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税金滞納による不動産の差押と売却の流れ、無益の差押え禁止についても解説します

税金の滞納が続くと、最終的には税務署や市町村によって差押えが行われることがあります。

差押された不動産を売却する場合には、いくつかの重要なポイントがあります。

こちらのブログでは、税金滞納による不動産差押えの仕組みと、その後の不動産売却に関する手続きについて詳しく解説します。

また、参加差押や「無益の差押の禁止」についても触れ、所有者が不動産を売却する際に考慮すべき重要な点についても説明します。

税金滞納による差押を受けた場合、どのように進めるべきか、また注意すべき事項は何かを理解しておくことは、円滑な売却を実現するために不可欠です。

これから説明する内容をしっかり把握し、必要な手続きを適切に進めていきましょう。

税金滞納による不動産差押とは?

​税金滞納による不動産差押とは、住民税や固定資産税などの税金を滞納した場合に、税務署や市町村が未払いの税金を回収するために、滞納者の不動産に対して差押を行う手続きです。

差押が行われると、その不動産は公売にされる可能性があり、売却代金から滞納した税金が支払われます。​

税金の滞納

納税期限を過ぎても税金が支払われないと、滞納となります。

納期限から20日以内に督促状が送付され、その後も支払いがない場合、差押えの手続きが進められます。

財産調査と差押予告

税務署や市町村は、滞納者の財産状況を調査し、差押対象となる財産を特定します。

調査後、差押予告書が送付され、差押えの可能性が通知されます。

不動産の差押と登記

差押が決定すると、不動産に差押登記がされ登記簿謄本に「差押」の記載がされます。

これにより、その不動産の売却や処分が制限されます。

公売による換価

差押えられた不動産は、最終的に公売にかけられ売却代金から滞納税金が支払われます。

公売は裁判所ではなく、税務署や市町村が実施します。

抵当権が設定されている不動産については、無剰余になる可能性が高いため公売によって処分されることは少ないですが、所有者が売却する場合に差押が足枷になるので注意が必要です。

税金滞納による不動産差押の影響

◆不動産の処分制限◆
差押登記により、不動産の売買や贈与などの所有権移転が制限されます。金融機関も抵当権設定を避けるため、住宅ローンの融資が難しくなります。​

◆生活への影響◆
差押えられた不動産の所有者は、住居を失う可能性があり、生活の安定が脅かされます。​

差押を避けるための対策

◆早期の納税相談◆
税金の支払いが困難な場合、早めに税務署や市町村の窓口で相談し、分納や猶予の手続きを検討しましょう。​

◆任意売却等での不動産の売却を検討◆
住宅ローンの滞納や差押えが進行している場合でも、任意売却により不動産を売却し残債務の軽減を図る方法があります。専門の相談窓口でのアドバイスを受けることをおすすめします。

差押後の不動産売却の可否と条件

不動産が税金滞納により差押えられた場合でも、一定の条件を満たせば売却は可能です。

以下に、差押後の不動産売却に関する詳細をまとめました。​

差押解除の必要性

差押が行われた不動産は、登記簿に「差押」の記載がされて所有者の自由な売却が制限されます。​

差押られた不動産の売却を行うためには、原則として差押の解除が必要です。

近年では、差押を​解除するには、滞納している税金の全額を納付することが求められます。

滞納税金の支払い方法

一括での納付が難しい場合、税務署や市町村と相談し、売却代金から滞納税金を支払う方法も検討できます。​

ただし、この方法は自治体や状況によって対応が異なるため、事前に確認が必要です。

任意売却の可能性

差押が解除されていない場合でも、任意売却を行うことが可能なケースがあります。​

この場合、事前に税務署や市町村と協議して、売却代金から滞納税金を支払うことにより引渡し時に差押解除することを決めておきます。

不動産会社によっては、自治体との協議をしないで売却活動を行い売買契約前後に差押解除の対応する場合もあるようですが、このような段取りですと解除する費用と売買価格とのバランスがおかしくなり成約する可能性が低くなる可能性があります。

参加差押とは?

