BLOG ブログ

不動産屋さんの独り言。埼玉県の市街化調整区域の土地売却で失敗しないための注意点のお話です

不動産屋さんの独り言。埼玉県の市街化調整区域の土地売却で失敗しないための注意点のお話です

今回のブログは、市街化調整区域の不動産売却の相談が増え続けているので少々愚痴っぽくなりお聞き苦しい点がある事をご了承ください。

今日も、ご相談頂いた市街化兆セ区域の現場で感じたんですけど、やっぱり市街化調整区域の土地って、世間のイメージよりずっと手ごわいんですよね。

「土地なんて売ればお金になるでしょ?」って軽く考えて相談に来られる方も多いんですが、正直、安易に考えると足元を見られて損するケースも少なくありません。

でも、そんな簡単に売却できないのが市街化調整区域の不動産であって、そうでなければ一般的な不動産を取り扱っている不動産会社や大手の不動産会社が取り扱わないのは訳があるんですよね。

まず、市街化調整区域って何かというと、都市計画法で“市街化を抑えるために指定された区域”のことです。

市街化区域と違って、基本的には自由に建物を建てられないし、分譲も簡単にはできない、又は全くできない区域なんですね。

つまり、建築可能かどうか、開発許可が取れるかどうかが、その土地の価値を大きく左右するんです。

だから、簡単に「早く高く売れる」って思ってはいけません。

埼玉県内でいうと、さいたま市や川越市、上尾市、春日部市なんかの都市部のすぐ外側に広がる市街化調整区域の不動産を例にお話しますと、物件によっては線引き前宅地といって、都市計画決定前から宅地だった土地なら、接道や幅員などの条件を満たせば開発許可が下りる場合もあります。

でもこれ、実際に現地を確認して、役所で調査して、条件を一つひとつクリアして初めて実際の価値が分かる話なんで登記簿謄本だけ見て「売れるな」と判断するのは、正直、危険です。

役所調査は本当に重要で、開発課で開発登録簿や建築課で建築概要書等の過去の開発履歴や許可の有無、農業委員会で農地転用の可否、道路管理課で接道や道路幅員をチェック、とやることは山ほどあります。

これを事前に整理しておくかどうかで、売却の可能性や価格・方向性も大きく変わってきます。

つまり、役所調査をしっかりやればやるほど、土地の正確な価値が見えてくるというわけです。

で、売却戦略の話。市街化調整区域の場合、買い手層は一般的な市街化区域の不動産とは異なります。

住宅用地であっても親族要件を満たす方の場合もありますし、事業用地と言っても都市計画法第34条の立地基準の要件を満たすことができなければ開発行為ができません。

また、都市計画法第34条の立地基準を満たさない農地は住宅用では売却できませんので、隣接の事業者に資材置き場として低価格で売却することになります。

更に、線引き前宅地なら開発許可を取得して一般個人向けに売れば、市街地並みの価格で成約することもあります。しかし、この線引き前宅地であっても、実際に建築物があった事がない場合には親族要件という制限が掛けられる自治体もあります。

市街化調整区域の不動産売却の慣れていない不動産業者の多くは、この自治体によって若干の違いがある立地基準や役所調査の際に窓口で開発許可の「可能性がある」という言葉が曖昧な表現と感じられて、自信をもって売却活動を始められないといったことがあるようです。

この事は経験や知識が不安や疑問を解消・払拭してくれるのですが、毎月のノルマに追われているような不動産会社の営業マンには、そんな余裕はないかもしれませんね。

それから、よくある失敗例として、査定額が安すぎて放置してしまうケースもあります。「開発許可が取れない土地だから」と諦めてしまう人ですね。

でも、許可を取得できるかどうか、事前に条件を整理して許可取得後に売ることで、土地の価値は大きく変わります。安易に諦めず、正しい順序で進めることが大切なんです。

実際、市街化調整区域の不動産を売却する時には、市街化調整区域の特性を理解して知識と経験を持っている売却に強いパートナーを見つけることです。

役所調査に慣れていて、開発許可申請の経験が豊富で、地元事業者とのネットワークを持つ専門家です。

そして、最初の段階で正確な情報を入手し、戦略を決めることが、売れない土地を売れる土地に変える最大のポイントになります。

経験のない不動産会社に頼むと、許可関係が把握できず長期化して、売却まで至らないこともありますから、これは本当に注意が必要です。

最後にひとつ、皆さんに覚えておいてほしいのは、「市街化調整区域=売れない」は誤解だということ。制限がある土地だからこそ、条件を満たせば価値は上がりますし、買い手も見つかります。役所調査から許可申請、買い手候補の選定まで、経験豊富な専門家と一緒に戦略を立てることで、調整区域の土地でも十分にチャンスに変えられます。

つまり、焦って高く早く売ろうとするのは逆効果。時間をかけて条件を整え、正しい順序で進めることが、市街化調整区域の土地売却では成功への唯一の近道です。
最終的には需要と供給という問題があり、売却に至るまで長期化する事はありますが制限のある市街化調整区域では仕方がないという面もあります。

市街化調整区域の不動産売却を安易に考えず、戦略と専門家の力を活用してこそ、土地の本当の価値を引き出せる——これが、日々現場で感じるリアルな現実です。



CONTACT
お問い合わせ

当社へのご相談・ご依頼は、お気軽に以下のフォームからお問い合わせください。