BLOG ブログ

【不動産所有者・事業者必見】コロナ融資・助成金終了と日銀の利上げで変わる不動産市場の未来とは?

日本の不動産市場は、ここ数年で大きな転換点を迎えています。

2013年から政府と日銀が積極的に進めてきた金緩和政策により個人・法人が融資を受けやすい環境になり不動産取引が盛んに行われるようになりました。
そして、コロナ禍では政府・自治体による緊急融資や助成金・協力金の支援により、多くの企業や個人が経済的に下支えされてきました。

しかし、感染症拡大が落ち着いたことで、これらの支援策は終了しました。
コロナ禍が終息した事により、日銀も長年続けてきた金融緩和政策から、段階的な利上げへと舵を切り始めました。

こちらのブログでは、この流れを受けて、不動産市場が今後どのように変化していくのか、専門的な視点から分かりやすく解説していきます。

金融緩和から利上げへの転換

「金融緩和」とは、中央銀行である日銀が金利を低く抑え、市場に大量の資金を供給することで、景気を下支えする政策です。

企業や個人がお金を借りやすくなり、投資や消費が促進される効果があります。

この政策により、住宅ローン金利は長らく歴史的な低水準で推移して不動産購入の強い追い風となってきました。

なぜ今、利上げが必要なのか?

●インフレ抑制のため
近年、世界的にインフレが進行し、日本でも原材料やエネルギー・人件費の高騰が物価を押し上げています。
これを抑えるために利上げが必要とされました。

●為替防衛のため
超低金利政策が続いた結果、円は他国通貨に対して大きく下落(円安)しました。
その結果、輸入品価格が高騰し、家計や企業に大きな負担が生じています。
これを是正するためにも、日銀は段階的に金利を引き上げています。

コロナ禍の支援策とその終焉

コロナ禍では政府や各自治体が積極的に助成金・協力金で事業者を支援していました。

また、金融機関はコロナ融資やゼロゼロ融資と言われている返済猶予・無利息・無担保の融資を積極的に実行していました。

主な支援内容

コロナ禍では、経済の落ち込みを防ぐために、さまざまな金融・財政支援が行われました。たとえば以下のような制度です:

●無利子・無担保融資

●家賃支援給付金

●事業復活支援金

●休業・時短協力金

これらの支援によって、特に飲食業・宿泊業・不動産賃貸業などの中小事業者が倒産を免れ、資金繰りを維持してきました。

コロナ禍においての支援終了後の現実

コロナ禍の金融支援が終了して、経済の現場では以下のような課題が顕在化しています。

●借入返済の本格化
 「元本据え置き期間」が終わり、返済が始まる企業が増加しています。

●資金ショートのリスク
 業績がコロナ前に戻っていない企業にとって、返済は大きな負担です。運転資金の不足により、資金ショートに陥るリスクが高まっています。

●破産・倒産の増加
 実際、2024年以降、倒産件数は増加傾向にあります。今後、支援の「反動」として不動産市場への影響も避けられないでしょう。

コロナ禍の支援終了がもたらす現実的な影響とは?

