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歴史は繰り返す?ペアローン破綻の現実と“平成のゆとりローン”の二の舞を防ぐには?

歴史は繰り返す?ペアローン破綻の現実と“平成のゆとりローン”の二の舞を防ぐには?

近年、住宅ローンで、特に目立っているのが「夫婦共働き前提」で組まれる ペアローン です。

金利が低く返済負担が軽く見える今の時代、一見「無理なく買える」と錯覚しがちですが、その構造の裏には深刻なリスクが潜んでいます。

実はこの流れ、過去にも一度経験しているのです。

覚えている方も少なくなっていると思いますが平成バブル崩壊とその後の『ゆとりローン』の破綻劇です。

住宅ローンのペアローンとは?一見便利に見える“落とし穴”

ペアローンとは、夫婦やパートナーがそれぞれに住宅ローンを組み、ひとつの物件の購入資金を分担する仕組みです。

例えば4,000万円の物件なら、夫2,000万円、妻2,000万円という形で住宅ローンを借り入れします。

◆メリットとしてよく挙げられるのは以下の点です◆

・借入可能額が大きくなる(希望の家が買える)

・住宅ローン控除がそれぞれ適用される

・共働きの家計なら返済が現実的に見える

しかし、この「借入可能額が増える」というのが、最大の落とし穴になります。世帯収入をフル活用して“背伸び”した金額でローンを組んでしまう人が非常に多いのです。

住宅ローンのペアローンの基本的な仕組み

夫と妻(またはパートナー)がそれぞれ金融機関と契約する場合には次のような仕組みになります。

・住宅ローン契約は2本になる(1人ずつ)

・それぞれに返済義務が発生する

・お互いが連帯保証人になるケースが多い

👉 つまり「共有名義」+「別々のローン契約」という形です。

住宅ローンのペアローンのメリット

ペアローンとは、夫婦やパートナーそれぞれが金融機関と契約し、2本のローンで高額物件を購入する仕組みです。
主なメリットは以下の通りです。

1. 高額な借入が可能になる

・1人では手の届かない価格帯の物件でも、夫婦合算で借入できるため購入が可能になります。

2. 住宅ローン控除を2人分受けられる

・年末残高の最大4,000万円×2人分など、節税メリットが大きくなる場合があります。

・夫婦それぞれが控除を受けられるため、所得税・住民税の軽減効果が期待できます。

3. 名義が明確になる

・夫婦それぞれが返済している分、持分登記もしっかりと行えるため、所有権が明確になります。

・将来の相続や売却時にもトラブルを避けやすくなります。

・高額物件を無理なく購入しつつ、節税や名義の明確化もできる点が、ペアローンの大きな魅力です。

住宅ローンのペアローンのデメリット(特に重要なポイント)

