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相続した不動産に仮差押が!売却できる?対応策を解説します

相続した不動産の相続登記や売却しようと思い、登記簿謄本を確認したら「仮差押」の登記がされていた。そのようなケースは珍しくありません。

仮差押は、債権者が将来の強制執行を確保するために裁判所が命じる保全処分であり、これが不動産に登記されていると売却や担保設定が著しく制限されます。

このブログでは、相続後に仮差押えが判明した場合の対応策や、相続放棄や遺産分割協議への影響、さらには仮差押えの性質による分類ごとの対処方法について詳しく解説します。

仮差押とは?

仮差押とは、債権者が将来の訴訟や強制執行の勝訴を見越して、債務者の財産処分を一時的に差し止める手続きです。

通常、債権者が裁判所に申し立て、一定の要件を満たすと「仮差押命令」が出され、その内容が登記簿に記録されます。

相続された不動産に、この仮差押えが登記されている場合、債務者が被相続人なのか、あるいは相続人なのかによって対応が異なります。

【ケース1】10年以上前の古い仮差押えが残っている場合の売却対策

不動産の売却を進める中で、「仮差押」の登記が登記簿に残っていると、売却がスムーズに進まないことがあります。

特に問題となるのは、10年以上前に登記されたまま放置されている古い仮差押です。

不動産の状況

●仮差押の登記がされたのは10年以上前のもの

●その後、訴訟や差押え(強制執行)に進展していない

●債権者と連絡が取れない。謄本に記載された所在地には債権者はいない。

このような登記はすでに効力を失っている可能性がありますが、法務局の登記簿に記録が残っている限り、買主や金融機関にとってリスクと見なされるため、不動産売却に支障をきたすため、抹消・解除するために手続きをしましょう。

不動産売却に向けた対応策

1. 登記簿と仮差押命令書の確認
まずは、登記簿謄本と仮差押命令書の内容を確認して差押の詳細を把握します。

2. 債権者の所在確認
債権者と連絡が取れるかどうか確認します。連絡がつかない場合は、以下の手続きを検討します。

3. 法律事務所に相談
法律事務所に相談して仮差押命令の取消の申立やその他の法的措置をして仮差押の解除をしましょう。

注意点

●仮差押を解除するには時間が掛かりますので、焦らずに信頼できる弁護士・法律事務所に相談しましょう。

●売買契約は仮差押えが抹消されてから締結することが安全です。

●不動産取引前には、必ず司法書士に相談してトラブルにならないよう事前に確認を行いましょう。

仮差押された不動産の売却は解除してからにしましょう

このようなケースでも、仮差押の抹消ができれば売却は可能です。

不動産の売却活動や売買契約をする前に不動産会社や司法書士・弁護士等の専門家に相談して、仮差押の登記が解除できる状況になったら売却を進めましょう。

【ケース2】相続人の債務による仮差押えがある不動産の売却対応

相続した不動産を売却しようとしたところ、登記簿に「仮差押え」の記載があり、売却ができない——。

こうした事態は、相続人本人が抱える債務が原因で起こることがあります。

不動産の状況

●被相続人(亡くなった方)の借金ではなく、相続人自身の債務による仮差押。

●相続登記で不動産の名義が相続人に変更された後、債権者が不動産に対して仮差押を申し立てる

このような仮差押えが登記されている場合、原則としてこの状況のままでは売却はできません。

ただし、仮差押えを解除できれば売却は可能です。

売却に向けた対応策

1. 通常の不動産売却・任意売却の検討
債権者と協議して不動産を売却して換金化して請求金額を返済して仮差押を解除することを検討しましょう。

2. 債権者との交渉
売却代金を債務の弁済に充てる意向を伝え、仮差押えを任意に取り下げてもらう交渉を行います。

話し合いがまとまれば、仮差押が解除され売却が可能になります。

3. 裁判所への異議申立て
仮差押えに正当な理由がない、あるいは必要性が乏しい場合は、保全異議や仮差押え異議申立てを裁判所に提出することができます。

4. 担保提供による解除申立て
仮差押が「担保的仮差押」の場合、金銭の供託や保証人の提供などにより仮差押の解除を申し立てる方法もあります。

注意点

●債権者が仮差押えの解除に同意しない場合には不動産の売却はできません。

●仮差押は他の不動産や財産にも及んでいることがあるため、相続人本人の資産全体の状況を確認することが重要です。

●法的な交渉や申立てが必要になるため、早めに弁護士などの専門家に相談することをおすすめします。

仮差押されている不動産の売却は「原則不可」だが、解除できれば可能

このケースでは、仮差押の解除がカギです。

債権者との協議・交渉を通じて、不動産の売却に向けた道筋を探ることが重要となります。

【ケース3】被相続人の債務による仮差押えが残っている不動産の売却対応

相続した不動産に「仮差押え」の登記がされていたが、それは亡くなった被相続人が生前に抱えていた借金によるもの——。
このようなケースでも、相続人は慎重に対応すれば売却の道が開けます。

