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祖父名義の不動産は売却できる?数次相続で相続人が増えた土地・実家の解決方法を専門家が解説

祖父名義の不動産は売却できる?数次相続で相続人が増えた土地・実家の解決方法を専門家が解説

はじめに|実家を売ろうとしたら、登記名義が祖父のままだった

親が亡くなり、誰も住まなくなった実家を売却しようと考えたとき、思いがけない問題が発覚することがあります。

それは、不動産の登記名義が亡くなった父親ではなく、さらに前の世代である祖父や曾祖父のままになっていたという問題です。

家族の中では、父親が長年その家に住み、固定資産税も支払っていたため、父親の所有物だと思っていた。しかし、登記事項証明書を取得してみると、何十年も前に亡くなった祖父の名前が記載されていたのです。

さらに戸籍を調べてみると、祖父の相続人だった叔父や叔母もすでに亡くなっており、その子供である従兄弟や、これまで付き合いのなかった親族まで関係していることが分かる場合があります。

こうなると、単に相続登記をすればよいという話ではありません。誰が現在の権利を持っているのか、過去に遺産分割協議が行われていなかったか、誰の協力が必要なのかを整理する必要があります。

不動産を売却するために動き始めたはずが、相続関係の調査だけで時間がかかり、売却の見通しが立たなくなってしまうこともあるのです。

結論|祖父名義の不動産でも売却できる可能性はある。ただし、相続関係の整理が必要

祖父名義のままになっている土地や実家でも、必要な相続手続きと登記を進めることで、売却できる可能性があります。

ただし、数世代にわたって相続登記が行われていない場合は、次の点を確認しなければなりません。

◎ 祖父が亡くなったときの相続人は誰だったのか

◎ その後に亡くなった相続人について、さらに誰が相続したのか

◎ 過去に遺産分割協議や遺言による財産の承継がなかったか

◎ 現在の権利関係を整理するために、誰の合意や協力が必要なのか

◎ 相続登記をどのような順序で行い、売却につなげるのか

特に注意したいのは、相続人が多いことと、必ず売却できないことは同じではないという点です。相続人が多数いても、権利関係を正確に把握し、適切な手続きを進めることで解決できる場合があります。

一方、相続人の中に所在不明の人がいる、売却に反対している人がいる、過去の遺産分割協議の内容が分からないといった事情があれば、対応は複雑になります。

この記事では、数次相続によって複雑化した不動産について、相続人の調査から相続登記、売却までの流れを具体的に解説します。

1.数次相続とは?祖父名義の不動産が残ってしまう仕組み

1-1.数次相続とは、相続手続きが終わらないうちに次の相続が発生すること

数次相続とは、ある人が亡くなって相続が発生した後、その相続について遺産分割などの手続きが完了しないうちに、相続人の一人が亡くなり、さらに次の相続が発生することをいいます。

例えば、祖父が所有していた土地について、祖父の死亡後に相続登記が行われないまま、相続人だった父親も亡くなったケースです。

この場合、祖父の相続だけでなく、父親の相続についても確認する必要があります。

さらに、祖父の相続人だった叔父や叔母も亡くなっていれば、それぞれの相続関係を調べなければならない可能性があります。

このように、相続が連続して発生することで、不動産の権利関係が複雑になっていきます。

なお、相続登記が済んでいないことだけで、すべてのケースが同じように数次相続になるわけではありません。過去の遺産分割協議の有無や、相続人が亡くなった時期などによって、具体的な法律関係は異なります。

1-2.具体例で見る、祖父名義の不動産の相続関係

例えば、祖父Aが土地を所有していたとします。

祖父Aには、長男B、長女C、次男Dの3人の子供がいました。

祖父Aが亡くなった後、土地の相続登記も遺産分割協議も行われないまま、長男Bが亡くなりました。長男Bには配偶者と子供がいます。

その後、長女Cも亡くなり、次男Dも亡くなったとします。

この場合、祖父Aの相続については、当初の相続人だけでなく、その後に亡くなった人の相続人が関係してくる可能性があります。

祖父Aの相続を整理するために、長男Bの相続人、長女Cの相続人などについても調査が必要になる場合があるのです。

重要なのは、祖父の相続と、その後に発生した相続を分けて考え、それぞれの相続関係を確認することです。

ただし、最終的に誰がどの持分を取得するかは、法定相続分だけで機械的に決まるとは限りません。遺言や過去の遺産分割協議、相続放棄などの事情によって変わります。

1-3.数次相続と代襲相続は何が違う?