ペアローンは高額物件購入の強力な手段ですが、メリットだけでなくデメリットも理解しておくことが重要です。特に以下の点は注意が必要です。

1. 返済リスクが2倍になる

・夫婦のどちらかが働けなくなった場合、もう一方に返済負担が集中します。

・共働き前提で無理なく支払える額でも、ライフイベント次第で家計が一気に逼迫する可能性があります。

2. 離婚・死別時にトラブルになりやすい

・片方だけが住み続ける場合でも、ローンや名義の整理が非常に複雑になります。

不動産とローンの名義をどう扱うかで争いになりやすく、調停や裁判に発展するケースもあります。

3. 住宅を売却しづらい場合がある

・不動産売却時には両方の合意が必要になるため、交渉がスムーズに進まないことがあります。

・急な売却や任意売却を検討する際に、合意形成が障害となる場合もあります。

4. 団信(団体信用生命保険)の対応が別々になる

・一方が亡くなった場合、その人のローン分だけが完済されます。

・もう一方の残債は残るため、安心感が完全ではありません。

ペアローンは、高額物件購入や節税などのメリットが大きい反面、リスクも二人分あることを理解した上で計画することが不可欠です。

住宅ローンのペアローンで起こりやすい破綻リスクの典型パターン

ペアローンは、夫婦の収入合算で返済できる前提で組まれるため、一方でも返済が滞るとリスクが一気に高まります。
実際に多く見られる典型パターンは以下の通りです。

1. 妻が出産・育児で一時的に仕事を離れる

・世帯収入が減少し、月々の返済が厳しくなる

・生活費や教育費とのバランスも悪化するケースがあります

2. 夫が転職・リストラ

・収入減により返済困難になり、滞納が発生

・滞納が続くと、金融機関から一括返済や任意売却の通知が来る可能性があります

3. 離婚

・住宅ローンも名義も共有しているため、売却や任意売却が必要になる場合があります

・一方だけが住み続けるケースでは、名義や残債処理でトラブルになることも少なくありません

ペアローンは「収入が安定していること」が前提の仕組みです。
少しでも返済状況に狂いが生じると、破綻リスクが急速に現実化してしまうことを覚えておきましょう。

住宅ローンのペアローンを検討するなら押さえるべきポイント

ペアローンは高額物件を購入できるメリットがありますが、リスクも大きいため、事前の準備と計画が不可欠です。

1. 一人の収入でも返済できる金額にする

共働き前提で組む場合でも、どちらか一方が働けなくなった場合でも返済可能かを必ず確認します。

2. 万一に備えた保険・貯蓄を持つ

離婚・収入減・病気・介護などの想定外に備え、保険や貯蓄でキャッシュフローを確保しておくことが重要です。

3. 契約前に出口戦略を考える

将来的に売却・任意売却・借り換えなどの選択肢を検討し、出口戦略をあらかじめ計画しておくと安心です。

4. 金利変動リスクもシミュレーションする

固定金利・変動金利のどちらでも、金利が上昇した場合の返済額や総返済額を試算しておきましょう。

ペアローンを無理なく活用するには、収入や生活の変化、将来の出口まで含めた包括的な返済計画が欠かせません。

ポイント

ペアローンは「2人で力を合わせれば買える」というメリットがある一方で、2人のどちらかがつまずくと一気に崩れるリスクの高い仕組みです。

夢のマイホームを叶えるための手段であるはずが、無理な計画で組んでしまうと「ローンが家計を縛る鎖」になります。

不動産の現場では、ペアローン破綻から任意売却・競売へと移行するケースも珍しくありません。

👉 借入前に「買える金額」ではなく「守れる金額」で設計する。
👉 共働き前提ではなく「一馬力でも何とかなる金額」に抑える。

これが、ペアローン破綻を防ぐいちばん現実的な対策です。

無理な融資期間と金額設定が破綻の引き金に

ペアローンの多くは、35年や40年といった長期融資を前提にしています。
20代後半〜30代でローンを組めば、完済は60代後半から70代になり、この返済計画を2人とも働き続けることを前提にしているケースがほとんどです。

しかし、実際のライフイベントは計画通りにはいきません。

・妊娠・出産による収入減

・介護や転職による働き方の変化

・どちらかの病気・怪我

・離婚による収入分離

一人でも返済が難しいほどの金額を借りていると、生活は一気に破綻します。この構造、まさに 平成初期に登場した「ゆとりローン」 と同じです。

ゆとりローンとは?“後でなんとかなる”の幻想

1993年に住宅金融公庫(現在の 住宅金融支援機構)が導入した「ゆとりローン」は、当初は返済額が少なく、後半で返済額が上がる仕組みでした。

当時もバブルの余韻で住宅価格が高騰していたため、多くの家庭が「とりあえず今は返せるから」と安易に飛びつきました。

しかし、その後の金利上昇や収入減少で、返済額の増加についていけない世帯が家計破綻・任意売却・競売といった悲劇が相次ぎました。

不動産市場を活性化させるために国が政策として、多額の住宅ローを借入する心理的なハードルを下げるために広められました。

そして今、同じような構造が「ペアローン」という形で再び拡大しています。

ゆとりローンの仕組みとトラブル― なぜリーマンショック時に破綻が多発したのか ―

ゆとりローンは、返済負担を将来に先送りする設計が最大の特徴でした。
この仕組み自体が、平常時には問題が見えにくく、経済ショック時に一気に弱点が露呈する構造だったのです。

ゆとりローンの基本構造

ゆとりローンの基本的構造は下記となります。

・当初5年〜10年は返済額を抑制

・元金の減りが極端に遅い

・借入後の5年後、そして10年後に返済額が急増する

という「将来楽観型」の返済設計でした。

つまり、家計が一番余裕のない時期ではなく終身雇用で年を追うごとに収入が上がるという事を前提に、人生後半にリスクが集中するローンだったのです。

リーマンショック(2008年)後に債務者の家計に直撃

リーマンショック時、多くのゆとりローン利用者が同時に次の状況に陥りました。

◆収入が上昇する前提が崩れた◆

・ボーナスカット・減少

・残業代の消失

・非正規化・派遣切り

・早期退職・配置転換

👉 「将来は収入が増える」という前提が崩壊して、借入開始から10数年経過して返済額が急増していた債務者が返済困難になりました。

◆ 金利が上昇して本来の返済額が本格化する時期と重なった◆

・据置期間が終了

・返済額が一気に増加

・家計が耐えられない水準へ

👉 「突然苦しくなった」のではなく、仕組み上、苦しくなる時期にショックが来たのが実態です。

◆不動産価格の下落で逃げ道が消えた◆

リーマンショック後、住宅価格が下落して不動産を売却してもローンが残る状況になり、売却する事も諦めざるを得ずに金融機関に相談しても借換も不可となり、結果として返済不能になり金融機関から差押をされる事が急増しました。

