はじめに
親から実家や土地を相続し、売却を考えたとき、まず気になるのは「いくらで売れるのか」という価格ではないでしょうか。
しかし、相続不動産の売却では、査定価格を調べる前に確認しておきたいことがあります。
それが、不動産の権利関係です。
登記名義が亡くなった親のままになっている、祖父母の名義が残っている、住宅ローンを完済したはずなのに抵当権が残っている、親族との共有名義になっている。
このような問題があると、売却手続きに時間がかかったり相続人同士の話し合いや専門家による調査が必要になったりすることがあります。
結論:相続した不動産の売却前に「全部事項証明書」で権利関係を整理することが最優先

相続不動産をスムーズに売却するには、まず全部事項証明書(登記簿謄本)で登記内容を確認し、相続人・共有者・抵当権などの権利関係を整理することが重要です。
ただし、登記簿だけですべての問題が把握できるわけではありません。
実務では「真の相続人」「私道の持分」「隣地との境界」「未登記建物」「行政上の利用制限(農地や調整区域など)」まで確認して初めて、必要な売却手続きが見えてきます。
本記事では、全部事項証明書の取得方法や見方から、登記簿だけでは分からない実務上の注意点まで、不動産プロの視点で分かりやすく解説します。
ただし、登記簿だけですべての問題が把握できるわけではありません。
実務では「真の相続人」「私道の持分」「隣地との境界」「未登記建物」「行政上の利用制限(農地や調整区域など)」まで確認して初めて、必要な売却手続きが見えてきます。
本記事では、全部事項証明書の取得方法や見方から、登記簿だけでは分からない実務上の注意点まで、不動産プロの視点で分かりやすく解説します。
1.相続不動産の権利関係を確認する「全部事項証明書」とは?

全部事項証明書とは、不動産の登記記録に記載されている情報を証明する書類です。一般的には「登記簿謄本」と呼ばれています。
土地や建物について、所在地、地目、面積、所有者、抵当権などの権利に関する情報を確認できます。
相続した不動産を売却する場合、まずは対象となる土地と建物の登記記録を確認しましょう。
土地や建物について、所在地、地目、面積、所有者、抵当権などの権利に関する情報を確認できます。
相続した不動産を売却する場合、まずは対象となる土地と建物の登記記録を確認しましょう。
全部事項証明書はどこで取得できる?
主な取得方法は次のとおりです。
◎ 法務局の窓口で取得する
◎ オンラインで登記事項証明書を請求する
◎ 登記情報提供サービスで登記情報を閲覧する
登記事項証明書は、原則として誰でも請求できます。所有者本人でなければ取得できない書類ではありません。
ただし、法務局が発行する登記事項証明書と、登記情報提供サービスで閲覧する登記情報は異なります。後者は通常、登記手続きなどで提出する証明書そのものではありません。提出先や利用目的に応じて使い分けましょう。
また、土地と建物は別々に登記されているため、実家を調べる際には土地だけでなく建物の登記記録も確認する必要があります。
敷地が複数の土地、つまり複数の筆に分かれている場合は、それぞれの土地について調査します。自宅の敷地だと思って利用していた土地が、実際には別の地番になっているケースもあるためです。
◎ 法務局の窓口で取得する
◎ オンラインで登記事項証明書を請求する
◎ 登記情報提供サービスで登記情報を閲覧する
登記事項証明書は、原則として誰でも請求できます。所有者本人でなければ取得できない書類ではありません。
ただし、法務局が発行する登記事項証明書と、登記情報提供サービスで閲覧する登記情報は異なります。後者は通常、登記手続きなどで提出する証明書そのものではありません。提出先や利用目的に応じて使い分けましょう。
また、土地と建物は別々に登記されているため、実家を調べる際には土地だけでなく建物の登記記録も確認する必要があります。
敷地が複数の土地、つまり複数の筆に分かれている場合は、それぞれの土地について調査します。自宅の敷地だと思って利用していた土地が、実際には別の地番になっているケースもあるためです。
2.全部事項証明書で確認したい3つのポイント

① 表題部:土地や建物の基本情報
表題部には、不動産の所在、地番、地目、地積、建物の種類、構造、床面積などが記載されています。
ここで確認したいのは、実際の不動産の状況と登記内容が一致しているかという点です。
【建物の増改築・未登記部分】
登記上は古い建物のままでも、実際には増築されている場合があります。物置や車庫などの附属建物が未登記になっているケースもあります。
未登記部分があるからといって直ちに売却できないわけではありませんが、建物の表示に関する登記や、売却時の取扱いについて確認が必要になることがあります。
【住所と地番の違い】
普段使っている住所と、登記上の地番は異なることがあります。特に複数の土地を一体的に利用している場合、売却対象の土地を正確に特定することが重要です。
対象地を誤認すると、査定や契約内容の見直しにつながる可能性があります。
【登記面積と実測面積の違い】
登記簿上の地積と、実際に測量した面積が異なる場合もあります。
必要に応じて公図、地積測量図、確定測量図などを確認します。境界が不明確な場合には、土地家屋調査士などへの相談も検討しましょう。
ここで確認したいのは、実際の不動産の状況と登記内容が一致しているかという点です。
【建物の増改築・未登記部分】
登記上は古い建物のままでも、実際には増築されている場合があります。物置や車庫などの附属建物が未登記になっているケースもあります。
未登記部分があるからといって直ちに売却できないわけではありませんが、建物の表示に関する登記や、売却時の取扱いについて確認が必要になることがあります。
【住所と地番の違い】
普段使っている住所と、登記上の地番は異なることがあります。特に複数の土地を一体的に利用している場合、売却対象の土地を正確に特定することが重要です。
対象地を誤認すると、査定や契約内容の見直しにつながる可能性があります。
【登記面積と実測面積の違い】
登記簿上の地積と、実際に測量した面積が異なる場合もあります。
必要に応じて公図、地積測量図、確定測量図などを確認します。境界が不明確な場合には、土地家屋調査士などへの相談も検討しましょう。
② 権利部・甲区:現在の所有者と所有権の履歴
甲区には、所有権に関する登記が記録されています。
最初に確認したいのは、現在の登記名義人が誰になっているかです。
例えば、父親が亡くなっているのに名義が父親のままであれば、相続登記の状況を確認する必要があります。
さらに、祖父母の名義が残っている土地では、過去の相続から順番に相続関係を整理しなければならない場合があります。これを数次相続と呼びます。
相続人の一人がすでに亡くなっている場合、その人の相続人も関係してくることがあり、当初考えていたよりも多くの人の協力が必要になるケースがあります。
また、甲区には差押えや仮差押えなどが記録される場合もあります。