数次相続と混同しやすい制度に、代襲相続があります。

数次相続は、先に相続が発生した後、その相続人が亡くなり、次の相続が発生するケースです。

一方、代襲相続は、本来相続人となるはずだった人が、一定の理由により相続権を失った場合などに、その子などが代わって相続する制度です。典型的には、被相続人の子が被相続人より先に亡くなっていた場合などが該当します。

両者では相続人の範囲や権利関係の整理方法が異なります。

古い不動産の相続では、数次相続と代襲相続が複雑に関係している場合もあるため、家系図を作成するなどして、相続の経過を整理することが重要です。

2.数次相続を放置すると何が問題になるのか

2-1.相続人が十数人、数十人になることがある

祖父の子供が亡くなり、その子供たちにも配偶者や子供がいる場合、次の相続で関係者が増えることがあります。

さらに複数世代にわたって相続が発生すると、相続人が十数人、数十人になるケースも考えられます。

ただし、人数は家族構成や相続の経過によって異なり、数次相続が発生したからといって必ず大人数になるわけではありません。

問題は人数そのものだけではありません。相続人が増えるほど、それぞれの住所や連絡先を調べ、現在の権利関係を確認し、必要な協議を進める負担が大きくなる可能性があります。

2-2.面識のない親族との話し合いが必要になる

祖父の子供同士であれば連絡が取れても、その子供や孫の世代になると、面識がない場合もあります。

親族間の交流が途絶えていれば、突然連絡を受けた相手が、なぜ自分に連絡が来たのか理解できないこともあるでしょう。

そのため、単に書類を送るだけでは話が進まない場合があります。

不動産を売却する理由、維持費の負担、売却代金の分配方法などを整理し、相手にも分かりやすく説明することが重要です。

2-3.1人でも協力しなければ売却できないのか

この点は、相続不動産の相談でよく問題になります。

未分割の遺産について遺産分割協議を行う場合、原則として共同相続人全員が協議に参加し、合意する必要があります。

また、共有状態になっている不動産全体を通常の売買で売却する場合も、原則として共有者全員の協力が必要です。

しかし、相続人の一人が反対しているからといって、あらゆるケースで永久に解決できないというわけではありません。

例えば、遺産分割調停などの手続きを検討できる場合があります。また、すでに共有持分が確定している場合には、自分の持分だけを売却する選択肢もあります。ただし、共有持分の売却は一般的な不動産全体の売却とは条件や価格が大きく異なります。

