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不動産価格が高止まりでも新築一戸建てが売れない理由とは?マンション高騰とのギャップと今後の不動産市場のお話です

2025年、不動産市場は「高止まり」と言われる状況が続いています。
特にマンション価格は過去最高水準に達し、東京・大阪といった大都市圏では新築・中古問わず、驚くほどの価格で取引されています。
一方で、新築戸建(建売住宅)については、売れ行きが鈍化し在庫が積み上がる現象が各地で見られます。

なぜこんな現象が起きているのでしょうか?
今回は不動産業者としての立場から、今の市場の実態これからの見通しについて、詳しく解説します。

マンション価格が高騰している理由とは?

近年、特に都市部を中心にマンション価格の高騰が続いています。

では、なぜこれほどまでにマンション価格が上昇しているのでしょうか?背景には、いくつもの要因が複雑に絡み合っています。

以下、主な理由を詳しく見ていきましょう。

建築コストの上昇が価格を押し上げている

マンション価格高騰の最も直接的な要因のひとつが、建築コストの上昇です。

近年、鉄筋コンクリートや断熱材、設備機器といった建築資材の価格が世界的に高騰しています。

さらに、職人や建設作業員の人手不足によって、人件費も急速に上昇しています。

これにより、デベロッパー(不動産開発業者)は、建設にかかる総コストを従来よりも多く負担しなければならなくなりました。

当然、利益を確保するためにはその分を販売価格に上乗せするしかなく、結果的にマンションの販売価格は上昇しています。

都市部の土地不足と地価高騰

次に挙げられるのが、土地の供給不足と地価の上昇です。

東京や大阪、名古屋などの主要都市では、再開発や都市インフラの整備が進む一方で、新たにマンション用地を確保できる場所は限られています。

特に「駅徒歩圏内」「人気学区」「商業施設へのアクセス良好」といった好立地の土地は非常に希少であり、デベロッパー同士の取得競争が過熱しています。

その結果、土地取得価格が高騰し、そのコストもマンション価格に転嫁されているのです。

希少価値の高い立地のマンションは、ますます高値で取引されるようになっています。

住宅ローン金利の低水準が購買意欲を支えている

2025年、住宅ローンの金利は依然として歴史的な低水準を維持しています。

たとえば、変動金利であれば0.3%台〜0.5%台といった水準で借り入れが可能であり、月々の返済負担が比較的軽いため、多少価格が高くても「今のうちに購入しておこう」と考える人が多くいます。

このように、金利の低さが高額物件でも購入しやすい環境を作っているため、マンション価格の高止まりを支える一因になっています。

「立地重視」の傾向がより強まっている

近年のライフスタイルの変化により、住宅に対する価値観にも変化が生じています。

特に、立地重視の傾向が顕著になっています。

テレワークの普及により郊外へ移住する動きも一部では見られますが、反対に「職場にもすぐ行ける」「買い物や通院に便利」「子育てに適した環境」といった都市部の生活利便性を重視する層も根強く存在します。

その結果、都心や駅近といった好立地のマンションに対しては需要が集中しやすく、価格が下がりにくい状況が続いています。

富裕層や投資家による需要の増加

近年、富裕層や法人、さらには海外の投資家が、日本のマンション市場に注目しています。

彼らは資産運用の一環として、収益性や資産価値の維持を期待できるマンションを積極的に購入しています。

特に東京・大阪などの都心部における高級マンションは、立地の良さやブランド力から人気が高く、国内外の投資マネーが集中しています。

このような「実需ではなく投資目的」の購入が増加した結果、一般の居住希望者にとっては手が届きにくい価格帯にまで相場が押し上げられる現象が起きています。

つまり、富裕層による投資ニーズが、マンション価格の上昇に大きな影響を与えているのです。

FOMO(乗り遅れ不安)の拡大

投資家・購買層は、他者が得をしている「利益の上昇ストーリー」を目にすると、自らも機会を逃したくないという心理に陥ります。これを「FOMO(Fear of Missing Out)」と呼びます。