コロナ禍における支援策はすでに終了、もしくは段階的に縮小されており、今後はその「支え」がない状態で経営や資金繰りを維持する必要があります。

特に以下のような業種・立場の人々に大きな影響が出始めています。

コロナ融資の返済が本格化する中小企業・個人事業主

 「ゼロゼロ融資」の返済猶予期間が終わり、元本の返済がスタートした企業では、コロナ前の水準に売上が戻っていない中で、資金繰りに苦しむケースが増えています。

テナントに依存する不動産オーナー

テナント側も支援終了により撤退や縮小を余儀なくされ、賃料収入の減少・滞納が増加。不動産オーナー自身のローン返済にも支障が出る懸念があります。

又、コロナ禍でテレワークやネットショッピングが普及して、事務所や店舗を最低限にする企業も増えたことによる影響が地域によってはあります。

人件費を抑えていた中小企業

雇用調整助成金の終了により、これまで維持していた人員を削減せざるを得ず、結果として事業継続が難しくなる事例も出ています。

そして、コロナ禍が終息してからは人件費の高騰や人手不足による廃業・倒産が増加傾向にあります。

コロナ禍の支援終了後の「反動」

これまで支援により何とか持ちこたえていた企業や不動産オーナーの間で、以下のような影響が顕在化し始めています。

返済猶予の終了 → 元金返済の開始による資金繰り悪化

ゼロゼロ融資などの返済猶予期間が終了し、2023年以降、多くの中小企業で元本の返済が本格的に始まりました。

しかし、売上や利益がコロナ禍前の水準に戻っていない企業も多く、返済負担に耐えられず、資金繰りが急速に悪化しているのが実情です。

新たな借入で旧債務の返済を行う「自転車操業」に陥っているケースもあり、今後さらなる倒産の増加が懸念されています。

給付金・補助金の終了 → 事業収益の低迷による赤字転落

持続化給付金や雇用調整助成金といった各種支援策によって、これまで何とか経営を維持していた企業も、支援の終了とともに自力での収益確保が求められる局面に入りました。

しかし、物価上昇や人件費の高騰、需要の回復遅れといった要因も重なり、本来の収益力が不十分な企業では赤字への転落が相次いでいます。

特に飲食業・観光業・イベント関連など、コロナの影響が長引いた業種では深刻な影響が続いています。

破綻・倒産件数の増加 → 賃料収入の減少、不良債権の発生

コロナ禍における支援の終了をきっかけに、資金繰りが立ち行かなくなった企業の破綻や倒産が増加傾向にあります。

こうした倒産の連鎖は、不動産オーナーにも直接的な影響を及ぼします。

テナント企業の退去や家賃の滞納が相次ぎ、賃料収入が大幅に減少するほか、回収困難な債権=不良債権の発生につながるケースも少なくありません。

特に地方や商業系の物件では、空室リスクの上昇も深刻な課題となっています。

日銀の利上げと金利上昇のインパクト

日銀が17年ぶりの利上げを実施

2024年、日本銀行はついに長らく続けてきたマイナス金利政策を終了し、段階的な利上げ局面に入りました。

これにより、金利の上昇が実体経済と不動産市場にさまざまな影響を与え始めています。

金利上昇がもたらす主な影響は以下の通りです。

・住宅ローン・アパートローンの金利上昇

・不動産投資の利回り低下

・不動産価格への調整圧力

・借り換えニーズの減退

これらの変化は、不動産業界にとって明確な逆風であり、とりわけ借入に依存するビジネスモデルには注意が必要です。

借入金依存型のビジネスモデルに打撃

利上げの影響を特に強く受けるのが、以下のような借入依存型のケースです:

・借入で不動産を購入し、賃料収入で返済している事業者

・変動金利型ローンで融資を受けている個人・法人

・複数の物件をレバレッジ運用している不動産投資家

金利が1%上昇するだけでも返済負担は大きく変わります。たとえば、1億円を借入している場合、年間の利息負担が100万円以上増加することになり、キャッシュフローに与えるインパクトは極めて大きいと言えます。

今後、金利上昇が継続すれば、不動産市場の調整局面は避けられないとの見方も出ており、投資判断や資金調達戦略の見直しが求められています。

不動産価格への影響:下落局面への転換か?

これまで上昇を続けてきた日本の不動産価格。しかし、2024年に入り日銀が17年ぶりの利上げに踏み切ったことで、市場には徐々に変調の兆しが見え始めています。

特に、金利上昇は「不動産価格」に直接的な影響を与える重要な要因です。これまで低金利を背景に支えられてきた不動産市場は、今後どう変わっていくのでしょうか。

不動産価格の高騰から「調整局面」へ

2020年以降、超低金利政策とコロナ禍による一時的な特需を背景に、都市部を中心に不動産価格は大きく上昇しました。しかし現在、その流れに変化が生じています。今後の不動産価格には下落圧力が強まると予測されており、以下のような要因が背景にあります。

・金利上昇による住宅購入意欲の低下

・法人テナントの撤退・オフィス縮小の動き

・少子高齢化と人口減少の加速

・地方・郊外での空室率の上昇

不動産の価値は、「将来的な収益性」と「資産の保有コスト」によって大きく左右されます。家賃収入の減少や固定資産税・修繕費といった維持コストの増加が続くと、物件の評価額は下落せざるを得ません。

