今回は「市街化調整区域の不動産を売却する時の心構えについて説明します」のお話です。
市街化調整区域の不動産売却のご依頼を頂く時に、よく耳にするのが
「市街化調整区域の不動産は売却できないんじゃないの?」
「市街化調整区域の不動産売却は時間が掛かるんでしょ」
これらのようなお話を頂く事が多くあります。
所有者の方が思っている通りに、市街化調整区域の不動産を売却する際は、市街化区域の不動産売却と比較すると時間が掛かると思って頂いた方が良いです。
売却できるまで時間が掛かる理由はご存じの通り、市街化調整区域の不動産には様々な制限があり、開発行為や農地転用の許可申請に数か月の期間を要します。
この事については買い手が決まって契約や残金決済が具体的になってからの事で、買い手側を探す事についても時間が掛かります。
先ずは、物件が所在する地域や自治体によって制限が異なる市街化調整区域は開発行為・建築等ができる人に制限が掛かる場合があります。
例えば、都市計画法第34条12号の制限が掛かるような不動産については、開発行為ができる買い手については親族要件(6親等や3親等以内の親族が20年以上市街化調整区域に居住等が条件)あるので開発行為・建築等ができる人が限られています。
これは購入できる人・購入する人が限られる、すなわち誰でも購入する物件に比べれば時間は限られるのは当然です。
その他にも都市計画法の立地基準に合わなければ開発行為できなかったり、農地の売却については農業振興地域農用区域内農地の青地である場合には、農業従事者が農地の状態で購入するか用途変更する場合には農振除外の申請を行わなければなりません。
本来であれば、原則として開発行為・建築もできなければ、農地であれば購入できる人も制限が掛かるような不動産であれば時間が掛かるのは理解ができますよね。
どうしても売却ができるか心配だったり時間が掛かる事が不安であるなら不動産の買取会社に買い取りを依頼しすれば早く売却する事ができます。
しかし、所有者として納得するような価格で売却できるかは分かりませんし、農地であれば開発行為が個人申請でないと受け付けられなければ、不動産会社との売買契約から数か月~数年掛かることも珍しくありません。
市街化区域の不動産であれば、物件自体に余程の問題が無い限り価格の設定・調整を行えば売却に時間が掛かる事は少ないです(需要と供給や諸事情がある場合は別です)。
しかし、市街化調整区域の不動産売却は、開発行為・建築等の制限が厳しい事や許可申請等の手続きがあるため買い手を探して売買契約をするまでにも契約から引渡しまでも時間が掛かります。
市街化調整区域の不動産を売り出して1~2か月で急いで売却しようと思う方は、ご自身が希望している坪単価の5分の1~10分の1で売却しなければならないと思っていた方が良いでしょう。
ここで間違ってはいけないのは線引き前宅地や既存宅地として宅地性が自治体から認められて宅地分譲ができるような物件は若干違うという事は付け加えておきますね。
今回は、この辺でおしまいです。