こうした登記がある場合、売却や買主への引渡しに制約が生じる可能性があるため、登記の原因や債権者、必要な手続きを確認しなければなりません。
登記名義人が亡くなった親だからといって、子どもが自由に売却できるわけではありません。
誰が相続人なのか、遺言書があるのか、遺産分割協議が成立しているのか、相続登記が必要なのかを確認することが重要です。
最初に確認したいのは、現在の登記名義人が誰になっているかです。
例えば、父親が亡くなっているのに名義が父親のままであれば、相続登記の状況を確認する必要があります。
さらに、祖父母の名義が残っている土地では、過去の相続から順番に相続関係を整理しなければならない場合があります。これを数次相続と呼びます。
相続人の一人がすでに亡くなっている場合、その人の相続人も関係してくることがあり、当初考えていたよりも多くの人の協力が必要になるケースがあります。
また、甲区には差押えや仮差押えなどが記録される場合もあります。
こうした登記がある場合、売却や買主への引渡しに制約が生じる可能性があるため、登記の原因や債権者、必要な手続きを確認しなければなりません。
登記名義人が亡くなった親だからといって、子どもが自由に売却できるわけではありません。
誰が相続人なのか、遺言書があるのか、遺産分割協議が成立しているのか、相続登記が必要なのかを確認することが重要です。
③ 権利部・乙区:抵当権などの権利
乙区には、抵当権や地上権、地役権など、所有権以外の権利が記録されます。
相続不動産の売却で特に注意したいのが抵当権です。
【住宅ローンを完済しているのに抵当権が残っている場合】
住宅ローンを完済しても、抵当権の抹消登記が自動的に行われるわけではありません。抹消登記が未了であれば、登記記録に抵当権が残っていることがあります。
この場合は、金融機関などから必要書類を取り寄せ、抵当権抹消登記を進めます。金融機関の合併や名称変更、書類の紛失などがある場合には、追加の確認が必要になることもあります。
【借入金が残っている場合】
借入金が残っている場合は、残債額、売却価格の見込み、売却代金で完済できるかなどを確認します。
売却代金で完済する場合には、決済時の返済と抵当権抹消をどのように進めるか、金融機関や司法書士などと調整する必要があります。
【地役権などが設定されている場合】
地役権などが設定されている場合、土地の利用方法や買主の利用計画に影響することがあります。登記内容だけでなく、設定の目的や範囲なども確認しましょう。
相続不動産の売却で特に注意したいのが抵当権です。
【住宅ローンを完済しているのに抵当権が残っている場合】
住宅ローンを完済しても、抵当権の抹消登記が自動的に行われるわけではありません。抹消登記が未了であれば、登記記録に抵当権が残っていることがあります。
この場合は、金融機関などから必要書類を取り寄せ、抵当権抹消登記を進めます。金融機関の合併や名称変更、書類の紛失などがある場合には、追加の確認が必要になることもあります。
【借入金が残っている場合】
借入金が残っている場合は、残債額、売却価格の見込み、売却代金で完済できるかなどを確認します。
売却代金で完済する場合には、決済時の返済と抵当権抹消をどのように進めるか、金融機関や司法書士などと調整する必要があります。
【地役権などが設定されている場合】
地役権などが設定されている場合、土地の利用方法や買主の利用計画に影響することがあります。登記内容だけでなく、設定の目的や範囲なども確認しましょう。
3.登記簿を確認しても分からない4つの問題

全部事項証明書は重要な資料ですが、登記記録だけですべての権利関係や利用上の問題を把握できるわけではありません。
実務では、登記簿以外の資料や現地調査、役所調査が必要になることがあります。
実務では、登記簿以外の資料や現地調査、役所調査が必要になることがあります。
① 相続人が確定していない
登記名義人が亡くなった方のままの場合、登記簿を見ただけでは現在の相続人を確定できません。
相続人を調査するには、戸籍謄本や除籍謄本などを収集し、相続関係を確認する必要があります。状況に応じて相続関係説明図などを作成すると、関係者や専門家との情報共有にも役立ちます。
過去の相続が未処理の場合、面識のない親族が相続人になっていることもあります。
相続人の一人と連絡が取れない、相続人同士で意見がまとまらないといった場合には、相続登記だけでなく、遺産分割や今後の売却方針についても整理が必要です。
相続人を調査するには、戸籍謄本や除籍謄本などを収集し、相続関係を確認する必要があります。状況に応じて相続関係説明図などを作成すると、関係者や専門家との情報共有にも役立ちます。
過去の相続が未処理の場合、面識のない親族が相続人になっていることもあります。
相続人の一人と連絡が取れない、相続人同士で意見がまとまらないといった場合には、相続登記だけでなく、遺産分割や今後の売却方針についても整理が必要です。
② 私道の持分や通行・掘削の権利が不明
相続した実家の前の道路が私道である場合、自宅の土地だけを調べても、道路の所有者や共有持分、通行・掘削に関する権利関係までは分からないことがあります。
私道の持分がない場合でも、通行や掘削に関する権利が別途確保されているケースはあります。一方、権利関係が不明確な場合には、上下水道やガスの工事、将来の建替えなどに影響する可能性があります。
通行・掘削承諾書が必要かどうかも、既存の権利、契約内容、道路の状況などによって異なります。
調査では、公図や登記事項証明書、必要に応じて名寄帳などを確認し、関係する道路や土地の所有者を把握します。名寄帳は自治体の課税資料であり、未登記不動産や非課税の土地などがすべて記載されるとは限らないため、ほかの資料との照合が重要です。
私道の持分がない場合でも、通行や掘削に関する権利が別途確保されているケースはあります。一方、権利関係が不明確な場合には、上下水道やガスの工事、将来の建替えなどに影響する可能性があります。
通行・掘削承諾書が必要かどうかも、既存の権利、契約内容、道路の状況などによって異なります。
調査では、公図や登記事項証明書、必要に応じて名寄帳などを確認し、関係する道路や土地の所有者を把握します。名寄帳は自治体の課税資料であり、未登記不動産や非課税の土地などがすべて記載されるとは限らないため、ほかの資料との照合が重要です。
③ 未登記建物・境界トラブル・行政上の利用制限
古い実家では、増築部分が未登記であったり、隣地の塀や建物が境界を越えていたりすることがあります。
また、土地の地目が田や畑になっている場合、市街化調整区域にある場合などは、売却方法や利用計画に応じて、農地法や都市計画法などの規制を確認する必要があります。
ここで注意したいのは、土地の売買そのものと、農地転用、開発行為、建築などの許可は同じではないという点です。
例えば、農地を農地のまま売却する場合と、住宅用地として利用する目的で売却する場合では、必要な手続きが異なります。市街化調整区域でも、土地の状況や過去の許可、自治体の運用などによって利用可能性が変わります。
