市街化調整区域の農地は、原則として建物の建築や宅地化が認められていないエリアです。
不動産会社がこのような土地を買い取って開発しようとする場合、どのような法律や制度、金融機関の評価が関わってくるのでしょうか?
今回は、都市計画法第34条11号や銀行の融資姿勢、開発許可の可能性、担保評価の現実などを交えて、専門的な視点から詳しく解説します。
そもそも市街化調整区域とは?

市街化調整区域とは、都市計画法に基づいて「市街化を抑制すること」を目的に定められた区域です。
都市の無秩序な拡大を防ぐため、新たに建物を建てたり、住宅地として開発したりすることは、原則として禁止されています。
この区域内の農地については、「農業振興地域」にも重複して指定されているケースが多く見られます。
そのため、農地法による制限も加わり、非農家や一般法人による農地の取得は原則として認められていません。
都市の無秩序な拡大を防ぐため、新たに建物を建てたり、住宅地として開発したりすることは、原則として禁止されています。
この区域内の農地については、「農業振興地域」にも重複して指定されているケースが多く見られます。
そのため、農地法による制限も加わり、非農家や一般法人による農地の取得は原則として認められていません。
不動産会社が農地を買い取ることはできるのか?~農地法による制限~

市街化調整区域内の農地を不動産会社が買い取る場合、「農地法第5条の許可」が必要になりますが、立地基準等の要件を満たさなければ農地転用の許可が下りるのは大変難しく農地のままでの取得は非常に難しいのが現状です。
農地の保全が最優先されるため
市街化調整区域は市街化を抑制し、農地の保全を図るために設定された区域です。
農地転用によって農業生産基盤が損なわれる恐れがある場合、許可は下りません。
農地転用によって農業生産基盤が損なわれる恐れがある場合、許可は下りません。
転用目的が農業振興と合致しない場合
農地転用の許可は基本的に農業振興に資する場合や公共性のある利用に限られます。
不動産会社が宅地開発など営利目的で転用を申請すると、認められにくいです。
不動産会社が宅地開発など営利目的で転用を申請すると、認められにくいです。
周辺環境や地域計画との整合性が取れない場合
農地転用により周辺の農業環境や自然環境、地域の土地利用計画に悪影響が出ると判断された場合は許可されません。
転用後の利用が具体的に明確でない、または不適切な場合
転用後の土地利用計画が具体的でなかったり、無秩序な開発になると予想される場合は許可が見送られます。
申請者が農業従事者でない場合
農地の適正利用を確保するため、農業に従事する者でないと許可が下りにくい傾向があります。
不動産会社のような営利企業は農業振興の観点から許可が厳しくなります。
不動産会社のような営利企業は農業振興の観点から許可が厳しくなります。
転売・営利目的での農地転用許可は難しい
市街化調整区域の農地転用許可は「農地の保全と地域の調和」を最優先にしており、不動産会社が営利目的で取得・転用をする場合は、許可が非常に厳しくなっています。
農地転用がカギ
そこで重要となるのが「農地転用許可(農地法第5条)」です。農地を宅地などに用途変更するためには、市町村の農業委員会の許可が必要ですが、市街化調整区域の場合は特に許可基準が厳格です。
原則として、開発行為や住宅建設を伴う農地転用は認められていません。
原則として、開発行為や住宅建設を伴う農地転用は認められていません。
例外的に可能なケース:都市計画法第34条11号とは?
市街化調整区域内でも、特定の条件を満たす場合に限り、開発行為が許可されることがあります。
これを定めているのが「都市計画法第34条各号」です。
なかでも、第34条11号は、自治体が条例で指定した特定の区域(いわゆる「開発可能区域」)において、一定の基準を満たす住宅開発などを認める規定です。
これを定めているのが「都市計画法第34条各号」です。
なかでも、第34条11号は、自治体が条例で指定した特定の区域(いわゆる「開発可能区域」)において、一定の基準を満たす住宅開発などを認める規定です。
条件付きで開発可能なエリア(条例指定区域)の例
・既存集落に隣接し、生活インフラが整っている地域であること
・5戸以上の戸建て住宅を計画する開発であること
・地元住民との十分な調整が行われていること
・道路拡幅や上下水道の負担金など、公共施設への負担を行うこと
このような区域は各自治体が条例で指定しており、「11号区域」などと呼ばれます。不動産会社は、こうした区域内であれば農地の転用申請を行い、取得や住宅開発が認められる可能性があります。
・5戸以上の戸建て住宅を計画する開発であること
・地元住民との十分な調整が行われていること
・道路拡幅や上下水道の負担金など、公共施設への負担を行うこと
このような区域は各自治体が条例で指定しており、「11号区域」などと呼ばれます。不動産会社は、こうした区域内であれば農地の転用申請を行い、取得や住宅開発が認められる可能性があります。
農地区分が第1種農地の場合?
都市計画法第34条11号区域に指定されていても、農地区分が第1種農地である場合には開発行為の許可が下りることはあっても、宅地の分譲開発はできない場合があります。
各自治体の担当部署での確認が必要となりますので注意してください。
各自治体の担当部署での確認が必要となりますので注意してください。
銀行融資の観点:市街化調整区域の土地は担保評価されるのか?

