
近年、市街化調整区域にある農地の売却に関するご相談が急増しています。
特に、地目が「田」や「畑」のまま放置されている農地についてのご相談が目立ちます。
「市街化調整区域の不動産を買い取ります」
「市街化調整区域の不動産売却専門会社」
という謳い文句で営業されている不動産会社であっても、市街化調整区域の農地は宅地に転用できるような不動産であなければ買取はできませんし、市街化調整区域専門といっても山林・雑種地・宅地の地目を取り扱う不動産として限定されているようですので、農地の相談をしても門前払いになってしまうようです。
相談者の多くは、かつて親や祖父母が丹精込めて耕していた土地を相続し、やむなく抱え込んでしまった方々です。「兄が継ぐはずだったが亡くなり、自分は都会に出たまま農業とは縁がなくなっていた」「気づけば草に覆われた農地が残っていた」──そんな状況の中で、農業を続ける体力も気力もなく、けれど簡単には手放せないという思いに揺れながら相談に至る方が少なくありません。
市街化調整区域の農地には、家族の歴史や思い出が詰まっています。
そのため、「誰も使わない土地をどうすべきか」と現実的に向き合おうとする一方で、「亡き親の思いを裏切りたくない」と葛藤を抱く方が多いのです。
そして、自分の子や孫にこの農地を相続させるわけにはいかない──そう考え、ついに売却を決断される方が増えています。
しかし、いざ不動産会社に相談しても、「市街化調整区域だから売れない」「使い道がない」と言われ、心が折れてしまうケースも少なくありません。
さらに、農業振興地域に指定されていれば、農業以外の用途は原則として禁止。
加えて、名義変更・登記・税金・条例など、地域特有の複雑なルールも立ちはだかります。
私たち不動産業者も、安易に「売れます」とは言えない現実があります。
市街化調整区域では開発や建築が原則禁止とされ、農地転用や除外申請には行政との粘り強いやり取りが必要で、多大な時間と費用がかかります。
それでも、私が日々のご相談で心を動かされるのは、所有者の方がその土地に寄せてきた長年の想いです。
「売却の相談というより、ただ話を聞いてほしかったのかもしれない」と感じることもあります。
近年では、太陽光発電や資材置場、駐車場として農地を活用したいという事業者の需要も出てきました。
しかし、農地法や農振法の制約により、所有権移転すら難しいこともあります
。話題の「相続土地国庫帰属制度」も、市街化調整区域の農地にはほとんど適用されず、要件を満たしたとしても多額の費用が掛かるため“最後の手段”ですら機能しない場合も少なくありません。
このように、市街化調整区域の農地は「土地」であっても、もはや「資産」ではないことがあります。むしろ、管理や固定資産税などの負担が重く、「負債」としての性格すら帯びることもあります。
一方で、こうした実情に対する行政の対応には疑問も残ります。
農地を守るのであれば、本来は農業を継続する農業法人や担い手に対して、もっと積極的に補助金や助成金を投入すべきではないでしょうか。農地としての利用価値を保つための政策が不十分なまま、「農地だから守れ」と言われても、すでに耕作放棄地となり役割を果たしていない土地が全国に増えつつあります。
現実に即した対応としては、すでに荒れ果て農地としての再生が難しい土地や、利用希望者のいない地域の農地について、一定の要件のもとで法規制を緩和する措置も必要です。
農業の未来を真剣に考えるのであれば、現実を直視し、地域ごとの柔軟な土地利用のあり方を検討すべき時期にきているのではないでしょうか。
それでも私は、不動産業者として、その土地に宿る家族の想いを大切にしながら、可能性を模索し続けます。使い道のある買い手を地道に探し、行政と調整を重ね、法的なハードルをひとつずつ乗り越えていく。
そして、所有者の苦悩に寄り添いながら、最善の選択肢を共に見つけていく。
「売れない土地なんて、ないと信じたい」──それが、私の正直な気持ちです。
市街化調整区域の農地をめぐる問題が、今まさに全国で深刻化しています。
その中で一つでも多くの土地が、再び誰かに必要とされる場となるように。
これからも、私は相談の電話に耳を傾け、共に悩み、歩み続けていこうと思います。
【市街化調整区域の農地でお困りの方へ】

使い道がなく、売れない農地──そのお悩み、私たちにご相談ください。
「親から引き継いだけれど、農業は続けられない」
「遠方に住んでいて、管理もできない」
「耕作放棄地になってしまい、どうしていいかわからない」
そんな市街化調整区域内の農地を巡るお悩みが、今、全国で増えています。
農地法・都市計画法・農業振興地域制度など、法律の壁が高く、
「売れない」「使えない」と諦めてしまう方も少なくありません。
けれど、そのままにしておくことで固定資産税や管理責任など、
“目に見えない負担”がずっと続いてしまうこともあります。
私は、そうした状況にある土地でも、可能性をあきらめません。
行政との調整や法的手続きを含め、最善の方法を一緒に探ります。
「ただ、話を聞いてほしい」
そんなお気持ちでも構いません。
その土地に込められたご家族の想いや、これまでの経緯を、どうかお聞かせください。
まずは、お気軽にご相談ください。
あなたの大切な土地に、もう一度、新しい役割を見つけるお手伝いをさせていただきます。