不動産投資家の「出口戦略」への影響

これまで多くの不動産投資家は、物件を保有しながら価格上昇を待ち、最終的に高値で売却するという出口戦略を描いていました。

しかし、利上げによって買い手の融資条件が厳しくなる今の状況では、その戦略が通用しにくくなりつつあります。

売却時に十分な価格がつかず、「出口が見えない」状態に陥るリスクも現実味を帯びてきています。

特に、賃料収入も伸び悩む物件や、利回りが下がってきている物件では、買い手の投資判断もより慎重にならざるを得ません。

今後の不動産所有者・事業者が取るべき対策

社会経済環境が大きく変わる中で、不動産オーナーや中小企業経営者は、リスクを回避しつつ資産を守るための柔軟な対応が求められています。

以下に、今後とるべき具体的な対策を整理します。

金利上昇リスクへの備え

日本銀行による利上げを受けて、変動金利型の融資を利用している場合、今後の返済額増加は避けられません。以下のような対策で、金利リスクを抑えることが重要です。

・固定金利型ローンへの借り換え

・繰上返済による元本の圧縮

・新規借入の抑制・再検討

特に変動金利で多額の融資を受けている場合は、早めの見直しが鍵になります。

また、金融機関によっては条件の見直しや金利引き下げ交渉に応じてもらえるケースもあるため、積極的に相談する姿勢も大切です。

収益性の見直しと空室対策

テナントの撤退や家賃下落などにより、収益性が低下している物件も増えています。今後は、用途の多様化や価値向上による「攻めの空室対策」が求められます。

・テナント入れ替えによる賃料単価の引き上げ

・ウィークリー・マンスリーマンションなど短期賃貸への転換

・民泊・シェアオフィス・トランクルームなどへの転用

・リフォーム・リノベーションによる物件価値の再評価

従来の「住居用」「事務所用」だけにこだわらず、多用途化を視野に入れることで、空室率の低下と収益安定化が期待できます。

「売却」という選択肢も視野に

経済環境の変化に対応が難しいと判断される場合は、早期の売却も前向きな選択肢です。「今は売り時ではない」と先送りにするよりも、資産の現金化による資金繰り改善や損失の最小化を図ることが、結果的に事業を守ることにつながります。

以下のような兆候が見られる場合は、売却を具体的に検討すべきです。

・家賃収入の下落が止まらない

・ローン返済の見通しが立たない

・修繕費・固定資産税などの維持コストが重くなってきた

・エリアの需給バランスが将来的に悪化する見込みがある

環境変化に応じた柔軟な判断が重要

コロナ支援の終了、金利の上昇、物価高騰、人口減少…不動産を取り巻く環境はこれまで以上に厳しさを増しています。

「保有」「活用」「売却」それぞれの選択肢を冷静に比較し、自身の状況に最適な判断を下すことが、これからの時代の資産防衛術と言えるでしょう。

金利上昇リスクへの備え

日銀の利上げにより、変動金利で融資を受けている不動産オーナーや事業者にとって、今後の返済額増加は現実的なリスクとなっています。これに備えるには、以下のような対策が有効です。

・固定金利型ローンへの借り換え
 今後の金利上昇を見越して、返済額を安定させるための有力な選択肢です。

・繰上返済による元本圧縮
 元本を減らすことで、将来の利息負担を軽減できます。

・新規借入は慎重に検討
 特に変動金利での新規融資は、想定以上の返済負担になるリスクがあります。

変動金利で多額の融資を受けている場合は、早期の見直しが重要です。 

金融機関によっては、相談に応じてくれるケースもあり、金利の引き下げや条件変更が可能なこともあります。

厳しい状況を一人で抱え込まず、早めに専門家や金融機関に相談することが、ダメージを最小限に抑えるカギとなります。

収益性の見直しと空室対策

テナントの撤退や家賃の下落により、物件の収益性が大きく低下しているケースが増えています。今後は、ただ待つのではなく、**用途の多様化や価値向上による「攻めの空室対策」**が重要です。

