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【要注意】マンションの管理費・修繕積立金を滞納するとどうなる?差押え・競売の流れまで解説します

【要注意】マンションの管理費・修繕積立金を滞納するとどうなる?差押え・競売の流れまで解説します

管理費・修繕積立金の滞納が引き起こす深刻な問題とは?

マンションにお住まいの方や投資目的で所有している方にとって、「管理費」と「修繕積立金」は避けて通れないランニングコストです。

これらの費用は、共用部分の維持管理や将来的な大規模修繕のために非常に重要な役割を果たしています。

しかし、経済的な事情やうっかり支払い忘れなどから、これらの費用を滞納してしまうケースも少なくありません。

管理費・修繕積立金の滞納が長期化すると、管理組合や管理会社による督促が始まり、それでも支払われない場合には法的措置が取られることになります。

最終的には不動産の差押え競売に至る可能性もあるのです。

こちらのブログでは、以下のポイントについて詳しく解説していきます。

管理費・修繕積立金とは?

マンションを所有していると、毎月もしくは年に数回、以下のような費用を管理組合に支払う必要があります。

管理費とは?

管理費は、マンションの共用部分を日常的に維持・管理するための費用です。具体的には、以下のような用途に使われます。

・共用部の清掃費用

・エレベーターや自動ドアなどの設備維持管理費

・管理員の人件費(常駐・巡回を問わず)

・共用部の電気・水道などの光熱費

・消耗品の購入や植栽の管理費 など

つまり、管理費は毎日の快適な生活環境を維持するために不可欠な費用であり、滞納が発生すると他の区分所有者にも影響を及ぼす可能性があります。

修繕積立金とは?

修繕積立金は、将来発生する大規模修繕の費用を長期的に積み立てるためのものです。代表的な使途としては以下が挙げられます。

・外壁の補修・塗装

・屋上の防水工事

・給排水管や電気設備の更新工事

・エントランスや共有施設の改修工事 など

修繕積立金は、築年数の経過とともに高額になる修繕費を計画的に準備するための重要な財源です。

長期修繕計画に基づき、金額や用途が定められています。

マンションの管理組合の状況によって違いますが、大規模修繕を行う際に修繕積立金が不足している状況のときには数十万円の一時修繕金を徴収するケースや、それでも不足分を補うことができない場合には金融機関から借り入れをしなければならい事態に陥る事もありますので注意しましょう。

管理費・修繕積立金は“所有者の義務”

これらの費用は、賃貸住宅のように「家賃の中に含まれている」わけではなく、区分所有者(マンションの持ち主)が直接負担すべき法的義務です。

マンションの1室(区分所有建物)を所有していると住んでいようと空き家であろうと、賃貸に出していようと関係なく、所有している限り必ず支払い義務が生じます。

管理費・修繕積立金の支払いを怠ると、管理組合との関係悪化にとどまらず、最終的には法的措置に発展することもあります。

管理費・修繕積立金の滞納が発生するとどうなるか?

マンションの管理費や修繕積立金の滞納は、放置しておくと非常に重大な事態を招く可能性があります。

以下は、一般的な滞納発生から最終的な法的手続きまでの流れです。

【滞納初期】管理会社からの督促

管理費・修繕積立金の滞納が1〜2ヶ月程度発生すると、まずは管理会社や管理組合の会計担当から、電話や郵送での督促が行われます。

・「今月分の入金が確認できません」

・「お支払いをお願いします」といったソフトな通知が多い

・一定期間内に支払いがあれば、問題には発展しない

この段階で誠実に対応すれば、特に大きな問題にはなりません。

ただし、連絡を無視し続けると、管理組合はより強い対応をとらざるを得なくなります。

【数ヶ月後】管理組合から弁護士を通じた法的措置の警告

管理費・修繕積立金の滞納が3ヶ月、6ヶ月と続くと、管理組合は弁護士を依頼し、以下のような正式な書面での督促を行ってきます。

・内容証明郵便による支払催告

・「◯月◯日までに全額支払わなければ法的手段を講じる」との警告文

・弁護士事務所名義の通知が届くことも

この段階になると、支払いの意思がないと見なされ、裁判等の準備が進行する可能性が高くなります。

【最終段階】裁判・支払督促・差押の実施

管理費・修繕積立金の滞納額が一定を超え、管理組合が支払い不能と判断した場合、次のような法的手続きに進みます。

支払督促(簡易裁判所を通じて)

