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不動産屋さんの独り言:「任意売却・競売が減ったのは“解決した”からじゃないんだよね」のお話です

最近、任意売却や競売の件数が妙に少ないな…って感じている不動産業者さん、多いんじゃないでしょうか?
一般的に「競売件数が減った」と聞くと、「みんなお金に困ってないのか」と思うかもしれません。でも、実はそうじゃないんかもしれないんですよね。

この数年、低金利が続いていて、さらにコロナ禍での支援策もあったので、住宅ローンや事業ローンの滞納、破綻の話が表に出にくくなっていただけなんです。

つまり、競売の件数が減ったからと言って「問題が解決した」わけではない、という事なんですね。

コロナ禍では、金融機関も「焦って回収しない」スタンスだったんですね。

リスケ(返済条件の変更)、返済猶予、ゼロゼロ融資――こうした“時間稼ぎ策”がいっぱいあったので、結果として、任意売却や競売に出る物件が単純に減っていた、ということです。

さらに、金融緩和政策の効果?で低金利で融資を受ける事ができる状況になったので、通常であれば破綻するような状況でも凌ぐことができたことも影響していると思います。

でも、この“先送り”は永遠に続くわけではありません。

2024年、日銀の利上げの発表があり金利がじわじわ上がり始めています。さらには支援策も終わりに近づきつつあり延命措置が切れ始める時期に突入しているんです。

ここから先、延滞や競売が再び増えるリスクは十分にあります。特に注意したいのは以下の層です。

  • 変動金利でギリギリ借りている人
  • 郊外の戸建て住宅
  • 高齢者ローンや投資用ローン

こういったケースは、今の低金利・支援環境でなんとか耐えていた方が多く、支援終了や金利上昇で一気に滞納・競売のリスクに直面する可能性が高いんです。

では、どうして今この話をするかというと、“事前に動く”のと“滞納が始まってから動く”のとでは、できることの幅がまったく違うからです。

既存借入の滞納が始まってからでは、任意売却の交渉もリスケも、公的支援の活用も、手段が限られてしまいます。

しかし、まだ滞納が始まる前なら、選択肢はたくさん残っています。

例えば、リスケの交渉。返済期間を延ばしたり、月々の支払い額を調整したりして、返済負担を軽くできる場合があります。また、任意売却の戦略も十分に立てられます。競売になる前に市場価格で売却できれば、債務者にとっても債権者にとってもメリットがあります。

結局、不動産はタイミングと情報戦です。

ちょっと動くのが遅いだけで、損失が大きくなることも珍しくありません。

今、任意売却や競売が減っているのは、「みんな順調だから」という事もありますが、「先送りされているだけ」だということを理解しておく必要があります。

冷静に状況を見極め、必要な準備をしておくことが、後で慌てずに済む最善の方法です。

今回のお話を纏めますと

  • 任意売却・競売の件数が少ないのは「解決したから」ではなく「先送りされているだけ」
  • 金利上昇と支援終了で、再び滞納や競売のリスクは高まる
  • 事前に動くことでリスケや任意売却、支援の選択肢を最大限活かせる

このタイミングこそ、数字だけに惑わされず、先を見据えて動くべき時期だと言えます。

競売や任意売却の件数が減っている今だからこそ、“表面に出ていないリスク”に目を向けることが、最も賢い不動産戦略なのです。

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