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【子どもや孫が使わない土地はどうする?】売却・維持・活用・相続・生前贈与まで徹底解説します

将来的に子どもが土地を使う予定がない場合、「このまま所有し続けるべきか」「売却すべきか」「有効活用できないか」と悩まれる方が多いです。

今回は、子どもが使わない土地の対処法について、売却・活用・相続・生前贈与などの観点から専門的にわかりやすく解説します。

1. 子どもや孫が土地を使わない・管理が難しい理由とは?

少子高齢化や人口減少が進む中、「子どもや孫はすでに都市部に住んでおり、地元に戻る予定がない」「相続しても草刈りや固定資産税などの負担が重く、管理が難しい」といった理由から、親の所有する土地を引き継ぎたくないと考えるケースが増えています。

特に地方や郊外の土地、農地、古いアパート付きの土地などは、今後も利用される見込みが薄く、空き地・空き家化のリスクも高まっています。

そのため、将来のトラブルを避けるためにも、早い段階で土地の活用や処分の方針を決めておくことが大切です。

2. 何もしないとどうなる?土地を放置するリスク

土地を使わずにそのまま放置しておくと、思わぬトラブルや負担が発生する可能性があります。

具体的には、以下のようなリスクが考えられます

固定資産税・都市計画税の支払いが続く

不動産を利用していなくても、土地を所有している限り税金の支払い義務は続きます。

収益性がない土地や空き家に税金だけかかる状態が長引けば、経済的な負担となります。

草木が生い茂り、近隣トラブルになる

管理されていない土地では雑草や竹、木などが伸び放題になり、害虫の発生や景観の悪化を招きます。近隣住民とのトラブルの原因になることもあります。

建物が老朽化して倒壊や火災のリスク

古家付きの土地を放置している場合、老朽化により倒壊や放火による火災などの危険が高まります。

安全管理責任を問われるケースもあり得ます。


相続時に子どもが困る(遺産分割協議や登記)

放置された土地は、相続時に誰が所有するかの話し合い(遺産分割協議)が難航することがあります。また、登記がなされていない土地は売却や活用も困難になります。

相続登記義務違反による過料の可能性(2024年4月以降)

2024年4月の法改正により、不動産の相続登記が義務化されました。

相続を知った日から3年以内に登記をしなければ、10万円以下の過料が科される可能性があります。

3. 不動産売却前の重要ポイント

​土地や古アパート付き不動産を売却する際には、事前にいくつかの重要なポイントを確認して適切な準備を行うことが成功への鍵となります。

以下に、売却前に注意すべき主な事項を詳しく解説します。​

権利関係の整理

土地が共有名義である場合や借地権・底地権が設定されている場合には、不動産売却前にこれらの権利関係を明確に整理する必要があります。

​例えば、借地権付きの土地では、借地人と地主の合意が必要となることが多く、単独での売却が難しいケースもあります。​

このような場合、借地権と底地を一括で売却することで、より高い価格での売却が可能になることがあります。​

また、共有名義の土地では、他の共有者との協議や合意が必要となり、手続きが複雑になることがあります。

​権利関係が複雑な場合は、専門家に相談して整理を進めることが重要です。

測量と境界確定の確認

土地の境界が明確でない場合、売却後に隣地とのトラブルが発生する可能性があります。

​そのため、売却前に土地家屋調査士に依頼して、境界確定測量を行うことが推奨されます。​

確定測量には、隣接地の所有者や行政の職員の立ち会いが必要で、費用は土地の面積や状況によって異なりますが、一般的には50万円から100万円程度が相場とされています。​

