はじめに

市街化調整区域の土地を所有している方や、相続した土地の売却を検討している方から「この土地には家を建てられるのか」「建築会社に売却すれば造成して分譲できるのか」「開発許可が必要と言われたが、何を確認すればよいのか」といった相談が多く寄せられます。

市街化調整区域の不動産を調べると、都市計画法第29条、第33条、第34条、第42条、第43条など、さまざまな条文が出てきます。

さらに、自治体独自の条例や運用基準、過去の開発許可の内容、建築基準法なども関係するため、一般の方には判断が難しい分野です。

市街化区域と市街化調整区域では、開発許可の考え方や建築計画を進める際の確認事項が異なります。

その違いを理解しないまま土地の購入や売却、建替え、造成などを進めると、想定していた建物が建てられない、分譲計画が成立しない、売却価格の見直しが必要になるといった問題が生じることがあります。

結論:開発許可の要否と、建築できるかどうかは別々に確認する必要があります

市街化調整区域の土地について判断するときは、次の3つの視点が重要です。

① 開発許可が必要か

土地の区画や形状、性質を変更する開発行為に該当するか、都市計画法第29条の許可が必要か、許可不要の例外に当たるかを確認します。

② 開発許可を受けられる土地か

開発許可が必要な場合、市街化区域では主に都市計画法第33条の技術基準が問題になります。一方、市街化調整区域では第33条の技術基準に加えて、第34条の立地基準に適合するかどうかが重要です。

③ 開発許可とは別に、建築・建替えが認められるか

開発行為を伴わない建築等については、都市計画法第43条の許可が問題になる場合があります。また、開発許可を受けた土地でも、都市計画法第42条による建築等の制限や許可内容を確認しなければならない場合があります。

つまり、「開発許可が不要」「以前から建物が建っている」「登記謄本上の地目が宅地」という事情だけで、自由に建築や建替えができると判断することはできません。

本記事では、市街化区域との比較を交えながら、都市計画法の各条文、許可基準、申請手続き、造成工事の注意点、相続した土地の売却・処分まで、実務に即して解説します。

1.市街化区域と市街化調整区域の違い

まず、開発許可制度を理解するために、市街化区域と市街化調整区域の基本的な違いを確認しましょう。

市街化区域は、すでに市街地を形成している区域や、優先的・計画的に市街化を進める区域です。

一方、市街化調整区域は、市街化を抑制すべき区域です。無秩序な市街化を防ぐという目的があるため、開発行為や建築行為について、市街化区域とは異なる制限が設けられています。

この違いは、単に土地の価格や周辺環境だけの問題ではありません。土地をどのように利用できるか、住宅を新築できるか、分譲できるかといった不動産の価値にも関係します。

市街化区域と市街化調整区域の比較表

比較項目市街化区域市街化調整区域
基本的な考え方優先的・計画的に市街化を進める区域市街化を抑制する区域
用途地域原則として定められる原則として定められない
開発許可の要否原則として一定規模以上の開発行為が対象原則として規模にかかわらず開発許可が必要となる場合がある
許可不要の例外都市計画法第29条などに基づき判断第29条の例外などを確認する必要がある
技術基準第33条が中心第33条が適用される場合に加えて、第34条の立地基準が重要
住宅の新築用途地域などの規制に適合すれば計画しやすい建築目的や立地基準、過去の許可などの確認が必要
分譲住宅の開発規模要件、道路、排水などの条件を確認技術基準に加えて立地基準への適合が重要
開発行為を伴わない建築建築基準法や用途地域などを確認第43条の許可や例外の適用を確認する場合がある
開発許可後の建築許可内容や関連法令を確認第42条などによる制限や許可内容の確認が重要
自治体独自の基準用途地域、地区計画、条例などを確認第34条第11号・第12号に関する条例などが重要になる場合がある
売却への影響建築可能性、用途地域、接道などが価格に影響建築・再建築の可否、許可の見込み、利用制限などが価格に大きく影響する場合がある

