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工場・倉庫の売却で資金繰りを改善し、倒産・廃業を回避する方法|事業再生の現場から学ぶ実践的な対策

業績不振や経済環境の変化によって、資金繰りが厳しくなり、事業継続に悩む中小企業は少なくありません。

特に製造業や物流業など、自社所有の工場や倉庫といった不動産資産を保有している企業にとって、「不動産売却」は資金調達の有力な手段の一つです。

こちらのブログでは、工場・倉庫の売却によって資金繰りを改善し、倒産・廃業を回避するための具体的な方法や注意点、専門的な視点からのアドバイスをご紹介します。

なぜ工場や倉庫を売却するのか?|資産の有効活用という視点

企業が自社で保有する工場や倉庫は、通常「固定資産」としてバランスシートに計上されています。

経営が順調な時には、生産活動や物流拠点として大きな役割を果たすこれらの不動産も、経営環境が悪化した際には「資金化が可能な資産」として再評価されることがあります。

以下のような経営課題が発生した場合、不動産売却による資金調達が現実的な選択肢となります:

・売上の減少による運転資金の不足

・金融機関からの新たな借入が困難

・取引先や金融機関との支払い猶予交渉が難航

・債務超過が目前に迫っている

・倒産リスクを早期に回避したい

こうした状況下で工場や倉庫を売却すれば、得られた現金を以下のような形で有効活用することが可能です:

・仕入先や従業員への支払い

・税金の滞納分の解消

・借入金の返済

・収益性の高い事業への再投資

単なる「売却」ではなく、「資産の再構築」と捉えることで、経営の立て直しや成長戦略への転換も見えてきます。

工場・倉庫売却の方法|事業再生に活かすための3つの手法

経営の立て直しや資金繰りの改善を図るうえで、工場や倉庫といった不動産資産の売却は有効な選択肢となります。

ここでは、主な3つの売却手法をご紹介します。

通常売却(現金化)

最もシンプルかつ一般的な方法が、「所有する不動産を第三者に売却して現金を得る」手法です。

不動産仲介会社を通じて市場に出し、買主を見つけて売買契約・決済を行います。

メリット

・売却代金を一括で受け取れる

・固定資産税や修繕費など、保有コストがなくなる

デメリット

・工場や倉庫を失うことで、事業の継続が難しくなる場合がある

事業にとって重要な拠点である場合は、売却後もその不動産を使い続けることができる「リースバック」という手法も併せて検討する価値があります。

リースバック(売却後も使用継続)