まずは、相続人の権利がどの段階まで確定しているのかを確認することが大切です。

2-4.相続人の中に認知症の人や行方不明者がいる

相続人の中に、意思能力に問題がある人や、住所が分からず連絡が取れない人がいる場合、さらに対応が必要になることがあります。

意思能力に問題がある場合は、本人の状況に応じて成年後見制度などを検討します。

行方不明者がいる場合は、所在調査を行ったうえで、不在者財産管理人などの制度が利用できるかを検討します。

ただし、認知症という診断があるだけで直ちに成年後見制度が必要になるとは限りません。また、所在不明の場合も、事情に応じて適切な手続きが異なります。

2-5.売却できないまま、固定資産税や管理費用が発生する

相続関係が整理できず、不動産を売却できないまま時間が経過すると、固定資産税や建物の管理費用、修繕費などの負担が続きます。

空き家であれば、庭木の繁茂、雨漏り、建物の老朽化などが進むこともあります。

相続人の間で誰が管理するのか決まっていない場合には、近隣への影響や事故のリスクも問題になります。

相続人が多いからこそ、放置せず、まずは権利関係と管理状況を整理することが重要です。

3.祖父名義の不動産を売却するための具体的な手順

3-1.登記事項証明書を取得して、現在の登記状況を確認する

最初に行いたいのは、法務局で登記事項証明書を取得し、不動産の登記状況を確認することです。

確認したいのは、主に次の項目です。

◎ 現在の登記名義人

◎ 所有権に関する登記の履歴

◎ 共有持分の有無

◎ 抵当権などの担保権の有無

固定資産税の納税通知書に記載されている人と、登記上の所有者が一致しているとは限りません。

また、土地と建物で名義が異なる場合や、複数の土地が一体的に利用されている場合もあります。売却を考える際は、対象不動産を正確に把握することが必要です。

3-2.戸籍を遡って相続人を確定する

次に、祖父が亡くなったときの相続人を確定し、その後に発生した相続についても調査します。

祖父の出生から死亡までの戸籍をはじめ、各相続人の死亡や家族関係を確認できる戸籍などが必要になる場合があります。

数次相続では、最初の相続人だけでなく、その後に亡くなった相続人の相続関係まで確認しなければならないことがあります。

相続関係が複雑な場合は、戸籍の内容を整理して相続関係説明図を作成すると、誰がどの相続に関係しているのか把握しやすくなります。

戸籍の収集は自分で行うこともできますが、複数世代にわたる相続では、司法書士などの専門家に依頼する方法もあります。

3-3.過去の遺産分割協議書や遺言書がないか確認する

ここは、数次相続の不動産を売却する際に見落としたくないポイントです。

登記名義が祖父のままでも、過去に遺産分割協議が成立していた可能性があります。

例えば、祖父の死亡後、親族間では父親が土地を取得することで合意していたものの、登記だけが行われていなかったというケースです。

この場合、当時の協議書や関連資料が残っているかによって、その後の対応が変わる可能性があります。

確認したい資料には、次のようなものがあります。

◎ 過去の遺産分割協議書

◎ 遺言書

◎ 相続に関する合意書

◎ 過去の登記関係書類

◎ 不動産の取得や管理に関する資料

ただし、家族の中で「父が相続することになっていた」と言われているだけでは、法律上どのような合意が成立していたのか判断できない場合があります。

書面が見つかった場合も、内容や成立状況を確認したうえで、登記に利用できるか専門家に判断してもらうことが大切です。

3-4.相続人ごとの権利関係を整理する

戸籍調査と過去の資料の確認が終わったら、誰がどのような権利を持っているのかを整理します。

この段階では、単純に現在の相続人を一覧にするだけでは不十分な場合があります。

祖父の相続が発生した時点で誰が相続人だったのか、その後の相続によって誰が権利を引き継いだのか、過去の遺産分割協議や相続放棄などによって状況が変わっていないかを確認する必要があります。

また、相続人が多い場合でも、全員が必ず同じ割合で権利を持っているとは限りません。

正確な権利関係を整理して初めて、どのような登記や協議が必要なのか検討できるようになります。

3-5.相続登記の方法を司法書士などに相談する

数次相続では、相続の経過によって必要な登記が異なります。

通常は、それぞれの相続について権利の承継を確認し、必要な登記を進めます。ただし、一定の条件を満たす場合には、中間の相続登記を省略できることがあります。

例えば、中間の相続人が一人だけである場合など、法律上の要件を満たすケースでは、登記手続きを簡略化できる可能性があります。

一方、中間の相続人が複数いる場合などには、同じ方法を利用できるとは限りません。

中間の相続登記を省略できるかどうかは、相続関係と法律上の要件によって判断されます。 登記費用を抑える目的だけで、自由に中間の名義を飛ばせるわけではありません。

複雑な数次相続では、戸籍や過去の協議書などを司法書士に提示し、必要な登記の順序を確認することをおすすめします。

3-6.相続人間で売却方針を決める

権利関係が整理できたら、不動産を誰が取得するのか、売却するのか、売却代金をどのように分配するのかを検討します。

相続人全員が売却に合意できる場合は、売却代金を分配する換価分割という方法も考えられます。

ただし、換価分割を行う場合は、遺産分割協議書の記載や登記方法、税務上の取扱いなどに注意が必要です。

また、相続人の一人が不動産を取得して代償金を支払う方法など、売却以外の解決方法が適している場合もあります。

それぞれの相続人の希望や経済状況を確認しながら、現実的な解決方法を検討することが重要です。

3-7.必要な相続登記を済ませ、売却手続きを進める

必要な相続登記や権利関係の整理が終わったら、不動産の売却に向けて準備を進めます。

不動産の査定、建物や土地の状況確認、売買条件の調整などを行い、契約や決済に必要な書類を整えます。

なお、実際の売却時期は、相続登記の進み具合だけでなく、相続人間の合意、買主の有無、不動産の状態などによっても変わります。

相続人が多い不動産では、登記手続きと並行して、売却条件や必要書類についても早めに整理しておくと、その後の進行を見通しやすくなります。

4.相続人が協力してくれない場合はどうする?