境界が明確であることは、買主にとっても安心材料となりスムーズな取引につながります。​

建物の解体費用の考慮

古い建物が建っている土地を売却する場合、建物を解体して更地にすることで、買主の選択肢が広がり、売却しやすくなることがあります。

​ただし、解体費用は建物の構造や規模によって異なりますが、一般的には100万円以上かかることが多いとされています。​

また、自治体によっては解体費用の補助金制度がある場合もあるため、事前に確認しておくと良いでしょう。​

解体工事のタイミングや費用については、専門家と相談しながら進めることが重要です。

市街化調整区域の場合は利用制限の確認

市街化調整区域内の不動産の場合は、原則として新たな建築が制限されており売却が難しい場合があります。​

特に、農地として指定されている土地は、農地法や都市計画法による制限を受けるため、売却先が限られることがあります。​

このような土地を売却する際は、地域の農業委員会や自治体の許可が必要となる場合があるため、事前に利用制限や必要な手続きを確認しておくことが重要です。​

4. 土地の活用法:アパート・駐車場・トランク・コンテナ倉庫など

​土地を有効活用したいが、すぐに売却する予定がない方にとって、以下のような選択肢があります。​

それぞれの方法について、メリットとデメリットを詳しく解説します。

アパート経営

【メリット】

●安定した家賃収入
長期的に安定した収入源となり、老後の生活資金や資産形成に役立ちます。​

●相続税対策
建物部分の評価額が下がるため、相続税の節税効果が期待できます。​

【デメリット】

●空室リスク
入居者が集まらない場合、収益が減少する可能性があります。​

●維持管理費用
建物の老朽化に伴い、修繕費や管理費が増加することがあります。​

●初期投資の大きさ
建築費用や設備投資など、初期費用が高額になる傾向があります。

月極駐車場

【メリット】

●初期投資が少ない
舗装やライン引きなど、比較的低コストで始められます。​

●管理が容易
建物がないため、維持管理の手間が少なく済みます。​

●狭小地の活用
小規模な土地でも運用が可能です。​

【デメリット】

●収益性の限界
アパート経営に比べて収益が低くなる傾向があります。​

●需要の変動
地域によっては需要が少なく、空車が続く可能性があります。​

●競合の増加
周辺に新たな駐車場ができると、価格競争が激化することがあります。​

トランクルーム・コンテナ倉庫

【メリット】

●立地の柔軟性
駅から遠い、日当たりが悪い、騒音がある場所でも運用が可能です。​

●狭小地や変形地の活用
住宅建築に不向きな土地でも設置できます。​

●管理の手軽さ
居住者がいないため、トラブルが少なく管理が比較的簡単です。​

【デメリット】

●需要の調査が必要
地域によっては利用者が少ない場合があり、事前の市場調査が重要です。​

●節税効果の低さ
住宅系の建物に比べて、相続税の節税効果が小さいとされています。

5. 相続する場合:放置はNG!早めの対策を

​土地を相続する際、放置することはさまざまなリスクを伴います。

​特に、2024年4月1日から相続登記が義務化されたことにより、適切な対応が求められます。

以下に、相続前からの対策と相続登記義務化のポイントをまとめました。​

生前に売却する

メリット:​売却益を老後資金や生活費に充てることができます。

注意点:​売却時の譲渡所得税や、売却後の資金管理について考慮が必要です。

生前贈与する

方法:​相続時精算課税制度を利用することで、一定額まで贈与税が非課税となります。

注意点:​贈与後の管理責任が受贈者に移るため、事前に十分な話し合いが必要です。

遺言を残す

目的:​遺産分割のトラブルを防止し、相続人間の円滑な手続きを促進します。

形式:​公正証書遺言など、法的効力のある形式で作成することが望ましいです。​

信託制度を活用する

概要:​信託契約を結ぶことで、土地の管理・処分権限を信託受託者に委ねることができます。

メリット:​高齢や認知症などで判断能力が低下した場合でも、信託受託者が適切に土地を管理・処分できます。

6. 相続登記義務化のポイント(2024年4月1日施行)

