こんにちは
今日は、ちょっとマニアックだけど実は売買の現場ではめちゃくちゃ重要な話、「確定測量」についてお話ししようと思います。
不動産業界以外の人にはあまり馴染みがない言葉かもしれませんが、知っておくと後々のトラブルを避けるためには欠かせません。
確定測量ってそもそも何?
まず、「確定測量」とは何かを簡単に言うと、土地の境界をはっきりさせる作業です。
「境界」って、言葉では簡単ですが、現場では意外と曖昧になっていることが多いんです。
登記簿や地積測量図には土地の面積や境界線が書かれていますが、それが現地のブロック塀やフェンスと完全に一致していないことは少ないんです。
特に昭和の初期や戦前からの土地だと、境界標も腐っていたり、測量方法が今とは違っていたりして、実際に現場で確認しないと正確には分かりません。
この「確定測量」を行うことで、土地の境界が公的に確定し、登記簿と現地の境界が一致した状態にできます。
要するに、「ここからここまでが私の土地です」と、誰が見ても納得できる線を引く作業ですね。
なぜ確定測量をするのか?
現場では確定測量をやる理由はいくつかありますが、大きく分けると次の3つです。
- 近隣トラブルを防ぐため
土地の境界があやふやなままだと、後で「ここは俺の土地だ!」とか「違うじゃないか!」と揉める原因になります。特に売買契約をしたあとに揉めると、せっかくの取引も台無しです。隣の家とのフェンスや塀の位置でトラブルになることは意外と多く、何百万円も損するケースもあります。 - 分筆や建築のために必要
土地を分けて売りたい場合や、新しい建物を建てる場合は、正確な土地の面積と境界線が必要です。分筆登記には確定測量が必須で、これをやらないと法務局で登記もできません。建築確認申請でも、建物の配置や道路との距離を正確に測るために、確定測量が前提になります。 - 安心して売買するため
売る側も買う側も「ここが確かに自分の土地です」と言える状態は、精神的にも安心です。購入後に「隣との境界でもめました」なんて話はよく聞きます。確定測量をしていれば、こうしたトラブルの可能性を大幅に減らせます。
必ずやらなければならないの?
ここがポイントです。確定測量は法律で義務付けられているわけではありません。
登記簿上の面積や位置をもとに売買契約をすることもできます。
私もお世話になっている土地家屋調査士の先生に
「この物件なんですけど確定測量しないとダメですか?」
と聞く事がありますが、先生は
「買主さんが公募売買で構わないと言っているなら必要ないですよ」
という回答を何度も聞いてます(苦笑)
普段から、こんなやり取りに対応してくれる土地家屋調査士の先生は心の中では
「こいつ(私の事)、またこちらに責任転換しようとしているな」
と思っているでしょうね(苦笑)
ただ、やらない場合は「将来トラブルになるリスク」を抱えることになります。
特に古い土地や、境界が不明確な土地では、買う側も売る側も後悔することが多いんです。だから現場の不動産屋としては、「できればやっておきましょう」と強くおすすめします。
また、測量には費用も時間もかかります。一般的な土地でも数十万円、大きな土地や分筆を伴う場合は100万円以上かかることもあります。でも、その費用をケチって後で揉めるより、最初に確定させておく方がずっと安心です。
確定測量の流れ
確定測量は土地家屋調査士という専門家が行います。簡単に流れを説明すると、
- 現地確認
隣地との境界標やフェンス、塀の位置を確認します。古い境界標は壊れていたり、ずれている場合もあります。 - 測量・図面作成
専用の測量機器を使って正確な境界を測ります。その結果をもとに、境界図面を作成します。 - 隣地との立会い
境界線を隣の土地所有者と一緒に確認します。この立会いで合意が取れないと、後でトラブルになることもあります。 - 確定測量図を作成して登記
最後に境界確定図を作成し、必要に応じて分筆登記や建物建築の申請に使用します。
確定測量とは・・・
ざっくり言うと、確定測量は「土地の境界と面積をはっきりさせる作業」です。
やらなくても売買はできますが、トラブル回避・分筆・建築のためには、やっておくのがベスト。
特に古い土地や境界が不明確な土地では、後悔しないために必要不可欠です。
不動産業界では、ちょっとした境界のズレが大きな揉め事につながることがよくあります。私たち不動産屋が「境界はきちんと確認しておきましょう」と口を酸っぱくして言うのは、こういう背景があるからです。
売る側も買う側も、将来の安心のために、確定測量を検討してみてくださいね。
ちょっと費用はかかりますが、精神的な安心やトラブル回避の価値を考えたら、決して高くない投資です。