そして、任意売却・競売・自己破産へ進むケースが急増しました。

ポイント

ゆとりローンは過去の制度ではあるものの、その本質的な構造は今も形を変えて残っています。

ペアローンも共働きでの収入を継続する事を前提とし、変動金利と長期返済を組み合わせ、「今は払える」ことだけに焦点を当てている事が共通しています。

将来の不動産売却や夫婦関係の解消といった出口を想定しない住宅ローン設計が広がる中で、ひとたび経済ショックが起これば、平成と同じような破綻の連鎖が再び現実になる可能性があります。

離婚が引き金になるケースが急増中

ペアローンの最大の弱点は、それぞれが独立した債務者である点です。

仮にペアローンを借入した夫婦が離婚した場合でも、どちらも金融機関との契約は残り続けます。

「家を出たから、自分は関係ない」…そんなことは一切ありません。

離婚前後に住宅ローンの残債の処理をめぐってトラブルになるケースは非常に多く、どちらがローンを引き継ぐかで揉めるケースや、片方が支払えず延滞してしまい不動産を売却しようにも残債が多く任意売却するケースも増える可能性があります。

このような状況になると、債務者の信用情報に傷がつき、再スタートが難しくなるという負の連鎖に陥ることがあります。

実際にも任意売却の相談の中で「離婚がきっかけ」というケースは非常に多いのです。

任意売却という“撤退戦略”の選択肢

住宅ローンの返済が困難になったとき、競売にかかる前に選択できるのが任意売却です。

これは債権者(金融機関など)の同意を得て、残債があっても市場価格に近い金額で売却できる仕組み。

メリットとしては:

・競売よりも高く売れる可能性がある

・引っ越し費用を確保できるケースもある

・信用情報へのダメージを最小限に抑えられる

特にペアローンの場合は、離婚と同時に返済不能に陥るケースも多いため、早い段階で専門家に相談し「撤退戦略」を描くことが重要です。

今からできるリスク回避の考え方

ペアローンを検討・利用している方が意識すべきなのは、「最悪のシナリオ」を想定しておくことです。

・一人でも返済可能な金額でローンを組む

・余裕を持った返済計画にする

・借入金額ではなく“生活全体のキャッシュフロー”で判断する

・保険・預貯金・リスク対策を含めたライフプランを作る

・離婚や収入減少時のリスクを話し合っておく

住宅は“人生最大の買い物”であると同時に、“人生最大のリスク”にもなり得ます。

住宅ローンの組み方一つで、その後の人生が大きく左右されることを忘れてはいけません。

不動産業者の現場感覚から伝えたいこと

任意売却や債務整理の相談を受けていると、こうした「返済計画の甘さ」から人生が一変した方をたくさん見てきました。

そして、その多くが、「まさか自分が…」と口を揃えます。

バブル崩壊後のゆとりローンも、今のペアローンも構造は非常によく似ています。

2つのローンの違いは、今回は“共働き”という前提の脆さが軸になっているという点です。

まとめ:未来を守るのは「今」の判断

住宅ローンのペアローンは便利な制度ではあるが、リスク構造を理解していないと危険な金融商品です。

住宅ローンの返済期間中は共働きが続くことを前提にした無理なローンは、破綻の引き金になる可能性が極め高く、過去の「ゆとりローン」の失敗と同様の状況になります。

夫婦2人での返済期間中には、離婚・収入減・病気などローンの借入時には想像もしていない事が起きたりしますので、最悪のシナリオも見据え借入をしなければなりません。

万が一、住宅ローンの返済ができなくなっても任意売却を選択すれば「失敗」ではなく「次の人生の再スタート」という考え方もあります。

「家を買う」ことはゴールではなく、スタートです。そして、住宅ローンは35年の“長いマラソン”。
その間には、仕事・健康・家族など、人生のあらゆる変化が起こります。

「今返せるか」ではなく、「何が起きても返せるか」という視点を持つことが、後悔しない第一歩です。

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