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不動産屋さんの独り言:住宅ローンが苦しくなったときのリアルのお話です

不動産屋さんの独り言:住宅ローンが苦しくなったときのリアルのお話です

最近、ご相談者からよく聞くのが「住宅ローンが払えなくなったら、家を売ればいいんですよね?」という話です。

これ、表面的にはシンプルで当たり前に思えるんですが、実際にはそんなに単純じゃないんです。

特に、景気不景気のタイミングや収入減少の局面では、考え方を少し変えないと大きな痛手を負う可能性があります。

近年、住宅ローンを抱える人の多くは、金利が低いタイミングで借り入れをしているケースがほとんどです。

低金利は確かに返済の負担を軽くしてくれますが、その裏には「借りすぎ」のリスクが隠れています。

実際、返済比率が30%を超えるローンは金融機関から見ても高リスクとされます。

債務者の収入の3割以上を返済に回している状態は、少しの収入変動でも返済計画に影響が出やすく、まさにハイリスクの状態です。

ここで重要なのは、「払えなければ売却すればいい」又は「払えなくなったら売却して返してくれ」という発想の危うさです。

景気が良くて不動産の価格がうなぎ上り状態で上がり続ければ、住宅ローンの返済が厳しくなれば売却して一括返済すれば問題ないという考えが思い浮かびますよね。

このことは融資する側の金融機関も同様で、万が一、住宅ローンの返済が滞っても担保価値があるから売却して(させて)回収すれば問題ないと考えています。このような考えなので返済比率を上げて融資をしたりペアローンでのリスクある融資が可能になっているんですよね。

もしも、世の中の流れが変わって景気が悪くなれば金融機関は手のひらを返したかのように融資の基準を厳正化して、今までは融資していたような案件でも厳しく審査をして融資不可の可能性も十分にあり得るという事です。

一番重要な点ですが、景気が悪化して収入が減少しているとき、多くの場合、不動産価格も下落傾向にあります。

つまり、ローン残高よりも高い価格で売れる可能性が低いのです。

例えば、購入時3,000万円の住宅ローンを組んでいて、返済が滞りそうなときに市場価格が2,500万円まで下がっていたら、売却してもローンを完済できません。

残債が残ってしまう「オーバーローン」の状態になり、かえって負担が増えることもあります。

さらに、最近増えているのがペアローンや夫婦連帯ローンのケースです。

これ、表面上は収入合算で借り入れできるので便利なんですが、片方が収入減少や失業した場合、もう一方に返済負担が一気に集中します。ペアローンのリスクはここにあって、「夫婦で借りれば安心」という単純な計算だけでは対応できません。

因みに、低金利で借りる人の多くは「月々の負担が少ないから安心しできるし、自己資金が無くても借りられるの便利」と思っているようですが、住宅ローンの返済が厳しくなった時には、残債額の一括返済をしなければならないので低金利でもそうでなくても同じですので、シンプルに言えば

「借り過ぎ注意という事です」

まとめると、低金利で借りられる時代だからといって、必要以上に借りるのは危険です。

そして、「払えなければ売ればいい」という考えは、タイミングを誤ると大きな損失につながります。

住宅ローンは単なる支払いではなく、市場動向や金利、返済比率、ペアローンのリスクまでを含めた総合的な判断が必要です。

もし自分が相談者の立場だったら、とにかく早めにプロに相談して、現状と選択肢を正確に把握することをおすすめします。

不動産屋としての独り言ですが、実際にこの手の相談は後を絶ちません。

「払えなければ売る」ではなく、「どうすれば支払いを安定させつつ最善の売却タイミングを待てるか」を考えることが、ローン苦の現実的な対応策なんですよね。

家を買おうとして金銭感覚が麻痺している人は、ご用心。





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