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【市街化調整区域の不動産を売却する方は必見】立地基準について説明します

市街化調整区域では建物を建築したり開発行為を行う事が厳しく制限されています。

しかし、都市計画法第34条で立地基準が定めれて無秩序な市街化を防ぎつつ許容できる範囲で建築・開発ができる例外基準が定められています。

その立地基準については1~14号まで定められていますので、本ブログでは分かり易く説明しますので参考にして下さい。

都市計画法第34条第1号の概要と具体例

市街化調整区域であっても、その地域に住む人々が健全な日常生活を営むためには、必要な施設を適切に整備することが重要です。

このため、法律第3条第1号では、公益性のある建築物や施設に限り開発行為を許可することが認められています。

公益上必要な建築物とは

本号で対象となる建築物としては、地域住民の日常生活を支える公共性の高い施設が想定されています。具体的には、以下のような施設が挙げられます。

●保育所や学校:地域の子どもたちが利用する教育機関。ただし、大学や専修学校、各種学校は含まれません。

●診療所や助産所:周辺住民が医療や介護を受けられる施設。

●社会福祉施設:通所型や入所型の施設で、福祉事業や更生保護事業に関連するもの。特に、地域住民やその家族が利用するための施設が対象です。

生活関連店舗や施設

地域住民の利便性を高めるために必要とされる店舗や施設も、条件を満たす場合には許可される可能性があります。例えば以下のようなものです。

●日用品の小売店舗:食料品や生活必需品を扱う店。

●修理業や理美容業:靴や家電の修理、理容室や美容室など。

●自動車関連施設:自動車修理工場、地域住民向けのガソリンスタンドやLPGスタンド。ただし、高速道路沿いなど地域住民を主な対象としないものは除外されます。

●農林漁業関連施設:農機具修理や農家の生活改善施設など。

ただし、これらの施設は周辺住民を主なサービス対象とすることが条件であり、規模が大きすぎる店舗などは原則として認められません。

小規模な建築物の特例

さらに、以下の条件を満たす小規模な店舗や事業所については、開発許可が不要となります。

●建築物の延べ面積が50㎡以下。

●建築物全体の延べ面積の50%以上が、販売、加工、修理といった業務の用途に供されていること。

●当該建築物の建築が、地域住民自身の事業活動のためであり、規模が100㎡以内であること。

このような要件を満たす開発行為については、法第29条による開発許可を取得する必要はありません(都市計画法第9条第1項第1号および施行令第22条第6号に基づく)。

都市計画法第34条第2号

都市計画法第34条第2号では、市街化調整区域内に存在する鉱物資源や観光資源などを有効活用するために必要な建築物を目的とした開発行為が許可されます。

これは、資源の有効利用が地域振興にとって重要であり、またその利用場所が明確に特定されるため、無秩序な市街化を引き起こすリスクが低いと判断されたためです。

鉱物資源の利用に必要な建築物

「鉱物資源の有効な利用上必要な建築物」とは、以下のような用途に供されるものを指します。

●採掘や選鉱、品位向上処理:鉱物の質を高めるための作業を行う施設。

●密接不可分な加工:採掘や選鉱と密接に関連する加工施設。

●探鉱作業や地質調査:地質調査や物理探鉱などの鉱山開発に関する施設。

具体例としては、日本標準産業分類における「鉱業(D分類)」に該当する事業や、市街化調整区域で産出される原料を活用する以下の事業が挙げられます。

●セメント製造業

●生コンクリート製造業

●粘土かわら製造業

●砕石製造業

一方で、鉄鋼業や非鉄金属製造業、石油精製業、コークス製造業などの「製造業(F分類)」に該当する事業は、この項目には含まれません。

観光資源の利用に必要な建築物

「観光資源の有効な利用上必要な建築物」には、以下のような施設が含まれます。

●展望台:観光資源の鑑賞を目的とする施設。

●宿泊施設や休憩施設:観光資源の価値を維持し、利用を促進するために必要とされる施設。

これらは、客観的に見てその資源の活用や価値維持に不可欠であると認められるものに限られます。

その他の資源の利用に必要な建築物

「その他の資源」としては水が挙げられます。以下のような施設が該当します。

●取水施設

●導水施設

●利水施設

●浄化施設

ただし、水を原料や冷却用水として利用する工場などは原則として該当しません。しかし、例外として、取水した水をその地域内で使用する特別な必要性が認められる場合は、本号の適用対象となる場合があります。