市街化調整区域内の土地に対して、銀行は非常に慎重な姿勢を取ります。
特に担保評価においては、以下のポイントが重要です。
特に担保評価においては、以下のポイントが重要です。
転用・開発許可が確定していない農地の場合
未転用の農地は自由に利用・処分ができないため、「制限付き資産」と見なされます。
このため、担保価値は極めて低いか、ほぼゼロと評価されることが一般的です。
このため、担保価値は極めて低いか、ほぼゼロと評価されることが一般的です。
都市計画法第34条11号の開発許可見込みがある場合
都市計画法第34条11号区域内で、かつ開発許可の取得見込みが高く、許認可の手続きが進んでいる場合は、開発許可取得の条件付きで担保評価を受けられる可能性があります。
ただし、多くの金融機関はリスク回避の観点から、「開発許可が既に取得済み」であることを担保評価の前提とするケースが多く、許認可前の段階では評価額を大きく割り引くことが一般的です。
ただし、多くの金融機関はリスク回避の観点から、「開発許可が既に取得済み」であることを担保評価の前提とするケースが多く、許認可前の段階では評価額を大きく割り引くことが一般的です。
宅地分譲は可能か?不動産開発の現実

不動産会社が市街化調整区域内の農地を取得し、分譲住宅用地に転換するためには、以下のステップが必要です。
・11号区域かどうかの確認
まず、対象土地が都市計画法第34条11号に該当する開発可能区域であるかを自治体に確認します。
・土地利用計画・開発計画の立案
分譲住宅用地としての具体的な計画を作成します。地元住民との調整も重要なポイントです。
・開発許可の申請(都市計画法第29条)
市町村長などの行政に対して開発行為の許可を申請します。
・農地転用許可の申請(農地法第5条)
農地を宅地に転用するために、農業委員会などに許可申請を行います。
・開発許可取得後の造成工事・宅地化
許可が下りた後、造成工事を実施し、宅地として整備します。
・分譲開始・建築確認申請・販売
宅地分譲を開始し、購入者による建築確認申請、建築が進められます。
・11号区域かどうかの確認
まず、対象土地が都市計画法第34条11号に該当する開発可能区域であるかを自治体に確認します。
・土地利用計画・開発計画の立案
分譲住宅用地としての具体的な計画を作成します。地元住民との調整も重要なポイントです。
・開発許可の申請(都市計画法第29条)
市町村長などの行政に対して開発行為の許可を申請します。
・農地転用許可の申請(農地法第5条)
農地を宅地に転用するために、農業委員会などに許可申請を行います。
・開発許可取得後の造成工事・宅地化
許可が下りた後、造成工事を実施し、宅地として整備します。
・分譲開始・建築確認申請・販売
宅地分譲を開始し、購入者による建築確認申請、建築が進められます。
農地のままでの買取・融資はどうなる?

市街化調整区域における「農地」をそのまま不動産会社が買い取ることには、法律上・金融上の大きな制約があります。
その理由を整理してみましょう。
その理由を整理してみましょう。
農地法による制限:不動産会社は農地を買えない
農地を農地のまま売買するには、農地法第3条の許可が必要です。
しかし、この許可は、あくまで農業を継続する個人や農業法人に対して与えられるものであり、宅地開発を目的とする不動産会社には原則として認められません。
そのため、不動産会社が農地を取得するには「農地を農地として取得する」のではなく、開発目的の農地転用(農地法第5条許可)を前提とした契約スキームが必要となります。
しかし、この許可は、あくまで農業を継続する個人や農業法人に対して与えられるものであり、宅地開発を目的とする不動産会社には原則として認められません。
そのため、不動産会社が農地を取得するには「農地を農地として取得する」のではなく、開発目的の農地転用(農地法第5条許可)を前提とした契約スキームが必要となります。
農地のままでは担保評価ゼロ、融資は基本的に不可能
仮に農地所有者との間で売買の意思があっても、農地のままでは金融機関は担保評価を行いません。
なぜなら、農地は利用用途が農業に限定され、流動性が著しく低いため、実質的に「換金性のない資産」とみなされるからです。
そのため、金融機関が融資を行うには以下の要件を満たす必要があります:
・開発許可・農地転用許可の取得済み
・分譲計画の具体性と実現性が確保されている
・自治体(都市計画審査会など)との事前調整・了承済み
これらをクリアして初めて、担保価値が認められ、融資実行が可能になります。
なぜなら、農地は利用用途が農業に限定され、流動性が著しく低いため、実質的に「換金性のない資産」とみなされるからです。
そのため、金融機関が融資を行うには以下の要件を満たす必要があります:
・開発許可・農地転用許可の取得済み
・分譲計画の具体性と実現性が確保されている
・自治体(都市計画審査会など)との事前調整・了承済み
これらをクリアして初めて、担保価値が認められ、融資実行が可能になります。
実務上の対応:予約契約や仮登記を活用
現実には、不動産会社が農地を購入する際は次のようなスキームが取られます:
・予約契約や仮登記付きの売買契約を先行して締結
・農地転用許可の取得後に正式に所有権移転
・担保価値が生じた段階で、金融機関からの融資実行
このように、農地法や都市計画法の規制を遵守しつつ、リスクを回避しながら取引を進めるのが一般的です。
・予約契約や仮登記付きの売買契約を先行して締結
・農地転用許可の取得後に正式に所有権移転
・担保価値が生じた段階で、金融機関からの融資実行
このように、農地法や都市計画法の規制を遵守しつつ、リスクを回避しながら取引を進めるのが一般的です。
農地のままでは買取・融資ともに不可。不動産会社の農地取得は「法・条例・評価・戦略」の総合判断がカギ

