こんにちは。9月も下旬になり、ようやく過ごしやすい気温になってきましたね。
我が家の2匹のニャンコたちは気温に対して本当に正直で、最近は食欲旺盛!元気に家の中を走り回る時間が増えています。……わたしですか? 運動量はまったく増えませんが、食べる量は少し増えたかもしれません(笑)。とはいえ、それなりに年齢を重ねていますので、昔のように大量には食べられませんけどね。
さて、今回は不動産業界の中でも特に「プロとアマの差」がハッキリと出る、『市街化調整区域の宅地分譲』について、少し専門的かつリアルな裏話をお届けします。
「市街化調整区域」と聞くと、なんだか堅苦しい法律用語のようですが、要するに「結局そこに家を建てられるの?土地を細かく割って売れる(分譲できる)の?」という点が、多くの方にとって一番の関心事だと思います。
役所の「開発できる可能性があります」に戸惑う営業マンたち

実際のところ、市街化調整区域で住宅を建てたり分譲したりできるかどうかを左右しているのは、都市計画法第34条の「立地基準」です。その中でも、実務的に最大のカギとなるのが「11号(条例指定区域)」という規定です。
よく、市街化区域ばかりを扱っていて調整区域に不慣れな不動産会社の営業マンが、役所の開発指導課や建築指導課の窓口に出向いてこんな質問をします。
営業マン:「ここ、市街化調整区域なんですけど、開発行為や建築行為は可能ですか?」
役所の担当者:「……そうですね、開発行為ができる可能性はあります」
この「可能性」という曖昧な言葉に、慣れていない営業マンは激しく戸惑います。彼らはプロを自称している手前、顧客に対して「確約」や「絶対」という答えが欲しいのです。「建築できなかったらどうしよう」と不安になり、結局その物件の買い取りや仲介を諦めてしまうケースも少なくありません。
役所がなぜこのような「含みを持たせた言い方」をするのか、その根本的な原因についてはまた次の機会にお話ししますが……実はこれ、「自治体によってルールが全く違うから」というのが大きな理由の一つなのです。
よく、市街化区域ばかりを扱っていて調整区域に不慣れな不動産会社の営業マンが、役所の開発指導課や建築指導課の窓口に出向いてこんな質問をします。
営業マン:「ここ、市街化調整区域なんですけど、開発行為や建築行為は可能ですか?」
役所の担当者:「……そうですね、開発行為ができる可能性はあります」
この「可能性」という曖昧な言葉に、慣れていない営業マンは激しく戸惑います。彼らはプロを自称している手前、顧客に対して「確約」や「絶対」という答えが欲しいのです。「建築できなかったらどうしよう」と不安になり、結局その物件の買い取りや仲介を諦めてしまうケースも少なくありません。
役所がなぜこのような「含みを持たせた言い方」をするのか、その根本的な原因についてはまた次の機会にお話ししますが……実はこれ、「自治体によってルールが全く違うから」というのが大きな理由の一つなのです。
【埼玉県内でも大違い】あの市はOK、この市はNGの具体例