※上表は一般的な内容です。具体的な許可要件や例外、条例の適用は、区域、土地の状況、計画内容、自治体の基準などによって異なります。

市街化区域なら自由に開発できるわけではない

市街化区域は、市街化を進める区域ですが、どのような開発でも自由にできるわけではありません。

一定規模以上の開発行為には、原則として都市計画法第29条に基づく開発許可が必要です。また、許可に当たっては、第33条の技術基準などへの適合が求められます。

建築基準法、用途地域、道路、排水、地区計画、条例などの制限も別途確認する必要があります。

市街化調整区域では「建築できる理由」の確認が重要

市街化調整区域では、土地が広いことや、道路に接していること、周辺に住宅があることだけで、住宅を新築できるとは限りません。

例えば、同じ市街化調整区域にある土地でも、過去の許可内容、土地の経緯、建築物の用途、計画の目的、適用される条例などによって判断が変わる場合があります。

そのため、土地を購入する場合も、相続した土地を売却する場合も、単に「市街化調整区域だから建築できない」と決めつけたり、「住宅が建っているから建替えできる」と判断したりせず、個別の条件を確認することが大切です。

2.都市計画法第29条とは?開発許可が必要になるケース

都市計画法第29条は、開発行為を行う場合の許可制度を定めています。開発許可が必要かどうかを判断する出発点となる条文です。

開発行為とは何か

都市計画法第4条第12項では、開発行為を主として建築物の建築や特定工作物の建設を目的として行う土地の区画形質の変更と定義しています。

簡単に言うと、建物などを建てるために、土地の区画や形状、性質を変更する行為です。

ただし、土地に何らかの工事をすれば、すべて開発行為になるわけではありません。建築等の目的があるか、どのような土地の変更を行うか、自治体の運用基準に照らして該当するかなどを確認する必要があります。

開発行為に該当する可能性がある例

一方、単に土地を分筆しただけで、直ちに開発行為に該当するとは限りません。分筆、造成、道路の設置、建築計画などを分けて確認することが大切です。

市街化区域の開発許可は面積要件に注意

市街化区域では、開発行為の規模によって許可の要否が変わります。一般的には、次のような基準が用いられます。

ただし、都市計画法施行令や条例などによる例外があるため、全国どこでも同じ面積要件とは限りません。対象地を管轄する自治体の開発許可基準を確認する必要があります。

市街化調整区域では面積だけで判断できない

市街化調整区域では、市街化区域のような一般的な面積要件だけで判断することはできません。

原則として、開発行為を行う場合には規模にかかわらず開発許可が問題になります。ただし、都市計画法第29条の例外などに該当する場合は、開発許可が不要となることがあります。

ここで注意したいのは、開発許可が不要であっても、建築行為について別の制限がかかる場合があることです。開発許可の要否を確認しただけで調査を終わらせず、建築計画がある場合は第43条などの適用関係も確認しましょう。

3.都市計画法第33条と第34条の違い

開発許可の基準を理解するうえで、特に重要なのが第33条と第34条です。両者は同じ「開発許可の基準」ですが、確認する内容が異なります。

都市計画法第33条は技術基準

都市計画法第33条は、開発区域の道路、公園、排水施設、防災対策など、良好で安全な宅地として整備するための技術的な基準を定めています。例えば、次のような事項が審査の対象になります。

実際にどの基準が適用されるかは、開発の内容、区域の状況、自治体の条例などによって異なります。

都市計画法第34条は市街化調整区域の立地基準

都市計画法第34条は、市街化調整区域において、どのような開発行為が許可の対象になり得るかを定める立地基準です。

市街化調整区域は市街化を抑制する区域であるため、技術的に安全な造成計画を立てられることだけでは、開発許可が認められない場合があります。その土地で、計画する施設や建築物の用途、立地、目的などが、法令上の許可類型に該当するかを確認する必要があります。

都市計画法第34条には、例えば、周辺住民の日常生活に必要な施設、農林水産物の処理・貯蔵・加工施設、地区計画に適合する開発、条例で定める区域に関する開発など、複数の類型があります。ただし、各号にはそれぞれ要件があり、名称や用途だけで該当すると判断することはできません。

各類型の具体的な適用条件や詳細な手続きにつきましては、都市計画法第34条の立地基準(開発許可に関する立地基準) ページにてご確認いただけます。ご検討中の計画がどの要件に該当するか、最新の基準や手引きとあわせてご確認ください。

技術的に造成できても、立地基準を満たさなければ許可されないことがある

例えば、市街化調整区域に広い土地があり、道路や排水施設を整備して住宅を建築できる計画を立てたとします。

道路や排水などの技術基準を満たしていても、その住宅開発が第34条の立地基準に該当しなければ、開発許可を受けられない場合があります。

このように、「造成できる土地か」と「その目的で開発できる土地か」は別の問題です。市街化調整区域の土地を購入する場合や、分譲計画を検討する場合は、この違いを理解しておく必要があります。