​「参加差押」とは、既に差押が行われている財産に対して、債権者が追加で差押を行う措置です。​

これは、滞納者の財産に対して複数の債権者が権利を主張する際に用いられます。

参加差押の概要

参加差押は、国税徴収法第86条に基づく手続きであり、既に差押がされている財産に対して、他の債権者が追加で差押えを行うことを指します。​

この手続きにより、複数の債権者が同一の財産に対して権利を主張し、最終的な換価(売却)時にその代金を債権者間で分配することが可能となります。​

参加差押の効力発生時期

参加差押の効力は、財産の種類や手続きの進行状況に応じて異なります。​

例えば、不動産の場合、参加差押通知書が滞納者に送達された時点で効力が生じます。

ただし、参加差押の登記が通知書の送達前に行われた場合は、その登記がされた時点で効力が生じます。

参加差押の手続き

参加差押書の交付: 新たな債権者は、既に差押えを行っている行政機関等に対して、参加差押書を交付します。​

滞納者への通知: 参加差押えを行った債権者は、滞納者に対して参加差押通知書を送付し、差押えの事実を通知します。​

登記の嘱託: 不動産など登記が必要な財産については、参加差押えの登記を関係機関に嘱託します。

参加差押の影響

参加差押が行われると、対象となる財産の処分や売却が制限されます。

​また、最終的に財産が換価された場合、その代金は複数の債権者間で分配されます。​

このため、滞納者にとっては、財産の自由な処分が難しくなるとともに、債務の整理が複雑化する可能性があります。

参加差押と時効の関係

参加差押は、消滅時効の中断(更新)事由となります。

これにより、徴収権の消滅時効の完成が阻止され、新たな時効期間が開始されます。

ただし、差押えの手続きが適法に行われていることや、差押えが取り消された場合の影響については注意が必要です。

具体的な状況に応じて弁護士などの専門家に相談することをおすすめします。

抵当権と租税債権の優先順位の原則

◆抵当権が優先する場合◆

・抵当権の設定登記が、租税債権の法定納期限よりも前である場合、抵当権が優先されます。

・この原則により、金融機関などの債権者は、担保の価値を確保することができます。

◆租税債権が優先する場合◆

・租税債権の法定納期限が、抵当権の設定登記よりも前である場合、租税債権が優先されます。

・これは、公共の財源確保を目的とした特例的な優先権です。

この優先順位の判断基準は、登記の先後ではなく、税金の法定納期限と抵当権の設定登記日の先後によって決まります。

差押された不動産を売却をするには?

​差押を受けた不動産でも、適切な手続きを踏むことで売却が可能です。

以下に、差押え解除から売却までの一般的な流れと注意点をまとめました。​

差押の解除

差押を解除するには、主に以下の2つの方法があります:​

・滞納税金の全額納付:​最も確実な方法であり、全額を納付することで速やかに差押が解除されます。​

・任意売却・不動産売却による解除:​滞納税金の全額納付が難しい場合、債権者(税務署や市町村)と交渉し、売却代金から滞納分を支払うことを条件に差押えを解除してもらう方法です。​この場合、債権者の同意が必要となります。

任意売却の実施

差押が解除された後、または債権者の同意を得て任意売却を行う場合、以下の手順で進めます:​

・専門業者への相談:​任意売却に精通した不動産会社や弁護士に相談し、適切なアドバイスを受けます。​これにより、売却手続きがスムーズに進行します。 ​

・買主の募集と契約:​市場で買主を募集し、売買契約を締結します。​この際、差押が解除されていることを証明する書類を提示することで、買主の安心感を得られます。

売却代金の分配

・抵当権の設定登記日が租税債権の法定納期限よりも前であれば、抵当権が優先されます。

・租税債権の法定納期限が抵当権の設定登記日よりも前であれば、租税債権が優先されます。

・優先順位の判断は、登記の先後ではなく、法定納期限と設定登記日の先後によります。

注意点とアドバイス

●早期対応の重要性:​差押が行われた場合、早期に専門家に相談することで、競売や公売を避ける可能性が高まります。​

●専門家の活用:​任意売却や差押解除には専門的な知識が必要です。​不動産会社や司法書士、弁護士などの専門家と連携し、適切な手続きを進めましょう。​

●債権者との交渉:​任意売却を行う場合、債権者との交渉が不可欠です。​専門家のサポートを受けながら、円滑な交渉を目指しましょう。

無益の差押の禁止とは?

​「無益の差押の禁止」とは、差押を行って、差押対象の不動産を売却しても抵当権等の権利が優先されるために税金を回収できない場合、差押を続けることが無益であるために差押を解除するべきだという原則です。​

例えば、差押を受けた不動産が売却できないほど価値が低かったり、差押を受けた不動産に他の債権者が優先的な権利を持っている場合、税務署は差押えを続けることが無意味だと判断し、差押を解除する場合があります。

無益の差押が適用される主なケース

●価値のない財産:​差押対象の財産が老朽化や損傷により市場価値がほとんどない場合。​

●優先債権者の存在:​抵当権や先取特権など、他の債権者が優先的な権利を持っており、売却代金がそれらの債権者への支払いで消尽する場合。​

●換価困難な財産:​特殊な事情により、差押えた財産の売却が現実的に困難である場合。​

差押解除の手続き

無益と判断された差押えは、税務署や市町村の判断により解除されます。​

納税者が自ら解除を申請することも可能ですが、最終的な判断は行政機関に委ねられます。

注意点

●差押の解除=債務の免除ではない:​差押が解除されても、滞納している税金を全額納税しなければ納税義務は残ります。​他の財産や収入に対して、別の差押が行われる可能性があります。​

●専門家への相談:​無益の差押に該当するかどうかの判断や、解除手続きについては、弁護士などの専門家に相談することをおすすめします。​

無益の差押の禁止の原則は、行政機関による過度な権利行使を防ぎ、納税者の権利を保護するための重要な制度です。​自身の状況がこの原則に該当する可能性がある場合は、早めに専門家に相談し、適切な対応を検討しましょう。

まとめ

税金滞納による不動産差押は、滞納した税金を回収するための強制的な手段ですが、差押を受けた不動産は売却可能であり、滞納者が税金を支払うことにより、差押が解除され、売却手続きが進められます。

しかし、参加差押や無益の差押の禁止など、複雑な要素が絡むため、売却前に専門家に相談することが重要です。

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