4-1.話し合いに応じない相続人がいる場合

相続人の中に、連絡をしても返事をしない人や、売却に反対する人がいる場合があります。

このようなときは、まず売却する理由や不動産の維持費、今後の管理方針、売却代金の分配案などを整理して説明することが考えられます。

ただし、相手にも事情がある可能性があるため、最初から強い態度で同意を迫ることは避けたほうがよいでしょう。

協議が難航する場合には、相続問題に詳しい弁護士に相談することも選択肢です。

4-2.遺産分割協議がまとまらない場合

相続人間で話し合いを続けても合意できない場合には、家庭裁判所の遺産分割調停などを検討することがあります。

調停では、裁判所を通じて当事者間の合意形成を目指します。

ただし、すべての不動産の問題が遺産分割調停だけで解決するとは限りません。過去の遺産分割協議の有無や、すでに共有持分が確定しているかなどによって、適切な手続きは異なります。

4-3.相続人の所在が分からない場合

相続人の住所が分からない場合は、戸籍や住民票などを利用して所在を調査することがあります。

それでも所在が分からない場合には、状況に応じて不在者財産管理人などの制度を検討します。

ただし、不在者財産管理人を選任すれば、どのような場合でも直ちに不動産を売却できるというわけではありません。権限や必要な許可などを含め、個別の事情に応じた判断が必要です。

4-4.相続人に認知症の人がいる場合

相続人の中に認知症の人がいる場合、遺産分割協議などの法律行為を本人が有効に行えるかどうかが問題になります。

意思能力に問題がある場合には、成年後見制度の利用が必要になることがあります。

成年後見人が選任されても、本人の利益を無視して自由に不動産の売却や遺産分割を進められるわけではありません。本人の権利や利益に配慮しながら手続きを進める必要があります。

5.数次相続の不動産では、中間の相続登記を省略できる場合がある

数次相続の登記を検討する際、知っておきたいのが中間の相続登記に関する取扱いです。

例えば、祖父が亡くなり、その相続人が一人だけだった場合、その相続人も登記をしないまま亡くなったというケースがあります。

このような場合、一定の要件を満たせば、中間の相続登記を省略して登記できることがあります。

一方、祖父の相続人が複数いた場合などは、同じ取扱いができるとは限りません。

また、過去に遺産分割協議が成立していた場合や、遺言書が存在する場合には、その内容も確認する必要があります。

ここで注意したいのは、登記手続きの簡略化と、相続人間の権利関係の整理は別の問題だということです。

中間の登記を省略できたとしても、それだけで相続人全員の権利関係が解決するわけではありません。

相続人の確定、過去の協議内容の確認、必要な合意の取得などを行ったうえで、登記方法を判断する必要があります。

6.相続登記の義務化にも注意が必要

2024年4月1日から、相続によって不動産を取得したことを知った場合などに、原則として3年以内に相続登記を申請する義務が設けられました。

正当な理由なく義務に違反した場合は、10万円以下の過料の対象となる可能性があります。

また、相続登記の義務化より前に発生した相続であっても、対象となる場合があります。過去の相続だからといって、必ずしも義務の対象外になるわけではありません。

古い相続については経過措置が設けられているため、具体的な期限は相続を知った時期などに応じて確認する必要があります。

相続人が多い、所在不明者がいる、過去の遺産分割協議が確認できないといった事情があれば、早めに司法書士などの専門家へ相談し、必要な手続きを整理することが重要です。

なお、相続人申告登記という制度もありますが、これは相続登記の申請義務を簡易な方法で履行するための制度です。最終的な所有権の帰属を確定させるものではなく、それだけで不動産を売却できる状態になるわけではありません。

7.数次相続の不動産についてよくある質問(Q&A)

Q1.祖父名義の土地や実家は、そのまま売却できますか?

原則として、登記名義人が亡くなっている場合は、現在の権利関係を確認し、必要な相続手続きや登記を進める必要があります。

ただし、過去の遺産分割協議や相続の経緯によって、必要な手続きは異なります。まずは登記事項証明書と戸籍などを確認しましょう。

Q2.相続人が数十人いる場合、全員の同意が必要ですか?

未分割の遺産について遺産分割協議を行う場合は、原則として共同相続人全員の合意が必要です。

また、不動産全体を通常の売買で売却する場合も、原則として共有者全員の協力が必要になります。ただし、すでに権利関係が確定している場合などは、状況に応じて別の解決方法を検討できることがあります。

Q3.何十年も前の相続でも、今から登記できますか?