この都市計画法第34条第11号の適用の仕方は、市区町村によって本当にまちまちです。「隣の市ではOKだったのに、こっちの市では絶対にダメ」というケースがザラにあります。
試しに、私がパッと思いつく埼玉県内の自治体だけでも、これほど方針がバラバラです。
試しに、私がパッと思いつく埼玉県内の自治体だけでも、これほど方針がバラバラです。
① 34条11号の適用が「ない」自治体(原則、分譲不可)
対象自治体:蓮田市、春日部市、久喜市、桶川市、上尾市、越谷市、宮代町など
現状:これらの自治体では原則として11号の区域指定がないため、調整区域での宅地分譲はできません。
※ただし、一部の既存住宅団地(例:蓮田市江ヶ崎のみずほ団地など)のみ、ピンポイントで11号区域に指定されているような例外はあります。
現状:これらの自治体では原則として11号の区域指定がないため、調整区域での宅地分譲はできません。
※ただし、一部の既存住宅団地(例:蓮田市江ヶ崎のみずほ団地など)のみ、ピンポイントで11号区域に指定されているような例外はあります。
② 34条11号が「広く適用されている」自治体(条件付きで分譲可)
対象自治体:加須市、羽生市、坂戸市、杉戸町など
現状:比較的広い範囲に11号の区域指定がなされているため、接道などの排水要件・条件を満たせば、調整区域であっても宅地分譲が可能です。
現状:比較的広い範囲に11号の区域指定がなされているため、接道などの排水要件・条件を満たせば、調整区域であっても宅地分譲が可能です。
③ 独自の基準や期間限定で運用している自治体
さいたま市:ちょっと特殊です。11号とは別に“線引き前宅地”という扱いの土地であれば、接道条件などの開発要件を満たすことで分譲ができるケースがあります。
富士見市:区域と時期を限定して11号区域を指定していました(もしかしたら、もう許可申請の受付は終わっているかもしれません)。
鴻巣市:私の記憶が確かなら、旧川里村の一部の地域が指定されていた記憶があります。(※不動産屋の独り言なので敢えて今すぐ調べたりはしません。詳細が気になる方は調べてみてくださいね!)
富士見市:区域と時期を限定して11号区域を指定していました(もしかしたら、もう許可申請の受付は終わっているかもしれません)。
鴻巣市:私の記憶が確かなら、旧川里村の一部の地域が指定されていた記憶があります。(※不動産屋の独り言なので敢えて今すぐ調べたりはしません。詳細が気になる方は調べてみてくださいね!)
市街化区域の専門業者が「えっ?」と驚く調整区域のルール
例えば、11号を適用していない自治体であっても、地目が「宅地」で500坪あるような物件の場合、「その広大な敷地内に、1棟だけなら建築許可(開発許可)を下ろします」なんて運用がされることもあります。
これを「細かく割って5棟分譲しよう」と思ってもハネられるわけです。
市街化区域(割れば割るほど売れるエリア)ばかり扱っている不動産会社からすると、「えッ?なにそれ?」と耳を疑うような世界ですよね。
これを「細かく割って5棟分譲しよう」と思ってもハネられるわけです。
市街化区域(割れば割るほど売れるエリア)ばかり扱っている不動産会社からすると、「えッ?なにそれ?」と耳を疑うような世界ですよね。
なぜ自治体によってこれほど差があるのか?背景にある2つの現実

「市が違うだけで、どうしてそんなに差があるの?」と驚かれる方も多いのですが、これには自治体ごとの“まちの将来像(都市計画方針)”が深く関係しています。
背景にあるのは、大きく分けて次の2つの潮流です。
背景にあるのは、大きく分けて次の2つの潮流です。
「コンパクトシティ」へのシフト(インフラ維持コストの限界)
最近よく耳にするこの言葉は、簡単に言えば「人口が減る中で、郊外へ無限に街を広げるのをやめて、中心部にコンパクトにまとめよう」という方針です。
郊外の隅々まで道路や上下水道を整備・維持するコストは膨大です。税収が減っていくこれからの時代、それを維持するのは不可能です。そのため、「郊外の新規宅地分譲は厳しく制限し、既存の市街地を守る」という方向にシフトする自治体が増えています。
郊外の隅々まで道路や上下水道を整備・維持するコストは膨大です。税収が減っていくこれからの時代、それを維持するのは不可能です。そのため、「郊外の新規宅地分譲は厳しく制限し、既存の市街地を守る」という方向にシフトする自治体が増えています。
頻発する災害リスク(ハザードマップとの兼ね合い)
近年の大雨、洪水、地震の多発を受けて、「ハザードマップで真っ赤(危険)なエリアに、わざわざ許可を出して宅地分譲を増やして大丈夫か?」という問題意識が自治体の中で急激に高まっています。
万が一、分譲後に水害が起きれば、住民だけでなく自治体も甚大な負担を負うからです。これも制限を厳しくする大きな要因です。
万が一、分譲後に水害が起きれば、住民だけでなく自治体も甚大な負担を負うからです。これも制限を厳しくする大きな要因です。
市街化調整区域に土地を持っている人は、今どう動くべきか?