このように法第34条第2号は、地域振興や資源活用を考慮しつつ、市街化調整区域の秩序ある開発を促進するための枠組みを提供しています。

都市計画法第34条第3号

都市計画法第34条第3号は、湿度、温度、空気などの特別な自然条件が必要な事業に着目した条項です。

例えば、醸造業や精密機械工業などは、特定の自然条件が重要となる事業の代表例です。

このような自然条件を「広義の資源」として捉え、その活用を認めることが趣旨とされています。

しかし、現代の工業技術では、湿度や温度などを人工的に制御することが可能なケースが多く、これを理由に第3号の政令は未制定となっています。

そのため、現在のところ第3号によって許可される具体的な開発行為は存在しません。

都市計画法第34条第4号

都市計画法第34条第4号では、市街化調整区域内での農業や林業、水産業といった第1次産業の継続を前提に、これらの産業に必要な開発行為を許可の対象としています。

この区域内では第1次産業が引き続き行われることが見込まれ、これらの開発行為は市街化とみなすべきではないためです。

また、無秩序な市街化を招く懸念も少ないことから、このような趣旨で第4号が設けられています。

農産物などの処理・貯蔵・加工に必要な建築物

都市計画法34条第4号で許可される建築物には、特に市街化調整区域内で生産される農産物や畜産物、水産物を扱う事業用施設が該当します。

具体的には、次のような業種のための開発行為が許可されます。

●畜産食料品製造業

●水産食料品製造業

●野菜かん詰・果実かん詰・農産保存食料品製造業

●動植物油脂製造業

●精穀・精粉業

●砂糖製造業

●配合飼料製造業

●製茶業

●でん粉製造業

●一般製材業

●倉庫業

これらの業種は、市街化調整区域で生産される原材料を主な対象とした施設を必要とするため、法第34条第4号に基づく開発許可の対象となります。

都市計画法第34条5号

法第34条第5号は、「特定農山村地域における農林業等の活性化のための基盤整備の促進に関する法律」(以下「特定農山村法」)の制定に伴い、追加された規定です。

この条項では、特定農山村法第8条第6項に基づき、都道府県知事の承認を受けた市町村が作成・公告する「所有権移転等促進計画」に従って行われる、農林業等活性化基盤施設に係る開発行為が許可される対象となります。

具体的には、以下のようなケースを想定しています:

●所有権移転等促進計画で指定された土地の全部または一部が市街化調整区域内に含まれている場合

●所有権の移転が行われた後、その土地が農林業等活性化基盤施設として利用される場合

都道府県知事の承認と開発許可の審査

所有権移転等促進計画の実施には、特定農山村法第8条第6項の規定に基づき、都道府県知事の承認が必要です。この承認を得る際、都道府県知事は以下の観点で土地利用を事前に審査します。

●法第34条各号

●政令第36条第1項第3号

この審査によって、農林業等活性化基盤施設の立地が法律や政令に適合していることが確認されます。そのため、開発許可の審査段階で改めて法第34条に基づく適合性を検討する必要はありません。

都市計画法第34条第5号の追加により、特定農山村地域の農林業活性化を目的とした基盤整備が円滑に進むようになりました。

この仕組みは、所有権移転等促進計画と都道府県知事の承認プロセスを通じて、適切な土地利用を事前に確保し、効率的に開発許可を進めるための制度です。

都市計画法第34条6号

都市計画法第34条第6号は、中小企業の振興を目的とした開発行為に関する規定です。

この条項では、都道府県と独立行政法人中小企業基盤整備機構(以下「中小機構」)が連携して助成する中小企業者の開発行為が許可される対象とされています。

これにより、中小企業の振興を促進しつつ、無秩序な市街化の防止にも配慮した仕組みとなっています。

都道府県と中小機構の連携

「都道府県が中小機構と一体となって助成する」とは、以下のような資金の流れや支援を指します:

●都道府県が中小機構から資金を借り入れ、その資金を活用して中小企業に必要な資金を貸し付ける場合

●逆に、中小機構が都道府県から資金を借り入れ、中小企業の高度化を目的とした融資を行う場合

このように、都道府県と中小機構が協力して中小企業の発展に必要な支援を行うことで、地域の経済活性化が図られます。

都市計画法第34条7号

都市計画法第34条第7号は、市街化調整区域内にある既存工場に関連する事業の効率化を目的とした建築物等の開発行為について、特別な必要性がある場合に許可を認める規定です。

この許可は、既存事業の効率を向上させるために市街化調整区域内での建築が不可欠と判断される場合に適用されます。

許可の対象となる条件

事業効率化の判断においては、以下のようなケースが許可の対象となります:

●事業の質的改善が図られる場合

●事業規模の拡大を伴う場合

これらの場合には、特別な必要性があるものとして扱われ、許可を取得することが可能です。

「密接な関連を有する」とは
既存工場と新たな事業が「密接な関連を有する」とされる具体例として、以下の条件が挙げられます:

●新事業が既存工場に対して生産物の50%以上を原料や部品として供給している場合

●逆に、既存工場の生産物の50%以上が新事業に必要な原料や部品として使用されている場合

これらの条件を満たすことで、新事業と既存工場が生産、組立て、出荷といった工程で不可分一体の関係にあると認められ、開発許可が下りる可能性があります。

都市計画法第34条8号

都市計画法第34条第8号では、危険性などの理由で市街化区域に適さない建築物や第1種特定工作物を目的とする開発行為について、市街化調整区域での許可を認めています。

◆許可対象の具体例◆
市街化調整区域内で立地が認められるものとして、以下が挙げられます:

●火薬庫(火薬類取締法第12条に基づく)

●第1種特定工作物

これらの施設は、その性質上、安全性を確保する観点から市街化区域での立地が不適当とされ、市街化調整区域での開発が許可される仕組みとなっています。

都市計画法第34条9号

対象建築物
市街化区域内では建築が難しい、または不適切とされる建築物や第一種特定工作物のうち、政令で定められたものが対象です。

具体例として、道路管理施設、ドライブイン、ガソリンスタンド、自動車用充電設備施設などの「沿道サービス施設」や火薬類製造所が該当します。

沿道サービス施設の目的と条件

沿道サービス施設は、市街化調整区域内で道路の円滑な交通を支えるために設置される施設です。これらは基準を満たすことで開発許可や建築許可を受けて建設できます。

1. 道路管理施設
高速道路などで道路の維持や修繕を行うために道路管理者が設置します。

2. 休憩所
自動車運転者の休憩目的の施設(例:ドライブイン、レストラン、喫茶店)。適切な規模で、座席4席につき駐車場1台分が必要です。宿泊施設や物販店舗(例:コンビニ)は対象外です。

3. 給油所
ガソリンスタンドや自動車用エネルギー供給施設(例:水素スタンド、充電設備)が該当します。

上記は、1例ですので各自治体の担当部署に詳細を確認してください。

都市計画法第34条10号

●対象区域
地区計画または集落地区計画が定められた区域(地区整備計画や集落地区整備計画が策定されている区域に限る)での開発が対象です。

●開発条件
これらの計画で定められた内容に適合する建築物や第一種特定工作物を建築・建設するための開発行為が認められます。

具体例:一戸建て住宅・共同住宅や長屋・小規模な店舗など

この規定は、地区や集落の計画的な整備と適正な土地利用を目的としており、計画に従った開発行為のみが許可されます。

都市計画法第34条11号

法第34条第11号の趣旨は、市街化区域に隣接または近接しており、自然的・社会的条件から一体的な生活圏を形成していると認められる地域において、一定の条件を満たす場合に開発許可が認められるというものです。

このような地域では、すでに公共施設が相当程度整備されているか、隣接する市街化区域の公共施設が利用可能であるため、積極的な公共投資は必ずしも必要ではないとされています。

開発要件

開発が認められるための条件は以下の通りです。

1. 市街化区域に隣接または近接していること
開発区域が市街化区域に接している、または近い位置にあることが必要です。

2. 一体的な日常生活圏を形成していること
自然環境や社会的条件が整い、地域が一体的な生活圏を構成していると認められることが求められます。

3. おおむね50戸以上の建築物が連たんしていること
少なくとも50戸以上の建物がまとまりをもって建てられている区域であることが必要です。

これらの3つの条件をすべて満たす場合に限り、開発区域が設定され、開発行為が認められることとなります。いずれか一つの条件だけが満たされている場合には、開発区域としての設定はできません。

