
不動産を売却・購入する際、必ずと言っていいほど疑問に上がるのが「固定資産税(+都市計画税)はどちらが払うのか?」という問題です。
「もう手放した物件なのに、なぜ私が払い続けなければいけないの?」 「まだ数ヶ月しか住んでいないのに、なぜ請求が来るの?」
こうした現場でよくある疑問や、一般の不動産サイトではあまり触れられない「起算日のトラップ」や「売主様が納得してくれない時の対処法」まで、現役の現場目線で分かりやすく解説します。
結論:法律上の納税義務者は「1月1日時点の所有者(売主)」

まず、法律(地方税法)上のルールから整理しましょう。
固定資産税および都市計画税の納税義務者は、「毎年1月1日現在、固定資産課税台帳に登録されている所有者」と定められています。
【ここがポイント!】
例えば、1月2日に不動産を引き渡して名義変更(所有権移転登記)を完了したとしても、その年の1年分の納税通知書は、1月1日時点で所有者だった「売主様」の元に届きます。
役所は「年の途中で誰に所有権が移ったか」は関係なく、1月1日の所有者に全額を請求します。
固定資産税および都市計画税の納税義務者は、「毎年1月1日現在、固定資産課税台帳に登録されている所有者」と定められています。
【ここがポイント!】
例えば、1月2日に不動産を引き渡して名義変更(所有権移転登記)を完了したとしても、その年の1年分の納税通知書は、1月1日時点で所有者だった「売主様」の元に届きます。
役所は「年の途中で誰に所有権が移ったか」は関係なく、1月1日の所有者に全額を請求します。
実務ではどうする?「日割り清算」の仕組み

「じゃあ、売却した後の分の税金も売主が全額損をするの?」と言えば、そんなことはありません。不動産取引の実務では、引渡し日を基準にして「日割り清算」を行うのが一般的です。
具体例で見る日割り清算(起算日:1月1日の場合)
売主Aさんが、買主Bさんに7月1日に不動産を引き渡すとします。
●売主Aさんの負担: 1月1日 〜 6月30日(所有していた期間)
●買主Bさんの負担: 7月1日 〜 12月31日(新しく所有する期間)
買主Bさんは法律上の納税義務者ではないため、自分で役所に行ってその期間分だけ納税することはできません。
そのため、引渡し(決済)の日に、買主Bさんから売主Aさんへ「固定資産税の清算金」として自分の負担分を現金(または振込)で支払います。
売主Aさんは、受け取った清算金と自分の負担分を合わせて、役所から届いた通知書で全額を納税します。
●売主Aさんの負担: 1月1日 〜 6月30日(所有していた期間)
●買主Bさんの負担: 7月1日 〜 12月31日(新しく所有する期間)
買主Bさんは法律上の納税義務者ではないため、自分で役所に行ってその期間分だけ納税することはできません。
そのため、引渡し(決済)の日に、買主Bさんから売主Aさんへ「固定資産税の清算金」として自分の負担分を現金(または振込)で支払います。
売主Aさんは、受け取った清算金と自分の負担分を合わせて、役所から届いた通知書で全額を納税します。
プロが直面する「起算日」の地域格差トラップ

ここで、多くの一般向け不動産サイトが見落としがちな重要ポイントがあります。
それが「起算日(基準日)をいつにするか」という問題です。
固定資産税の日割り計算のスタートになる日(起算日)は、法律で一律に決まっているわけではなく、地域や慣習によって異なります。
地域 一般的な起算日 特徴
関東地方など 1月1日 暦年(カレンダー通り)で計算する
東海地方以西 4月1日 財政年度(役所の会計年度)に合わせて計算する
(関西・九州など)
それが「起算日(基準日)をいつにするか」という問題です。
固定資産税の日割り計算のスタートになる日(起算日)は、法律で一律に決まっているわけではなく、地域や慣習によって異なります。
地域 一般的な起算日 特徴
関東地方など 1月1日 暦年(カレンダー通り)で計算する
東海地方以西 4月1日 財政年度(役所の会計年度)に合わせて計算する
(関西・九州など)
実際にあった現場の事例(三重県での取引)
先日、三重県内の不動産取引(買主様が不動産業者)を行った際、買主様側から「起算日は4月1日で計算してください」との要望がありました。
もし、関東の感覚のまま「1月1日」で計算してしまうと、日割り金額が大きく変わり、後から「話が違う!」とトラブルになる原因になります。
売却する物件がどの地域にあるのかによって、不動産会社と事前に「どちらの起算日で計算するか」を必ず確認しておく必要があります。
もし、関東の感覚のまま「1月1日」で計算してしまうと、日割り金額が大きく変わり、後から「話が違う!」とトラブルになる原因になります。
売却する物件がどの地域にあるのかによって、不動産会社と事前に「どちらの起算日で計算するか」を必ず確認しておく必要があります。
「売却したのになぜ払う?」と納得いかない売主様への対処法