市街化調整区域内の農地を不動産会社が取得・開発することは、法的・実務的に原則として非常に困難です。
特に重要なのは、農地のままでは不動産会社による買取が基本的にできず、担保評価もほとんどなされないため、融資の実行も不可能であるという点です。
そのため、実務上は、まず都市計画法第34条11号に該当する区域かどうかを確認し、開発許可および農地転用許可を取得した後に、所有権の移転と融資実行を行うという流れが不可欠となります。
これらの許可が得られる見込みがあり、金融機関による担保評価や融資の目処が立つ場合に限って、例外的に開発や分譲が可能になります。
しかし、農地転用前に融資を受けることは原則不可能であり、所有権移転も転用許可取得後に行われるのが一般的です。
不動産会社にとっては、法令や条例の制限、金融機関の評価基準、行政の運用方針などを総合的に踏まえ、事前に資金調達の方法や契約スキームを慎重に設計することが不可欠であり、自治体ごとの基準や実務運用も異なることから、専門家と連携した綿密な調査と戦略立案が成功のカギとなります。
特に重要なのは、農地のままでは不動産会社による買取が基本的にできず、担保評価もほとんどなされないため、融資の実行も不可能であるという点です。
そのため、実務上は、まず都市計画法第34条11号に該当する区域かどうかを確認し、開発許可および農地転用許可を取得した後に、所有権の移転と融資実行を行うという流れが不可欠となります。
これらの許可が得られる見込みがあり、金融機関による担保評価や融資の目処が立つ場合に限って、例外的に開発や分譲が可能になります。
しかし、農地転用前に融資を受けることは原則不可能であり、所有権移転も転用許可取得後に行われるのが一般的です。
不動産会社にとっては、法令や条例の制限、金融機関の評価基準、行政の運用方針などを総合的に踏まえ、事前に資金調達の方法や契約スキームを慎重に設計することが不可欠であり、自治体ごとの基準や実務運用も異なることから、専門家と連携した綿密な調査と戦略立案が成功のカギとなります。
「農地のままでは売れません!市街化調整区域の活用、まずはご相談ください」

市街化調整区域内の農地を不動産会社に売却したいと思っても、農地法や都市計画法の制限、さらには金融機関の担保評価の問題など、簡単には進まないのが現実です。
特に農地のままでは不動産会社による直接買取はできず、担保価値もゼロ評価。
融資も受けられないため、売却や開発には高度な法的知識と戦略的なスキーム設計が不可欠です。
✅ 農地転用や開発許可をどう取る?
✅ 金融機関の評価や融資の目処は?
✅ 自治体の基準や運用はどうなってる?
こうした疑問を一つずつクリアにし、現実的な活用や売却に導くために、まずはお気軽にご相談ください。
「農地だけど、活用したい・売却したい」そんな方のために、初回無料でご相談を承ります。
特に農地のままでは不動産会社による直接買取はできず、担保価値もゼロ評価。
融資も受けられないため、売却や開発には高度な法的知識と戦略的なスキーム設計が不可欠です。
✅ 農地転用や開発許可をどう取る?
✅ 金融機関の評価や融資の目処は?
✅ 自治体の基準や運用はどうなってる?
こうした疑問を一つずつクリアにし、現実的な活用や売却に導くために、まずはお気軽にご相談ください。
「農地だけど、活用したい・売却したい」そんな方のために、初回無料でご相談を承ります。