「農地だから売れない」「市街化調整区域だから建物を建てられない」と一律に判断するのではなく、現地調査と役所調査を行い、個別に確認することが重要です。
また、土地の地目が田や畑になっている場合、市街化調整区域にある場合などは、売却方法や利用計画に応じて、農地法や都市計画法などの規制を確認する必要があります。
ここで注意したいのは、土地の売買そのものと、農地転用、開発行為、建築などの許可は同じではないという点です。
例えば、農地を農地のまま売却する場合と、住宅用地として利用する目的で売却する場合では、必要な手続きが異なります。市街化調整区域でも、土地の状況や過去の許可、自治体の運用などによって利用可能性が変わります。
「農地だから売れない」「市街化調整区域だから建物を建てられない」と一律に判断するのではなく、現地調査と役所調査を行い、個別に確認することが重要です。
④ 相続登記の義務化への対応
2024年4月1日から相続登記が義務化されました。
相続や遺言によって不動産の所有権を取得したことを知った場合、原則として、その取得を知った日から3年以内に相続登記を申請する必要があります。遺産分割によって不動産を取得した場合にも、原則として遺産分割成立の日から3年以内に、その内容を反映した登記を申請する義務があります。
正当な理由なく義務に違反した場合には、10万円以下の過料の対象となることがあります。
なお、相続人申告登記という制度もありますが、これは相続登記そのものとは異なり、遺産分割によって取得した不動産の登記義務などをすべて満たすものではありません。
「売却するときに名義を変更すればよい」と考えて長期間放置するのではなく、相続登記の状況と期限を早めに確認しましょう。
相続や遺言によって不動産の所有権を取得したことを知った場合、原則として、その取得を知った日から3年以内に相続登記を申請する必要があります。遺産分割によって不動産を取得した場合にも、原則として遺産分割成立の日から3年以内に、その内容を反映した登記を申請する義務があります。
正当な理由なく義務に違反した場合には、10万円以下の過料の対象となることがあります。
なお、相続人申告登記という制度もありますが、これは相続登記そのものとは異なり、遺産分割によって取得した不動産の登記義務などをすべて満たすものではありません。
「売却するときに名義を変更すればよい」と考えて長期間放置するのではなく、相続登記の状況と期限を早めに確認しましょう。
4.権利関係に問題がある場合の整理表

問題が見つかったからといって、必ずしも売却できないわけではありません。必要な手続きや調整を確認し、解決の可能性を検討することが大切です。
相続した不動産が亡くなった親・祖父母の名義
【戸籍調査による相続人の確定、遺産分割協議、相続登記の申請】
・亡くなった方の出生から死亡までの戸籍謄本等を収集し、真の相続人を特定する
・相続人全員で「誰が取得・売却するか」を話し合い、遺産分割協議書を作成する
・売却・引き渡しまでに名義を変更する(※2024年4月より相続登記が義務化)
・亡くなった方の出生から死亡までの戸籍謄本等を収集し、真の相続人を特定する
・相続人全員で「誰が取得・売却するか」を話し合い、遺産分割協議書を作成する
・売却・引き渡しまでに名義を変更する(※2024年4月より相続登記が義務化)
相続した不動産が共有名義になっている
【各共有者の持分割合、売却意向の確認、売却方法の検討】
・各共有者の持分割合(分量)と売却の意思を確認する
・不動産全体を売却するには共有者全員の同意が必要となるため、売却条件(価格や時期)の目合わせを行う
・同意が得られない場合は、自身の持分のみの売却や、共有物分割協議などを検討する
・各共有者の持分割合(分量)と売却の意思を確認する
・不動産全体を売却するには共有者全員の同意が必要となるため、売却条件(価格や時期)の目合わせを行う
・同意が得られない場合は、自身の持分のみの売却や、共有物分割協議などを検討する
相続した不動産に抵当権が残っている
【ローン完済状況の確認、金融機関との調整、抵当権抹消手続きの準備】
・すでに完済している場合は、金融機関から必要書類を取り寄せて抵当権抹消登記を行う
・残債がある場合は、売却代金で完済できるか返済シミュレーションを行い、金融機関と一括返済・抹消の調整を進める
・すでに完済している場合は、金融機関から必要書類を取り寄せて抵当権抹消登記を行う
・残債がある場合は、売却代金で完済できるか返済シミュレーションを行い、金融機関と一括返済・抹消の調整を進める
相続した不動産に差押・仮差押がある
【登記原因と債権者の特定、売却代金による清算・差押え解除に向けた法的な協議】
・どのような債務(税金滞納、借入金など)で差押えがなされているか原因と債権者を特定する
・売却代金から債務を清算して差押えを解除してもらえるよう、債権者や弁護士等と事前に調整・交渉を行う
・どのような債務(税金滞納、借入金など)で差押えがなされているか原因と債権者を特定する
・売却代金から債務を清算して差押えを解除してもらえるよう、債権者や弁護士等と事前に調整・交渉を行う
相続した不動産の私道の持分・権利が不明
【公図・名寄帳での持分調査、隣地・道路所有者との通行・掘削承諾の確認】
・公図や名寄帳で私道の共有持分の有無を調べる
・持分がない場合は、将来の建築やインフラ引き込み(上下水道・ガス)に支障が出ないよう、私道所有者から「通行掘削承諾書」を取得できるか確認する
・公図や名寄帳で私道の共有持分の有無を調べる
・持分がない場合は、将来の建築やインフラ引き込み(上下水道・ガス)に支障が出ないよう、私道所有者から「通行掘削承諾書」を取得できるか確認する
相続した不動産に未登記建物・境界未確定
【現況調査、未登記部分の表題部変更登記、隣地所有者との境界確定測量の検討】
・増改築部分や附属建物(物置・車庫等)が未登記の場合、土地家屋調査士へ依頼して表題変更登記を行う
・隣地との境界があいまいな場合は、現地で境界標を確認し、必要に応じて隣地所有者の立ち会いのもと「確定測量」を実施する
・増改築部分や附属建物(物置・車庫等)が未登記の場合、土地家屋調査士へ依頼して表題変更登記を行う
・隣地との境界があいまいな場合は、現地で境界標を確認し、必要に応じて隣地所有者の立ち会いのもと「確定測量」を実施する
ポイント
差押えや仮差押えがある場合は、債権者との協議や裁判手続きなどが必要になることもあります。売却代金による清算で解決できるかどうかも、債権額やほかの権利関係によって異なります。
また、共有者の一人が反対している場合、通常、不動産全体の売却には共有者全員の合意が必要です。ただし、自分の共有持分のみを売却する方法や、共有関係そのものの整理を検討できる場合もあります。
また、共有者の一人が反対している場合、通常、不動産全体の売却には共有者全員の合意が必要です。ただし、自分の共有持分のみを売却する方法や、共有関係そのものの整理を検討できる場合もあります。
5.権利関係の調査は自分で行うべき?専門家に相談すべき?

