です。

借地人との交渉が必要になる

底地には借地権が設定されているため、土地の所有者であっても自由に売却することができません。

売却を進めるには、借地人の同意や意向が大きく関係してくるのが現実です。

理想的なのは、借地人自身が底地を買い取ってくれるケースです。

この場合は、借地権と底地が一体となり、双方にとってメリットのある取引となります。

しかし、借地人に資金的な余裕がなかったり、購入に消極的だったりする場合には、交渉が長期化・難航する可能性が高くなります。

そのため、事前の話し合いや信頼関係の構築が非常に重要になります。

契約内容や書類の不備・不明点がある

底地は、数十年前の契約に基づいて貸されていることが多く、当時の契約書がすでに紛失していたり、更新の履歴や契約条件があいまいになっているケースも少なくありません。

そのため、売却を進める前に、現在の契約状況や借地人との関係性をしっかり把握し、必要に応じて内容を確認・整理する作業が必要になります。

特に、売買の対象となる権利がどのような内容か明確にしておかないと、買主との契約が成立しない可能性もあるため注意が必要です。

市場での需要が少ない

底地は、借地人が利用している土地であるため、購入してもすぐに活用することができません。

そのため、実需目的の一般購入者からは敬遠されがちです。

購入の対象となるのは、底地の運用や管理に慣れた一部の投資家や専門業者に限られることが多く、一般の不動産市場では流通しにくい不動産と言えます。

結果として、買い手が見つかるまでに時間がかかったり、希望する価格で売却できなかったりする可能性がある点にも注意が必要です。

価格が安くなる傾向にある

底地は、借地権が付いているため、所有者が自由に利用できない土地となります。

結果として、市場での評価はどうしても下がってしまいます。

たとえ立地条件が良くても、借地人が存在することによって活用の自由度が制限されるため、更地としての価値よりも大きく低い価格で売却せざるを得ないケースが多いのが現実です。

そのため、「思っていたよりも安い金額でしか売れなかった」という声も少なくありません。

借地人との交渉が必要になるケースも

底地を売却する際は、まず最初に借地人に対して買取を打診するのが一般的なステップです。

借地人にとっては、底地を買い取ることで借地権と所有権を一体化でき、将来的な不安が減るというメリットがあります。

一方で、借地人が購入に消極的な場合は、第三者への売却が一気に難しくなる可能性があります。

なぜなら、第三者にとっては、借地権者との関係を引き継ぐリスクや手間が発生するからです。

そのため、売却をスムーズに進めるには、借地人との良好な関係づくりと、柔軟な交渉姿勢がとても重要です。

急がず、誠実な話し合いを重ねることが、成功への第一歩となります。

専門家のサポートがカギ

底地の売却には、借地権との関係や契約内容の確認、適正な評価、法的手続きなど、専門的な知識と経験が求められます。特に、古い契約や不明確な権利関係が絡むケースでは、個人で対応するのは困難です。

そのため、司法書士・不動産会社・弁護士など、底地取引に精通した専門家の力を借りることが非常に重要です。

適切な助言を受けることで、トラブルのリスクを最小限に抑え、スムーズかつ納得のいく売却へとつなげることができます。

底地の売却方法:3つのパターン

底地は、一般的な土地とは異なり、借地権の存在や利用方法に制約があるため、買い手や活用方法が限られます。

そのため、売却をスムーズに進めるためには、工夫を凝らす必要があります。

以下に、実際に取られることの多い3つの売却方法をご紹介します。

借地人に売却する(最もスムーズな方法)

底地の売却先として最も適しているのは、現在その土地を借りている「借地人」です。

借地人としても、底地を取得することで土地と建物を一体で所有できるようになり、更新料や建替えの制限といった不安から解放されるため、購入に前向きなケースが多いです。

▶ メリット
・市場価格より高めで売れる可能性がある
・権利関係が整理されやすく、手続きがスムーズ

▶ デメリット
・借地人が購入を希望しない場合、交渉が進まない可能性あり

借地人+第三者に同時売却(等価交換方式など)

借地人が単独で底地を購入できない場合でも、不動産業者やデベロッパーなどの第三者が間に入ることで、借地人と底地所有者の双方から権利をまとめて取得する手法があります。

▶ 事例:等価交換方式
底地と借地権をデベロッパーが一括して取得し、その後に土地を再開発。

例えば、新築マンションの建設などが行われるケースがあります。売却だけでなく、新たな不動産価値を生み出す手法としても注目されています。

投資家・不動産業者に売却する

借地人との交渉が難航した場合や、すぐに現金化したい場合には、底地を専門に扱う不動産業者や投資家に売却するという選択肢もあります。

安定した地代収入が見込める底地は、収益不動産として一定の需要があります。

▶ ポイント
・借地契約が明確で地代の回収が安定していることが重要
・取引に慣れた業者を選ぶことで、スムーズな売却が可能に

このように、底地の売却には複数のパターンがあり、それぞれにメリット・デメリットがあります。

どの方法が最適かは、借地人との関係や土地の状況によって異なるため、状況に応じて戦略的に選ぶことが大切です。

底地を売却する際にかかる費用

底地を売却する際には、いくつかの費用が発生します。

以下のように、底地の売却には多様な費用が関わるため、正確な見積もりと準備がスムーズな取引の鍵となります。

仲介手数料

不動産の売却時には、通常、不動産仲介業者を通じて売却することが一般的です。

その際、仲介手数料がかかります。これは売却価格の一定割合で、通常は 売却価格の3% + 6万円 です。

ただし、金額や契約条件によって異なる場合があります。

譲渡所得税

底地の売却で得た利益には 譲渡所得税 が課税されることがあります。譲渡所得税は、売却価格と取得価格の差額から経費を引いた額に対して課税されます。譲渡所得税の税率は以下の通りです:

・所有期間が 5年以内の場合: 短期譲渡所得税(約39%)

・所有期間が 5年超の場合: 長期譲渡所得税(約20%)

また、取得費や譲渡費用として認められる経費を引くことができるため、計算に必要な経費をきちんと整理することが重要です。

その他の費用

・測量費用:土地境界の確認や測量が必要な場合、測量士に依頼することになります。

・各種税金や手数料:契約書の作成に関する費用や、税理士等に相談する際の費用も考慮すべき項目になります。

底地の売却にかかる費用は、売却価格や物件の状況によって異なるため、専門家に相談して適切に準備を進めることが重要です。

売却時に注意すべきポイント

底地を売却する際には、スムーズな取引とトラブル回避のために、いくつかの重要なポイントに注意を払う必要があります。

●まず第一に確認すべきは「借地契約書」の内容です。借地契約書には、契約期間や更新条件、地代の額、建替えに関する承諾の有無など、売却後のトラブルを未然に防ぐために重要な情報が記載されています。古い契約の場合、契約書が紛失していることもありますが、その場合でも実際の地代支払い状況や過去の更新経緯など、客観的な事実に基づいて契約内容を整理しておくことが求められます。

●次に大切なのは「借地人との関係構築」です。底地の買主として最も有力なのは、現在その土地を借りている借地人であるため、借地人との良好な関係を築いておくことが、交渉を円滑に進めるための鍵となります。特に、売却の意向を伝える際は、突然の通告ではなく、丁寧で誠実な説明を心がけることで、相手の理解と協力を得やすくなります。

●さらに、「不動産の専門家への相談」も欠かせません。底地の取引には、通常の土地売買とは異なる専門的な知識や実務経験が求められるため、底地の売却実績が豊富な不動産会社や、借地借家法に詳しい専門家に相談することが非常に重要です。専門家に依頼することで、契約条件の整理や買主探し、価格設定、税務面での対応まで、的確なアドバイスを受けながら進めることができ、結果としてトラブルのない安心・安全な売却が実現しやすくなります。

相続した底地を放置するとどうなる?

相続した底地をそのまま放置しておくことは、思わぬリスクを招く可能性があります。

まず、底地は利用価値が乏しい一方で、所有しているだけで毎年「固定資産税」や「都市計画税」などの税金負担が生じます。

これらの税負担は、たとえ収益がわずかでも継続的に発生し、所有者の金銭的負担となります。

また、借地人との関係が悪化している場合や、長期間にわたって連絡が取れていないようなケースでは、「地代の滞納」や「契約条件の争い」といったトラブルが発生するおそれもあります。

最悪の場合、借地契約の履行を巡って訴訟に発展し、時間的・精神的・金銭的なコストを強いられることもあり得ます。

さらに、底地は自らが自由に利用・開発できる土地ではなく、「使えない土地」としての側面が強いため、収益性が低く、将来的な資産価値の上昇も期待しづらいという特徴があります。

こうした状況を放置すればするほど、権利関係の把握が難しくなり、売却や整理のハードルも上がっていきます。

そのため、相続した底地については「収益性」や「将来の活用可能性」を冷静に見極め、早い段階での売却や整理を検討することが、リスク回避と資産の有効活用につながります。

不明点があれば、底地に精通した専門家に相談することをおすすめします。

まとめ:底地は売却可能!早期対応と専門家の支援が成功のカギ

相続した底地は、「売れにくい」「扱いが難しい」といったイメージを持たれがちですが、決して売却できないわけではありません。

実際には、借地人への売却をはじめ、第三者との共同売却や投資家・不動産業者への売却といった複数の選択肢があり、状況に応じた方法を選ぶことで、底地の処分や資産化を実現することが可能です。

底地売却を成功させるためのポイントは、以下の3点です。

・借地契約内容の精査:契約期間・更新条件・建替え承諾の有無など、権利関係を明確にしておくこと。

・借地人との関係性の維持:信頼関係を築くことで、交渉の円滑化や売却の可能性が広がります。

・底地取引に強い専門家への相談:底地は一般的な不動産と異なる知識が求められるため、経験豊富な専門家のサポートが不可欠です。

底地を「使えない土地」「収益が出ない土地」として放置しておくと、税金負担やトラブルのリスクが高まり、「負動産」と化してしまう恐れもあります。だからこそ、相続後はなるべく早く現状を把握し、適切な対応を取ることが大切です。

「うちの底地は売れるのか?」「どんな進め方がベストか?」といった疑問があれば、お気軽に底地専門の不動産業者にご相談ください。

早めの行動が、資産を守る第一歩になります。

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