・テナントの入れ替えによる賃料単価の見直し
 要のある業種や属性にターゲットを絞り、賃料水準の向上を目指します。

・ウィークリー・マンスリーマンションへの転換
 短期ニーズを取り込み、空室期間を最小限に抑えます。

・民泊・シェアオフィス・トランクルームなどへの用途転換
 エリア特性に応じた多用途展開で、新たな収益源を確保。

・リフォーム・リノベーションで付加価値を創出
 設備やデザインを見直すことで、入居者満足度と競争力をアップ。

従来の「住居用」「事務所用」にとらわれず、需要のある用途への柔軟な対応が空室リスクを下げ、収益の安定化につながります。今こそ、資産価値の再構築に向けた積極的なアクションが求められています。

不動産を「売却」という選択肢も視野に

経済環境が大きく変化する中で、「所有を続けること」が必ずしも最善とは限りません。

今後の収益改善が見込めず、資金繰りが厳しい状況が続くようであれば、早期の「売却」も前向きな戦略の一つです。

「今は売り時ではない」と判断して先送りすることで、さらに状況が悪化し、資産価値が下がってから売らざるを得ないリスクもあります。

むしろ、早めの売却で資産を現金化することが、損失の最小化や事業全体の立て直しにつながるケースも少なくありません。

次のような兆候が見られる場合は、具体的な売却を検討するタイミングです。

・賃料収入が減少し、回復の兆しが見えない

・ローン返済の見通しが立たない・延滞リスクがある

・修繕費や固定資産税などの維持コストが重荷になっている

・将来的に需要減少が見込まれるエリアに立地している

無理に持ち続けるのではなく、「手放す勇気」が、結果として資産や事業を守る道になることもあります。

早めの判断が、次の展開を有利に進める鍵となるでしょう。

今後の不動産市場の展望

「どこに持っているか」「これからどうなるか」の見極めが極めて重要です。市場全体ではなく、エリアごとの動向分析に基づいた判断が、不動産オーナーや投資家に求められています。

利上げは今後も続くのか?

日本銀行は2024年、ついにマイナス金利政策を終了し、利上げに踏み切りました。

今後も世界経済の不透明感やインフレ圧力が続く中で、段階的な利上げが継続される可能性は十分にあります。

つまり、「金利が下がるまで待つ」という姿勢は、リスクの先送りに過ぎないかもしれません。

金利の動向に依存した戦略から、脱却するタイミングが来ています。

成長エリアと縮小エリアの「二極化」が進行

不動産市場全体が下がるわけではありません。これからは「地域間格差」がより鮮明になります。

都市中心部・再開発エリア・外国人需要のある地域
 ⇒ 今後も一定の需要が見込まれ、価格維持・上昇の可能性あり。

地方の人口減少エリア・インフラ老朽化地域・空き家が密集する郊外
 ⇒ 空室率上昇・価格下落のリスクが高まる。

まとめ:いまこそ「守り」と「攻め」の両輪戦略を

不動産市場は、いま大きな転換期を迎えています。

・コロナ禍の支援終了により、収益悪化と返済負担の現実化

・日本銀行の利上げにより、借入コストの上昇と売却の難化

・将来的な価格調整リスクの高まりで、投資の“目利き力”が問われる時代へ

こうした環境下で、不動産オーナー・事業者に求められるのは、「過去の成功体験」にとらわれない柔軟な発想と行動力です。

・金利上昇への備え(借換・返済計画の見直し)

・空室リスクへの対策(用途転換・リノベーション)

・早期売却によるリスクのコントロール

これからの一手一手が、「資産を守るか、失うか」を左右します。

“守り”の視点でリスクを最小化しつつ、“攻め”の姿勢で収益性を最大化する。
そんな両輪の戦略が、いまこそ必要とされています。

無料相談・資産見直しのご案内

「自分の不動産は売るべき?持ち続けるべき?」
「金利上昇で今後の返済が心配…」
「空室が増えて、収益が不安定になってきた」

こうした悩みや不安を感じている方は、一人で抱え込まず、まずはご相談ください。

不動産の状況やエリア特性を踏まえた資産見直し・売却のご提案を、初回無料で行っております。

先送りせず、今こそ「守るための行動」を。
お気軽にお問い合わせいただければ幸いです。

CONTACT
お問い合わせ

当社へのご相談・ご依頼は、お気軽に以下のフォームからお問い合わせください。