管理組合が簡易裁判所に申し立てを行い、「支払督促」という法的文書を裁判所から送付してもらう手続きです。

・相手(滞納者)の出廷を必要としない手続き

・放置すると“仮執行宣言”がつき、差押えが可能に

・異議申立てをすれば通常の裁判へ移行

費用と手間が少なく済むため、最も多く利用される方法です。

民事訴訟の提起 → 判決確定

滞納者が支払督促に異議を申し立てたり、話し合いでの解決が見込めない場合、管理組合は通常の民事訴訟を提起します。

・裁判所での期日を設けて双方の主張を審理

・管理規約と会計資料に基づく請求がなされる

・判決が確定すれば「強制執行」が可能に

民事訴訟に発展すると、滞納者の信用情報にも影響が及ぶ可能性があります。

不動産・給与・預貯金などへの差押え

判決または仮執行宣言付きの支払督促を得た管理組合は、強制執行(差押え)に踏み切ることができます。

差押えの対象は多岐に渡ります。

・給与(勤務先に通知される)

・預貯金(金融機関の口座を差し押さえる)

・所有不動産(マンションそのものやその他の不動産)

特に、マンション本体が差押えられた場合は、不動産登記簿にその事実が記録され、金融機関の融資審査にも大きく影響します。
さらに、差押えの後、競売に進む可能性もあります。

差押とは?どんな影響があるの?

管理費や修繕積立金の滞納が続き、管理組合が裁判所を通じて法的手続きを取ると、最終的に「差押」という強制執行手段が取られる可能性があります。

差押とは?

差押(さしおさえ)とは、裁判所の命令により、債務者の財産を処分できない状態にする手続きです。
マンションの管理費等の滞納では、主に滞納者が所有する不動産(=マンション)に対して差押登記がされます。

差押がなされると、登記簿(法務局で管理されている不動産の権利情報)に「差押」の事実が記録され、誰でも閲覧できる状態になります。

差押登記がされるとどうなる?

差押えが実行されると、以下のような深刻な影響が生じます。

✅ 売却しようとしても売れなくなる
差押が登記された状態では、原則として不動産の売却はできません。買主が登記簿を確認すれば、差押が入っている物件だとわかるため、安心して購入できる人はいないでしょう。
仮に契約が成立しても、登記移転ができず決済不能になるため、実質的には売却不可能な状態です。

✅ 銀行などからの借入(ローン)が難しくなる
金融機関は融資審査の際、担保不動産の登記簿を確認します。差押えがある物件は、担保価値が著しく低下していると判断され、住宅ローン・リフォームローン・事業資金などの融資は極めて難しくなります。

✅ 他の債権者にも知られる
差押登記は公開情報であるため、他の債権者(例:税務署・金融機関・消費者金融など)にも滞納状態が知られることになります。その結果、競合して差押えを申し立てるケース(競合差押)もあり、状況はより深刻化します。

差押を放置するとどうなる?

差押がされたまま放置していると、次のステップである「競売」手続きに移行します。

管理組合は、確定判決や支払督促をもとに、不動産の強制的な処分(=競売)を申し立て、裁判所を通じてマンションを売却し、滞納分の回収を図るのです。

差押は、いわば「最終警告」。
ここで対応しなければ、自宅を失う結果につながる可能性が非常に高くなります。

競売に発展するリスクも

管理費や修繕積立金の滞納が長期化し、裁判所での判決が確定すると、管理組合は所有者のマンションに対して「競売申立て」を行うことができます。

競売とは、裁判所を通じて強制的に不動産を売却し、その売却代金から債権者(この場合は管理組合)に滞納金を支払う手続きです。

管理組合が回収手段として選択できる、最終的かつ強制的な措置と言えます。

競売にかけられるとどうなるか?

