最近、「みんなで大家さん」ってよく聞く名前でテレビのニュースでも話題に上がっていますね。
特に成田国際空港会社(NAA)が土地の貸付を終了する方針を示したというニュース。投資家さんにとっては突然寝耳に水…なんて声もちらほら聞こえてきます。
でも、こういう投資話って、「あそこ大丈夫?」と誰かが言い始めたときには、すでに色々な裏で話が動いていたりするもので…不動産屋をやっていると、どうしても勘が働いてしまうというか。
「うーん、またか…」なんて苦笑しながらネットニュースの記事を読んでました。
今回も「開発許可が出ているから安心」という言葉が、投資家に希望を与えていたようですが――開発許可って自治体が基準通りに開発する工事を許可しただけで、開発行為の進行状況を管理したり資金面を把握したりしませんので、予定通りに開発行為が進んむとか完了することについては責任を感じませんし、実際に責任を負うことなんて事は無いんですよね。
・自治体から開発行為の許可が出たからといって、その開発が進むとは限らない。
・資金が止まれば、事業が止まる。
・地権者との関係が変われば、計画が消える。
・行政の方針が変われば、リスクが跳ね上がる。
特に成田空港周辺なんて、歴史ある地域で、空港拡張や騒音問題など政治的・地域的な事情が絡み合っている。
行政が「許可はしたけど…実行するかはあなた次第よ?」という独特の空気感がありますよね。
で、今回の土地は“借りていた”土地。
しかも貸主がNAA。航空インフラという国家級の事業に関わる組織が「もう貸さない」と言えば、それだけで事業の根本が崩れかねない。
「開発許可がおりた!間違いない!」
もちろんニュース映えします。でも、不動産投資の現場では、それだけで拍手してはいけないんです。
開発許可は、“スタートラインに立った権利”でしかない。
そこからゴールまで走れるかは、資金力・交渉力・継続力…さまざまな条件が揃わないと無理。
今回の件では、成田市に行政としての責任があるのか、という議論も出てきています。
「市が許可出したんだから何とかしてよ!」
「行政は知らん顔するのか」
――そう言いたい投資家の気持ちもわかります。
でも行政の立場って、実はとても中立的であって
「法律に基づき許可を出しただけ」
あくまで〝開発可能ですよ〟と認めたに過ぎない。
採算が合うかどうか?
投資が回収できるかどうか?
そこまでは面倒見てくれないし、むしろ、そこに行政が過剰に関与したら、別の問題が出てきます。
だから、結局この話はこういうところに行き着きます。
投資は自己責任
耳が痛い言葉ですが、不動産投資って本来そういう世界なんです。
確実な未来なんて誰も約束してくれません。
「高利回り!」「安定収入!」
そんなキラキラした言葉に惹かれそうになったら、一度足元を見てください。
・土地は誰のもの?
・建物は建つ条件が揃っている?
・借地権?地代?契約期間は?
・資金調達の継続性は?
・撤退するときはどうする?
こういう質問に明確に答えられない投資案件は、ちょっと距離を置いた方がいい。
そもそも論になりますが、そんなリスクが無いし儲かる投資案件なんて、一般の方々には情報として流れてこないんですよ。
地権者、開発業者、行政、金融機関、入居者、地域住民…
いろんなステークホルダーが噛み合って、はじめて不動産の価値は生まれる。
どれか1つが止まれば、すべてが崩れる。
投資家心理は常に前向きでいたいものですが、“前向き”と“無防備”は違います。
本件のように、貸主が「もう貸さない」と言った瞬間、計画が遠のくこともある。
これも不動産投資の難しさですよね。
華やかなニュースに翻弄されず、地に足つけて歩く投資家さんが増えてほしい。
もし迷ったら、誰でもいいから“真面な不動産屋”に相談してほしいですね。現場の肌感って、本当に大事ですから。
今回の件も、まだ結論が出たわけではありません。
「貸付終了」と報じられた瞬間に物事が止まるわけでもない。
これから関係者同士の交渉もあるでしょう。
行政だって世論に押されることもある。
だから今の段階で言えるのはただひとつ。
どんな投資にも、楽な道はない。
さて、こんな感じで不動産屋さんの独り言は終了です。