第34条第11号・第12号の条例にも注意

市街化調整区域の開発許可では、自治体の条例が重要になることがあります。代表的なものが、第34条第11号・第12号に関する条例です。

条例によって対象となる区域や用途、予定建築物などの基準が定められている場合があります。ただし、どの自治体でも同じ区域が対象になるわけではなく、条例の内容や運用も一律ではありません。また、条例に該当する可能性があることと、実際に許可を受けられることは同じではありません。第33条の技術基準や、その他の関係法令への適合も確認する必要があります。

各自治体が定める条例の対象区域や建築物の用途基準、具体的な相談・申請手続きのフローについては、市街化調整区域における開発許可基準(第34条第11号・12号条例) のページをご確認ください。

4.都市計画法第43条とは?開発許可が不要でも建築できない場合がある

第43条は、市街化調整区域における建築物の新築・改築・用途変更などについて、一定の場合に許可を求める規定です。第29条が主として開発行為の許可を扱うのに対し、第43条は、開発行為を伴わない建築等を検討するときに重要になります。

第43条の確認が必要になる場面

ただし、第43条は市街化調整区域のすべての建築行為に一律に許可を求めるものではありません。法令上の適用範囲や許可不要の例外、過去の許可内容などを確認する必要があります。

また、開発許可を受けた開発区域内の建築等については、第42条など別の規定が関係する場合があります。第42条と第43条は、対象となる土地や状況を区別して検討することが重要です。

第43条の具体的な適用要件や許可不要となる例外ケース、実際の申請手続きの詳細については、市街化調整区域における建築許可(第43条)のご案内 をご確認ください。

建替えができるかどうかは、既存建物があるだけでは判断できない

市街化調整区域に古い住宅が建っている場合、「住宅があるのだから、同じ場所で建替えできるだろう」と考える方もいます。しかし、建替えの可否は、既存建物が存在するという事実だけでは決まりません。確認したいのは、次のような事項です。

例えば、既存建物が住宅であっても、建替え後に店舗や事務所などへ用途を変更する場合は、住宅の建替えとは異なる検討が必要になることがあります。既存建物があることと、希望する建物を新築・建替えできることは同じではありません。

5.都市計画法第42条とは?開発許可後の建築にも制限がある

都市計画法第42条は、開発許可を受けた開発区域内において、開発許可に関係する工事の完了後、予定建築物等以外の建築物の建築や用途変更などを行う場合の制限を定めています。

例えば、ある用途の建築物を予定して開発許可を受けた土地で、後から別の用途の建物を建てたい場合には、許可内容や法令上の例外などを確認する必要があります。

市街化調整区域の不動産は「過去に開発許可を受けている土地だから、何でも建築できる」というわけではありません。

ここで確認すべきなのは、単に許可が存在するかどうかだけでなく、どの区域について、どのような計画・用途で許可されたのかという点です。

市街化調整区域の土地を購入する際は、過去の許可書、開発登録簿などの公的資料、建築物の用途、完了検査などの記録を確認することが、購入後のトラブルを避けるために役立ちます。

6.「既存宅地」なら建築できる?古い土地の確認で注意したいこと

市街化調整区域の不動産について調べていると、「既存宅地」という言葉を見かけることがあります。過去には、市街化調整区域における一定の宅地について、既存宅地制度による取扱いがありました。

しかし、この既存宅地確認制度は都市計画法の改正(平成12年)により廃止されています。

そのため、昔から宅地として利用されていたことや、登記地目が「宅地」であることだけを理由に、現在も自由に建築できると判断することはできません。

既存宅地で確認したいのは、現在の法令・条例と過去の許可内容

市街化調整区域の古い宅地については、次のような点を確認します。

過去の土地利用の経緯は重要な判断材料ですが、それだけで現在の建築可否が決まるわけではありません。また、昔の許可や建築確認の資料が残っていない場合は、自治体の保管資料や開発登録簿などを調査する必要が生じることがあります。

7.市街化調整区域で開発許可が不要となる場合

都市計画法第29条には、一定の開発行為について許可を不要とする規定があります。

例えば、法令上の要件を満たす農林漁業用の建築物や、農林漁業従事者の居住用建築物に関係するもの、公益上必要な施設に関係するもの、一定の事業の施行に伴うものなど、許可不要となる類型があります。