不動産を売却した後も、同じ物件を賃貸契約に切り替えて継続使用する手法が「リースバック」です。

事業上必要な拠点を維持しながら資金を確保できるため、資産の有効活用として注目されています。

メリット

・売却によりまとまった現金を確保しつつ、事業活動は継続できる

・財務諸表上の固定資産が減り、自己資本比率が改善する可能性

・金融機関からの信用度が向上するケースもある

デメリット

・賃料支払いが継続的に発生する

・長期的には所有していた場合よりコストが割高になる可能性がある

「資金確保」と「事業継続」のバランスを取りたい企業にとって、有効な選択肢の一つです。

資産売却+生産拠点の集約・移転

不採算部門や稼働率の低い工場・倉庫を売却し、生産機能や物流機能を他の拠点へ集約・移転することで、固定費の削減と資金調達を同時に実現できます。

この手法は、単なる資産売却ではなく、事業構造の見直しや経営の効率化を図る目的でも活用されます。

具体例

地方にある老朽化した工場を売却し、本社工場へ生産ラインを統合。

→ 生産効率を高めながら、売却で得た資金により借入金を圧縮。

メリット

・遊休資産や低収益拠点の整理が可能

・固定費(人件費・維持管理費)の削減

・売却による現金確保で財務改善にもつながる

デメリット

・拠点統合には設備投資や人員配置の見直しが必要

・一時的に生産や物流に影響が出る可能性もある

「売却+拠点再編」という視点で取り組めば、経営資源の最適化にもつながります。

売却を成功させるための5つのポイント

工場や倉庫の売却は、一般の不動産と比べて関係者や手続きも多く、慎重な準備が不可欠です。

以下の5つのポイントを押さえておくことで、スムーズかつ有利な売却につなげることができます。

権利関係の整理

抵当権、賃借権、共有名義などの権利関係は、売却における大きな障壁となります。

登記簿を確認して、複雑な権利関係がある場合は、司法書士や不動産業者に相談して事前に整理しておきましょう。

環境・法的制限の確認

工場・倉庫には、用途地域、建ぺい率・容積率、公害防止法、土壌汚染対策法など、さまざまな規制が関係します。

トラブル防止のためにも、必要に応じて環境調査報告書や法規制に関する書類を整備しておきましょう。

現況の整備と情報開示

第一印象は非常に重要です。

売却前に清掃や不要物の撤去、軽微な補修を行うことで、物件の印象を大きく向上させられます。

また、設備の状態、築年数、修繕履歴などを事前に整理・開示することで、買主の信頼を得やすくなります。

税務面の検討

工場や倉庫を売却した場合、法人税や譲渡益課税が発生する可能性があります。

税理士に相談し、売却益のシミュレーションと税負担の把握を行いましょう。

タイミングや売却方法によって、節税につながる選択肢が見つかることもあります。

スピードと価格のバランス

資金繰りに余裕がない場合、早期売却が必要となることもあります。

とはいえ安売りは避けたいところ。「価格」と「スピード」のバランスを見極めるために、複数の不動産業者や買取業者から相見積もりを取ることが有効です。

状況によっては、不動産買取による即現金化も選択肢となります。

事業再生における不動産売却の位置づけ

企業の再建・事業再生を図る際、不動産売却は単なる資産処分ではなく、再生プランに基づいた戦略的手段として位置づけられます。
多くの場合、以下のようなステップで活用されます:

・財務状況の分析
 資金繰り、債務状況、資産の流動性を可視化します。

・不採算事業・遊休資産の洗い出し
 今後の経営に不要な拠点や、収益性の低い資産を精査します。

・不動産売却による資金調達
 工場・倉庫などを売却し、現金を確保します。

・借入金の返済・条件変更交渉
 金融機関との信頼回復や、金利・返済スケジュールの見直しを行います。

・収益改善のための投資や事業再構築
 必要な部門に資金を再配分し、経営の立て直しを図ります。

ポイント

売却は「資金繰りのための一時的な手段」ではなく、事業再生の中核を担う戦略的なアクションと位置付けることが重要です。

そのためには、税務・法務・不動産の専門家と連携しながら、中長期的な再建シナリオの中に組み込むことがカギとなります。

失敗しないために|専門家との連携がカギ

工場や倉庫の売却は、単なる不動産取引ではありません。

資金繰り、税負担、契約リスク、経営戦略など、複数の要素が複雑に絡み合う判断が求められます。

そのため、売却を成功させるには、各分野の専門家と連携しながら進めることが非常に重要です。

まとめ|不動産売却は、廃業ではなく再出発の選択肢

工場や倉庫を手放すことに対して「後ろ向き」「終わり」という印象を持つ経営者も多いかもしれません。

しかし、視点を変えればそれは「事業の再生」「次の成長へのステップ」となる選択です。

✅ 工場や倉庫の売却は、倒産・廃業を回避し、会社を立て直すための現実的かつ有効な手段です。

✅ 専門家と連携し、財務・法務・税務の視点から総合的に判断することが、成功のカギです。

✅ 早期対応が肝心。資金ショート寸前ではなく、「売れるうちに売る」判断が求められます。

工場・倉庫の売却をご検討の方へ

当社では、事業再生に精通した不動産専門家が、工場や倉庫の適正評価から売却戦略の立案、買主の選定、契約交渉、税務面のアドバイスまでワンストップで対応いたします。

「倒産を避けたい」「なんとか事業を立て直したい」とお考えの経営者様、お気軽にご相談ください。売却は、事業をあきらめるためではなく、未来へつなげるための一手です。

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