全部事項証明書を取得し、基本的な情報を確認すること自体はご自身でも可能です。しかし、「登記情報を取得すること」と「売却に必要な権利関係や法的な問題を正確に整理すること」は全く別の作業です。
各調査・手続きについて、自分で進める場合と専門家に相談する場合の違いを詳しく見ていきましょう。
各調査・手続きについて、自分で進める場合と専門家に相談する場合の違いを詳しく見ていきましょう。
① 登記情報の取得
自分で調べる場合:法務局の窓口やオンライン(登記情報提供サービスなど)を利用すれば、個人でも登記情報を取得できます。
専門家に相談する場合:実務では自宅の土地・建物だけでなく、私道部分や隣接地など、売却に必要な複数の不動産を漏れなく特定・整理した上で調査を進めてもらえます。
専門家に相談する場合:実務では自宅の土地・建物だけでなく、私道部分や隣接地など、売却に必要な複数の不動産を漏れなく特定・整理した上で調査を進めてもらえます。
② 相続人の確定
自分で調べる場合:亡くなった方の出生から死亡までの戸籍謄本・除籍謄本を個人で集める必要があります。過去の相続が未処理の場合、広範囲から多数の戸籍を収集しなければならず、大変な労力と時間がかかります。
専門家に相談する場合:司法書士などの専門家に依頼することで、職権によるスムーズな戸籍調査と相続関係説明図の作成をまかせることができます。
専門家に相談する場合:司法書士などの専門家に依頼することで、職権によるスムーズな戸籍調査と相続関係説明図の作成をまかせることができます。
③ 私道・境界の確認
自分で調べる場合:公図や役所の道路図面を取り寄せ、現地の境界標の有無などを自分で確認する必要があります。しかし、私道の通行・掘削に関する権利や境界の法的効力まで個人で判断するのは困難です。
専門家に相談する場合:状況に応じて土地家屋調査士などの専門家と連携し、確実な資料調査や現地の確定測量手配まで円滑に進めてもらえます。
専門家に相談する場合:状況に応じて土地家屋調査士などの専門家と連携し、確実な資料調査や現地の確定測量手配まで円滑に進めてもらえます。
④ 行政上の制限(農地・市街化調整区域など)
自分で調べる場合:自治体の都市計画課や農業委員会などの窓口へ出向き、自分で確認する必要があります。ただし、専門用語が多く、建築許可や農地転用の要件をご自身だけで解釈するのは容易ではありません。
専門家に相談する場合:「どのような用途や計画であれば売却・建築が可能か」という具体的な買主目線・実務目線に立った法的調査を依頼できます。
専門家に相談する場合:「どのような用途や計画であれば売却・建築が可能か」という具体的な買主目線・実務目線に立った法的調査を依頼できます。
⑤ 売却までの全体的な進め方
自分で調べる場合:問題が見つかるたびに、司法書士、土地家屋調査士、弁護士、税理士など、それぞれの相談窓口をご自身で探して個別に調整しなければなりません。
専門家に相談する場合:不動産会社を総合窓口として、必要な専門家(司法書士・弁護士等)とワンストップで連携しながら、売却完了までの最適な手順・スケジュールを整理してもらえます。
専門家に相談する場合:不動産会社を総合窓口として、必要な専門家(司法書士・弁護士等)とワンストップで連携しながら、売却完了までの最適な手順・スケジュールを整理してもらえます。
ポイント
不動産会社による調査や査定の対応範囲は、依頼内容や契約条件によって異なります。また、相続登記、測量、法律上の紛争解決などは、別途費用がかかる場合があります。
最初からすべてを自分で解決しようとする必要はありません。まずは登記情報を確認し、分からない点や不安な点を整理して相談する方法もあります。
最初からすべてを自分で解決しようとする必要はありません。まずは登記情報を確認し、分からない点や不安な点を整理して相談する方法もあります。
6.相続不動産の権利関係に問題が見つかった場合、どう解消する?

登記事項証明書を確認して、相続登記がされていない、抵当権や仮差押えが残っている、共有者全員の合意が得られないといった問題が見つかっても、その時点で売却を諦める必要があるとは限りません。
大切なのは、登記簿に記載された内容を確認するだけで終わらせず、何が売却の支障になっているのかを整理し、問題ごとに解決方法を検討することです。
ただし、権利関係の問題は、不動産の状況や関係者の意向、債務の内容、これまでの相続経緯などによって対応が異なります。すべてのケースで同じ手続きが使えるわけではありません。
大切なのは、登記簿に記載された内容を確認するだけで終わらせず、何が売却の支障になっているのかを整理し、問題ごとに解決方法を検討することです。
ただし、権利関係の問題は、不動産の状況や関係者の意向、債務の内容、これまでの相続経緯などによって対応が異なります。すべてのケースで同じ手続きが使えるわけではありません。
① 亡くなった親や祖父の名義が残っている場合
相続した不動産を売却しようとしたところ、登記事項証明書には亡くなった親や祖父の名前が記載されている。このような場合、最初に確認したいのは、現在の相続人が誰なのかという点です。
例えば、祖父が亡くなった後に相続登記が行われず、その後に父親も亡くなっている場合、祖父の相続と父親の相続を分けて整理しなければならないことがあります。相続が複数回発生している場合には、当初考えていたよりも多くの相続人が関係している可能性があります。
解決に向けては、戸籍などの資料を収集し、相続関係を確認します。そのうえで、遺言書の有無、過去の遺産分割協議の状況、相続人間の合意の有無などを調べ、相続登記を進められるか検討します。
相続人の1人がすでに亡くなっている場合や、相続人と連絡が取れない場合には、さらに調査や法的な対応が必要になることもあります。
注意したいのは、相続人を調べることと、相続人全員の合意を得ることは別の問題だという点です。 誰が相続人なのかを確定できても、遺産分割や売却について合意できなければ、手続きが進まない場合があります。
名義が古い不動産は、買主を探すことと並行して、相続関係の調査や必要書類の確認を始めておくことが重要です。
例えば、祖父が亡くなった後に相続登記が行われず、その後に父親も亡くなっている場合、祖父の相続と父親の相続を分けて整理しなければならないことがあります。相続が複数回発生している場合には、当初考えていたよりも多くの相続人が関係している可能性があります。
解決に向けては、戸籍などの資料を収集し、相続関係を確認します。そのうえで、遺言書の有無、過去の遺産分割協議の状況、相続人間の合意の有無などを調べ、相続登記を進められるか検討します。
相続人の1人がすでに亡くなっている場合や、相続人と連絡が取れない場合には、さらに調査や法的な対応が必要になることもあります。
注意したいのは、相続人を調べることと、相続人全員の合意を得ることは別の問題だという点です。 誰が相続人なのかを確定できても、遺産分割や売却について合意できなければ、手続きが進まない場合があります。
名義が古い不動産は、買主を探すことと並行して、相続関係の調査や必要書類の確認を始めておくことが重要です。
② 共有者の1人が売却に反対している場合
相続した土地や建物を売却したいと考えていても、共有者の一人が反対しているために話し合いが進まないケースがあります。
この場合、まず確認したいのは、共有者とそれぞれの持分、反対している理由、これまでの話し合いの経緯です。
売却価格に納得していないのか、売却後に住む場所がなくなることを心配しているのか、それとも相続時の経緯などから他の共有者との関係が悪化しているのか。反対の理由によって、話し合いの進め方は変わります。
