こんにちは
今日は、ご依頼頂いた春日部市内の市街化調整区域の役所調査に出向きました。
物件の詳細は控えますが、本件については多くの地権者様のご理解とご協力が必要ですので慎重に行わなければならないので、通常以上に緊張感を持って取り組もうと思っています。
さて、表題についてお話をしますね。
最近、ウチのホームページで多くの人に読まれているブログがこちらの「バブル経済は崩壊してから気づく|令和バブルの兆候と過去の失敗から学ぶ資産防衛術」なんですね。
皆さん、どのような理由でこちらのブログを読んでいるかは分かりませんが、バブル経済やその崩壊について興味があるようですね。
今回は「令和の今はバブルなのか?それとも本当の成長期なのか?」を私なりに話してみますね。
平成のバブル崩壊から、もう30年以上が経ちました。
当時の空気を少しでも知っている人からすれば、最近の株価や不動産価格の上昇を見て、「あれ、またバブルじゃないの?」と感じる人も少なくないでしょう。
私もその一人で日経平均株価が4万円を突破したときには、懐かしさと同時に少し怖さも感じたものです。
けれども、令和の今は単純に“バブル再来”と片づけられる時代ではないように思うのです。
まず、平成バブルと令和の経済の大きな違いは「お金の流れ方」にあります。平成のバブル期、銀行はとにかく貸しまくっていました。
現在も融資が受けやすい時代とはいえ、平成のバブル期とまではいかないと言われています。
平成のバブル時代には土地神話がまだ生きていて、「不動産は必ず上がる」と信じて疑わなかった時代。
どんな土地でも買っておけば、いつかは価格が上がって儲かると言われていて、田んぼ・畑の真ん中に新幹線の駅ができるかもしれないという噂が立ったら、その近辺の土地を数百万払って購入した人や原野商法でどうにもならないといっても過言ではない不動産を購入してしまった人も少なくありません。
このような不動産バブルが膨らみ始めて不動産を担保にどんどんお金が動き、不動産価格は実需ではなく期待値で跳ね上がっていきました。
この辺は、令和の今と似ている状況でもありますよね。
その結果、1990年に入ってから大蔵省(現在の財務省)が「総量規制」というブレーキをかけ、不動産向けの資金の流れを止めた瞬間に不動産神話は崩れてバブル経済が弾け始めたという事です。
そして、その数年後の1995年に木津信用組合、1997年に北海道拓殖銀行と山一證券が事業停止をして破綻をしました。
平成バブル経済の象徴と言える不動産の巨額の融資をしていた金融機関やバブル崩壊により投資離れが起きたり隠れ損失が発覚して破綻に追い込まれる証券会社など、象徴的な破綻が相次ぎ、長い長い「失われた30年」に突入したのです。
では、今の令和はどうでしょう。
確かに株価は高く、不動産も都心部を中心に上昇しています。
しかし、平成のように銀行が無茶な融資をしているわけではありませんが、コロナ禍で多額の融資を実行しました。でも、その多額の融資が回収不能になるような事態になっても保証協会付の融資ですので税金で補填される事になりますから、民間の金融機関は税金に助けられる結果となります。
平成バブルにように金融機関はリスクを取らなくなり、融資審査はむしろ厳しくなっています。
不動産価格が上がっている理由も、資金がダブついているからというよりは、「選ばれた地域・選ばれた物件」にお金が集中しているから。つまり“全体が浮かれている”バブルではなく、“一部が熱を帯びている”局所的な現象だと感じています。
たとえば、都心のマンション価格は高騰していますが、地方では空き家問題が深刻化しています。
東京都心部から離れた都下では新築マンションが売れ残り、埼玉県内でも新築・中古マンションは売れ残り、新築戸建ても駅から離れた地域の物件は価格を大幅に下げなければ捌くことができない状況になっています。
同じ「日本の不動産市場」でも、2極化が進んでいる。
これは平成バブルのように全国が一律に盛り上がった時代とは違うポイントです。東京や大阪の再開発エリアでは価格が跳ね上がる一方で、郊外や地方では値崩れが止まらない。これをバブルと言っていいのか、難しいところです。
一方で、株価の急上昇には確かに「少し怪しい匂い」もあります。
企業業績が飛び抜けて伸びているわけではないのに、株価だけが先行している部分もある。AIや半導体関連など、将来性への“期待値”が株価を押し上げている。ここに少し平成バブルの影を感じてしまう人も多いでしょう。
ただ、違うのは「日本経済そのものが本格的に回復し始めている可能性」も見えていることです。
長いデフレを経て、物価が上がり、賃金も少しずつ上昇している。これは“痛みを伴う正常化”のようなものです。
確かに、物価高騰は家計にとってつらい。
でも、これが一時的な痛みであり、長い低成長のトンネルを抜け出す序章だとすれば、我慢する価値はあるかもしれません。
昭和・平成の日本は「安くて良いものを作る国」でしたが、令和では「価値を生み出す国」に変わろうとしている。
そう考えれば、今の経済上昇は単なるバブルではなく“転換期”と言えるのではないでしょうか。
もう一つ気になるのは、倒産件数の増加です。
最近のネットでニュースを見ていると、倒産件数がじわじわと増えています。
ただ、これも一概に悪いことではありません。金利上昇や人件費の上昇などで、体力のない企業が退出していくのは、経済が健全化する過程でもあるのです。
むしろ、ここで残った企業こそが次の時代の主役になる。平成バブルの後のように、無理に支えすぎてゾンビ企業を増やすより、今は自然な淘汰の流れのように感じます。
不動産の現場にいると、その変化を肌で感じます。
売れる物件と売れない物件の差がはっきりしてきました。利便性・管理状態・立地・周辺インフラ…すべてにおいて“選ばれる物件”が上がり続け、“選ばれない物件”はどれだけ価格を下げても動かない。これも2極化の典型です。
令和の経済が本当にバブルかどうかは、まだ誰にも分かりません。
ただ1つ言えるのは、平成のように“一瞬で弾けてすべてが崩壊する”とは限らないということ。
バブルは音もなく縮んでいくこともあれば、ゆっくりと形を変えていくこともある。
今はその“途中”にいるのかもしれません。
私はこう思っています。
もしこれが本当の“経済回復の序章”なら、平成の失われた30年は決して無駄ではなかった。
あの時代の痛みがあったからこそ、今の慎重で、冷静な成長がある。焦らず、浮かれず、地に足をつけて――。
不動産屋として、バブルを恐れるよりも、変化の波を見極めていく目を養いたいものです。
令和の経済が“幻想”ではなく、“新しい現実”であることを願って。
それでは、今回の不動産屋さんの独り言はおしまいです。