FOMOは、株式市場だけでなく不動産市場にも当てはまり、都市部のマンション価格上昇をさらに助長しています。

実際に、多くのメディアで取り上げられる「○○区で価格が〇%上昇」といったニュースが、購買判断に強い影響を与えています 。

インフレ懸念による「現金より不動産」志向

持続的な物価上昇を背景に、現金や低金利預金に置くよりも、相対的に価値が残りやすい不動産を選好する動きが強まっています。

世界的な金融緩和と政府の財政出動により、インフレリスクが顕在化すると、不動産へのシフトが加速します 。

日本でも、東京の住宅価格指数が2025年1月に前年同月比8.14%上昇した背景には、こうした資産保全志向が大きく影響しています。

国内外の投資家による買い支えも価格高騰の一因

マンション価格が高騰するもうひとつの重要な要因として、国内外の投資家による積極的な物件購入が挙げられます。

特に都心部や再開発エリアを中心に、投資目的でマンションを購入する動きが活発化しており、それが実需層との競合を生み、価格を押し上げています。

日本の不動産は“割安”と見なされている

海外の投資家にとって、日本の不動産市場は安定的かつ相対的に割安と評価されています。

特に、東京・大阪・京都などの大都市圏は、世界的に見てもインフラ・治安・生活利便性の水準が高く、人気の投資先となっています。

円安が進行したことで、外貨ベースで見ると日本の不動産は“安く買える”状況となっており、外国人投資家の買い意欲がさらに高まっています。

富裕層による“資産の置き場所”としての不動産

世界的に株式や仮想通貨などのボラティリティ(価格変動)が大きくなる中で、現物資産としての不動産に安心感を求める動きも加速しています。

日本の都市部マンションは、資産価値の下落リスクが比較的小さいとされ、富裕層にとっては「資金の逃避先」「安全な資産保管手段」として選ばれやすい状況です。

このような背景から、実需を超えた投資マネーの流入が価格を底上げしており、一般消費者が手を出しにくい価格帯へと押し上げているのです。

新築供給の少なさで競争が過熱

加えて、前述した建築コストや人手不足の影響で新築マンションの供給数が減少傾向にあることも、投資家の買い意欲を刺激しています。

数が限られる中で「買えるうちに買っておこう」とする動きが強まり、結果として人気物件の取り合い=価格上昇へとつながっているのです。

投資家需要と実需のバランスが崩れた市場

このように、国内外の投資家がマンション市場に積極参入していることは、価格高騰の大きな一因です。

本来は「住むための住宅」であるべきマンションが、「投資対象」「資産保全の手段」としての側面を強めており、実需層とのバランスが崩れ始めていることが懸念されています。

それでも新築建売住宅はなぜ売れないのか?

マンション価格が高騰する一方で、郊外を中心とした新築建売住宅は売れ行きが鈍化しています。

かつては「マイホーム=戸建て」が当たり前だった時代から大きく変化し、今では多くの消費者が購入に慎重な姿勢を見せています。

その背景には、以下のような複合的な要因があるのです。

物価高と可処分所得の減少

昨今のインフレ傾向により、食料品・光熱費・保険料・教育費など日々の生活コストが大きく上昇しています。

その結果、手取り収入のうち「住宅ローンの返済に回せる金額」が縮小し、多くの家庭が住宅購入に踏み切れない状況に追い込まれています。

さらに、実質賃金の伸び悩みや社会保険料の負担増も重なり、「家は欲しいが、返済が不安」という声が増加傾向にあります。

特にファミリー層では、子どもの教育費とのバランスを考えたうえで購入を断念するケースが目立ちます。

将来不安(人口減少・経済見通し)

若い世代を中心に、「住宅は買うべきか?借りるべきか?」という意識の変化が見られるようになりました。

日本全体で人口が減少していく中、郊外住宅の将来的な資産価値に対する不安感が根強くあります。

特に地方圏や郊外では、すでに空き家問題が深刻化しており、「せっかく買っても将来売れなくなるのでは?」といった不安が購入意欲を鈍らせています。

また、終身雇用の崩壊や経済の不透明感も重なり、長期ローンを組むリスクを避ける傾向が強まっています。

立地のミスマッチ

新築建売住宅の多くは、郊外や駅から離れたエリアに供給されがちです。

これは、地価の安い場所でまとまった区画を確保しやすいためですが、消費者にとっては「便利ではない」「資産価値が不安」という印象につながりやすくなっています。

テレワークの普及で「どこに住むかを自由に選べる」ようになったとはいえ、実際には保育園・学校・病院・スーパーなど、日常生活の利便性を重視する人が多数派です。

結果的に、郊外戸建ては「コスパが良くても選ばれない」という現象が起きています。

コロナ禍での需要の“先食い”が影響

2020年からのコロナ禍で、「都市部を離れて広い家に住みたい」「テレワークを前提に自然豊かな場所に移住したい」といったニーズが一時的に高まりました。

これにより、郊外の新築建売住宅の需要が一気に先食いされる形となったのです。

ところが、コロナ収束とともにその流れは落ち着き、現在は一時的に高まったニーズの反動で購入者層が減少している状態にあります。

また、政府の住宅取得支援策の縮小や、住宅ローン控除の条件変更も重なり、購入を見送る人が増えています。

実需が慎重になるなか、供給と価格のギャップが生じている

このように、新築建売住宅市場では「建てれば売れる」という時代が終わり、購入層の心理や経済状況を深く反映した売れ行きの鈍化が起こっています。

価格・立地・将来性といった要素のミスマッチが顕在化し、供給サイドと実需サイドのバランスが崩れているのです。

「不動産価格上昇」は本当なのか?その実態を正しく見る

ニュースでは連日「不動産価格の高騰」が取り上げられていますが、本当にすべての不動産が値上がりしているのでしょうか? 実は、そうとは限りません。

マンションを中心に価格が上昇しているのは事実ですが、これは主に都心の一等地や、外国人投資家・富裕層向けの投資用物件など、ごく一部の人気エリアに集中した現象です。

全国的に見れば、価格の調整局面に入っている不動産ジャンルも少なくありません。

実際に値下がりが始まっている不動産とは?