例えば、価格に対する不満が原因であれば、査定価格の根拠や売却にかかる費用、売却後に各共有者へ分配される金額などを整理することで、合意に近づける可能性があります。
一方、話し合いによる解決が難しい場合には、共有持分の処分や共有関係の解消といった方法を検討できることもあります。ただし、共有持分のみの売却は、不動産全体を売却する場合とは価格や買主、取引条件が異なることがあり、必ずしも希望どおりの条件で処分できるとは限りません。
また、共有者の1人が反対している場合、他の共有者だけで不動産全体を通常の売買によって売却できるわけではありません。共有物の処分に関する法的な条件を確認する必要があります。
相続した不動産の売却に反対する共有者がいるときは、最初から売却できないと決めつけるのではなく、合意できない理由と、検討可能な選択肢を整理することが大切です。
この場合、まず確認したいのは、共有者とそれぞれの持分、反対している理由、これまでの話し合いの経緯です。
売却価格に納得していないのか、売却後に住む場所がなくなることを心配しているのか、それとも相続時の経緯などから他の共有者との関係が悪化しているのか。反対の理由によって、話し合いの進め方は変わります。
例えば、価格に対する不満が原因であれば、査定価格の根拠や売却にかかる費用、売却後に各共有者へ分配される金額などを整理することで、合意に近づける可能性があります。
一方、話し合いによる解決が難しい場合には、共有持分の処分や共有関係の解消といった方法を検討できることもあります。ただし、共有持分のみの売却は、不動産全体を売却する場合とは価格や買主、取引条件が異なることがあり、必ずしも希望どおりの条件で処分できるとは限りません。
また、共有者の1人が反対している場合、他の共有者だけで不動産全体を通常の売買によって売却できるわけではありません。共有物の処分に関する法的な条件を確認する必要があります。
相続した不動産の売却に反対する共有者がいるときは、最初から売却できないと決めつけるのではなく、合意できない理由と、検討可能な選択肢を整理することが大切です。
③ 抵当権が残っている場合
相続した不動産の登記事項証明書に抵当権が記載されている場合は、住宅ローンなどの債務がすでに完済されているのか、現在も残っているのかを確認します。
債務が完済されていても、抵当権抹消登記が行われず、登記簿上は抵当権が残っていることがあります。この場合は、金融機関などから必要書類を取得できるか確認し、抹消登記の手続きを検討します。
一方、債務が残っている場合は、残債額と不動産の売却見込み額を比較することが重要です。
不動産の売却代金で債務を返済し、抵当権を抹消できる見込みがある場合には、金融機関などと必要な手続きや決済方法を確認します。売却代金だけでは債務を完済できない場合には、不足額をどのように用意するか、債権者との協議が必要かなどを検討しなければなりません。
ここで注意したいのは、抵当権が残っていることだけを理由に売却できないと判断するのも、売却代金で必ず解決できると考えるのも適切ではないということです。
債務の内容や金融機関などの対応、売却価格によって条件は変わります。売却を進める前に、抵当権を抹消するための具体的な条件を確認しておきましょう。
債務が完済されていても、抵当権抹消登記が行われず、登記簿上は抵当権が残っていることがあります。この場合は、金融機関などから必要書類を取得できるか確認し、抹消登記の手続きを検討します。
一方、債務が残っている場合は、残債額と不動産の売却見込み額を比較することが重要です。
不動産の売却代金で債務を返済し、抵当権を抹消できる見込みがある場合には、金融機関などと必要な手続きや決済方法を確認します。売却代金だけでは債務を完済できない場合には、不足額をどのように用意するか、債権者との協議が必要かなどを検討しなければなりません。
ここで注意したいのは、抵当権が残っていることだけを理由に売却できないと判断するのも、売却代金で必ず解決できると考えるのも適切ではないということです。
債務の内容や金融機関などの対応、売却価格によって条件は変わります。売却を進める前に、抵当権を抹消するための具体的な条件を確認しておきましょう。
④ 仮差押や差押がある場合
登記事項証明書に仮差押えや差押えが記載されている場合は、通常の売却案件とは異なる注意が必要です。
まず、登記内容や裁判所から届いた書類などを確認し、誰が、どのような請求に基づいて手続きを行っているのかを整理します。請求額や債務の内容、裁判手続きの状況なども確認すべき事項です。
そのうえで、債権者との協議が可能か、売却代金による清算を検討できるか、法的な対応が必要かなどを整理します。仮差押えについては、債権者との協議だけでなく、裁判手続きへの対応が必要となる場合もあるため、弁護士などの専門家に相談することが重要です。
特に注意したいのは、売却すれば仮差押えや差押えが自動的に解除されるわけではないという点です。登記の抹消や債権者との調整について見通しが立たないまま売却日程を決めると、契約や決済が進まなくなる可能性があります。
また、仮差押と差押では手続き上の意味や状況が異なるため、登記の名称だけで対応を決めることはできません。
権利関係の問題を抱えた不動産では、売却価格だけでなく、問題を解消するための条件や手続きにかかる時間も含めて検討することが大切です。
まず、登記内容や裁判所から届いた書類などを確認し、誰が、どのような請求に基づいて手続きを行っているのかを整理します。請求額や債務の内容、裁判手続きの状況なども確認すべき事項です。
そのうえで、債権者との協議が可能か、売却代金による清算を検討できるか、法的な対応が必要かなどを整理します。仮差押えについては、債権者との協議だけでなく、裁判手続きへの対応が必要となる場合もあるため、弁護士などの専門家に相談することが重要です。
特に注意したいのは、売却すれば仮差押えや差押えが自動的に解除されるわけではないという点です。登記の抹消や債権者との調整について見通しが立たないまま売却日程を決めると、契約や決済が進まなくなる可能性があります。
また、仮差押と差押では手続き上の意味や状況が異なるため、登記の名称だけで対応を決めることはできません。
権利関係の問題を抱えた不動産では、売却価格だけでなく、問題を解消するための条件や手続きにかかる時間も含めて検討することが大切です。
⑤ 私道の持分や通行・掘削に関する問題がある場合
不動産を売却する際、敷地そのものの登記に問題がなくても、前面道路が私道であることや、私道の持分・通行・掘削に関する権利関係が明確でないことが、取引上の課題になる場合があります。
この場合は、まず道路部分の登記事項証明書や公図などを確認し、誰が所有しているのか、売却対象の土地とどのような関係にあるのかを調べます。現地の道路状況や、通行・掘削に関する承諾書などの資料が残っているかも確認したい点です。
水道管やガス管などの工事が必要になる場合、掘削に関する権利や承諾の状況が問題になることがあります。また、買主が住宅ローンを利用する場合などには、金融機関が道路に関する権利関係を確認することもあります。
ただし、私道の持分がないからといって、すべてのケースで通行や工事ができないと決まるわけではありません。通行権などの法的な根拠、契約内容、道路の状況によって判断が異なります。
資料が見つからない場合は、すぐに「承諾を取り直せばよい」と考えるのではなく、現在どのような権利があるのか、誰の協力が必要なのかを確認することから始めましょう。