2024年4月1日から、相続登記が義務化されました。​

これにより、以下のような対応が求められます。​

登記申請の期限

相続を知った日から3年以内に、相続登記の申請が必要です。​遺産分割が成立した場合は、その日から3年以内となります。​

過去の相続も対象

施行日前に発生した相続で未登記の不動産についても、2027年3月31日までに登記を行う必要があります。

違反時の罰則

正当な理由なく期限内に登記を行わなかった場合、10万円以下の過料が科される可能性があります。

7. 生前贈与のメリット

​生前贈与は、将来の相続トラブルや税負担を軽減する有効な手段ですが、適切な理解と計画が必要です。

以下に、土地や不動産の生前贈与に関するメリットと注意点を詳しく解説します。​

相続税対策になる

生前贈与を行うことで、将来の相続財産を減少させ、相続税の課税対象額を抑えることができます。

​特に、不動産の評価額は固定資産税評価額や借家権割合などに基づいて計算されるため、現金よりも評価額を低く抑えられる場合があります。

贈与後の土地管理は受贈者が行える

贈与後は、受贈者が土地の管理や運用を行うことができます。​

これにより、贈与者の負担が軽減され、土地の有効活用が促進されます。

遺産分割トラブルを避けられる

生前に特定の相続人へ不動産を贈与することで、遺産分割協議の際のトラブルを未然に防ぐことができます。​

また、贈与者の意思を明確に伝えることができるため、相続人間の誤解や争いを避けることができます。

8. 生前贈与の注意点

生前贈与は、相続税対策や遺産分割トラブルの防止に有効な手段ですが、贈与税やその他の費用、制度の選択に関する注意点があります。​

贈与を検討する際は、税理士や司法書士などの専門家に相談し、適切な手続きを行うことをお勧めします。

贈与税がかかる場合がある

贈与税は、年間110万円の基礎控除を超える贈与に対して課税されます。

​例えば、基礎控除後の課税価格が1,500万円の場合、贈与税額は500万円となります。

その他の税金や費用が発生する

不動産の生前贈与には、以下のような税金や費用が発生します:​

●登録免許税:​不動産の名義変更時に課税されます。

●不動産取得税:​不動産を取得した際に課税されます。

●司法書士報酬:​登記手続きなどを依頼する場合に発生します。​

これらの費用は、贈与する不動産の評価額や地域によって異なります。

相続時精算課税制度の適用は撤回不可

相続時精算課税制度を選択すると、贈与者の死亡時に贈与財産を相続財産に加算して相続税を計算します。

​この制度を一度選択すると、暦年課税制度への変更はできません。​

また、贈与者の死亡前7年以内の贈与は、相続税の課税対象となるため、計画的な贈与が重要です。

まとめ:土地は「使わないなら手放す・活かす」判断を早めに

​子供や孫と話し合いの時間を作り、「不動産を利用しない」「不動産を残されては困る」といった意見が多くある場合には売却する事を前向きに検討しましょう。

先祖から受け継いだ不動産であっても、子供や孫が利用しない場合には、将来的に資産ではなく負債となる可能性があります。​

土地の価値は時間とともに変動し、固定資産税や管理費用などの負担も継続します。

​そのため、「使う予定がない」「管理が負担」と感じたら、早めに専門家に相談し、売却・活用・贈与・相続などの方針を明確にすることが重要です。​

【土地を放置するリスク】

●固定資産税などの維持費用の継続:​利用しない土地でも、固定資産税や都市計画税の支払い義務は続きます。 ​

●管理の手間と近隣トラブル:​草木が生い茂ることで景観を損ねたり、不法投棄の原因となるなど、近隣住民とのトラブルが発生する可能性があります。 ​

●資産価値の下落:​市場価値の変動や地域の開発状況により、土地の価値が下がるリスクがあります。 ​

【早期の対応策】

●売却:​土地を売却することで、固定資産税や管理の手間から解放され、まとまった現金を得ることができます。 ​

●活用:​アパート経営や駐車場運営など、土地を有効活用することで収益を得る方法もあります。​ただし、初期投資や管理の手間、需要の見極めが必要です。​

●生前贈与:​将来の相続税対策として、生前に土地を子どもに贈与する方法もあります。​ただし、贈与税や不動産取得税などの費用が発生する点に注意が必要です。​

●相続対策:​遺言を作成し、土地の分割方法を明確にしておくことで、相続時のトラブルを防ぐことができます。​

土地の状況やご家族の意向により最適な対策は異なります。​早めに専門家と相談し、適切な方針を決定することをお勧めします。

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