不動産の状況

●仮差押は、被相続人の債権者が生前に申し立てたもの

●相続が開始された後も、仮差押えの登記がそのまま残っている

●仮差押を申し立てた債権者を連絡が取れて債権の存在を主張している

売却に向けた対応策

1. 相続放棄の検討
●被相続人に多額の債務があった場合は、家庭裁判所に相続放棄の申述をすれば借金ごと相続を回避できます。

●相続放棄をするとその不動産を売却する権利も失うことになります。

2. 限定承認の活用
●財産の中身が不明、プラスかマイナスかわからない場合は、「限定承認」という手続きを選ぶこともできます。

●相続財産の範囲内でのみ債務を返済する制度で、遺産整理人が仮差押えの処理を担当します。

3. 仮差押えの解除・抹消交渉
●相続人が不動産を相続し売却したい場合は、債権者に弁済することで仮差押の解除・抹消を求める必要があります。

●仮差押抹消登記を行うことも確約してもらうことが重要です。

4. 遺産分割協議書への記載
●相続人間で不動産を取得する人を決める場合は、「仮差押えに関する処理は○○が責任を負う」といった特別条項を協議書に盛り込むことで、将来的なトラブルを防げます。

注意点

●弁済しても、債権者が抹消登記に応じなければ不動産の売却はできません。交渉の際に、登記抹消も確実に行うよう依頼しましょう。

●仮差押えの解除には法的な知識と手続きが必要になるため、弁護士や司法書士などの専門家に相談するのが安心です。

仮差押をされた不動産の売却は「解除・弁済すれば可能」

被相続人の債務による仮差押えがある場合でも、債権者との交渉・協議、あるいは限定承認などの手段により、適切に対処すれば不動産の売却は可能です。

状況に応じて最適な方法を選択しましょう。

仮差押不動産を相続放棄するか、相続するかの判断基準

​仮差押が登記された不動産を相続するか放棄するかの判断は、法的・経済的リスクを十分に考慮した上で行う必要があります。

以下に、判断のための主要なポイントを整理しました。​

✅ 相続を選択すべきケース(売却または活用を視野に入れる場合)

1. 仮差押えの解除が可能な場合

●債務がすでに弁済済み、または交渉により近く解除できる見込みがある。

●不動産を売却する事によって解除できる事が確定できる見込みがある。

2. 相続財産がプラスになる見込みがある場合

●仮差押を解除した後に、不動産を高値で売却または有効活用できる可能性がある。

●他の財産(預貯金や金融資産など)も含めて、債務より明らかに多くの資産がある場合。

❌ 相続放棄を検討すべきケース(リスク回避が優先される場合)

1. 債務が資産を上回っている場合

●仮差押の原因となった債務が高額で、相続財産でとても賄えない状況。

●他にも借金、未納税金などが多数あるなど相続による負担が極めて大きいと予想される。

2. 仮差押えの解除が困難な場合

●手続きに多額の費用や時間がかかると見込まれる場合。

⚠️ 相続放棄に関する注意点

●申述期限:相続放棄は、相続があったことを知った日から3ヶ月以内に家庭裁判所へ申述しなければなりません。

●財産処分の禁止:この期間中に不動産を売却したり賃貸に出したりすると、相続を承認したとみなされて放棄ができなくなるおそれがあります。

●放棄の効果:相続放棄が認められれば、最初から相続人でなかったものとみなされるため、仮差押の影響を受けずに済みます。

📝 まとめ

仮差押えが登記された不動産を相続するか放棄するかの判断は、個々の状況によって異なります。

​不動産の価値や債務の状況、仮差押えの解除可能性などを総合的に考慮し、慎重に判断することが重要です。​

判断に迷う場合は、弁護士や司法書士などの専門家に相談することをおすすめします。

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