この場合は、まず道路部分の登記事項証明書や公図などを確認し、誰が所有しているのか、売却対象の土地とどのような関係にあるのかを調べます。現地の道路状況や、通行・掘削に関する承諾書などの資料が残っているかも確認したい点です。
水道管やガス管などの工事が必要になる場合、掘削に関する権利や承諾の状況が問題になることがあります。また、買主が住宅ローンを利用する場合などには、金融機関が道路に関する権利関係を確認することもあります。
ただし、私道の持分がないからといって、すべてのケースで通行や工事ができないと決まるわけではありません。通行権などの法的な根拠、契約内容、道路の状況によって判断が異なります。
資料が見つからない場合は、すぐに「承諾を取り直せばよい」と考えるのではなく、現在どのような権利があるのか、誰の協力が必要なのかを確認することから始めましょう。
7.ケーススタディで見る、権利関係の問題から売却を検討するまで

ここでは、権利関係の問題が見つかった場合に、どのような順序で調査や対応を進めるのか、3つの想定事例で説明します。
なお、以下は理解を助けるための想定事例であり、特定の実際の取引を紹介するものではありません。実際の案件では、個々の権利関係や資料の内容によって対応が異なります。
なお、以下は理解を助けるための想定事例であり、特定の実際の取引を紹介するものではありません。実際の案件では、個々の権利関係や資料の内容によって対応が異なります。
ケーススタディ1 親から相続した実家を売ろうとしたら、祖父の名義のままだった
【相続した不動産の売却を考えた段階で分かった問題】
親が亡くなり、実家を売却しようと考えた所有者が、登記事項証明書を取得しました。ところが、登記簿に記載されていた所有者は、すでに亡くなっている祖父でした。
本人は親が所有していた家だと考えていましたが、登記上は祖父から親への相続登記も行われていませんでした。
この場合、単に親から自分への相続登記をすればよいとは限りません。祖父が亡くなった際の相続関係を確認し、親がどのように権利を承継したのかを整理する必要があります。
親が亡くなり、実家を売却しようと考えた所有者が、登記事項証明書を取得しました。ところが、登記簿に記載されていた所有者は、すでに亡くなっている祖父でした。
本人は親が所有していた家だと考えていましたが、登記上は祖父から親への相続登記も行われていませんでした。
この場合、単に親から自分への相続登記をすればよいとは限りません。祖父が亡くなった際の相続関係を確認し、親がどのように権利を承継したのかを整理する必要があります。
【何を調査し、どのように解決を目指すのか】
最初に、祖父と親の戸籍などを確認し、相続関係を整理します。祖父の相続人の中に、すでに亡くなっている人がいれば、その人の相続関係についても調査が必要になることがあります。
次に、遺言書や過去の遺産分割協議書などが残っていないかを確認します。相続人が判明したとしても、誰が不動産を取得するのかについて合意が必要になる場合があるためです。
必要な相続関係と手続きを整理した後、相続登記をどのように進めるかを検討します。相続人間の意見が一致しない場合や、連絡が取れない相続人がいる場合は、別途対応を検討しなければなりません。
次に、遺言書や過去の遺産分割協議書などが残っていないかを確認します。相続人が判明したとしても、誰が不動産を取得するのかについて合意が必要になる場合があるためです。
必要な相続関係と手続きを整理した後、相続登記をどのように進めるかを検討します。相続人間の意見が一致しない場合や、連絡が取れない相続人がいる場合は、別途対応を検討しなければなりません。
不動産の売却に向けた判断
この事例では、最初に登記簿の名義を確認したことで、売却の前提となる相続手続きが未整理であることが判明しました。
このような不動産では、買主を探すだけでは問題は解決しません。相続関係の調査、必要書類の収集、相続人間の調整などを進め、売却に必要な条件を整えることが重要です。
実務上のポイントは、登記簿に古い名義が残っている場合、現在の所有者だと思っている人だけを調べるのではなく、過去の相続を含めて権利の承継経緯を確認することです。
このような不動産では、買主を探すだけでは問題は解決しません。相続関係の調査、必要書類の収集、相続人間の調整などを進め、売却に必要な条件を整えることが重要です。
実務上のポイントは、登記簿に古い名義が残っている場合、現在の所有者だと思っている人だけを調べるのではなく、過去の相続を含めて権利の承継経緯を確認することです。
ケーススタディ2 相続した土地に仮差押えがあり、そのままでは売却を進めにくい
【不動産の売却を考えた段階で分かった問題】
相続した土地を売却しようと登記事項証明書を取得したところ、第三者による仮差押えの登記が見つかりました。
相続人は土地を売却したいと考えていますが、仮差押えが何を原因として行われたのか、請求額はいくらなのか、どのような手続きが進んでいるのかを十分に把握していません。
この状態で売却日程だけを決めても、権利関係の問題が残ったままでは取引を予定どおり進められない可能性があります。
相続した土地を売却しようと登記事項証明書を取得したところ、第三者による仮差押えの登記が見つかりました。
相続人は土地を売却したいと考えていますが、仮差押えが何を原因として行われたのか、請求額はいくらなのか、どのような手続きが進んでいるのかを十分に把握していません。
この状態で売却日程だけを決めても、権利関係の問題が残ったままでは取引を予定どおり進められない可能性があります。
何を調査し、どのように解決を目指すのか
まず、登記事項証明書の記載を確認するとともに、裁判所から届いた書類や債権者からの通知など、手元にある資料を整理します。
次に、仮差押えの原因となった請求内容や金額、現在の手続きの状況を確認します。請求内容に争いがある場合や、解除に向けて法的な判断が必要な場合には、弁護士への相談を検討します。
そのうえで、債権者との協議、売却代金による清算の可能性、裁判手続きへの対応などを検討します。どの方法が適切かは、請求内容や不動産の価格、他の担保権や債務の有無などによって変わります。
次に、仮差押えの原因となった請求内容や金額、現在の手続きの状況を確認します。請求内容に争いがある場合や、解除に向けて法的な判断が必要な場合には、弁護士への相談を検討します。
そのうえで、債権者との協議、売却代金による清算の可能性、裁判手続きへの対応などを検討します。どの方法が適切かは、請求内容や不動産の価格、他の担保権や債務の有無などによって変わります。
相続した不動産の売却に向けた判断
この事例では、仮差押えがあるという事実だけで売却の可否を決めることはできません。まずは権利関係と請求内容を整理し、解除や清算に向けた対応の見通しを確認する必要があります。
売却を進める場合でも、仮差押えの問題をどのように解消するのかを明確にしないまま、決済日や資金の配分を決めることは避けるべきです。
実務上のポイントは、仮差押えの登記を見つけたら、単に抹消方法を調べるのではなく、その原因となった請求と法的手続きの状況を確認することです。
売却を進める場合でも、仮差押えの問題をどのように解消するのかを明確にしないまま、決済日や資金の配分を決めることは避けるべきです。
実務上のポイントは、仮差押えの登記を見つけたら、単に抹消方法を調べるのではなく、その原因となった請求と法的手続きの状況を確認することです。
ケーススタディ3 相続した共有不動産を売りたいが、一人の共有者が反対している
【相続した不動産の売却を考えた段階で分かった問題】
親から土地と建物を相続し、複数の相続人が共有者となりました。維持管理の負担を減らすために売却したいと考えましたが、共有者の一人が売却に反対し、話し合いが進まなくなりました。