古い相続であっても、必要な戸籍などを収集し、相続関係を確認して登記を進められる場合があります。

ただし、長期間が経過していると、相続人が増えていたり、資料が見つからなかったりすることがあります。相続登記の義務化との関係も含め、早めに相談することをおすすめします。

Q4.相続人の一人が売却に反対している場合はどうなりますか?

まずは反対している理由を確認し、売却の必要性や維持費の負担、代金の分配方法などを整理して協議することが考えられます。

合意できない場合には、遺産分割調停などの手続きを検討することがあります。すでに共有持分が確定しているかどうかによっても対応は異なります。

Q5.相続人が行方不明でも売却できますか?

所在調査を行い、それでも見つからない場合には、不在者財産管理人などの制度を検討できることがあります。

ただし、選任すれば必ず売却できるというわけではありません。具体的な権利関係や必要な許可などを確認する必要があります。

Q6.中間の相続登記を省略することはできますか?

一定の条件を満たせば、中間の相続登記を省略できる場合があります。

ただし、すべての数次相続で認められるわけではありません。中間の相続人の人数や相続の経緯などによって判断が異なるため、司法書士に確認しましょう。

Q7.数次相続の登記や売却には、どのくらいの費用と時間がかかりますか?

一律の金額や期間を示すことはできません。

戸籍の収集量、相続人の人数、登記の内容、専門家への依頼範囲、相続人間の協議状況などによって異なります。

特に相続人が多数いる場合や、所在不明者・意見の対立がある場合には、通常の相続登記より時間がかかる可能性があります。

Q8.相続人が多い不動産は、どこに相談すればよいですか?

相続登記や戸籍調査については司法書士、相続人間の紛争や法的な交渉については弁護士など、それぞれの専門分野に応じた相談先を検討します。

不動産の売却も目的としている場合は、複雑な権利関係を抱える不動産の取扱いに詳しい不動産会社に相談し、専門家と連携しながら進める方法もあります。

8.知っておきたい専門用語の解説

数次相続

概要: 遺産分割や手続きが終わる前に相続人が亡くなり、次の相続が重なって発生すること。

ポイント: 相続人の数が一気に増えて関係が複雑化しやすく、協議に参加すべき人数が増えます。

2. 代襲相続(だいしゅうそうぞく)

概要: 本来の相続人(子や兄弟)が先に死亡している場合などに、その子(孫や甥・姪)が代わりに相続すること。

ポイント: 「子」の代襲は孫・ひ孫へ続きますが、「兄弟姉妹」の代襲は甥・姪までとなります。相続放棄の場合は発生しません。

3. 相続登記(そうぞくとうき)

概要: 亡くなった方の不動産名義を、相続人の名義へ変更する手続き。

ポイント: 2024年4月から義務化され、取得を知ってから3年以内の申請が必要です。放置すると売買や活用ができなくなります。

4. 遺産分割協議(いさんぶんかつきょうぎ)

概要: 遺言書がない場合などに、相続人全員で財産の分け方を話し合うこと。

ポイント: 相続人全員の合意が絶対条件です。話し合った内容は「遺産分割協議書」として作成し、全員の実印と印鑑証明書を揃えます。

5. 法定相続分(ほうていそうぞくぶん)

概要: 民法で定められた、各相続人の法律上の分け方の目安(基準割合)。

ポイント: あくまで基準であり、全員の合意があれば法定相続分と異なる割合で分けることも可能です。

6. 共有持分(きょうゆうもちぶん)

概要: 一つの不動産などを複数人で所有する際の、それぞれの権利割合。

ポイント: 売却や取り壊しには全員の同意が必要になります。世代交代で共有者が増えると権利が複雑化するため、極力避けるのが実務の鉄則です。

7. 換価分割(かんかぶんかつ)

概要: 不動産などの現物財産を売却して現金化し、その代金を相続人間で分け合う方法。

ポイント: 1円単位で公平に分配できます。協議書に売却・分配の旨を正しく記載しないと、贈与税が発生する恐れがあります。

8. 遺産分割調停(いさんぶんかつちょうてい)

概要: 当事者同士で話し合いがまとまらない場合に、家庭裁判所で調停委員を交えて解決を目指す手続き。

ポイント: 第三者が間に入るため冷静な話し合いが期待できますが、解決までに半年〜1年以上かかる傾向があります。合意できない場合は自動的に「審判」へ移行します。

9. 不在者財産管理人(ふざいしゃざいさんかんりにん)

