最近よく聞かれるのが「少額で始められる不動産投資って本当に安全ですか?」という質問です。
正直、私が現場で見ていると、手軽そうに見える投資ほど落とし穴が多いんですよね。
特にクラウドファンディング型の小口不動産投資、これは初心者でも参加しやすいという意味では魅力的ですが、そこには普通の大家さんや大型不動産投資にはないリスクが潜んでいます。
少額だから安心、管理会社がやってくれるから安心、利回りが高いから儲かりそう――こう思い込んでしまうと、後で痛い目にあいます。
実際、私の知り合いの投資家でも、利回りの数字だけを信じて投資した結果、元本回収に苦労したケースを何件も見ています。
何が危ないかというと、まず事業者の信用リスクです。
小口投資は、特に運営会社の信用力に依存します。決算書や登記簿、過去の運営実績をきちんと確認せずに投資すると、もし会社の財務が不安定であれば、配当や元本の回収が遅れる、最悪の場合は回収不能になることもあります。
一般的な不動産投資であれば物件を所有しているわけですから、最悪の事態の一歩手前で売却できれば損害は回避できる可能性はありますからね。
運営会社が表面上はきれいに整っている会社でも、現場の資金繰りや新規募集の状況で急に配当が止まることもあります。
過去には、高利回りをうたっていた不動産投資ファンドが実際には新しい投資家の資金で既存投資家に分配するポンジスキームだった例もあり、これは初心者が一番やってはいけないパターンです。
次に、開発許可が下りていれば安心、これは勘違いしがちですね。
これも現場ではよくある誤解です。確かに都市計画法や建築基準法に基づく開発許可を取得すれば建築や分譲、賃貸運営は可能になります。
でも、許可が下りたからといって計画が必ず成功するわけではないんですよ。
自治体が計画した区画整理や道路計画であっても人口減少・環境変化によって計画自体が頓挫し地区計画や計画中止で終わっているケースもあるくらいですから、行政の計画変更や景観条例の改正、経済環境の変化――こうした外部要因は、投資家がコントロールできないんです。
だからこそ、投資前の確認は本当に重要です。
事業者の信用力はもちろん、対象不動産の現状をきちんと調べること。許可内容だけでなく、土地利用制限や周辺インフラ、将来の都市計画までチェックする必要があります。
契約条件も注意深く確認しましょう。元本保証や配当保証がどのような条件で成り立っているのか、細かい文字まで読まないと後で痛い目にあいます。
そして、可能であれば弁護士や宅建士、土地家屋調査士などの専門家に契約書や許可内容をレビューしてもらうと、リスク回避の精度は格段に上がります。
さらに、小口投資だからといって1件に全額を投入するのも危険です。
分散投資の基本は、リスクを低減するために複数案件や異なる資産クラスに分けることです。万が一、ある案件が行政計画の変更や市場環境の悪化で頓挫しても、他の案件でカバーできる可能性があります。
これは、クラウドファンディング型投資に限らず、あらゆる投資の基本ですね。
結局、不動産投資には夢があります。少額からでも始められ、利回りが良ければ資産形成の手段になります。
でも、成功の鍵は「夢だけで飛びつかない」ことです。投資家自身がリスクを正確に把握し、現地調査や契約確認、分散投資、専門家相談などの行動を主体的に行うこと。
それを怠ると、手軽に見えた投資が思わぬ損失につながります。僕ら現場では、こうした失敗例を何度も見ていますし、逆にリスク管理をきちんと行った投資家は、小口投資でも安定した成果を出しています。
だからこそ、これから不動産投資を考える人には、手軽さや利回りの数字だけに惑わされず、「リスクを理解し、行動する」ことが最も大切だと伝えたいですね。
少額だからといって油断せず、ちゃんと調べて、専門家にも相談して、現実的な目線で投資を始める。これが、小口不動産投資で失敗しないための基本中の基本です。
まあ、現場でこういう話をすると「難しそう」と思われるかもしれませんが、慣れてしまえば決して難しくはありません。
手間を惜しまず、少しずつ学びながら進めること。それが結局、安全で成功しやすい投資につながるんです。
投資は少額だろうが高額だろうが、自己責任ですから失敗しても誰にも文句は言えませんからね。成功したら自分の手柄で失敗したら人の所為にするのはナンセンスですから気を付けましょうね。