他の共有者は売却に賛成していますが、全員の合意が得られず、不動産全体の売却を進められない状況です。
この場合、登記事項証明書で共有者と持分を確認することに加え、なぜ反対しているのかを把握する必要があります。
親から土地と建物を相続し、複数の相続人が共有者となりました。維持管理の負担を減らすために売却したいと考えましたが、共有者の一人が売却に反対し、話し合いが進まなくなりました。
他の共有者は売却に賛成していますが、全員の合意が得られず、不動産全体の売却を進められない状況です。
この場合、登記事項証明書で共有者と持分を確認することに加え、なぜ反対しているのかを把握する必要があります。
何を調査し、どのように解決を目指すのか
まず、共有者と持分を確認し、売却に反対している理由を整理します。
例えば、売却価格に納得していない場合は、査定の根拠や売却にかかる費用、売却代金の分配見込みなどを説明することで、話し合いが進む可能性があります。
一方、感情的な対立が強い場合や、売却後の住居・生活に関する不安がある場合は、価格の説明だけでは解決しないこともあります。問題の原因に応じて、話し合いの進め方を検討することが大切です。
話し合いによる合意が難しい場合は、共有持分の処分や共有関係の解消など、別の方法を検討できることもあります。ただし、共有持分のみを売却する場合は、通常の不動産全体の売却とは取引条件が異なり、価格が低くなる可能性や買主が限られる可能性があります。
また、共有関係の解消には法的な手続きが関係する場合もあるため、具体的な状況に応じて弁護士などの専門家への相談も検討します。
例えば、売却価格に納得していない場合は、査定の根拠や売却にかかる費用、売却代金の分配見込みなどを説明することで、話し合いが進む可能性があります。
一方、感情的な対立が強い場合や、売却後の住居・生活に関する不安がある場合は、価格の説明だけでは解決しないこともあります。問題の原因に応じて、話し合いの進め方を検討することが大切です。
話し合いによる合意が難しい場合は、共有持分の処分や共有関係の解消など、別の方法を検討できることもあります。ただし、共有持分のみを売却する場合は、通常の不動産全体の売却とは取引条件が異なり、価格が低くなる可能性や買主が限られる可能性があります。
また、共有関係の解消には法的な手続きが関係する場合もあるため、具体的な状況に応じて弁護士などの専門家への相談も検討します。
相続した不動産の売却に向けた判断
この事例では、売却に反対する共有者がいるという理由だけで、すべての選択肢がなくなるわけではありません。ただし、他の共有者が売却を希望しているからといって、不動産全体を自由に売却できるわけでもありません。
まずは合意できない理由を整理し、話し合いによる解決の可能性を確認します。そのうえで、必要に応じて別の選択肢を検討します。
実務上のポイントは、共有者の持分を確認するだけでなく、合意を妨げている原因を把握し、不動産全体の売却が難しい場合に何を検討できるのかを整理することです。
まずは合意できない理由を整理し、話し合いによる解決の可能性を確認します。そのうえで、必要に応じて別の選択肢を検討します。
実務上のポイントは、共有者の持分を確認するだけでなく、合意を妨げている原因を把握し、不動産全体の売却が難しい場合に何を検討できるのかを整理することです。
8.権利関係の問題を抱えた不動産は、売却査定の前に何を整理すべき?

相続不動産の売却では、価格を知ることも大切ですが、権利関係に問題がある場合は、査定価格だけでは売却の見通しを判断できないことがあります。
例えば、査定価格が分かっていても、相続人が確定していない、共有者の合意が得られない、抵当権や仮差押えの処理方法が決まっていないといった状況では、実際に売却を進めるための条件が整っていない可能性があります。
相談前にすべての問題を解決しておく必要はありません。まずは、次の資料や情報を確認できる範囲で整理しておくと、状況を把握しやすくなります。
◎ 登記事項証明書や固定資産税の納税通知書など、不動産の内容が分かる資料
◎ 相続関係が分かる戸籍、遺言書、遺産分割協議書などの資料
◎ 抵当権や仮差押えに関係する通知書、契約書、裁判所からの書類など
◎ 共有者や相続人の状況、話し合いの経緯、現在困っていること
すべての資料がそろっていなくても、相談できないわけではありません。現在分かっていることと、まだ確認できていないことを分けるだけでも、次に何を調べるべきかを整理しやすくなります。
権利関係の問題は、内容によって必要な対応が異なります。登記簿の記載だけで売却できるかどうかを決めつけず、問題の原因と解決に必要な手続きを確認することが大切です。
例えば、査定価格が分かっていても、相続人が確定していない、共有者の合意が得られない、抵当権や仮差押えの処理方法が決まっていないといった状況では、実際に売却を進めるための条件が整っていない可能性があります。
相談前にすべての問題を解決しておく必要はありません。まずは、次の資料や情報を確認できる範囲で整理しておくと、状況を把握しやすくなります。
◎ 登記事項証明書や固定資産税の納税通知書など、不動産の内容が分かる資料
◎ 相続関係が分かる戸籍、遺言書、遺産分割協議書などの資料
◎ 抵当権や仮差押えに関係する通知書、契約書、裁判所からの書類など
◎ 共有者や相続人の状況、話し合いの経緯、現在困っていること
すべての資料がそろっていなくても、相談できないわけではありません。現在分かっていることと、まだ確認できていないことを分けるだけでも、次に何を調べるべきかを整理しやすくなります。
権利関係の問題は、内容によって必要な対応が異なります。登記簿の記載だけで売却できるかどうかを決めつけず、問題の原因と解決に必要な手続きを確認することが大切です。
9.覚えておきたい専門用語集

全部事項証明書(登記簿謄本)
不動産の登記記録に記載されたすべての情報を証明する公的書類です。土地や建物の所在地・面積をはじめ、所有者の履歴や抵当権などの権利関係を正確に確認できます。
甲区(こうく)
登記記録のうち「所有権」に関する情報が記録される部分です。現在の所有者は誰か、過去にどのような売買や相続が行われたか、差し押さえの有無などを調べる際に見ます。
乙区(おつく)
「所有権以外の権利」が記録される部分です。住宅ローンなどの担保である抵当権や、他人の土地を通行・利用するための地上権・地役権などが記載されます。
数次相続(すうじそうぞく)
最初の相続手続き(遺産分割や名義変更)が終わらないうちに次の相続が発生し、複数の相続が連続して起きている状態です。相続人の人数が増え、手続きや意思確認が複雑化する傾向があります。
抵当権(ていとうけん)
住宅ローンなどの借入金を担保するために不動産へ設定される権利です。不動産を売却する際には、借入金を完済して抵当権を抹消(登記から消去)する必要があります。
公図(こうず)・名寄帳(なよせちょう)
「公図」は土地の配置や形状、地番の並びを確認するための法務局の資料です。「名寄帳」は市役所などが把握している特定個人の課税対象不動産を一覧化した資料で、私道持分や漏れている土地の確認に役立ちます。
相続土地国庫帰属制度
相続した「いらない土地」を一定の要件のもと、国に引き取ってもらう制度です。管理が難しい土地の処分選択肢となりますが、建物がある土地や境界があいまいな土地は対象外となるため、事前の要件確認や審査・負担金の支払いが必須となります。
10.よくある質問(Q&A)

Q1.相続登記をしていない不動産でも売却できますか?