✅ 市場価格より安く売却される
競売で売却される物件は、一般的に相場よりも2〜3割以上安く落札されることが多いです。
入札者は“リスク込みの価格”で購入するため、売主にとって非常に不利な条件で資産が処分される結果になります。

✅ 所有者の意思と関係なく退去を迫られる
競売によって所有権が落札者に移転すると、元の所有者(=滞納者)は法的に退去を求められる立場になります。
新しい所有者が「明渡訴訟」を起こせば、最終的に強制執行により立ち退きを命じられるケースもあります。

✅ 信用情報に傷がつく(いわゆるブラックリスト)
競売が行われると、金融機関や信用情報機関に事故情報が登録される可能性があります。
いわゆる「ブラックリスト入り」の状態となり、以後一定期間は以下のような不利益が生じます:

・住宅ローンやクレジットカードの審査が通らない

・自動車ローン、教育ローンなども利用不可

・携帯電話の分割契約も困難になる

つまり競売とは、資産の喪失だけでなく、生活全般に長期的な影響を与える事態なのです。

注意点

競売を回避するためには、早い段階での対応が何よりも重要です。

管理費修繕積立金の支払いが難しいと感じたら、管理組合と誠実に話し合う、あるいは任意売却や債務整理といった手段を検討することで、差押えや競売という最悪の事態を防ぐことが可能です。

競売を避けるには?任意売却という選択肢

差押まで至った場合でも、まだ競売を回避できる可能性はあります。

その有効な手段が「任意売却(にんいばいきゃく)」です。

任意売却とは?

任意売却とは、債権者(この場合は管理組合)や金融機関の同意を得て、競売よりも有利な条件で不動産を売却する方法です。

通常の不動産売買と異なるのは、所有者の意思だけで売却できない点。

あくまでも債権者(管理費滞納であれば管理組合)の協力・同意を得る必要があります。

任意売却のメリット

・市場価格に近い価格で売却可能
 競売と比べて2〜3割高く売れるため、残債を減らせる可能性が高いです。

・買主の選定や売却時期の調整が可能
 ある程度希望条件を反映できるため、生活再建の計画を立てやすいです。

・信用情報への影響を最小限に抑えられる
 競売と違い、「任意に解決した」履歴として扱われる場合もあります。

・退去のタイミングを交渉できる
 明渡しの猶予を売買契約の中に盛り込むことで、時間的猶予が生まれます。

任意売却を成功させるためのポイント

・専門の不動産業者に相談する
 任意売却には、通常の売買とは異なる知識と経験が必要です。
 特に、管理費や修繕積立金の滞納、差押、抵当権などが絡む複雑な案件は、「任意売却に精通した業者」に依頼することが必須です。

・管理組合や弁護士との協議を早めに行う
 任意売却の許可を得るには、管理組合との合意が不可欠です。
 誠実な姿勢で事情を説明し、売却までのスケジュールを提示することで、協力を得やすくなります。

・必要なら「弁護士・司法書士」などとも連携する
 複数の債権者がいる場合や差押が重複している場合は、法的な整理も必要になるため、法律の専門家との連携がカギとなります。

管理組合との和解交渉も有効な手段

競売や差押を避けるもう一つの現実的な方法が、管理組合との「和解交渉」です。

分割払い・支払猶予の相談

一括での支払いが困難な場合でも、以下のような提案ができることがあります:

・滞納分を12回〜24回の分割で返済する計画を提示

・現在の生活状況や収入減少の事情を説明する

・返済意思を明確に示すことが重要

管理組合にとっても、競売や訴訟はコストと手間がかかるため、和解で解決できるなら応じてもらえる可能性は十分にあります。

弁護士や専門家を交えた交渉

管理費や修繕積立金の滞納は、決して軽く見てよいものではありません。
差押や競売という深刻な事態になる前に、いかに早く「相談・交渉・対応」するかが鍵になります。

✅ 滞納に気づいたら…
・放置しないこと
・専門家や管理組合に早期相談すること
・任意売却などの解決策を検討すること

早めの行動が、資産と生活を守る最善策になります。
「どうしたらよいかわからない」という方は、迷わず任意売却や不動産法務に詳しい専門家にご相談ください。

差押後に競売まで進んだ場合の流れと期間

管理費や修繕積立金の滞納が続き、判決または支払督促が確定すると、管理組合は所有者のマンションに対して差押登記を行い、最終的には競売申立てに進むことができます。

以下が、一般的な競売までの流れと所要期間の目安です。

競売までの主な流れ

・差押登記の実行(0ヶ月)
 判決や支払督促の確定をもとに、裁判所が登記所に命じて差押登記がされます。

・競売申立て(1〜2ヶ月目)
 差押後、管理組合が地方裁判所に競売の申立てを行います。

・執行官の現地調査・評価人の査定(3〜4ヶ月目)
 執行官が現地調査を行い、裁判所が選任した不動産鑑定士が評価額を算定します。

・物件明細書・評価書・現況調査報告書の作成(5ヶ月目)
 これら3点セットは、買受希望者が確認する「競売資料」となります。

・入札公告・入札開始(6〜7ヶ月目)
 裁判所のウェブサイト(BIT)などで公告され、約4週間後に入札が始まります。

・開札・売却決定(7〜8ヶ月目)
 最も高い金額で落札した者に対して、裁判所が売却許可決定を出します。

・代金納付・所有権移転・明渡し(8〜10ヶ月目)
 代金が納付され次第、所有権が落札者に移転。旧所有者には退去が求められます。

競売完了までの期間目安

差押から競売完了までの期間はおよそ8〜12ヶ月程度です。

ただし、申立ての混雑状況や執行官のスケジュール、所有者の妨害行為の有無などにより、長引く場合もあります。

任意売却による回避方法

競売まで進んでしまうと、不動産は裁判所の管理下で強制的に処分されます。

しかし、差押段階や競売開始前であれば、「任意売却」によってこれを回避できる可能性があります。

任意売却の基本的な流れ

1. 任意売却に精通した不動産業者へ相談
 差押付き不動産を扱える業者は限られます。まずは無料相談等を活用して状況を整理します。

2. 管理組合・金融機関等の債権者と協議
 売却価格・残債の処理・差押解除の条件などを協議・合意します。

3. 売却活動(通常の仲介)
 一般の不動産売買と同様に、インターネットやチラシ等で買主を募集します。

4. 売買契約・差押解除
 買主と契約を締結し、売買代金で滞納額を精算。差押解除後に決済・引渡しを行います。

5. 残債処理・生活再建
 売却代金でも賄えなかった残債は、交渉次第で分割返済や債務整理が可能になるケースもあります。

任意売却の注意点

・差押後であっても、管理組合の同意がないと任意売却できません。

・時間的猶予は限られており、競売手続きが進む前に動く必要があります。

・複数の債権者がいる場合は、調整が難航するケースもあります。

滞納が発覚した時点でできること

差押や競売という深刻な状況に陥る前に、「できること」「すべきこと」は数多くあります。

早期対応がカギ

滞納が判明した段階であれば、まだ「法的手続き」や「差押」に進んでいない可能性が高いため、選択肢が多く残されています。

✅ 管理会社・管理組合への相談
・支払いの意思を示し、分割払いや支払猶予を交渉する

・病気・失業など事情がある場合は、書面で説明すると効果的

✅ 滞納額と状況の整理
・滞納額・滞納期間・延滞金を確認し、今後の返済計画を立てる

・他に借入がある場合は、収支全体を見直す

✅ 専門家への早期相談
・任意売却の専門業者、不動産弁護士、司法書士などへ相談することで、法的手続きに入る前に対策が取れます

・住宅ローンや税金も滞っている場合は、個人再生や自己破産の検討も必要な場合があります

滞納に気づいた時こそ「一番のチャンス」

滞納は、時間が経てば経つほど選択肢が狭まり、最終的には資産と信用を一度に失う結果につながりかねません。

しかし、早い段階で正しい手段を取れば、競売を回避し、生活再建に向けて大きな一歩を踏み出すことが可能です。

✅ まずは「自分だけで悩まない」こと。
✅ 無視せず、相談・行動すること。
✅ 専門家と連携し、できる対策を一つずつ講じていくこと。

よくある誤解:住宅ローンが残っていても競売されるの?

「住宅ローンが残っていれば、他の債権者は競売できないのでは?」という声をよく耳にしますが、これは誤解です。

たとえ住宅ローンの返済が続いている状態でも、管理費や修繕積立金の滞納により、管理組合が単独で競売を申し立てることは可能です。

優先弁済権のしくみ

住宅ローンを貸している金融機関(抵当権者)は、物件の売却代金から他の債権者よりも優先的に返済を受ける権利(優先弁済権)を持っています。

そのため、実際のところ管理組合が競売を申し立てても、その売却代金はまず金融機関に充てられることが多く、管理組合にはお金が回ってこない場合もあります。

それでも管理組合が競売を申し立てる理由

それでも管理組合が競売を行う理由は以下の通りです:

・物件を明け渡させ、新たな所有者から管理費を回収したい
 滞納者が占有している限り、新たな収入が得られず、他の区分所有者に負担がのしかかります。

・滞納を放置すると、他の区分所有者に悪影響が及ぶ
 マンション全体の管理に支障が出るため、管理組合としても放置できません。

・少額でも配当が得られる可能性がある
 住宅ローン残高が少ない、またはマンションの評価額が高ければ、競売代金の一部が管理組合に配分されることもあります。

実際には「ローン+管理費」の二重トラブルに発展する

このようなケースでは、所有者は住宅ローンを支払い続けながらも、管理組合からの競売によって住まいを失う可能性があります。

つまり、「ローンが残っているから大丈夫」ではなく、「ローンが残っていても追い出されるリスクがある」という点を理解することが重要です。

対策ポイント

・管理費・修繕積立金の滞納は、住宅ローンの有無にかかわらず重大な問題

・管理組合はローン債権者とは別の立場で、独自に法的手続きが可能

・差押や競売を防ぐには、早めに誠意ある対応と専門家への相談が不可欠

滞納者だけでなく、他の区分所有者にも悪影響!

管理費や修繕積立金の滞納は、単に当事者だけの問題ではありません。

その影響は、他の区分所有者やマンション全体の資産価値にも及ぶ非常に深刻な事態となる可能性があります。

修繕積立金の不足=建物の劣化リスク

滞納者が多くなると、修繕積立金が予定通り積み立てられず、以下のような問題が発生します:

・外壁や屋上の防水工事が先送りされる

・給排水設備やエレベーターの更新ができない

・劣化による漏水や事故のリスクが増加

結果として、建物全体の劣化が進み、「管理状態の悪いマンション」として評価が下がることになります。

資産価値の低下・売却のしにくさ

管理不全のマンションは、以下のような理由で市場価値が低下します:

・売却価格の下落
 同じ立地・間取りでも「管理の良し悪し」で数百万円単位の差が出ることもあります。

・住宅ローン審査が通らないケースも
 金融機関は「管理状況の悪いマンション」には融資を出しにくいため、買い手の選択肢が狭まります。

・買い手がつかない・売れ残る
 修繕計画が不透明なマンションは敬遠されやすく、内覧すら敬遠される場合もあります。

他の所有者の負担増加

管理費・修繕積立金の収入が減れば、その不足分を他の所有者が補填するという事態も起こり得ます。

・管理会社の契約費用を維持するために管理費が値上げされる

・修繕積立金の単価が引き上げられる

・一時金徴収の提案が議題にあがる

こうした追加負担により、まじめに支払っている住民が損をする構造になってしまいます。

滞納を「放置」することが最大のリスク

滞納を見過ごすことは、マンション全体の未来を危うくします。

「誰かが払っていないだけ」と思っていても、その影響はあなたの資産価値にも直結しているのです。

管理費・修繕積立金の未収対策は、単なる債権回収ではなく、マンション全体の資産を守る行為です。

管理組合が取るべき対応策とは?

滞納者が出た場合、早期対応が極めて重要です。放置すればするほど回収が困難になり、他の所有者への悪影響も拡大します。

管理規約・細則の整備

まずは管理規約や管理費等の徴収細則を見直すことが基本です。以下のような規定があるか確認しましょう:

・滞納が続いた場合の延滞金の設定

・弁護士・訴訟費用などの請求が可能かどうか

・滞納者の議決権制限に関する規定

管理規約が古いままのマンションでは、法的対応に制約が出ることもあります。必要に応じて規約改正を検討しましょう。

督促・内容証明の送付(段階的対応)

滞納が発生した場合には、段階的かつ計画的な対応が重要です。

まず第1段階として、管理会社から電話や郵送での督促が行われ、支払いを促します。

これでも解決しない場合は、第2段階として書面で正式に催告を行い、簡易書留などで記録を残します。

さらに滞納が続く場合、第3段階として内容証明郵便を送付し、できれば弁護士を通じて法的手続きの意思を示すことが有効です。

そして最終的には、第4段階として支払督促や民事訴訟を裁判所に提起し、判決を得て強制執行(差押等)に移行する流れとなります。

このように、各ステップで証拠を残しながら段階的に進めることが、スムーズかつ確実な対応につながります。

総会での対策決議の方法

管理組合としての方針や強制力を持たせるには、総会での正式な議決が不可欠です。

▶ 決議の具体例
・滞納者に対する法的措置の承認

・弁護士への委任に関する決議

・延滞金率の設定・変更

・長期滞納者の名簿報告(個人情報保護法に留意しつつ)