注意点

市街化調整区域における開発は、無秩序な都市拡張が生じないように慎重に行われなければなりません。

開発区域の周囲の公共施設の整備状況や、市街化調整区域全体の土地利用計画を考慮し、適切な区域設定や用途設定が求められます。

これにより、無秩序な開発を防ぎ、地域の整備計画に沿った開発が促進されます。

都市計画法第34条12号

市街化調整区域では通常、宅地の造成や建物の建築は認められていません。

しかし、特定の条件を満たす場合、開発許可を取得できることがあります。具体的には、次の条件を満たす場合です

●市街化調整区域(隣接する市町村も含む)に20年以上住んでいる6親等以内の親族がいること

●申請者が現在住んでいる家が自己所有でないこと

●申請者が自己の居住用に建物を建てる目的であること

これらの条件を満たせば、開発許可(都市計画法第34条第12号)を取得できる可能性があります。

34条第12号の基準については、各自治体によって基準が違いますので各自治体の担当部署に詳細を確認してください。

都市計画法第34条13号

都市計画法第34条第13号では、市街化調整区域に指定された土地について、以前からその土地の所有権または所有権以外の権利(地上権、賃借権など)を持っていた人に対し、経過的な措置として、最大5年間にわたり従前の計画通りに土地の利用を認めることを定めています。

条件

1. 自己の居住用:開発行為を行う主体が自らの生活の本拠として使用することを目的とする場合。これにより、自然人(個人)のみが該当し、会社が従業員宿舎の建設や、団体が住宅を組合員に譲渡する目的の開発行為は該当しません。

2. 自己の業務用:開発行為が、当該建築物または第1種特定工作物内で継続的に経済活動を行うことを目的としている場合。この場合、住宅の建設や宅地の造成、賃貸・分譲住宅の建設、貸事務所や貸店舗などは対象外となります。一方で、ホテル、旅館、結婚式場、中小企業の共同施設や、企業の従業員のための福祉厚生施設などは該当します。

また、都市計画法第34条第13号の届出をした者の地位の承継については、明確な規定はありませんが、都市計画法第44条に基づき、届出を行った者の相続人や一般承継人は、その地位を承継するものと解釈されています。

都市計画法第34条第14号

都市計画法第34条第14号は、前の13項目に該当しない開発行為について、周辺の市街化を促進するおそれがなく、かつ市街化区域内では行えないか不適当な開発行為を許可できると規定しています。

この条文を設けた理由は、前の規定が限定的であるため、特別なケースで柔軟な対応が求められるためです。

この場合、開発審査会を通じて審査を行う理由は、裁量的な要素が多いため、公正かつ慎重に判断を下す必要があるからです。

開発審査会は、学識経験者など第三者の専門的な意見を取り入れ、開発許可権限者が適切に許可を出すための基準を提供します。

具体例

1. 分家に伴う住宅

2. 収用対象事業の施行により移転・除却する建築物に代わるもの

3. 社寺仏閣や納骨堂

4. 市街化調整区域での研究施設

5. 特定事業所の従業員住宅や寮の建設

6. 土地区画整理事業が行われた土地の建築物
7. 大規模集落における建築物(住宅や小規模工場、公共住宅など)

さらに、既存建物の建て替えや、自然環境に調和したレクリエーション施設の設置など、周辺土地利用に支障がない場合は、法第29条や第43条に基づく許可審査も適用されることがあります。

このように、法第34条第14号は、特例的な救済措置を設けることで、柔軟な開発を可能にしつつも、審査を通じて適正に運用されるようにしています。

まとめ

都市計画法第34条の立地基準は、地域ごとの特性を尊重し、市街地の計画的な発展を促進することを目的としています。

開発行為は、地域の環境や生活圏に配慮しながら進められなければならず、特に市街化調整区域における開発は厳格に管理されています。
このブログで解説した都市計画法第34条は、各自治体で適用しない項目・基準や許可内容・要件について違いがありますので、市街化調整区域の不動産を所有している方は役所の担当部署に立地基準を確認しましょう。

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