
市街化調整区域の不動産売却の相談を頂いていると、たまにお客さんからこんな質問を受けます。
「ここ、市街化調整区域ですよね?でも普通にコンビニがありますよね。だったら家も建てられるんじゃないですか?」
確かに、初めて聞くともっともな疑問です。
市街化調整区域といえば「原則として建物が建てられない区域」という説明を受けたことがある人も多いと思いますし、それなのにコンビニやガソリンスタンドがあったり病院まで建っていると、「一体どういうルールなんだ?」とモヤっとしますよね。
今日はそんな疑問について、不動産屋さんの立場からお話ししてみようと思います。
まずは、市街化調整区域というのは、都市計画法で「これ以上、市街地を広げないように市街化を抑制するエリア」として指定された場所です。
人口が増えていた時代ならまだしも、今は人口減少社会ですから、無秩序に家やお店を増やすとインフラ維持ができなくなる。
そのため、市街化調整区域では建築行為や開発行為は、原則として禁止されています・ここまでは多くの方がご存じだと思います。
ただし、不動産の世界では「原則NG」という言葉が出てきたら、だいたい「例外がある」と考えた方が良いんです。
市街化調整区域の開発行為についても、まさにその典型です。
その例外を定めているのが、都市計画法第34条の立地基準です。
この条文を最初から最後までしっかり読んで理解している一般の方は、ほとんどいません。
不動産業者でも苦手な人は多いくらいです。でも、この第34条の立地基準を知っているかどうかで、市街化調整区域の見え方はガラッと変わります。
市街化調整区域にコンビニエンストアが建っている理由も、すべてここに詰まっています。
ここで許可基準は都市計画法第34条第9号の立地基準です。
これは簡単に言うと、「市街化区域では立地することが難しいけれど、道路交通の円滑化や安全確保のために必要な施設」であれば、市街化調整区域でも例外的に認めましょう、という考え方です。
つまり、市街化調整区域にあるコンビニセンスストアは“商業施設だからOK”なのではなく、“道路を利用する人のための施設”という位置づけで判断されているんですね。
ガソリンスタンドやドライブインがセットで語られるのも、そのためです。
ここでよくある勘違いが、「じゃあ市街化調整区域でも、コンビニならどこでも建てられるの?」という風に考える人もいると思います。
でも、残念ながら答えはNOです。
実務で一番重要なのは、その土地に接している道路です。国道や県道にしっかり接しているか、あるいは幅員12メートル以上の幹線市道に面しているか、接道長さは足りているか、車の出入りは安全にできるか。大型トラックが入っても問題ないか。
こうした点を細かくチェックされます。「前にコンビニがあるから」という理由だけで、同じことができると思うのは危険です。
実際、相続の相談でよくあるのが、「昔から建物があるから、建て替えもできると思っていた」というケースです。
ところが調べてみると、その建物は何十年も前に特例で許可されたもので、今の基準では同じ許可が下りない。解体したら再建築不可、という現実に直面して、初めて事の重さに気づく方も少なくありません。
市街化調整区域では、「今ある建物」と「これからできること」は全く別物だという点は、本当に注意が必要です。
ここで注意が必要なのは、市街化調整区域の開発行為・建築行為は自治体ごとに運用が違うことです。
都市計画法第34条という大枠は同じでも、県や市町村によって判断基準や考え方が微妙に異なります。「隣の市ではOKだったのに、こちらではダメ」という話は、決して珍しくありません。
だからこそ、ネットで条文を調べただけで自己判断してしまうのは、正直おすすめできません。
市街化調整区域の土地は、「何もできない土地」と思われがちですが、実際には「調べ方次第で評価が変わる土地」でもあります。
市街化調整区域の不動産は売却できないと思っていたら意外と需要があり話が進んだり、逆に使えると思っていたら制限だらけで需要が全く無かったり。
その差を分けるのが、都市計画法第34条の理解と、役所調査の中身です。
ここを飛ばして話を進めると、後から必ず歯車が狂います。
もし今、「市街化調整区域の土地を相続した」「売れるのか分からない」「建替えできると思っていたけど不安になってきた」そんな状況であれば、いきなり結論を出す必要はありません。
まずは事実関係を整理するだけで、見える景色は大きく変わります。コンビニが建っている理由が分かったとき、多くの方は「なるほど、だから簡単じゃないんだ」と腑に落ちます。そこから先は、土地ごとに正解が違う世界です。
不動産屋さんとして一つ言えるのは、市街化調整区域は“感覚で判断すると失敗しやすい”ということ。逆に言えば、きちんと調べて向き合えば、無駄な遠回りをせずに済む分野でもあります。
「なぜここにコンビニがあるんだろう?」
そんな素朴な疑問を持った方は、ぜひ一度、自分の土地にも同じ目線を向けてみてください。そこからが、本当のスタートです。
市街化調整区域の不動産を所有している方でご興味のある方は、こちらのページを読んで下さい。
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