こんにちは
11月に入って肌寒むなってきましたね。
仕事仲間や家族と話しても、年末の話や年内にやらなきゃならない仕事の話が出てくるようになったので年末を感じ始めていますが、私個人として年度末への緊張感の強いので、年末年始にについては煽られる感じはなく息抜きができるかな~くらいの感じです。
さて、表題について
2020年に予定されていた東京オリンピックが1年延期して2021年に開催されました。
不動産業界的には東京オリンピックが終わったら不動産価格は暴落する、という話題に注目が集まりました。
でも、実際にはまったく逆の動きでしたよね。
私自身も。あの頃はお客さんから「オリンピック後は買い時ですか?」「下がってから買いたいです」という相談を何度も受けました。
でも実際には、価格は下がるどころか高止まり、むしろ上がったエリアもありました。
これは偶然でもなければ、市場の気まぐれでもありません。
大きな背景として、政府の金融政策とコロナ禍の助成金・協力金やゼロゼロ融資の金余りの状態が不動産市場の“価格を下げさせない仕組み”として大きく影響しました。
まず一番大きかったのが、超低金利政策と住宅ローン減税の延長です。日本銀行がアベノミクス以降、実質的にゼロ金利を維持し続けたことで、住宅ローン金利も歴史的な低さをキープしました。
これによって、購入希望者の購買意欲は冷え込むどころかむしろ活発化して、価格が少し上がっても、月々の返済額は抑えられるので、「今がチャンス」と考える人が増えました。
そして、そこに住宅ローン減税や各種補助金が絡むことで、実質的な“買い支え”が起きていたんです。
さらに、コロナ禍で一気に進んだテレワーク需要も見逃せません。
都心のタワマン需要が一時的に落ち着いたと思いきや、郊外の一戸建てや広めのマンションに注目が集まり、価格が支えられる要因になりました。
しかも建築資材の高騰と人件費の上昇が重なり、新築価格は下がりようがない状態になり、東京都内からの流出した人達が埼玉県・神奈川県・千葉県の都内近県の不動産価格を押し上げました。
私の事務所にも取引したことない建売会社の営業マンから「土地ありませんか~」という電話を引っ切り無しに頂いた記憶があります。
都内からの流出が不動産価格を上昇させたの?と思う方もいますので簡単に説明しますね。
当時、都内で一戸建てを購入すそうなると8,000万~9,000万円で土地が20~25坪で3階建てみたいな感じでした。そのような物件でも、日々の通勤時間や生活環境を考えれば都内に住もうと思っている方が多くいました。
しかし、コロナ禍になり「出社をしないで良い」「通期時間を気にしないで良い」というテレワークの時代が到来しました。
そうなると、家族の中の1人ないし2人が小さい土地の3階建てやマンションで仕事をして生活する事が息苦しくなるように感じ始めました。
そこで、電車で都心から20~30分の新築戸建てをネットだ探し始めようと動き出し、初めて見た埼玉や神奈川の新築戸建てが都心の半額でカースペース2台付みたいな物件がゴロゴロある事に気付いて都内から移り住む人々が急増したので相場よりも高く売り出しても売れる時期が1~2年位ありました。
このような事は、各地域で起きていたでしょうから不動産価格が下がらなかった、1つの要因でしょうね。
そしてもうひとつ重要だったのが、国内外からの不動産投資です。
景気対策と金融緩和によって借り手有利の状況が続いているので不動産投資が活発に行われています。
この不動産投資については、今となっては賛否両論あるかと思いますが、都内の区分マンションの転売が不動産価格の押し上げたと言っても良いでしょう。このような取引が繰り返される事で一般的なサラリーマンは簡単には変えない状況にまでなりましたからね。
私の肌感覚でも、2020年から2023年頃の市場は明らかに金融緩和政策に守られていた印象があります。
本来なら景気後退と大型イベント後の反動で価格が調整されてもおかしくなかった。それを押しとどめたのが金融と不動産政策の“見えない手”です。
でも、これは永遠に続くわけではありませんね。日銀のETFの売却や利上げが現実味を帯びてきたので市場がどう動くのかは大きな転換点を迎えています。
オリンピック後の価格が下がらなかった理由を知っておくと、今後の不動産市場を見る目がまったく変わります。
不動産の価格が上がる時には“力”が働いているし、下がる時にもまた別の“力”が働きます。買う人も売る人も、その背景を知らずに「なんとなく」動くのは危険です。
この話、実は表面的な話だけではありません。
金融政策・市場構造・供給コントロール、そして不動産業界の裏側が複雑に絡んでいます。詳しい解説は「完全版」でしっかり解説していますので、興味がある方はぜひそちらをご覧ください。

