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不動産屋さんの独り言。住宅ローンが払えない時はやるべきこと?「任意売却」が最初じゃないんですよ

不動産屋さんの独り言。住宅ローンが払えない時はやるべきこと?「任意売却」が最初じゃないんですよ

〜まずは不動産査定から、冷静に状況を見極めよう〜

「住宅ローンの支払いが厳しくなってきた…」
この言葉、実は最近とても多く聞きます。

リストラ・転職・倒産・借金苦・金利上昇、物価高、残業減、家族構成の変化。

理由はいろいろですが、誰も最初から「払えなくなるつもり」でローンを組む人はいませんよね。
それでも、現実問題として返済が苦しくなってきたとき、多くの方が真っ先にネットで検索して出てくるのが「任意売却」という言葉です。

でも、ここでちょっと立ち止まって考えてほしいんです。

任意売却というのは、あくまで“延滞後の最終手段”であって、「最初にやること」ではありません。
最初にすべきことは、“自分の家にどれくらいの価値があるのか”を知ること、つまり「不動産査定」です。

任意売却とは、住宅ローンが払えず延滞が続いている状況で、オーバーローンで不動産を売却しても残債全額を完済できない状態の時に借入先の金融機関と協議して抵当権を抹消して不動産を売却する事です。
金融機関から「競売にかけますよ」と通知が来る前に、自分の意思で売却を進めて残債をできるだけ減らす不動産の売却方法ということですね。

任意売却は、確かに競売よりは高く売れる可能性があり、引っ越し時期も相談できるなどメリットもあります。

ただし、任意売却は「滞納状態」でしか使えません。
言い換えると、「ローンをまだ払っている段階」では選べない選択肢なんです。

つまり、まだ住宅ローンを滞納していない段階で「任意売却を考えてます」と言っても、銀行も「いや、まだ普通に売却できるでしょ」となります。
この時点では、まだ“通常の不動産売却”で十分間に合う可能性があるんです。

ここからが本来のスタートラインよいう訳です。

自分の家が今いくらで売れるのか?
住宅ローンの残高と比べて、もし売却金額がローン残債より多ければ――
それは「完済できる売却」、つまり通常の売却として成立します。

「任意売却」という言葉を使わずに、普通に仲介で売却できる。
しかも、信用情報(いわゆるブラックリスト)にも載りませんし、住宅ローンの返済履歴にも傷がつかない。
この段階で動ける人が、実は一番ダメージを小さく抑えられるんです。

逆に、何もせずに放っておくと、延滞→督促→期限の利益喪失→競売…という流れになってしまいます。
競売にかかってしまうと、市場価格より2〜3割安く落札されるのが一般的ですし、
しかも、強制的に退去しなければならず、引っ越し代の相談もできません。
だからこそ、「払えなくなりそう」と思った瞬間に動くことが大事なんです。

これもよく聞かれます。
「査定をしたら、売らなきゃいけない気がして怖い」と。
でも大丈夫です。

不動産の査定は“今の価値を知るだけ”の行為であって、売る・売らないはそのあとゆっくり考えればOKです。

不動産会社によって査定額は多少異なりますし、「近隣の売出価格」「成約事例」「築年数」「リフォーム履歴」などを見て、だいたいの相場を把握できます。

不動産の価値が分かれば、「まだ売らなくても大丈夫だな」と安心できることもありますし、逆に「今なら高く売れるうちに動こう」と決断できることもあります。

実際、私が関わった方の中にも「払えないかも」と不安になって査定した結果、十分に残債を完済できて、次の住まいに余裕をもって引っ越せたケースが多くあります。

例えば、住宅ローン残高が2,000万円、査定価格が2,300万円なら、普通に売却して完済可能です。
手元に現金が少し残れば、引っ越し費用や新生活の準備にも充てられます。

仮に査定額が1,800万円と残債より少なかった場合でも、あきらめる必要はありません。
自己資金や親族からの補填で完済すれば良い事であって、一番避けたい状況は預貯金を使い果たして補填する現金が無く売却することすら困難な状況です。

という訳で、住宅ローンの支払いに困ったときに一番大切なのは、“相談のタイミング”です。
住宅ローンの延滞が始まる前、あるいは1〜2か月の段階で動けば「通常売却」で軟着陸できる可能性があります。
でも、半年以上滞納して督促状が届いてしまうと、もう金融機関の管理部門や保証会社に引き継がれてしまい、「任意売却」以外の道が難しくなります。

つまり、同じ“家を売る”でも、
早めに動く人=自分で選んで売却できる
遅れて動く人=銀行主導で処分される
この差はとても大きいのです。

任意売却という言葉は、確かに「困ったときの助け舟」のように聞こえます。
でも実際には、“競売の一歩手前”の選択肢。
そこまで追い詰められる前に、冷静に自分の家の価値とローン残高を比べてみることが大切です。

まずは、不動産会社に査定を依頼して、今の資産状況を「見える化」しましょう。
その結果、「今のうちに売ってリセットする」のか、「支払い条件を見直してもう少し頑張る」のか、選択肢が見えてきます。

焦って決断する必要はありません。
大事なのは、「早めに動くこと」と「正しい順序で考えること」。
住宅ローンの悩みも、不動産の専門家と一緒に整理すれば、ちゃんと出口は見つかります。

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