「じゃあ、うちの市街化調整区域の土地はどうなるんだ?」と不安になりますよね。
結論から申し上げれば、「ネットの情報だけで判断せず、必ず地元の役所の建築指導課や開発指導課に直接確認する」、これに尽きます。
同じ埼玉県内ですらこれだけ対応が違うのですから、一般的なネットの記事やAIの一般論は役に立ちません。
そしてもう一つ、知っておいていただきたいことがあります。
仮に「宅地分譲ができない土地」だったとしても、価値がゼロになるわけではありません。
地目が「宅地」であれば、多区画の分譲は無理でも「1棟だけの自宅」なら建てられる可能性があります。また、地目が「農地」であっても、転用許可がクリアできれば、駐車場、資材置き場、太陽光発電(ソーラーパネル)の設置用地など、活用の道はまだまだ残されています。
結論から申し上げれば、「ネットの情報だけで判断せず、必ず地元の役所の建築指導課や開発指導課に直接確認する」、これに尽きます。
同じ埼玉県内ですらこれだけ対応が違うのですから、一般的なネットの記事やAIの一般論は役に立ちません。
そしてもう一つ、知っておいていただきたいことがあります。
仮に「宅地分譲ができない土地」だったとしても、価値がゼロになるわけではありません。
地目が「宅地」であれば、多区画の分譲は無理でも「1棟だけの自宅」なら建てられる可能性があります。また、地目が「農地」であっても、転用許可がクリアできれば、駐車場、資材置き場、太陽光発電(ソーラーパネル)の設置用地など、活用の道はまだまだ残されています。
【注意】「いつまでも今のルールが続く」とは限らない

ただし、最も注意しなければならないのは、都市計画の見直しによって「今は使える特例(34条11号など)が、将来的に廃止されるリスク」があるということです。
「今は条件を満たせば分譲できる土地」であっても、数年後には指定から外され、一切分譲ができなくなる可能性は十分にあります。
だからこそ、「相続対策として、動ける今のうちにどうするか?」を考えておくことは、非常に賢利で重要な視点なのです。
「今は条件を満たせば分譲できる土地」であっても、数年後には指定から外され、一切分譲ができなくなる可能性は十分にあります。
だからこそ、「相続対策として、動ける今のうちにどうするか?」を考えておくことは、非常に賢利で重要な視点なのです。
まとめ:笑い話では済まされない、資産を守るためのリアルな話

今回は少々マニアックな「独り言」になりましたが、市街化調整区域の話は「あそこは建つ、ここはダメ」という単純な世間話レベルのものではありません。
その背景には、自治体の財政、インフラコスト、災害リスク、そして日本の人口動態という非常に大きくて重い現実が絡み合っています。
今後、コンパクトシティ化の流れで、調整区域の制限が今より緩くなることはまずありません。むしろ厳しくなる一方です。
「うちの土地は今、何ができるのか?」「将来、どんな用途が残されるのか?」を早めに把握しておくことは、大切な資産や家族の相続を守ることに直結します。
もし、「うちの地域のルールはどうなっているんだろう?」「将来のために今できることを知りたい」というご不明な点がございましたら、いつでもお気軽にご相談くださいね。
……あ、ご安心ください。私は呆れるくらい執拗な営業をしない不動産屋さんですので、お茶を飲みに来るくらいの感覚で頼っていただければ幸いです(笑)。
それでは、今回はこのくらいで……。
おしまいです。
その背景には、自治体の財政、インフラコスト、災害リスク、そして日本の人口動態という非常に大きくて重い現実が絡み合っています。
今後、コンパクトシティ化の流れで、調整区域の制限が今より緩くなることはまずありません。むしろ厳しくなる一方です。
「うちの土地は今、何ができるのか?」「将来、どんな用途が残されるのか?」を早めに把握しておくことは、大切な資産や家族の相続を守ることに直結します。
もし、「うちの地域のルールはどうなっているんだろう?」「将来のために今できることを知りたい」というご不明な点がございましたら、いつでもお気軽にご相談くださいね。
……あ、ご安心ください。私は呆れるくらい執拗な営業をしない不動産屋さんですので、お茶を飲みに来るくらいの感覚で頼っていただければ幸いです(笑)。
それでは、今回はこのくらいで……。
おしまいです。