ただし、どのような行為でも農業に関係していれば許可不要になるわけではありません。建築物の用途、利用者、土地の状況、法令上の要件などを確認する必要があります。

また、第29条の開発許可が不要であることと、第43条の許可も不要であることは、同じ意味ではありません。開発行為を伴わない建築等については、第43条の適用関係を確認する必要がある場合があります。農地転用や建築基準法など、別の法令による手続きが必要になる可能性もあります。

土地の利用計画を立てる際は、「開発許可不要」という説明だけで終わらせず、建築等に必要な手続き全体を確認しましょう。

8.開発許可の申請から工事完了までの流れ

開発許可が必要な場合、一般的には次のような流れで手続きを進めます。

STEP1 土地の現況と権利関係を確認する

最初に、土地の所在地、面積、地目、接道状況、境界、所有権、地形、既存建物などを確認します。登記簿や公図だけでは、現在の利用状況や過去の許可内容を十分に把握できない場合があります。

STEP2 開発許可の要否を確認する

土地の区画形質を変更する計画がある場合は、開発行為に該当するか、第29条の許可が必要かを確認します。開発許可が不要と考えられる場合でも、建築計画があるなら、第43条などの適用関係を別途確認します。

STEP3 自治体に事前相談する

対象地を管轄する自治体の開発許可担当部署などに相談し、適用される基準や必要な資料を確認します。口頭での一般的な説明だけで許可が確約されたと考えず、必要な資料をそろえ、正式な審査や手続きの流れを確認することが重要です。

STEP4 設計や関係機関との調整を行う

開発許可が必要な場合は、道路、排水、防災、擁壁などの技術基準を確認し、計画を具体化します。関係機関との協議を進めます。

STEP5 開発許可を申請する

必要書類を整え、所定の申請手続きを行います。図面や技術資料、権利関係の書類などが求められます。

STEP6 許可後に工事を行い、完了検査などを受ける

許可を受けた後は、許可内容に従って工事を進めます。工事完了後は、法令に基づく完了検査など、必要な手続きを行います。

9.開発許可と盛土規制法は別々に確認する

土地の造成を検討するときは、都市計画法だけでなく、盛土規制法(宅地造成及び特定盛土等規制法)にも注意が必要です。

盛土等による災害を防ぐため、都道府県知事等が指定する規制区域内で、一定規模以上の盛土等を行う場合などには、許可が必要になることがあります。この制度は、土地の用途が宅地か農地か森林かといった違いだけで適用が決まるものではありません。

開発許可が不要でも、盛土規制法の許可が必要になる場合がある

都市計画法の開発許可と、盛土規制法の許可は、目的や対象となる行為が異なる制度です。そのため、都市計画法上の開発許可が不要であっても、盛土規制法など、別の法令に基づく手続きが必要になる場合があります。

近年、盛土規制法の指定・移行が進み、行政の審査基準は非常に厳格になっています。造成工事を計画する際は、次の点を入念に確認しましょう。

10.市街化調整区域の開発許可で起こりやすい誤解

市街化調整区域の不動産では、制度の一部分だけを見て判断してしまうことがあります。特に注意したい点を整理します。

誤解① 登記地目が宅地なら建築できる

登記地目は判断資料の一つにすぎず、それだけで都市計画法上の建築可否が決まるわけではありません。現在の条例や許可基準、過去の許可内容を確認する必要があります。

誤解② 昔から住宅が建っていたので、建替えもできる

既存建物があることは重要ですが、希望する建替えが認められるかは別問題です。建物の適法性、過去の許可内容、建替え後の用途を確認しましょう。

誤解③ 開発許可が不要なら、住宅を新築できる

第29条の開発許可が不要であっても、第43条による建築等の許可が問題になる場合があります。

誤解④ 近くに住宅が多いから、自分の土地にも住宅を建てられる

周辺に住宅が多いことだけで、対象地の建築が認められるとは限りません。土地ごとの経緯や条例の適用によって判断が異なります。

誤解⑤ 造成工事ができれば、分譲できる

造成工事の技術的な可否と、開発許可の立地基準への適合は別の問題です。複数区画の分譲では全体計画の検討が不可欠です。

誤解⑥ 開発許可を受けた土地なら、用途を自由に変更できる

開発許可の内容や第42条などの制限によって、建築物の用途変更が制限される場合があります。

11.市街化調整区域の土地を相続した場合、売却・処分はどう考える?