これらの決議を普通決議または特別決議で可決し、管理組合としての行動を正当化することが大切です。

弁護士との連携

弁護士を活用することで、内容証明の送付から訴訟手続き、差押・競売までをスムーズに進めることができます。

「マンション法務」「区分所有法」「民事執行」に詳しい専門家を選ぶのがポイントです。

管理組合も所有者も“他人事”ではない

滞納の問題は、マンション全体の健全な運営を揺るがすものです。

早期の対策と組織的な対応こそが、資産価値の維持・向上に直結します。

🏢「滞納を許さない」仕組みと雰囲気が、良質なマンション経営を支えるカギです。

よくある質問(Q&A)

マンションの管理費・修繕積立金を滞納した場合の疑問点や不安があると思われます。

代表的な質問を回答は以下の通りです。

Q. 滞納金を支払えば、差押は解除されますか?

A. はい、原則として可能です。
差押の解除には、以下の支払いが必要です。

・滞納していた管理費・修繕積立金の全額

・遅延損害金(管理規約等に定められた利率)

・弁護士費用・登記手数料などの手続きにかかった実費

これらをすべて支払えば、管理組合は差押解除の登記手続を行うことになります。

ただし、実際には分割払いでは解除に応じてもらえないケースもあるため、事前に管理組合との協議が必要です。

Q. 賃貸に出しているマンションでも差押の対象になりますか?

また、家賃収入も差押えられますか?

A. はい、どちらも差押の対象になります。

・所有しているマンションそのもの(不動産)には差押登記がされます

・さらに、賃借人から支払われる家賃(賃料債権)も差押え可能です

この家賃差押が行われると、賃料はオーナーの口座ではなく、差押債権者(管理組合など)に直接支払われるようになります。
つまり、オーナーに家賃が入らず、実質的に収入がゼロになるため、極めて深刻な影響を受けます。

Q. 管理費の滞納だけで、住宅ローンの契約に影響しますか?

A. 間接的には大きな影響があります。

管理費や修繕積立金の滞納によりマンション全体の資産価値が低下すれば、金融機関が担保価値を再評価し、借入条件の変更や新たな借入が難しくなる場合があります。

また、競売に至った場合は信用情報に事故履歴が残るため、ローン審査に直接悪影響が出ます。

Q. 管理費の滞納で裁判を起こされたら、すぐに家を出ないといけませんか?

A. いいえ、すぐに退去させられることはありません。

訴訟や支払督促は「支払い義務を確定させるため」の手続きです。

しかし、判決確定→差押→競売まで進んだ場合は、最終的に退去命令が出されます。

早期対応でここまで至らないようにするのが最善です。

Q. 滞納者が死亡していた場合はどうなる?

A. 相続人が支払い義務を負う可能性があります。
相続人が相続放棄をしなければ、滞納分の管理費・修繕積立金も債務として相続されるため、管理組合は相続人に請求を行うことができます。

放置すると、亡くなった方の区分が「滞納のまま相続登記もされず放置される」という問題物件になる恐れもあります。

【まとめ】マンションの滞納は放置せず、早期対応がカギ

マンションの管理費や修繕積立金は、単なる「毎月の請求」ではなく、マンション全体の資産価値や安全性を支える重要な費用です。

滞納による法的リスクは決して他人事ではありません。

万一滞納してしまった場合でも、早めに相談・対応することでトラブルを最小限に抑えることができます。

少しでも不安があれば、専門家にご相談ください。

管理費の滞納、軽く見ていませんか?その放置、資産を奪う“時限爆弾”かもしれません。

当事務所では、以下のようなお悩みに対して専門家による無料相談を承っております。

・住宅ローンと管理費、両方の支払いが厳しい

・差押登記が入ってしまったが、どう対処すればいいか分からない

・管理組合から裁判を起こされた、訴状が届いた

など、不安な状況にある方は、どうかお一人で抱え込まず、今すぐご相談ください。

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