相続登記が未了でも、売却の可能性を検討することはできます。ただし、売主となる相続人や契約の進め方を整理し、通常は買主への所有権移転登記までに必要な相続登記を完了させる必要があります。
相続人の確定や遺産分割の状況によって手順が異なるため、売買契約を締結する前に司法書士などと手続きの順序を確認しましょう。
相続人の確定や遺産分割の状況によって手順が異なるため、売買契約を締結する前に司法書士などと手続きの順序を確認しましょう。
Q2.住宅ローンを完済しているのに抵当権が残っています。どうすればよいですか?
金融機関などに連絡し、完済状況と抵当権抹消に必要な書類を確認しましょう。完済していても抵当権は自動的に抹消されません。必要書類がそろえば、抹消登記を進められる場合があります。
古い抵当権で金融機関の合併や書類の紛失などがある場合は、通常より確認に時間がかかることもあります。
古い抵当権で金融機関の合併や書類の紛失などがある場合は、通常より確認に時間がかかることもあります。
Q3.共有者の一人が売却に反対している場合はどうすればよいですか?
不動産全体を売却するには、原則として共有者全員の合意が必要です。話し合いによる解決が難しい場合は、共有持分の買取りや持分のみの売却、弁護士を通じた協議などを検討できることがあります。
ただし、持分のみの売却は買主や条件が限られる場合があり、共有関係を整理する方法も個別の事情によって異なります。
ただし、持分のみの売却は買主や条件が限られる場合があり、共有関係を整理する方法も個別の事情によって異なります。
Q4.農地や市街化調整区域にある相続不動産も売却できますか?
売却できる可能性はあります。ただし、農地の売買や転用、市街化調整区域での開発・建築などは、土地の状況や利用目的によって必要な許可や手続きが異なります。
登記簿だけで判断せず、自治体の担当窓口などで個別に確認することが重要です。
登記簿だけで判断せず、自治体の担当窓口などで個別に確認することが重要です。
Q5.登記簿を確認すれば、売却に必要な調査はすべて終わりますか?
いいえ。登記簿では分からない相続人の状況、私道の利用関係、境界、未登記建物、行政上の利用制限などがあります。
登記情報を出発点として、必要に応じて現地調査、役所調査、相続関係の調査などを行う必要があります。
登記情報を出発点として、必要に応じて現地調査、役所調査、相続関係の調査などを行う必要があります。
11.筆者の見解:相続不動産は「価格査定」より先に確認すべきことがある

不動産の売却相談では、「いくらで売れるのか」という質問をよくいただきます。もちろん、売却価格は重要です。
しかし、実務では権利関係が整理されていないまま価格だけを先行させると、買主が見つかった後に必要な手続きが判明し、契約や引渡しの予定を見直さなければならないことがあります。
例えば、名義が祖父母のまま残っている土地では、現在の相続人を調べるところから始める必要があるかもしれません。私道の持分や通行に関する権利が不明な場合は、買主が希望する利用方法を実現できるか確認しなければなりません。
また、抵当権や差押え、未登記建物などの問題も、それぞれ対応方法が異なります。
私が大切だと考えているのは、問題が見つかったからといって、すぐに「売れない」と判断しないことです。
権利関係の問題には、必要な手続きを進めれば解決できるものもあります。一方、相続人間の協議や債権者との調整、行政上の確認などに時間がかかるものもあります。
まずは現状を把握し、解決に必要な手続き、費用、時間を整理することが、納得できる売却への第一歩です。
相続した不動産について、何が問題なのか分からない段階でも、登記情報や手元の資料をもとに確認を始めることをおすすめします。
しかし、実務では権利関係が整理されていないまま価格だけを先行させると、買主が見つかった後に必要な手続きが判明し、契約や引渡しの予定を見直さなければならないことがあります。
例えば、名義が祖父母のまま残っている土地では、現在の相続人を調べるところから始める必要があるかもしれません。私道の持分や通行に関する権利が不明な場合は、買主が希望する利用方法を実現できるか確認しなければなりません。
また、抵当権や差押え、未登記建物などの問題も、それぞれ対応方法が異なります。
私が大切だと考えているのは、問題が見つかったからといって、すぐに「売れない」と判断しないことです。
権利関係の問題には、必要な手続きを進めれば解決できるものもあります。一方、相続人間の協議や債権者との調整、行政上の確認などに時間がかかるものもあります。
まずは現状を把握し、解決に必要な手続き、費用、時間を整理することが、納得できる売却への第一歩です。
相続した不動産について、何が問題なのか分からない段階でも、登記情報や手元の資料をもとに確認を始めることをおすすめします。
12.まとめ|相続不動産の権利関係に不安があれば早めに確認を

相続不動産の売却では、全部事項証明書を確認し、所有者、抵当権などの権利、土地や建物の登記内容を把握することが重要です。
ただし、登記簿だけでは相続人の確定や私道の利用関係、境界、未登記建物、行政上の利用制限などの問題まで判断できない場合があります。
また、相続登記の義務化により、相続登記を長期間放置することにも注意が必要です。
「名義が祖父のままになっている」「ほかの相続人と連絡が取れない」「抵当権や差押えが残っている」「他社に相談したが対応が難しいと言われた」といった場合も、まずは現状を整理するところから始めましょう。
ただし、登記簿だけでは相続人の確定や私道の利用関係、境界、未登記建物、行政上の利用制限などの問題まで判断できない場合があります。
また、相続登記の義務化により、相続登記を長期間放置することにも注意が必要です。
「名義が祖父のままになっている」「ほかの相続人と連絡が取れない」「抵当権や差押えが残っている」「他社に相談したが対応が難しいと言われた」といった場合も、まずは現状を整理するところから始めましょう。
相続不動産の権利関係や売却でお困りの方へ

ワイズエステート販売株式会社では、さいたま市・川越市・上尾市・桶川市周辺をはじめ、相続した実家や土地の権利関係の確認から、売却に向けた進め方までご相談いただけます。
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「まずは権利関係を確認したい」「売却できるか分からない」「何から手をつければよいか分からない」という段階でもご相談ください。
価格査定だけでなく、売却を進めるうえで何を確認し、どのような手続きが必要なのか、一緒に整理していきましょう。
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