概要: 行方不明になっている相続人の代わりに、その財産を管理・保護するために裁判所が選任する人。

ポイント: 遺産分割協議や売却(処分行為)を行うには、家庭裁判所の許可が必要です。原則として不在者の法定相続分を確保する内容になります。

10. 成年後見制度(せいねんこうけんせいど)

概要: 認知症などで判断能力が不十分な方を、法律面や生活面で保護・支援する制度。

ポイント: 認知症の相続人がいる場合、後見人を立てずに協議を行うと無効になります。後見人は本人の財産を守る立場として協議に参加します。

9.筆者の見解|数次相続の不動産は、相続人の人数よりも権利関係の整理が重要

不動産の売却相談では、登記名義が祖父や曾祖父のままになっている土地や建物が問題になることがあります。

このような不動産では、相続人が多いことだけに目を向けても、解決方法は見えてきません。

まず確認したいのは、誰がいつ亡くなり、どのような相続が発生したのかという経緯です。過去に遺産分割協議が成立していなかったか、遺言書が残されていないか、登記が行われなかった理由は何か。こうした情報を一つずつ整理する必要があります。

また、相続人が多数いる場合には、戸籍を集めて相続人を確定することと、その後に必要な協議を進めることは別の課題です。

相続人を全員把握できたとしても、売却に反対する人がいる場合や、連絡が取れない人がいる場合には、さらに対応を考えなければなりません。

そのため、私は、数次相続の不動産では、最初から売却できるかどうかを決めつけるのではなく、権利関係を調査したうえで、実現可能な解決方法を検討することが大切だと考えています。

例えば、過去の遺産分割協議書が見つかれば、相続の経緯を確認する重要な手掛かりになる場合があります。相続人が多数いる場合でも、必要な協議の範囲や登記方法を整理することで、解決の道筋が見えてくることがあります。

一方で、相続人間の紛争がある場合や、意思能力・所在不明などの問題がある場合には、不動産会社だけで解決できるものではありません。司法書士や弁護士など、それぞれの専門家と連携して進めることが重要です。

祖父名義のままだからといって、すぐに売却を諦める必要はありません。しかし、放置しておけば自然に解決する問題でもありません。

不動産を売却したいと考えているのであれば、早い段階で登記状況と相続の経緯を確認し、必要な手続きを整理することをおすすめします。

10.まとめ|祖父名義の不動産は、相続関係を整理することから始めましょう

祖父や曾祖父名義のまま残っている不動産では、複数世代にわたる相続によって、現在の権利関係が複雑になっている場合があります。

しかし、相続人が多いからといって、必ずしも売却できないわけではありません。

まずは登記事項証明書を取得し、戸籍を遡って相続人を確定します。そのうえで、過去の遺産分割協議書や遺言書の有無を確認し、必要な登記や協議の進め方を検討することが重要です。

相続人が協力してくれない、所在が分からない、認知症の人がいるなど、個別の事情によっては専門的な対応が必要になります。

相続関係が複雑な不動産ほど、最初の調査と方針整理が重要です。

祖父名義の不動産・数次相続でお困りの方へ

さいたま市・川越市・上尾市・桶川市周辺で、祖父名義のまま残っている実家や土地、相続人が多く売却が進まない不動産についてお困りではありませんか。

◎ 祖父や曾祖父の名義のまま、何十年も相続登記をしていない

◎ 相続人が多く、誰に連絡すればよいのか分からない

◎ 親族の中に売却に反対する人や、連絡が取れない人がいる

◎ 過去の遺産分割協議が行われたのか分からない

◎ 相続登記を進めたいが、売却までの流れが見えない

このようなお悩みは、登記名義だけを確認しても解決できない場合があります。まずは相続の経緯と不動産の状況を整理し、必要な手続きを把握することが大切です。

ワイズエステート販売株式会社では、複雑な権利関係を抱える不動産について、必要に応じて司法書士や弁護士などの専門家と連携しながら、売却に向けた解決方法を検討します。

「祖父名義のままだから売れないのではないか」「相続人が多すぎて、どこから手をつければよいか分からない」

そのような段階でも、まずはご相談ください。現在の状況を確認し、解決に向けた道筋を一緒に考えていきます。

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