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建物が建築できない市街化調整区域にコンビニがある事。疑問に感じたことありませんか?

国道や県道を車で走っていると、周囲は田畑や山林ばかりなのに、突然コンビニやガソリンスタンドが現れる光景を目にしたことはありませんか?

「ここ、市街化調整区域じゃないの?」 「建物は建てられないはずでは?」

不動産の相談現場では、この疑問は本当によく出てきます。

そして、多くの場合、その背景には“大きな誤解”があります。

今回は、市街化調整区域にコンビニエンスストアについて

・なぜ建てられるのか

・なぜ同じことが自分の土地では通用しないのか

・知らずに判断すると何が起きるのか

この3点を、実務目線で分かりやすく整理します。

市街化調整区域とは?

市街化調整区域とは、都市計画法に基づき「市街化を抑制する区域」として指定されたエリアです。

目的はシンプルで、

・無秩序な宅地化を防ぐ

・インフラ整備の負担を抑える

・計画的なまちづくりを行う

という点にあります。

そのため原則として、住宅 ・店舗 ・事務所などの新築や開発行為は認められていません。

この原則だけを見ると、 「建築できない土地」「売れない土地」 というイメージを持たれがちですが、

実際は、もう少し複雑で例外としての規制緩和のような立地基準があります。

都市計画法第34条。すべての開発行為が禁止ではない

市街化調整区域でも、すべての開発行為や建築行為が禁止されているわけではありません。

都市計画法第34条では、『地域にとって必要性が高い施設』について、一定の条件を満たす場合に限り、例外的に開発・建築を認める と定められています。

この「例外規定」があるからこそ、市街化調整区域でもコンビニや病院、ガソリンスタンドが存在しています。

都市計画法第34条の立地基準とは

都市計画法第34条では、市街化調整区域内でも一定の条件要件を満たす場合に限り、建築が認められる施設の基準を定めています。

この法令に基づき、公共性の高い施設や地域住民にとって必要不可欠な施設については特例的に建築が許可されることがあります。

市街化調整区域に、なぜコンビニが建てられるのか?

結論から言うと、コンビニは単なる商業施設ではなく、

・地域住民の生活利便施設

・道路利用者のための補完施設

として評価されるケースがあるためです。

その判断は、主に次の視点から行われます。

既存集落の生活利便施設としての役割

市街化調整区域には、昔から人が住み続けている「既存集落」が点在しています。

その周辺の住民が生活するうえで必要とされる日用品や食料品を供給する施設として、コンビニの必要性が認められることがあります。

ここで見られているのは「儲かるかどうか」ではなく、 ▶ 地域の暮らしを支えるかどうか という点です。

道路交通の利便性を考慮した立地

都市計画法第34条の立地基準では、地域住民や通行するドライバーの利便性を高める目的がある場合は、許可される可能性があります。

立地基準の要件の1つとして、開発区域に接する道路種別や幅員があります。

例えば、国道・県道沿いであれば床面積の大きい店舗等の建築が可能になります。また、市道・町道については接する道路の幅員が基準に達していれば要件を満たす可能性があります。

都市計画審議会の審査を通過すること

コンビニ等の建設には、地方自治体の都市計画審議会による審査を受ける必要があります。

その審査では、本当に地域に必要な施設なのか、環境への影響はないかなどが検討され、適切と判断された場合にのみ許可が下ります。

都市計画法第34条第9号の立地基準に適用されるかは、その立地の道路条件が重要になると言われています。

多くの自治体で共通する代表的な要件は、次の通りです。

・現に供用されている国道または県道に接していること

・または国道・県道に接続する「幅員12m以上の市道」に接していること

・対象道路に6m以上接道していること

さらに、側道がある場合でも、 「幹線道路の通行車両が安全に出入りできる構造か」 まで審査されます。

つまり、 ▶ 調整区域 × 9号施設 = 立地できる ではなく、 ▶ 調整区域 × 9号施設 × 道路条件クリア で初めて検討対象になる、ということです。

都市計画法第34条第9号で建築が可能な施設

都市計画法第34条では、以下のような施設が例外的に建築可能とされています。

都市計画法第34条第9号で開発行為が認められるコンビニエンスストアは、あくまで「道路利用者や周辺地域の利便性を補完する小規模店舗」という位置づけです。

そのため、大型のスーパーマーケットや既存の店舗の用途拡大や業態変更は原則として認められません

また、予定建築物の規模に応じて、 大型車が出入でけいる駐車場が求められ、単に敷地面積が大きいだけではいけません。・大型車を含む十分な駐車場 ・出入口の安全計画

都市計画法第34条9号の立地基準では、国道や県道の幹線道路沿いにおいて、通行者の利便性を高める施設も検討対象となります。。

・国道・県道に接しているか

・一定以上の道路幅員があるか

・出入口の安全性は確保されているか

これらの条件を満たすことで、

・ガソリンスタンド

・ロードサイド型コンビニエンスストア

が「交通インフラの一部」として許可されるケースがあります。

役所に行けば分かる?現実はこうです

「とりあえず役所に聞けば分かる」と考える方は多いですが、役所で教えてもらえるのは基本的に“一般論”です。

・過去の許可内容

・土地の履歴

・周辺状況

・接道条件

これらが整理されていなければ、「ケースバイケースです」 で終わってしまうことも少なくありません。

市街化調整区域の土地の開発行為の可能性を確認するには相談票を提出し許可の可否まで確認した方が良いでしょう。

まずはセルフチェックしてみてください

次の項目、いくつ当てはまりますか?

・市街化調整区域の土地を相続した

・建物はあるが建替えできるか分からない

・国道・県道に接している

・道路幅が4m以上ある

・役所での説明がよく分からなかった

一つでも曖昧な場合、その土地は「調べ方を間違えると判断を誤る土地」である可能性があります。

まとめ

市街化調整区域は原則として建築が制限されていますが、都市計画法第34条により特定の施設は例外的に建築が認められています。

コンビニやガソリンスタンド、病院が存在するのは、この法律の枠組みの中で許可を受けているためです。

「市街化調整区域なのに、なぜ建物があるのか?」と疑問に思ったときは、都市計画法第34条の存在を思い出してみてください。

市街化調整区域の不動産売却を検討している方へ

市街化調整区域の土地は、

・建築行為が可能な土地

・開発行為が可能な土地

このような土地は調べ方次第で価値が大きく変わる土地に分かれます。

表面だけ見て判断すると、「売れないと思っていたら売れた」「売れると思っていたら話が進まなかった」 という差が生まれます。

市街化調整区域の不動産は売却を考え始めた段階で、一度状況整理をしておくことで、無駄な時間や機会損失を防ぐことができます。

相続した土地で悩んでいる方へ

・相続したが何ができる土地なのか分からない
・兄弟姉妹と話を進める前に整理したい
・売るべきか、残すべきか判断できない

市街化調整区域の土地は、感覚で決めると後悔しやすい分野です。
事実関係を整理した上で選択することが大切です。

ご相談について

市街化調整区域の土地について、「売却できるのか」「建替えできるのか」「そもそも何ができるのか」すぐに答えを出す前に、まずは状況整理からお手伝いしています。

所有する市街化調整区域の不動産の役所調査の進め方や考え方を知るだけでも、不動産を活用するか売却するかの判断基準が明確になります。

市街化調整区域の土地について、「売却できるのか」「建替えできるのか」を即断する前に、現状整理をしてみませんか。

個別の事情を踏まえた整理・調査の進め方について、実務目線でお伝えしています。

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