【著者プロフィール】
山中 賢一
ワイズエステート販売株式会社 代表取締役
不動産売却専門 兼 廃業・事業再生コンサルタント
埼玉県さいたま市を拠点として、全国の複雑な不動産問題を解決に導く専門家。
大手不動産会社やFC店で「売却不可」と断られた市街化調整区域、権利関係が複雑な訳あり物件、相続トラブル等の売却において圧倒的な実績を持つ。
また、提携法律事務所との強固なネットワークを活かし、廃業・倒産に伴う法人名義の不動産売却や、資金繰りに苦しむ経営者のための資産整理・再生スキーム構築を得意とする。単に「売る」だけでなく、任意売却や債権者交渉、弁護士と連携した法的措置を伴う出口戦略まで、金融・法務・実務の三位一体で顧客の「後悔のない選択」を支援している。
ワイズエステート販売株式会社
「他社で断られた案件」「銀行交渉が必要な売却」など、出口の見えない不動産のご相談を承ります。法務・金融の視点から、あなたの資産を守る「最適解」を提案します。
●市街化調整区域のスペシャリスト: 建築許可の判断が難しい市街化調整区域や、相続で問題になりやすい「負動産」の解決に注力。
●土地の歴史を読み解く調査: 登記簿や航空写真から土地の変遷を辿り、自治体独自の判断基準まで深く踏み込む緻密な調査を信条としています。
●producer(プロデューサー)としての視点: 単なる「仲介」ではなく、法的・財務的背景を汲み取った「再構築」の提案を重視しています。
山中 賢一
ワイズエステート販売株式会社 代表取締役
不動産売却専門 兼 廃業・事業再生コンサルタント
埼玉県さいたま市を拠点として、全国の複雑な不動産問題を解決に導く専門家。
大手不動産会社やFC店で「売却不可」と断られた市街化調整区域、権利関係が複雑な訳あり物件、相続トラブル等の売却において圧倒的な実績を持つ。
また、提携法律事務所との強固なネットワークを活かし、廃業・倒産に伴う法人名義の不動産売却や、資金繰りに苦しむ経営者のための資産整理・再生スキーム構築を得意とする。単に「売る」だけでなく、任意売却や債権者交渉、弁護士と連携した法的措置を伴う出口戦略まで、金融・法務・実務の三位一体で顧客の「後悔のない選択」を支援している。
ワイズエステート販売株式会社
「他社で断られた案件」「銀行交渉が必要な売却」など、出口の見えない不動産のご相談を承ります。法務・金融の視点から、あなたの資産を守る「最適解」を提案します。
●市街化調整区域のスペシャリスト: 建築許可の判断が難しい市街化調整区域や、相続で問題になりやすい「負動産」の解決に注力。
●土地の歴史を読み解く調査: 登記簿や航空写真から土地の変遷を辿り、自治体独自の判断基準まで深く踏み込む緻密な調査を信条としています。
●producer(プロデューサー)としての視点: 単なる「仲介」ではなく、法的・財務的背景を汲み取った「再構築」の提案を重視しています。