市街化調整区域の土地は、相続したものの利用方法が分からない、建物を建替えられるか不明、売却できるか判断できないといった問題につながることがあります。

特に、古い住宅がある場合や長年利用していない土地の場合は、維持費や管理負担も含めて検討することが重要です。

まず、土地の利用可能性を調査する

売却や処分を考える場合は、次の点を整理します。

建築できない土地でも、売却の可能性がなくなるわけではない

市街化調整区域の土地であっても、すべての土地が売却できないわけではありません。ただし、建築・再建築の可否、利用制限、接道状況などによって、購入を検討する人や売却条件が変わる可能性があります。

許可の見込みが不明なまま、一般的な宅地と同じ条件で売却を進めると、購入検討者との認識の違いが生じるおそれがあります。売却価格だけでなく、必要な調査、説明事項、売却までの期間、管理負担なども含めて判断しましょう。

相続土地の処分では、売却以外の選択肢も検討する

土地の状態や権利関係によっては、隣接地所有者との協議や、一定の要件を満たす場合の「相続土地国庫帰属制度」の検討など、売却以外の選択肢も含めて比較することが大切です。

12.市街化調整区域の開発許可に関するよくある質問

Q1.市街化調整区域では、原則として開発許可が必要ですか?

【回答】原則として、区画形質の変更(盛土・切土や道路新設等)を伴う開発行為を行う場合は都市計画法第29条に基づく開発許可が必要です。
ただし、農林漁業用の建築物(温室や畜舎等)や農林漁業従事者の住宅、駅舎などの公益上必要な建築物、または非常災害時の応急措置など、都市計画法で定められた例外規定に該当する場合は許可不要となる場合もあります。

Q2.市街化区域なら、開発許可なしで造成できますか?

【回答】 市街化区域であっても、一定規模以上の開発行為を行う場合は原則として開発許可が必要です。 基準となる面積は原則1,000㎡以上(三大都市圏の既成市街地や近郊整備地帯等では500㎡以上)と定められています。さらに、自治体の条例によってこの閾値(いきち)が引き下げられている地域(例:300㎡以上など)もあるため、規模の大小にかかわらず事前に確認することが大切です。

Q3.市街化調整区域で開発許可が不要なら、住宅を建てられますか?

【回答】 開発許可(造成工事)が不要であっても、すぐに住宅が建てられるとは限りません。 造成工事を伴わない建築行為であっても、都市計画法第43条に基づく「建築等の許可」が必要となるケースが大半です。また、接道要件をはじめとする建築基準法や、農地法など他法令の制限もクリアしなければ建築することはできません。

Q4.市街化調整区域にある古い住宅は建替えできますか?

【回答】 既存の建物が存在するという理由だけで、無条件に建替え(再建築)ができるわけではありません。 その建物が過去に正当な許可を得て建てられたものか(適法性)、どのような用途や所有者要件で許可されたものかを確認する必要があります。また、線引き(市街化調整区域に指定された日)前から存在する「既存宅地」の場合でも、自治体の条例や立地基準に適合しているかの事前判定が必要です。

Q5.登記地目が宅地なら、開発許可は不要ですか?

【回答】 登記簿上の地目が「宅地」であっても、開発許可や建築許可が不要になるわけではありません。 不動産登記の地目と、都市計画法上の「建築が認められる土地(建築敷地)」の判断基準は異なります。過去に許可を受けた履歴があるか、現在適用される法令や自治体の審査基準を満たしているかを、行政窓口の調査等で総合的に確認する必要があります。

Q6.市街化調整区域で土地を分筆すれば、複数の住宅を建てられますか?

【回答】 単に登記上で土地を分筆しただけでは、複数の住宅を建築できるようにはなりません。 市街化調整区域では、各区画が第34条の立地基準(例:自己用住宅、分家住宅など)に適合している必要があります。さらに、各区画が道路に接しているか(接道条件)や、排水施設が確保されているかなど、技術的な条件も網羅していなければ許可は下りません。

Q7.都市計画法第33条と第34条は何が違いますか?

【回答】 第33条は「技術基準」、第34条は「立地基準」という役割の違いがあります。

Q8.都市計画法第42条と第43条は何が違いますか?

【回答】 対象となる土地が「過去に開発許可を受けた土地か否か」によって規定が異なります。

Q9.市街化調整区域の土地を造成する場合、盛土規制法の許可も必要ですか?

【回答】 工事の内容や規模、その土地が指定区域内にあるかによって、盛土規制法(旧・宅地造成等規制法)の許可が別途必要になる場合があります。 盛土規制法の規制区域(宅地造成等工事規制区域・特定盛土等規制区域)に該当し、一定規模以上の盛土・切土を行う場合は、都市計画法の開発許可に加えて(または一体となって)盛土規制法上の許可・届出手続きを行う必要があります。

Q10.市街化調整区域の土地は売却できますか?