不動産業界にいると、この説明をしても「納得いかない!」「騙されているのではないか」と不安になられる売主様が稀にいらっしゃいます。
長年大切にされてきた資産を手放す際ですから、デリケートになるのは当然です。
私たちは単に「ルールですから」と押し付けるのではなく、以下のようなステップでご納得いただけるよう努めています。
長年大切にされてきた資産を手放す際ですから、デリケートになるのは当然です。
私たちは単に「ルールですから」と押し付けるのではなく、以下のようなステップでご納得いただけるよう努めています。
「払い続ける」のではなく「立て替え」であることの再説明
固定資産税を売主様が余分に払うのではなく、「買主様から預かったお金を、売主様が代表して役所に納める(立て替え払い)」というイメージをお伝えします。
最終手段:役所の担当者から説明してもらう
どうしてもご納得いただけない場合は、役所の税務課などの担当窓口に直接お電話をしていただき、「毎年1月1日の所有者に納税義務があり、年の途中で変わっても役所は請求先を変更できない」という公式の見解を直接聞いていただきます。
その上で、民間同士の契約(日割り清算)で解決している旨をご説明すると、ほとんどのケースで安心してご納得いただけます。
その上で、民間同士の契約(日割り清算)で解決している旨をご説明すると、ほとんどのケースで安心してご納得いただけます。
まとめ:不動産売却時の固定資産税チェックリスト

最後に、今回のお話をシンプルにまとめます。
●納税義務があるのは: 毎年1月1日時点の所有者(売主)
●実際の負担は: 売主と買主で引渡し日を境に「日割り清算」する
●注意すべきは: 地域によって起算日(1月1日か4月1日か)が異なる
固定資産税の清算は、金額そのものはそこまで大きくなくても、感情的なトラブルに発展しやすい項目です。取引を依頼する不動産会社が、地域の慣習を理解し、しっかりと分かりやすく説明してくれる会社かどうか、ぜひ見極めるポイントにしてみてくださいね。
●納税義務があるのは: 毎年1月1日時点の所有者(売主)
●実際の負担は: 売主と買主で引渡し日を境に「日割り清算」する
●注意すべきは: 地域によって起算日(1月1日か4月1日か)が異なる
固定資産税の清算は、金額そのものはそこまで大きくなくても、感情的なトラブルに発展しやすい項目です。取引を依頼する不動産会社が、地域の慣習を理解し、しっかりと分かりやすく説明してくれる会社かどうか、ぜひ見極めるポイントにしてみてくださいね。

【著者プロフィール】
山中 賢一
ワイズエステート販売株式会社 代表取締役
不動産売却専門 兼 廃業・事業再生コンサルタント
埼玉県さいたま市を拠点として、全国の複雑な不動産問題を解決に導く専門家。
大手不動産会社やFC店で「売却不可」と断られた市街化調整区域、権利関係が複雑な訳あり物件、相続トラブル等の売却において圧倒的な実績を持つ。
また、提携法律事務所との強固なネットワークを活かし、廃業・倒産に伴う法人名義の不動産売却や、資金繰りに苦しむ経営者のための資産整理・再生スキーム構築を得意とする。単に「売る」だけでなく、任意売却や債権者交渉、弁護士と連携した法的措置を伴う出口戦略まで、金融・法務・実務の三位一体で顧客の「後悔のない選択」を支援している。
ワイズエステート販売株式会社
「他社で断られた案件」「銀行交渉が必要な売却」など、出口の見えない不動産のご相談を承ります。法務・金融の視点から、あなたの資産を守る「最適解」を提案します。
山中 賢一
ワイズエステート販売株式会社 代表取締役
不動産売却専門 兼 廃業・事業再生コンサルタント
埼玉県さいたま市を拠点として、全国の複雑な不動産問題を解決に導く専門家。
大手不動産会社やFC店で「売却不可」と断られた市街化調整区域、権利関係が複雑な訳あり物件、相続トラブル等の売却において圧倒的な実績を持つ。
また、提携法律事務所との強固なネットワークを活かし、廃業・倒産に伴う法人名義の不動産売却や、資金繰りに苦しむ経営者のための資産整理・再生スキーム構築を得意とする。単に「売る」だけでなく、任意売却や債権者交渉、弁護士と連携した法的措置を伴う出口戦略まで、金融・法務・実務の三位一体で顧客の「後悔のない選択」を支援している。
ワイズエステート販売株式会社
「他社で断られた案件」「銀行交渉が必要な売却」など、出口の見えない不動産のご相談を承ります。法務・金融の視点から、あなたの資産を守る「最適解」を提案します。