以下のような物件については、すでに価格が下がり始めている、もしくは売れにくくなっている傾向が見られます。

利便性が低いエリアの戸建住宅

郊外や交通アクセスが不便な立地の戸建住宅は、若い世代からの支持が得にくくなっています。

将来の資産価値への不安や、生活利便性の低さが敬遠され、価格は横ばい〜下落傾向にあります。

老朽化した中古マンション

築年数の古いマンション、とくにエレベーターなし・耐震性に不安・修繕積立金が不足している物件などは、価格が下落しやすくなっています。

建て替えの難しさも重なり、投資家や実需層からの敬遠対象となっているのが現状です。

市街化調整区域など流通性に乏しい土地

市街化調整区域とは、原則として建物の建築ができない地域のことで、買い手が非常に限られる土地です。

このようなエリアの土地は、例え広くても用途に制限があるため、価格が下がりやすく、流通も停滞しがちです。

「一部だけ高騰」「その他は調整」という二極化が進行中

つまり、現在の不動産市場では、

人気エリア・人気物件は価格高止まりまたは上昇

それ以外の物件は価格が調整もしくは下落傾向

という「二極化現象」が進んでいます。

「不動産価格は上がっているらしいから売り時だ」と一括りに判断するのは危険です。実際には、「売却しやすい物件」と「売れにくく値下がりする物件」がはっきりと分かれてきているのです。

これからの不動産市場はどうなる?今後の見通しと注意点

「不動産価格が上がっている」「マンションは売り時」などの情報が飛び交っていますが、今後の不動産市場はどうなっていくのでしょうか?

業界内で共有されている見方をもとに、今後の動向について分かりやすく解説します。

二極化がさらに進む

今後の不動産市場で最も大きなキーワードとなるのが「二極化」です。

すでにその傾向は強まっていますが、今後はさらに鮮明になると予測されています。

◆高値を維持する物件
・駅近・再開発エリア

・資産性の高いマンション

・管理状態の良い中古マンション

これらの立地やブランド力に優れた不動産は、引き続き高い需要があり、価格も高止まり~緩やかな上昇を続ける可能性があります。

● 価格下落が進む物件

・郊外や交通不便な地域の戸建住宅

・老朽化した中古物件

・市街化調整区域の土地

一方、こうした流動性に乏しい不動産は、需要が先細りしており、価格下落や売却難が顕在化していくでしょう。

住宅ローン金利の動向がカギ

2025年時点では超低金利が続いているものの、日銀の金融政策次第で住宅ローン金利が今後上昇する可能性もあります。

金利が上がれば、住宅購入者が借りられる金額は減少し、不動産価格全体に下押し圧力がかかることになります。とくに高額物件や新築マンションは、金利上昇の影響を受けやすいため注意が必要です。

空き家問題が深刻化

今後さらに進む少子高齢化・人口減少の影響で、地方や郊外を中心に空き家が増加すると見られています。中には、誰も住まず管理もされていない「放置空き家」が社会問題になるケースも。

こうした背景から、今後は以下のような動きが強まると考えられます。

・空き家の処分や利活用を希望する所有者の増加

・空き家買取・再販ビジネスの広がり

・不動産の「終活」や相続対策ニーズの拡大

空き家問題は「売りにくい不動産」の増加というネガティブ要素である一方で、業界にとっては新たなチャンスの芽にもなっています。

今後は「不動産の目利き力」が重要に

これからの不動産市場では、「何でも売れる」「何でも高くなる」という時代は終わりつつあります。
立地・築年数・管理状態・用途などを見極める『目利き力』がますます重要になってきます。

もし不動産の売却や活用をお考えの場合は、価格動向だけでなく、「自分の物件はどちらのタイプなのか?」という視点で市場を冷静に見極めていくことが大切です。

まとめ:不動産市場の現状と今後の展望

現在の不動産市場は、「一部高騰」している一方で、「その他の物件は鈍化または下落」という非常に複雑な状況です。

マンションや投資用物件など一部の不動産は引き続き高値を維持していますが、郊外や流動性の低いエリアにおいては価格の調整が進んでいます。

このように、物件やエリアごとの状況が大きく異なるため、不動産の売買を考えている方は、ニュースや見出しに惑わされることなく、冷静に市場を判断することが非常に重要です。

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不動産を売却・購入する際には、物件の立地や種類、現地の市場動向をしっかりと把握することが求められます。特に、郊外住宅や老朽化した物件を買いたい、あるいは売却したい場合には、市場全体の動向を理解した上での戦略的判断が必要です。

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