【回答】 所有権の移転(売買)自体は法律上可能ですが、売却の難易度や価格は「利用制限」に大きく左右されます。 購入者が自由に建物を建てられない土地の場合、買主の対象が非常に限定されるため、取引価格が安くなったり売却までに時間がかかったりすることがあります。売却に際しては、その土地で「どのような人が・どのような目的であれば建築可能か」を正確に調査・把握しておくことが不可欠です。

13.開発許可の可否だけでなく、土地全体の利用価値を確認する

市街化調整区域の不動産を調査する際は、「開発許可が必要かどうか」だけで結論を出さないことが重要です。土地の売却や活用を考える場合には、少なくとも次の事項を総合的に確認する必要があります。

  1. 現在の土地の状態と過去の経緯:登記簿だけでなく、過去の開発許可や建築等の許可履歴を紐解く。
  2. 現在の法令や自治体の基準:過去に利用されていた土地であっても、現在の制度(条例や運用基準)で希望する建築が認められるとは限らない。
  3. 実際の売却や利用の可能性:接道状況、形状、隣接地との関係、インフラ整備コストなど、総合的な価値を見極める。

重要なのは、法令上の制限を正確に把握したうえで、その土地にどのような利用方法があり、どのような売却・処分の選択肢があるかを整理することです。

14.市街化調整区域の開発許可について、どこに相談すればよい?

市街化調整区域の開発行為に関する相談先は、確認したい内容によって異なります。

自治体の開発許可担当部署

行政上の許可基準や過去の経緯を調査し、法的な取り扱いを確認するための窓口です。

市街化調整区域の取引実績が豊富な不動産会社

不動産取引・市場の観点から、土地の価値や売却の実現可能性を調査・検証する相談先です。

行政書士などの申請手続きの専門家

開発許可や建築許可に必要な複雑な法的手続きを支援し、行政との協議や申請書類の作成・代理を行う専門家です。

まとめ|市街化調整区域の開発許可は、土地ごとの条件を確認することが重要

市街化調整区域の開発許可は、都市計画法第29条、第33条、第34条、第42条、第43条など、複数の規定が関係する制度です。

市街化区域と比較すると、特に市街化調整区域では、開発行為の許可の要否だけでなく、その土地で希望する開発が認められるかという立地基準が重要になります。また、開発許可が不要であっても、建築等について別の許可が必要になる場合があります。過去に建物が建っていた土地や、登記地目が宅地の土地であっても、現在の建築・建替えの可否を個別に確認することが必要です。さらに、土地の造成を行う場合は、盛土規制法の関係法令も確認しなければなりません。

市街化調整区域の土地を購入する場合、相続した土地を売却する場合、建替えや分譲を検討する場合には、まず土地の状況と過去の許可内容を調べ、自治体の基準を確認することが大切です。開発許可の要否だけでなく、建築・利用・売却までを見据えて土地の条件を整理することが、後悔のない適切な判断につながります。

市街化調整区域の土地について、建築できるか分からない、相続した土地の売却方法が分からない、過去の許可内容を確認したいといった場合は、土地の所在地や状況を整理したうえで、自治体や不動産・申請手続きの専門家に早めにご相談ください。

市街化調整区域の土地、「本当に家を建てられる?売却できる?」とお悩みではありませんか?

市街化調整区域の土地や建物は、都市計画法(第29条・第34条・第42条・第43条など)の解釈や、さいたま市をはじめとする自治体ごとの独自の条例・指導要綱、過去の開発許可履歴、盛土規制法などが複雑に絡み合います。

そのため、「登記地目が宅地だから大丈夫」「古い住宅があるから再建築できる」といった自己判断で進めてしまうと、売買手続きや建築計画の段階で思わぬトラブルに発展しかねません。

埼玉県さいたま市に拠点を置くワイズエステート販売株式会社では、市街化調整区域に特化した豊富な知識と取引実績に基づき、対象地の徹底的な行政照会から、法的な再建築可否の確認、盛土規制等の関係法令の整理までワンストップで対応いたします。

「相続したけれど建築できるか分からない」「手放したいが買手が見つかるか不安」「他社で取り扱いを断られた」など、どのようなお悩みでもお気軽にご相談ください。土地の潜在価値を正確に見極め、最適な売却・活用プランをご提案いたします。