
こんにちは
ワイズエステート販売株式会社です。
最近、お客様と住宅ローンの相談をしていると、固定金利が2%を超えたというニュースに対して「もう家は買えない」「とんでもない高金利になった」と絶望に近い反応をされることが増えました。
しかし、私がこの業界に足を踏み入れた2000年代の現場の空気感は全く違ったのです。
1. 20年前のスタートラインは「3%」だった
2006年前後を思い出してみます。当時は、今の「フラット35」の前身である住宅金融公庫から民間の住宅ローンへの移行期でした。
その頃の金利のボリュームゾーンは、ズバリ「3%前後」です。
当時の感覚はこんな感じでした。
- 2.8%……「お、金利が低いな!借りどきですよ」
- 3.2%……「全期間固定の安心料を考えれば、妥当なラインですね」
今、2%台の金利を見て「高い」と感じるのは、この10年ほどの「異次元の低金利」というぬるま湯に浸かりすぎてしまったからかもしれません。当時の感覚からすれば、今の金利水準ですら、まだ「歴史的な低水準」の範疇に収まっているのです。
2. 「金利は払って当たり前」という割り切り
20年前の購入者にとって、利息は「銀行に場所代を払うようなもの」という割り切りがありました。金利3%で35年ローンを組むと、総支払額は借入額の約1.6倍に膨らみます。3,000万円借りたら、返すのは5,000万円近い……そんな時代です。
- 昔の感覚: 「利息を含めた総額が物件の価格だ」
- 今の感覚: 「1%を超えたら損。0.5%を切るのが当たり前」
昔は「金利を払うのが当然」だったからこそ、資金計画は今よりもずっとシビアでした。
3. 「優遇幅」という魔法の言葉
今の住宅ローンには「店頭金利(基準金利)」と「適用金利(実際に払う金利)」の二つがありますよね。現在は「店頭金利からマイナス2.0%優遇!」といった大幅な値引きが当たり前ですが、20年前は違いました。
当時は優遇があっても0.5%から、せいぜい1.0%程度。ネット銀行もまだ一般的ではなく、銀行ごとの金利差も今ほど極端ではありませんでした。銀行の窓口で提示された金利が、そのまま返済計画の軸になる。そんなシンプルな時代でした。
今は0.01%の差を求めて、スマホで何時間も比較サイトを眺める時代です。
便利にはなりましたが、その分、枝葉の数字に囚われすぎて、ライフプランという大きな幹を見失っている方も多いように感じます。
4.「繰り上げ返済」が消えた理由
完済までのイメージも、この20年で180度変わりました。
かつては「繰り上げ返済は絶対正義」でした。
100万円余裕ができたら、即座に銀行へ持って行く。金利3%の利息をカットすることは、どんな投資よりも確実でリターンの大きい「資産運用」だったからです。
ところが今はどうでしょう。 金利が低すぎて、住宅ローン控除(減税)で戻ってくるお金や、団体信用生命保険(団信)の保障価値の方が、支払う利息よりも大きくなる「逆ザヤ」状態が続いています。
- 昔の感覚: 「一刻も早く借金をゼロにして、利息の呪縛から逃れたい」
- 今の感覚: 「低金利で借りられるだけ借りて、手元の現金は新NISAなどの投資に回す方が合理的」
この考え方の変化こそが、現代の住宅ローン戦略の最大の特徴です。しかし、ここには落とし穴があります。
5.危惧する「真の危機」とは
20年前を知る立場から言わせていただくと、今の状況で本当に怖いのは「金利が上がること」そのものではありません。
「低金利を前提に、個人のリスク許容度を超えた借入が常態化していること」こそが真の危機です。
20年前の不動産屋がお客様に伝えていた鉄則があります。 「金利3%で計算して、返済比率(年収に対する年間返済額の割合)を25%以内に収めること」
これが、人生に何が起きても耐えられる「健全な資金計画」のボーダーラインでした。しかし今の超低金利下では、0.5%の金利を前提に、年収の7倍、8倍といった極限までの借入が可能です。
もし、金利がかつての「当たり前」だった3%に近づいていったら……。
今の2%台という数字に絶望している方は、もしかすると「本来の身の丈」を超えた計画を立ててしまっているのかもしれません。
最後に:これから家を買う方へ
金利が上がる、上がらないという議論に一喜一憂するのは、もうやめませんか。
20年前にやっていたように、少し厳しめの条件(例えば金利2%〜3%)でシミュレーションをしても、なお「これなら生活を楽しめる」と思える予算設定をすること。
長く続いた低金利政策の弊害で、お金を借りる側の感覚が麻痺してしまいました。
「低金利だから、とにかく借りるだけ借りとこう」
「お金を貯める時間がもったいないから、早めにお金を借りておこう」
「借金が返せなくなったら不動産を売却した返せば問題ない」
このような感覚の世の中になっていましたが、まさか日銀が利上げをすることを予想する人は少なく、都内の中心部のマンションが1億円以上下げても売れなくなるなんて予想している人はいませんでした。
今の金利上昇局面は、異常な「ボーナスタイム」が終わり、かつての「日常」に戻ろうとしているだけです。
数字に踊らされず、自分たちの生活を守れる「不動の計画」を立てる。それが、20年前も今も変わらない、家選びの正解だと私は信じています。
さあ、数字の錯覚を脱ぎ捨てて、本当の意味で「価値のある家探し」を始めましょう。
さて、今回はこんな感じでおしまいです。

【著者プロフィール】
山中 賢一
ワイズエステート販売株式会社 代表取締役
不動産売却専門 兼 廃業・事業再生コンサルタント
埼玉県さいたま市を拠点として、全国の複雑な不動産問題を解決に導く専門家。
大手不動産会社やFC店で「売却不可」と断られた市街化調整区域、権利関係が複雑な訳あり物件、相続トラブル等の売却において圧倒的な実績を持つ。
また、提携法律事務所との強固なネットワークを活かし、廃業・倒産に伴う法人名義の不動産売却や、資金繰りに苦しむ経営者のための資産整理・再生スキーム構築を得意とする。単に「売る」だけでなく、任意売却や債権者交渉、弁護士と連携した法的措置を伴う出口戦略まで、金融・法務・実務の三位一体で顧客の「後悔のない選択」を支援している。
ワイズエステート販売株式会社
「他社で断られた案件」「銀行交渉が必要な売却」など、出口の見えない不動産のご相談を承ります。法務・金融の視点から、あなたの資産を守る「最適解」を提案します。